英雄伝説〜光と闇の軌跡〜エレボニアカオスルート
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〜パンダグリュエル・パーティーホール〜

 

「う、う〜ん……先輩達もご存知のように和解調印式は今日行われて、私達がアリシア女王陛下達の依頼を請けてアルフィン皇女殿下の護衛を開始したのは和解調印式が終わってからで、午後4時頃に”パンダグリュエル”に到着しましたから私達もエステルちゃん達の居場所は把握していないんです……」

「あの……和解調印式が終わった後に皇女殿下の護衛の依頼を請けて、この”パンダグリュエル”に来たと仰いましたがアネラスさん達は一体どのような方法でそんな短時間でグランセル―――リベール王国からバリアハートに来ることができたんですか?」

「そ、そう言えば………」

「かつてオリヴァルト殿下はカレイジャスの”元”となった高速巡洋艦―――”アルセイユ号”と共に帝都(ヘイムダル)に帰還しましたが、その際にかかったグランセル、ヘイムダル間の飛行時間は約5時間であったと記憶しています。バリアハートはヘイムダルよりはグランセルに近い位置にありますが………」

「和解調印式が終わったのは今日の午後3時頃で、アネラスさん達がバリアハート空港に停泊している”パンダグリュエル”に到着したのは午後4時頃だからたった1時間でグランセルからバリアハートを移動した事になりますよね………?」

アネラスの話を聞いてある事が気になったジョルジュの質問を聞いたエリオットは目を丸くし、シャロンに続くように呟いたトワは困惑の表情でアネラス達を見つめた。

 

「アハハ……私達はセシリア将軍の転移魔術やメンフィル帝国の転移魔法陣を利用して移動したから、実質移動時間はたった10分だよ。」

「なっ!?たった10分でグランセルからバリアハートに!?」

「た、確かに転移魔術を利用すれば、移動時間も相当短縮できますが………」

「そんな長距離を転移させるなんて、相当な魔力や魔法技術が必要なはずよ。」

苦笑しているアネラスの話を聞いたマキアスは驚き、エマは信じられない表情をし、セリーヌは目を細めた。

「師匠やプリネさん達から聞いた話では、メンフィルは各領地に転移魔法陣を設置しているそうよ。緊急事態が行った際民達を迅速に安全な場所へ避難させる緊急脱出方法として使う為やメンフィル軍を迅速に送る為にね。」

「そういや、ユミルにも転移魔法陣があって、”英雄王”達はそれを使ってリベールのロレント郊外の大使館に帰還したな………」

「な、なにその反則技〜!それじゃあメンフィル帝国は兵や物資の移送がすぐにできるって事じゃん!」

「恐らくメンフィル帝国が自国の領土と接していないケルディックやオーロックス、そしてオルディスを奇襲する事ができたのも予め諜報部隊を潜入させて、その諜報部隊にメンフィル帝国領と繋ぐ転移魔法陣を作成させていたのでしょうね……」

「科学技術が発展し、異世界が現れるまで魔術が一般的に知られていなかったこのゼムリア大陸にとってはおとぎ話のような方法でしょうね。」

シェラザードの話を聞いたトヴァルはかつての出来事を思い出し、ミリアムは疲れた表情で声を上げ、クレア大尉は真剣な表情で考え込み、セリーヌは静かな表情で呟いた。

 

「話を戻すけど………エステル達の居場所についてはカシウス先生が予めエルナンさんに調べるように頼んでいたからその内エレボニアの支部にもあの娘達が今活動している支部が伝わるだろうけど……”空の女神”の話だと”空の女神”は自分の”目的”を果たす為にエステル達と一緒にある一族に戦いを挑むようだから、その時が来たらエステル達は”空の女神”と一緒にその一族がいる場所に向かうだろうから、あの娘達がいつまでも同じ支部に留まっているとは思わない方がいいわよ」

「”空の女神の目的”……」

「その目的がある一族に戦いを挑む事って言っていましたけど………あの”空の女神”が直々に戦いを挑む程の一族って一体何者なんですか?」

シェラザードの忠告を聞いたガイウスは呆け、アリサは不安そうな表情で訊ねた。

「その一族については”空の女神”も”今は話す時ではない”と言って答えを濁していたから、あたし達もわからないけど……ただ、”空の女神”の話によるとその一族は”D∴G教団”を裏から操っていた黒幕だったそうよ。」

