真・恋姫無双〜項羽伝〜三国編
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第五章15話  獅子と狛

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長安は夜なのにとても明るく輝いていた

 

それは近くを通っていた行商の言葉である

 

その言葉の通りその日、長安は真っ赤な炎に覆われ続け三日三晩燃え盛っていた

 

そしてその炎の中で

 

 

 

 

「劉協様!!!劉協様!!!何処ですか!?」

 

皇甫嵩と盧植、そして明命は後宮を探し回っていた

 

「明命さん劉協様の痕跡は見つかりましたか?」

 

焦った声を上げながら盧植は明命に声をかけた

 

「いえ何も。若しかしたらもう此処には居ないのかもしれません」

 

「そんな!!」

 

「この策は誰にも伝えていないはず。なのに」

 

「如何やら張讓も居ないみたいですし。それにもう火の手が回り始めています。これ以上は危険です」

 

「くっ」

 

「一度集合の場所に行きましょう。若しかしたら一刀様達が偶然救助しているかもしれません」

 

「・・・・そうね。わかりました。」

 

皇甫嵩と盧植は悔しそうな顔をしながらも頷き明命の指示通りに動き始めた

 

 

 

 

 

 

同じ頃、思春と愛紗は城の内部に着いていた

 

「思春。本当に大丈夫?」

 

「問題ない。それよりも愛紗気を抜くな。そろそろ敵が出てもおかしくない」

 

二人は警戒をしながらも城の中へ進んでいくが

 

「お前は・・・・」

 

思春と愛紗の二人の逆、つまり中から向かってきたのは一刀と凪を相手していた魏延と南蛮兵達だった

 

「!愛紗!!私の後ろに」

 

思春は変色した腕を無理やりに動かし愛紗をがばいつつ鈴音を構えた

 

「う、うん」

 

「関羽がその調子なら、まだアイツは生きているか・・・・」

 

魏延は警戒しながら先ほどの戦いで拾いそのまま持ち歩いている混沌を構えた

 

「それは!!如何してあなたがお父さんの武器を持っているの!?」

 

「言う必要はない。せっかくだ、どうせ関羽を連れ戻すことになるだろうし今やらせてもらう!!」ダッ

 

魏延はその場を駆け出し、愛紗を守る思春に混沌を振りかぶった

 

ガキーーーン

 

カキンカキン

 

「ハハッどうしたどうした。力が乗っていないぞ!」

 

魏延の攻撃を受ける思春は毒のせいで攻撃に上手く力を乗せられずにいた

 

その間も魏延の攻撃は続くのだが

 

「思春様!!」

 

後宮から撤退していた明命達三人が合流したのである

 

「明命か!!助かる」

 

明命の応戦と盧植、皇甫嵩が南蛮兵を受け持ってくれたこともあり戦いは拮抗し始めた

 

「チッ退くぞ、お前達。もうすぐ此処も火に飲まれる」

 

魏延は思春達を牽制しながらその場を後にしていった

 

「フー思春様御無事ですか?」

 

「ああ。それよりお前たちの目的の劉協は如何した?」

 

「それが、見つけられず・・・・・」

 

「そうか」

 

「それより、一刀様達はまだお戻りじゃないのですか?・・・・・あの人が言っていた通り此処ももうすぐ火に覆われそうです」

 

明命は辺りの景色を見て確認の言葉を言って奥を見つめた

 

「うん、まだお父さんたちは戻ってないよ。それに・・・・・」

 

愛紗は先程の魏延が持っていた混沌の事で不安に駆られ落ち着かない様子でいた

 

「愛紗落ち着け。きっと一刀様は無事だ。それよりも明命が言ったようにここも危険だ。警戒しながら退くぞ」

 

思春は毒が回る体を無理やり動かしながらそう告げた

 

そうして、城を出ると

 

「これは・・・・」

 

「長安が・・・・燃えている」

 

絶句した盧植と皇甫嵩の微かに漏れ出た言葉だった

 

