真・恋姫外史 がんばれ一刀お笑い道中〜僕が外史に降りた理由〜 第五話
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時の流れは一刀の成長を待ってはくれない。

 

ついに大陸を揺るがす黄巾の乱が始まったのである。

 

官軍はもとより、各地の諸侯も乱の鎮圧へと動き出す中、孫呉もまた、袁術の要請により出撃を余儀なくされる。

 

修行中の一刀も軍に参加する事になるのだが・・・・・・

 

 

 

 

 

結果だけ言えば、緒戦は孫呉の勝利で幕を閉じた。

 

「ウォエエエエ・・・・・・」

 

直接戦線には参加しなかった一刀だったが、散らばる骸を前にして壮大に吐いていた。

 

「大丈夫ですか?一刀さん」

 

「だ、大丈夫・・・・・・もう少しで全部吐き尽くすから・・・・・・う!」

 

再びこみあげてきたものをぶちまける一刀。

 

そんな一刀の背中をさする穏。

 

むせかえる血の臭いと死臭。

 

無残な死体の山。

 

戦場において当然あるものが、一刀の五感をことごとく刺激し、不快にさせていた。

 

ただ、吐き続けながらも一刀はそれらから目をそらそうとはしなかった。

 

もちろん好きで見ていたわけではない。

 

軍の一人としてやってきた責任感からでもない。

 

ただ、それらから目を背けていてはここでは生きられない。

 

そんな危機感からだった・・・・・・

 

 

 

 

 

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それから数日後、仕事中の冥琳の所に穏が報告に来た時の事だった。

 

「穏。北郷の様子はどうだ?」

 

「一刀さんですか?勉強も戦闘訓練も、今まで以上に熱心に打ち込んでるみたいですよ」

 

「そうか。戦場での様子を見るに、しばらくは沈んでいるかと思ったが、意外に立ち直るのが早かったな」

 

「ただ・・・・・・」

 

「何か気になる事でも?」

 

「熱心にやるのはいいんですけど・・・・・・余裕が無いというか」

 

「余裕?」

 

「今までの一刀さんは興味のあることはとことん楽しんでやって、興味は無くても必要な事だったら楽しい方法を考えたりしてやってきてたんですけど、今は何だか急きたてられるようにやっているといいますか・・・・・・」

 

「ふむ・・・・・・」

 

「あまり効率がいいとも言えないですし、気が張り詰めすぎているみたいで」

 

「良くない傾向だな。張り詰めすぎた弦はいつか切れる」

 

「私もさりげなく言ってみたんですけど、やらずにはいられないって・・・・・・どうしたらいいんでしょうか?」

 

「そうだな。とにかく私からも言っておこう」

 

「お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その日の夜遅く

 

「シッ!」

 

中庭で一心不乱に鞭を振るう一刀の姿があった。

 

「まだだ。この程度じゃあ戦場では死・・・・・・」

 

戦場の光景がフラッシュバックし、急かされるように鞭を振り上げる一刀。

 

「こんな時間まで訓練とは感心だな。しかし、根の詰めすぎは身体に毒だぞ?」

 

一刀が声のした方を振り返ると、そこには冥琳の姿があった。

 

「教育係の穏も心配していたぞ?張り詰めすぎだと」

 

「分かってる。分かってるけど・・・・・・」

 

「じっとしてはいられないか」

 

冥琳の言葉に頷く一刀。

 

「自分でもおかしいとは思ってる。でも戦場を見てから、死にたくないって気持ちばかりが大きくなってきて、何かに打ち込んでいないとその気持ちに押し潰されそうなんだ」

 

「・・・・・・」

 

「どうやったらこの気持ちを抑え込む事が出来るんだ?教えてくれ。頼む・・・・・・」

 

今まで見せた事の無いような悲痛な顔で冥琳に問いかける一刀。

 

「そうだな。あくまで私の私見だが、命をかける理由を見つける事が死の恐怖を抑え込む近道だと思う」

 

「命をかける・・・・・・理由?」

 

「私達は孫呉の宿願を果たす為に戦っている。北郷、お前はどうだ?」

 

「俺は・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

考える一刀と、一刀の答えを待つ冥琳。

 

「恩返しのためかな?」

 

「恩返し?」

 

「知り合いも誰一人いない世界にいきなり投げ出されて、ここに拾われなかったらたぶん野垂れ死にしてた。救われた命なら、救ってくれた人達のために使う。うん、納得できる理由だ」

 

一刀の答えに冥琳は少しだけ感心していた。

 

たとえそれが、死と向き合うための理由付けのために出た答えだったとしても。

 

当の一刀はというと、うんうんと自分の言葉に自分で納得しているようだった。

 

その表情もすっかりいつもの表情に戻っている。

 

「いやあ、助かったよ冥琳。おかげで気持ちが楽になった。ありがとう」

 

「お役に立てて何よりだ。さて一刀。先程から見ていたが、鞭の扱いがまだまだだな。せっかくだから私が指導してやろう」

 

そう言いながら、冥琳は愛用の白虎九尾を取り出す。

 

「え?あの、俺かなり疲れてて、そろそろ寝ようかと・・・・・・」

 

「我らへの恩返しのために命を賭けるのだろう?その気概は良し。だが、命の賭けどころを間違えてもらっては困るからな。生き残る術はしっかり身につけてもらおう」

 

「あ、あれえ?根の詰めすぎは身体に毒なんじゃあ・・・・・・」

 

「心配するな。限界を見極めたうえで厳しく、かつ的確に指導してやろう」

 

冥琳は笑みを浮かべ、手にした白虎九尾を振るう。

 

「さあビシビシいくぞ!文字通りな!」

 

「ひ、ひえええええええ・・・・・・」

 

 

 

 

その夜、中庭では鞭の破裂音と

 

 

 

 

一刀の悲鳴が延々と流れ続けていた・・・・・・

 

 

 

 

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どうも、アキナスです。

 

一刀くん、意外に義理堅い性格だったようですね。

 

ところで冥琳と鞭の組み合わせってはまりすぎてるというか・・・・・・

 

ではまた次回・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
厳しい現実
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コメント
mokiti1976-2010さん:ごもっとも(アキナス)
はこざき(仮)さん:似合う人が多いのは確かで(アキナス)
劉邦柾棟さん:でしたね。でも正直印象は薄かったですが・・・・・・(アキナス)
未奈兎さん:文字通りですな(アキナス)
冥琳先生の指導で一刀の中から違う物が目覚めない事を祈るばかりです…手遅れかもしれないけど。(mokiti1976-2010)
ドMにはたまりませんなぁ…そう言えば紫苑もコンシューマでボンテージと鞭で北郷叩いてたような…恋姫の将はSの人多いから皆鞭使いこなしそうですね…(はこざき(仮))
元々、冥琳は鞭使いだしね。(劉邦柾棟)
そんな愛の鞭は・・・怖い((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル(未奈兎)
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