ポケモンDPt 時空神風伝 25
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リッシ湖大追跡!

 

水ポケモンを使うノモセジムのジムリーダー、マキシに公式戦を申し込んだクウヤは、ヒーコやトームの頑張りのおかげで無事、この勝負に勝つことができた。

 

「いやぁ、最高のファイトだった!」

「ああ、おれもいいバトルができたぜ!」

「さぁこれが、このノモセジムに勝利した証であるフェンバッジだ!

今ここにわたそ・・・」

 

そういってマキシが彼にジムバッジを授与しようとしたときだった。

 

ドォォォォォオオオオン!!!

 

突然、巨大な爆発音がして、ジム全体が激しく揺れる。

 

「むっ!?」

「な、なんの音だ!?」

 

大きな音と振動に驚いた観客がパニックを起こしそれぞれ悲鳴を上げたり、我先にとジムの外へ逃げ出そうとする人や席に座ったまま身をちぢこませる人たち、中にはヒステリックに叫んでほかの無関係の人たちに八つ当たりする人までいる始末である。

 

「クウヤ!」

「ミクリ兄ちゃん!」

 

ミクリが客席から飛び降り、マキシとクウヤの前にでた。

 

「大丈夫か!?」

「あ、ああ・・・おれは大丈夫だよ。

それよりなに、今の爆発・・・」

「ジムの中か、外か・・・外だとすればさきほどの音と振動からして、規模の大きい爆発かもしれない。」

「むぅ・・・兎に角今は情報が足りん、とりあえず・・・」

 

マキシは未だ騒ぐ観客席に目を向ける。

 

「まずは、ざわめいている観客を落ち着かせねばならないな」

「落ち着かせるって、どうやって・・・?」

「・・・よし、ミクリくん、手伝ってもらえるか?」

「ええ、もちろんです。

ミロカロス」

 

マキシに言われて、ミクリはミロカロスを出した。

なんでここでミロカロスなんだ、とクウヤが首を傾げるとミクリはミロカロスに技を指示した。

 

「ミロカロス、アクアリング」

「ミロォォォォ・・・」

 

ミロカロスはアクアリングをその身にまとい、さらにフラッシュで全身の鱗を輝かせる。

元々美しいポケモンといわれていたミロカロスだったが、ミクリが育てたこのミロカロスはまた別格の美しさを持っていた。

 

「・・・」

「あっ・・・」

 

すると、ミロカロスの姿を見た観客たちが落ち着きを取り戻していった。

それどころか、さっきまでのパニックを忘れて、全員ミロカロスに魅入り見とれている。

 

「・・・ミロカロスは慈しみポケモン。

その美しさで荒れた心を癒し争いをしずめるといわれている。」

「・・・!」

 

マキシは水ポケモンの使い手として、そういう知識はある。

だからミロカロスを所持している彼に、客のことを頼もうとしていたのだ。

自分の作戦を理解した上で成功させたミクリに敬意を表し感謝の気持ちを示すため、マキシは爆破犯を追いかけるために動き出す。

 

「よし、ミクリくん、ここに残って引き続き観客たちを静めて押さえてはくれないか」

「ええ、わかってます。

クウヤ、マキシさんとともに爆発の原因を探りにいってくれ!

頼んだぞ!」

「兄ちゃん・・・わかったよ!」

 

クウヤはマキシとともに、爆発の原因を探るためにジムの外へ飛び出した。

 

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一方、ノモセシティの町も突然の爆発音と振動でちょっとしたパニックが起こっていた。

そこは警察が冷静に対処していたが、その中で一人の少年が腕を組みながらいらだっていた。

 

「なんだってんだよー!」

「あれ、ジュン!」

「おう、クウヤ!」

 

ジムをでた先で友人の姿を発見し、クウヤは迷わず彼に駆け寄る。

 

「どうしたんだよ、ジュン?」

「あー、そうだ、聞いてくれよ!

ギンガ団だ、ギンガ団がでたんだよ!」

「え、またギンガ団!?」

 

騒ぎとともに現れる軍団の名前を聞いて、クウヤは最早呆れるしかない。

何か事件があれば、そこには必ずギンガ団の名前がある・・・そうクウヤは無意識のうちに認識してしまったのだ。

 

「またあいつらの仕業なのか?」

「しわざ?」

「ジュン、さっき爆発音と振動を感じたし聞いただろ!」

「爆発音に振動?」

 

ジュンは少し自分の記憶をたどって、そのことを思い出す。

 

「あ、ああ、ああ!