「な―――――」

「”D∴G教団”を裏から操っていた黒幕ですって!?」

「という事はあの事件はまだ終わっていなかったのかよ!?」

シェラザードの答えを聞いたクレア大尉は絶句し、サラとトヴァルは厳しい表情で声を上げた。

「”D∴G教団”………半年前にクロスベルで騒動を起こした”空の女神”の存在を否定し、悪魔を崇拝したと言われている狂った宗教組織か。」

「うむ……確か薬物で警備隊を操り、クロスベルで騒動を起こしたとの事だが………」

「薬物で人を操るとか、非常識な……」

「空の女神を否定し、悪魔を崇拝した組織……か。」

ユーシスとラウラ真剣な表情で呟き、ラウラの話を聞いたマキアスは疲れた表情で呟き、ガイウスは静かな表情で呟いた。

 

「まさかあの”教団”に”黒幕”がいて、その”黒幕”が空の女神直々に戦いを挑まれるとはね〜。それにしても”殲滅天使”はその事を知っているのに、関わらないなんて不思議だよね〜。」

「え……ど、どうしてそこにレン皇女殿下が出てくるのですか……?」

ミリアムがふと呟いた言葉が気になったアルフィン皇女は戸惑いの表情で訊ねた。

「だって、”殲滅天使”は昔その”教団”に”人体実験”をされているから、その事で”D∴G教団”を滅茶苦茶憎んでいるはずなんだよ?確か半年前のクロスベルで起こった”教団”の事件の時もクロスベル警察に手を貸して、”教団”の生き残りの司祭を殺したし。」

「ミリアムちゃん!」

アルフィン皇女の疑問に答えたミリアムの説明を聞いたクレア大尉は声を上げてミリアムを睨み

「じ、”人体実験”って……!」

「………”D∴G教団”は数年前各国の子供達を攫い、その子供達を使って”儀式”という名の人体実験を行っていたのです。」

「………事はあまりにも大きかった為、リベール、エレボニア、カルバードに加えてクロスベル警察、遊撃士協会、そしてメンフィルの協力によってようやく教団が持つ複数の”拠点”を見つけ、教団員の撃破、そして拘束及び子供達の救出の為に各国の精鋭部隊がその”拠点”に突入したのだが……救助できた子供達はレン君を含めて僅か2名だったそうだ。」

信じられない表情をしているアリサにシャロンが説明し、シャロンの説明を補足するようにオリヴァルト皇子が説明を続けた。

「救助できたのが、たった2名って………!」

「他の子供達はどうなったんですか……?」

「………残りの子供達は連中の”人体実験”によって”もはや人間の形すらとどめていない状態の死体”が精鋭部隊が突入した連中の拠点(ロッジ)に散乱していたそうよ………」

「ひ、酷過ぎるよ……!」

「外道共が……ッ!」

「……殿下。先程レン皇女殿下も”D∴G教団”に拉致され、”人体実験”を施されたという話が出てきましたが、メンフィル帝国がかの”教団”の制圧に協力したのもレン皇女殿下の件だったのですか?」

説明を聞いたエリオットは信じられない表情をし、ジョルジュの疑問に対して重々しい様子を纏って答えたサラの話を聞いたトワは悲痛そうな表情をし、ユーシスは怒りの表情で呟き、アルゼイド子爵は目を伏せて黙り込んでいた後静かな表情でオリヴァルト皇子に訊ねた。

 

「いや、レン君が”教団”に拉致された当時はメンフィル皇家どころかメンフィル帝国とは何の関係もない平民の子供だったそうだから、メンフィルはレン君の件で”D∴G教団”の撲滅に協力した訳ではないよ。」

「ええっ!?レ、レン皇女殿下が”平民の子供”だったって……!」

「もしかしてレン皇女殿下は、”養子”なんですか?」

オリヴァルト皇子の答えを聞いたアリサは驚き、ある事に気づいたジョルジュはオリヴァルト皇子に訊ねた。

「ああ。レン君は当時”教団”の”拠点”の一つを制圧する部隊であったリウイ陛下率いる精鋭部隊に救助されて、その後様々な複雑な事情によってリウイ陛下とペテレーネさんの養子―――マーシルン皇家の一員にしてもらったとの事だ。」

「まさかレン皇女殿下にそのような事情があったなんて……」

「なるほどね。道理で姉の”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”と性格もそうだけど、容姿も全然似ていない訳だ」

「レン皇女殿下の本当のご両親は何故実の娘であるレン皇女殿下を引き取らなかったのでしょうね………?」

「……ま、”様々な複雑な事情”があるんだからそれこそ”実の娘を引き取れない事情”があったんでしょうね。――――それよりも話を聞いて気になっていたんだけど、まさか”殲滅天使”の化物じみた才能はその”人体実験”によるものなのかしら?」