そして、燃え盛る炎の中うごめく影を見つけた

 

ガサガサと動き回る影

 

一つは長安の警備をしていた兵達が火事場泥棒をしている姿

 

そしてもう一つが・・・・・

 

「あれは・・・・南蛮兵」

 

誰の声かわからない程かすれて絶望した声であった

 

その夥しい数の南蛮兵は城の周りを囲んで、その円を少しづつ縮めながら火事場泥棒をしている兵、そして民、目に見える全ての生き物を殺しながら迫ってきていた

 

「くそ!策に嵌められていたのか?」

 

思春はこの状況を悔しそうに吐き捨てながらも今、しなければならない最善手を模索し始めた

 

(どうする?一刀様は戻ってこられない。しかし、このままいても囲われて終わる。今ならまだ包囲を突破する事も出来るだろうが、その先に罠が無いとも言えぬ・・・・クソどうする)

 

顔色が青白くなっていく思春はそれでも考える

 

自分一人ならまだよい

 

しかし、その傍には北郷を継ぐ者がいる。それに仲間達が居る。

 

そしてまだ戻らぬ、自分たちが敬愛する主

 

考えれば考えるほど、焦りは増していく

 

その時

 

「思春」

 

聞きなれた一つの声が聞こえた

 

「!!凪!」

 

声が聞こえた方を振り返り、見る。そして探す

 

しかし、そこに居るはずの御方が、主の姿は無かった

 

「凪?一刀様は如何した?」

 

それはここに居る皆の声だった

 

「・・・・・すまない」

 

凪はただそれしか言うことができなかった

 

「愛紗。すまないが涼刀様を・・・・」

 

「う、うん!凪その腕如何したの!!」

 

凪は背負っていた涼刀を愛紗に渡す時、その傷に気づいた愛紗は驚きの声を上げた

 

「少し、油断した。それよりも、状況はどうなっている?」

 

「・・・・・・」

 

思春は言葉を出せず凪を見つめる事しかできていなかったので代わりに明命達が今の状況説明をしていった

 

「そうか・・・・・ならすることは決まったな」

 

凪は決意をした目で思春を見つめた

 

思春はその目を見て悟った

 

「そうだな。・・・・・私達は親衛隊だ。それに、今の私達はこの場に居る皆といては足手まといになるか」

 

思春はさっきの愛紗の言葉から、凪は常に張り合っていた友の普段と違う状態から悟っての言葉

 

常に高みを目指し、主と供に在らん事を願っていた二人の決意

 

それは・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

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「明命!!!如何して、如何してあの二人を置いて行ったの!!!」

 

愛紗の苦悶の声が明命に叩きつけられる

 

「すみません。あれしか方法がありませんでした。それに、あのままだったら愛紗もあの場に残ると言いそうでしたから・・・・・」

 

「そんなの言うにきまっているよ!!私は皆で戻るって約束したの!!だから二人を見捨てる事なんて出来ないよ!!」

 

愛紗は納得がいかないと声を張り上げて同じ事は何度も言い続けた

 

「関平ちゃん。」

 

「なに」ピシャ

 

盧植が愛紗の頬を叩いた音が響いた

 

「関平ちゃん。現実を見なさい。あの時、あの二人が道を・・・・囮になって退路を作ってくれなければ今生き残っているのは関平ちゃんと、司馬師ちゃんだけだったはずよ。それをさせないためにあの二人は残った。此処で起きた事を伝えるために、そして少しでも私達の生存率を上げるためによ。」

 

「ええ、普通は同盟関係である私や盧植などほっといて逃げて良かったはずをこうして一緒に逃がしてもらえた。これはこの先に罠があるかもしれないと警戒しての対策もあるはず。だから、関平。二人の努力を無駄にすることは言ってはいけない。貴女は王の娘。あの方からこういう時に何をしなければいけないのかしっかりと学んでいるはずよ」

 

「・・・・・・」

 

「それに、関平。今あなたは守らなければいけない娘が居るはずよ」

 