感じたし聞いたぜ、すっげー音だったな!

それに、その直後だったな、ギンガ団とぶつかったたのは!」

「なんかやってたのか、あいつら!

お前から何かすったとか!」

「ああ、そういえば・・・」

 

彼の記憶の中のギンガ団は、その腕に何かを抱えていた。

その記憶のままジュンはクウヤにギンガ団のことをはなす。

 

「あいつら変なもの持ってたぜ!

なんかこわれもん扱うみたいに大事そうに抱えてたけど・・・あれってなんだったんだろうなぁ?」

「それって・・・マキシのおっちゃん!」

 

クウヤは周囲を調べていたマキシに、ジュンの情報を伝える。

 

「むぅ・・・さっき警察、というよりもノモセ大湿原の管理人から聞いたのだが、大湿原で爆弾による爆発が起こったというのだ。」

「爆弾による爆発!?」

「ばばばば爆弾ー!?」

「しかも、爆発現場の近くではギンガ団とおもしき連中がなにか調査をしていて、怪しかったので注意をしにいった管理人の一人がその爆発に巻き込まれて今重傷を負って意識不明だという・・・」

「・・・」

 

爆発なんて危ないまねを働いただけじゃなくて、別の人間を巻き込んで怪我をさせた・・・。

これは絶対に許しておくわけにはいかない。

生来の正義感からか、クウヤはギンガ団にたいする怒りを覚えた。

 

「マキシのおっちゃん、ギンガ団探そう!

そして、また爆発が起きる前に止めよう!」

「そうだな、先を急ぐとしよう!

目撃例によれば連中は、リッシ湖に向かったというしな!」

「お、おい!」

 

ジュンもクウヤとマキシについていってギンガ団を探しに行く。

ノモセシティを越えて、リッシ湖へ続く道路の途中で彼らはギンガ団の姿を発見し、マキシは大声で叫ぶ。

 

「ギンガ団、発見したぞーっ!」

「げっ・・・ジムリーダー!?」

「逃がしはせん!」

 

3人が突撃していった先にはたくさんの下っ端がいて、数人が固まって逃げる班と、一人だけ逃げていく下っ端に分かれていた。

 

「どのギンガ団が爆弾を持ってんだ!」

「よし、数が多い方は俺がなんとかしよう!

君はあの一人だけ逃げていった方を追いかけるんだ!」

「おう!」

「オレもこの人と一緒にいく、つーか先へ行く!

うぉぉぉぉぉっ!!」

「なんでジュンが気合いはいってるんだ!?」

 

何故かさっき加わったばかりのジュンがはりきっていることに微妙な顔をしつつも、クウヤは下っ端を追いかける。

下っ端はその逃走中で、偶然そこにいたキリンリキに衝突した。

 

「キリリッ!?」

「邪魔だ!」

 

ギンガ団はアゲハントでキリンリキを攻撃し、さらに手で押して突き飛ばして逃げていった。

 

「あっ!?」

 

自分の方に倒れてきたキリンリキを受け止めるクウヤ。

そのキリンリキは、ギンガ団にぶつかりさらに効果抜群の虫技を受けて突き飛ばされたせいだろう、弱っていた。

 

「あのやろー、なんてヒドいことしやがる・・・ズーバ!」

 

クウヤはボールからズーバをだした。

 

「ゴルバ」

「ズーバ、あいつ等を追いかけてくれ!

おれも、こいつ手当したらすぐにいくから!」

「ゴルバッ!」

 

キリンリキを放っておくことができず、クウヤは彼の行方をズーバにさがさせこのキリンリキを助けることを最優先に動くという判断をとった。

ズーバはクウヤの言葉にうなずいて返し、ギンガ団を追って飛んでいった。

 

「大丈夫か!」

「キリィィィィ・・・」

「待ってろ、このいいきずぐすりで傷を治してやるからな」

 

痛みで唸るしかできないキリンリキを落ち着かせつつ、クウヤはバッグから傷薬を出しそれをキリンリキの全身にかける。

うなり声が止まり自分の顔をじっと見てくるキリンリキをみて、もう大丈夫かなと思いながらも念のためといってそのポケモンにオレンの実を差し出す。

 