レンが養子である事を知ったアルフィン皇女は辛そうな表情をし、フィーは納得し、辛そうな表情で呟いたエマの疑問に答えたセリーヌは目を細めて自身の推測を口にした。

「う、う〜ん……その件に関してはレンちゃんにとっては辛い過去を思い出させる凄くデリケートな事だったから私達もレンちゃんに聞いた事は無かったんだけど………」

「………師匠から聞いた話になるけど、恐らく”教団”によって投与された薬物によって元々あの娘に眠っていた潜在能力が覚醒したそうだから、”教団”による”人体実験”も間違いなく関係しているでしょうね。」

「それとこれはあくまで”情報局”の推測なのですが……レン皇女殿下は”魔人化(デモナイズ)”が可能と推測されています。」

セリーヌの推測にアネラスが困った表情で答えを濁しているとシェラザードが複雑な事情で答え、クレア大尉は静かな表情で答えた。

 

「”魔人化(デモナイズ)”………?それは一体どういうものなのだ?」

「”魔人化(デモナイズ)”とはその名の通り”人”が”魔人”―――つまり”悪魔のような力を持つ人外の存在”と化する現象です。」

「”悪魔のような力を持つ人外の存在”……か。」

「まあ、今の時点でも”殲滅天使”は”悪魔”のような存在だけどね〜。」

「同感。人を殺す事を楽しんでいる事もそうだけど、わたし達が困っている所を見て楽しんでいる様子を見せていた所とか、まさに”悪魔”だし。」

(というかむしろあの娘の場合だと、”悪魔”よりも”死神”の方が似合っているのよね……)

(レンちゃんの得物はよりにもよって、おとぎ話とかで出てくる死神が持っているような”大鎌”ですからねぇ。)

ガイウスの疑問に答えたエマの答えを聞いたラウラは重々しい様子を纏って呟き、ミリアムとフィーのレンに対する評価を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中疲れた表情で溜息を吐いて呟いたシェラザードの小声の言葉にアネラスは苦笑しながら同意した。

「このガキ共は……」

「頼むから絶対に本人の目の前でそんなとんでもない事を言わないでくれよ……」

ユーシスは顔に青筋を立てて二人を睨み、マキアスは疲れた表情で溜息を吐いた。

「………あ。そう言えば”パンダグリュエル”の時もレン皇女殿下はリィンさんのように髪の色や瞳を変化させて、ヴァルカンという男性を圧倒していましたわ。」

「ええっ!?僕達はナイトハルト教官の協力のお陰で何とか撃退できたのに……!」

「……どうやら”殲滅天使”も”魔人化(デモナイズ)”ができるみたいだな。」

「そうね……それも皇女殿下の話だと”殲滅天使”は”ルバーチェ”と違って肉体変化(メタモルフォーゼ)が起きていない上正気も保っているようだから、恐らく彼女はヨアヒム・ギュンターのように”グノーシス”の”力”を使いこなしているのでしょうね……」

「ハハ、ただでさえ今でもチートな存在なのに、更にチート能力を手に入れていたなんて、レン君らしいね。」

「フフ、”魔人化(デモナイズ)”による戦闘能力の向上も考慮するともはやレン皇女殿下に対抗できる”結社”の使い手はレーヴェ様のように”執行者”の中でも戦闘能力が極めて秀でている方達しかいないでしょうから、私如きでは敵わないでしょうね。」

パンダグリュエルでの戦いを思い出したアルフィン皇女の話を聞いたエリオットは驚き、トヴァルとサラはそれぞれ厳しい表情で考え込み、オリヴァルト皇子とシャロンは苦笑していた。

「話を戻すが……皇女殿下達が知る様々な新たな情報を知ったそなた達は今後どうするつもりなのだ?」

そしてアルゼイド子爵は静かな表情でアリサ達Z組のメンバーに問いかけた。

 

 

 

説明
第51話
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コメント
匿名希望様 まあ、”楽園”の件はあらゆる意味でヤバい内容で、PSP版以降はカットされましたからねぇ……本郷 刃様 つまりZ組がエイドスに会おうと思っても色んな意味で不可能w d-sword様 文才がないせいで同じパターンを繰り返してホントすみません(汗)(sorano)
叱責キャラは相手の名前を叫ぶことだけしかできないのか。もう何話同じパターン繰り返してるんだか。バリエーションがあれば。(d-sword)
エイドスの目標地点は魔都に在り、ですからね……まぁそっちはヴァイスハイト達も動いていますがw(本郷 刃)
流石に”楽園”のことは喋れんよなぁ…こいつらにはショックが大きすぎる・・・(匿名希望)
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