盧植と皇甫嵩の言葉を黙って俯いていた愛紗は自分の隣で未だ寝ている涼刀を見た

 

「その、愛紗はお姉ちゃんなのです。えっと、うまく言葉が出てこないのですが、今は涼刀ちゃんの傍にいてやって欲しいのです」

 

明命は手をワタワタと動かしながら精一杯に自分の気持ちを伝えた

 

「・・・・うん。涼刀もきっと辛かったはずだよね。私はお姉ちゃん何だから守ってあげないといけないよね」

 

愛紗は涙を流しながら涼刀の隣に腰かけ頭を撫でてあげた

 

そして

 

「ごめんなさい。そして、ありがとう皆」

 

「お礼はあの二人に」

 

そう盧植が答え、皇甫嵩と明命は頷いた

 

「うん。凪、思春ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ、思春まだ生きているか!」

 

「ふん、何だ?もうへばったのか?」

 

「これ位で誰がへばるか!」

 

二人は背中合わせでお互いを守りながら会話をしていた

 

そして、その周りには山になるほどの大量な南蛮兵の死体

 

それ以上に二人を囲って攻撃を続ける南蛮の兵士たち

 

火の手は完全に周り切り二人は脱出することはもう叶わない

 

しかし、敵を引きつけ逃がした者たちの時間を作る事は出来る

 

ただそれだけを思い体を動かし続けた

 

何百何千の攻撃をかわし、弾き、攻撃をする

 

時には大技を出し相手に恐怖を覚えさせようとするが南蛮兵はそれを射に変えさず動く

 

辛い戦いが延々と流れた

 

少しの油断で全てが終わる

 

それは理解している

 

だから、悲鳴を上げる体を動かし続けた

 

だけど、それは訪れた

 

凪の後ろ

 

つまり思春が戦っている方から音が聞こえなくなっていた

 

それが意味するのは思春の死

 

声を上げることなく消えた彼女

 

常に、思春と出会ってから聞かないことが無かったあの音が、鈴の音がもう聞こえない

 

「ああ、先に行ったか・・・・・これで私の勝ち越しだ。フフ、長かったな。待っていろ、すぐ私も行く。供に一刀様の元に向かう!!」

 

そして凪は戦った

 

自分の生命の灯が消えてなくなるまで

 

唯一残った拳に氣を纏い最後まで・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっぱれ!!!さすが一刀が認めた者たちだ。」

 

「そう言ってもらえるときっと二人も喜びます」

 

長安の上空から聞こえた二つの声

 

誰も聞くことが叶わない死者の声

 

一人の死者はボロボロの姿の一刀を抱え

 

もう一人は背に大斧を担いで従者の様に控える体制で其処に立っていた

 

「・・・・・頑張ったな、息子よ。私の誇りだ。あそこで休んでくれ」

 

そう言って二人の死者は消えて行った

 

三人の新しい死者の魄を連れながら

 

 

 

 

 

 

 

あとがき???

 

これで五章は終わりです

 

次から最終章に入っていくと思います

 

まだもう少し続くので皆さまどうかよろしくお願いします

 

ps

革命皆さまはやられましたか?

前の後書きでも書きましたがもう一度言いたいと思います

baseson貴様ぁぁぁああああああ!!!!!!!

 

説明
二話連続投稿です

五章はこれで終わりです
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コメント
続きが読みたいです!(gotoislandsman)
一刀達は残念でしたが…とりあえず蜀の面々に応報が下る事を期待します。(mokiti1976-2010)
お、漢女はある意味おまけ要素だからそこガチで作ったら・・・私も革命欲しいよ、あうあうあー(´・ω:;.:...(未奈兎)
麒麟さんそれはおとめ編ですかね。やはり未完が・・・・・・(あか)
やっぱり事切れたか、あの場所で送ったときに姿が見えないときに察してはいたが。(未奈兎)
革命は私もやっていますが、あかさんは何処が不満なのですか?(麒麟)
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真・恋姫無双 一刀  思春 

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