「キリ」

「これは、オレンの実だ。

こいつを食べたら元気になるから、またあんな連中に会う前に逃げた方がいいぜ」

「キリリリ・・・」

「じゃあおれ、急いでるから・・・いくよ。

ばいばい!」

 

そういってクウヤはキリンリキに別れを告げて、上空にズーバがいるポイントをみつけ、そこへ向かって走っていった。

 

「リリィ・・・」

 

キリンリキはオレンの実とクウヤを交互にみていた。

 

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ズーバの居場所を頼りにリッシ湖にきたクウヤ。

そこには爆弾を設置しているギンガ団の下っ端がいた。

 

「てめぇは!」

「やい、ギンガ団、にがさねーぞ!」

「くっそぉ・・・しつこいやつめ・・・あいつらもジムリーダーと変なガキ相手にてこずりやがって・・・何でこんなに思い通り二ならねぇんだよ、ムカつくぜ・・・」

「なにごちゃごちゃいってんだ、バカなまねはやめてその爆弾をとめろ!」

「うるせぇー、このオレに指図するな!」

 

そういって下っ端はアゲハントを出した。

クウヤも、追跡させていたズーバを自分の前に出し、バトルさせる。

 

「アゲハント、たいあたりだ!」

「ズーバ、かわしてエアスラッシュ!」

 

エアスラッシュの一撃に耐えたアゲハントはエナジーボールで攻撃するがそれはズーバにはほとんど通じず、そのままつばさでうつ攻撃をうけて倒れた。

 

「おい、なんで負けるんだよ、オレのポケモンならオレのポケモンらしく、勝負で勝てよ、立ち上がってあいつらをぼこれぇっ!」

「やめろよ、もう勝負はついてるぜ・・・。

それに、弱いのはそのアゲハントじゃねぇ・・・自分がなにもできてねぇのにそいつに八つ当たりして自分は何も悪くないっていってる、自己中なてめぇが、今一番弱いんだよ!」

 

クウヤの言葉をうるさいと否定し、下っ端は苛立った態度のままそこにおかれていた爆弾に視線を向ける。

 

「くそくそくそぉ!

この爆弾を爆発させて、すべてを消してやる!」

「やめろーっ!」

 

クウヤは叫ぶが、下っ端は無視してそのスイッチをいれた。

だが、スイッチが入った後にそこに訪れたのは、静寂。

 

「爆発、しない・・・?」

「なっ・・・なぜ・・・まままま、まさか・・・不発弾・・・!?」

 

これは不発弾だったのか・・・と下っ端は絶望にくれる。

やがて頭を抱えてがしゃがしゃとかき乱し地団駄を踏み始める。

 

「くそ、くそ、くそーっ!

オレの思い通りにならないものなんてこのよにはいらない!!

だからこんなもの、なくなっちまえぇぇぇ!!

こんなもの、こんなものぉぉぉぉぉっ!!」

「あーっ!!」

 

ギンガ団が投げた爆弾をクウヤは追いかける。

不発弾だと決めつけられたが、もしかしたら爆発する危険があるかもしれない。

そう思ったクウヤは爆弾を受け止めようとしたがそれはクウヤの手ではじかれ宙を舞っていった。

 

「まず・・・」

 

さらにクウヤは、そのままバランスを崩して、湖に落ちた。

 

「うご、ぼっ・・・!?」

 

おぼれると思ったクウヤを、真下から何かがその体を持ち上げて水面に彼の姿を現せる。

 

「わ、フローゼル!」

「クウヤッ!」

「ミクリ兄ちゃん!」

 

湖の向こうにいたのは、ミクリだった。

 

「大丈夫だったか、クウヤ!?」

「あ、ああ・・・おれは大丈夫だけど・・・」

「クウヤくん、無事でよかった」

「マキシのおっちゃん!」

 

フローゼルに助けられ、クウヤは湖からでて、陸に上がった。

 

「このフローゼル、やっぱおっちゃんのだったんだ」

「おお、まだ人を助ける余力は残っていたからな!」

「へへ、ありがと!」

 

ミクリも、あそこにいた客が完全に落ち着き、さらにギンガ団がマキシやジュンによってぼこぼこにされたことで撤退されていったと知ってここに駆けつけたんだとか。

 

「まぁ、礼はこのポケモンに言うべきだろう」

「え?」

 

ミクリが示した場所にいたのは、ギンガ団を追いかけてる最中でクウヤが助けたあのポケモンだった。

 

「あ、さっきのキリンリキ!」

 

足下には、壊れて破片のみとなったあの爆弾。

あの爆弾は爆発したのに、周りも自分もなんともなっていない・・・。

 

「もしかして、おれを助けてくれたのか?

爆発を、ねんりきで防いで・・・?」

「キリンリンッ」

 

キリンリキのねんりきで爆弾は空中の一カ所にとどまり、念力で包まれた場所の中で爆発を起こしたのだ。

大変だったのだろう、顔には少し疲れはでていたが、キリンリキはやりきったという顔をしていた。

 

「ありがとう」

 

クウヤはキリンリキに向かってそう笑っていった。

 

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こうして爆弾騒動が一段落ついたことで彼らはノモセシティにもどり、それぞれで休憩をとることにした。

 

「オレもマキシさんに勝負を挑むぜ!」

「おお、受けて立つぞ!」

 

ジュンはマキシに、自分もシンオウの各地を巡ってジムに挑戦しバッジを集めていることを告げ、挑戦状をたたきつける。

マキシもその挑戦を受ける気でいた・・・が。

 

「・・・といいたいが、今日はクウヤくんとのジム戦と先の騒動でポケモンたちが疲れてしまっている。

君のポケモンも疲労がたまっているだろう、今日はゆっくり休んで明日、勝負に望もうじゃないか」

「うーん・・・まぁでもしょうがないか!

じゃあ明日の早朝、ポケモンバトル頼むぜー!」

 

そうと決まれば、という勢いでジュンはポケモンセンターに向かって走っていった。

彼はこれからポケモンたちを回復させ、自分も早めに休もうとしているのだろう。

 

「ジュン、いっちゃったぜ・・・本当騒がしいなあいつって」

「クウヤも、あまり人のこといえないと思うけどな」

「え?」

 

マキシはジュンの姿を見て、どこか懐かしそうな顔をしていた。

 

「あのせっかちな姿と、確かなバトルの腕前・・・そしてポケモンバトルに対する情熱・・・。

古くの友人を思い出すな」

「それって、どういうこと?」

「まぁそれは明日のバトルの後で、彼から詳細を聞けばいいことだな。」

「ふぅん?」

 

ジュンがマキシの知り合いに似ている、という言葉に不思議な疑問を持つが、クウヤはそれ以上なにもきこうとしなかった。

クウヤもまた、ジュンに今度聞いてみればいいかと思ったのだ。

 

「そうだクウヤ、お前に頼みがあるんだ」

「頼み?」

 

そういってミクリが取り出したのは木製の箱で、中には大きな曲玉が入っていた。

 

「これなに?」

「これは古代のお守り・・・とても大事なものだ。

本当なら私がこれを、カンナギにすむある人に渡さなければならないのだが、もう一つはずせない仕事ができてしまって・・・。

クウヤ、お前の旅の妨害をするようですまないが、これをカンナギタウンという場所まで届けてくれないか」

「え、ぜんぜんいいぜ!」

 

クウヤはあっさりとこの頼みを引き受けにっこりと笑っていった。

 

「だっておれがやんないと、ミクリ兄ちゃんもこのお守りを待ってる人も困るんだろ?

だからやるよ、任せとけって」

「・・・ありがとうクウヤ、お守りを渡す相手の名前はスメラギさんっていうおばあさんだ、頼んだよ」

「おう!」

 

とりあえず今日はポケモンセンターで休もうと、クウヤはそっちに、マキシもジムに戻ろうとしたときだった。

マキシは立ち止まってクウヤを呼び止める。

 

「とと、クウヤくん、これを忘れるところだった」

「ん?」

 

マキシが取り出したのは、フェンバッジだ。

 

「ああ!」

「そう、ノモセジムを勝利した証の、フェンバッジだ!

俺は君の実力を認め、これを授与する!」

「ありがとう、おっちゃん!」

 

クウヤは、ようやく5個目のジムバッジを手に入れたのだった。

 

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砂漠みたいな気候
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