ポケモンDPt 時空神風伝 28
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アカギの正体

 

用事あってカンナギタウンに来たクウヤは、その町でコウキと再会する。

再会を喜びポケモンバトルも楽しんだ彼らだったが、その町の中でギンガ団の姿を発見し、その後を追いかけた。

 

「あんた・・・アカギさん・・・?」

「クウヤ、知り合い?」

 

そこでクウヤ達が遭遇したのは、以前クウヤがテンガン山で会った男性、アカギだった。

予想だにしていなかった人物との再会に驚き戸惑うクウヤ。

 

「ど、どうしてあんたがここに!」

「ボス!」

「・・・えっ」

 

彼に駆け寄るギンガ団の下っ端。

その下っ端の言葉にさらに驚きと戸惑いが増し、クウヤはアカギに対し問いかける。

 

「あ、あんたが・・・ギンガ団のボスだったのか!?」

「ふむ・・・どうやら驚いているようだな」

「そりゃ驚くっつーの!」

 

クウヤはそう受け答えしていたが、コウキは目の前の男に対しどこか恐怖や不気味さを感じていた。

表情を変えずに淡々と話す、冷静とはまた違う落ち着き。

・・・いや、表情どころか顔の筋肉すら、口元以外はほとんど動いていない。

血色も悪く、全体的にやせている。

 

「改めて自己紹介しよう、私の名前はアカギ。

ギンガ団を率いるものだ」

 

そして極めつけには、今このシンオウ地方の各所に現れては騒ぎを起こしている組織、ギンガ団の首領という事実。

それによりコウキの、この男に対する警戒心はいっそう強くなるのだった。

 

「じゃああのとき!

テンガン山でおれのことを興味深いっていったのは・・・おれがあんたらを相手に戦っていることを聞いたからなのか!?」

「そうだ」

 

決して頭がいいとはいえない、ただ思ったことをそのまま出したクウヤの言葉。

そのときでたアカギの感想、その真意はこれだったのだ。

 

「私は完璧な世界を作るため、ギンガ団を結成し、その最初の一歩としてまずはこのシンオウ地方を制圧することを決め、実行に移した。」

「・・・」

「部下が各地で騒ぎを起こしている間に、私はこのシンオウに伝わる神と呼ばれし伝説のポケモンを調査していた。」

「じゃあ・・・今までのギンガ団の行動は・・・調査していることがばれないようするための・・・いわゆる陽動・・・!」

 

コウキがそうつぶやくと、アカギはコウキの方をみた。

 

「察しのいい少年だな・・・私の部下の行動を妨害したことがあるというだけのことはある」

「・・・」

 

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アカギはコウキとクウヤを交互にみて、言う。

 

「さてと・・・これ以上君達を放っておけば、私の完璧な世界の実現は遠くなる・・・なので、ここで、私達の力を思い知らせよう。

2度と、ギンガ団に牙をむけられなくなるようにな」

 

そういってアカギは2個のモンスターボールを手に取った。

彼に対抗してコウキもボールを手に取るが、クウヤがそれを止める。

 

「コウキ、下がってろ」

「えっ・・・」

 

「こいつはおれがやらなきゃダメだ・・・!

なんとなくだけど、そう感じるんだ!」

「・・・」

「コウキ、お前はここに誰も入ってこないようにしてくれ。

巻き添えも妨害もごめんだからな」

「・・・わかった」

 

それも大事だからね、と言うとコウキはそこを離れ、襲ってきたドダイトスとレントラーを出してギンガ団に立ち向かった。

 

「あんたらがカンナギタウンに手を出そうとするのを止めるためには、あいつらを仕切ってるあんたをここから追い出さなきゃならねぇ。

だからおれが、あんたと今から戦うぜ・・・いいな?」

「・・・」

 

沈黙が降りる。

それが了承の合図だと悟ったクウヤは、ボールから2匹のポケモンを出す。

 

「いけ、ヒーコ、ズーバ!」

 

クウヤが出したのは、ヒーコ、そしてズーバだった。

それにたいしアカギも、ジバコイルとダイノーズをだした。

 

「ヒーコはマッハパンチ!

ズーバはエアスラッシュ!」

 

先手をとり、ヒーコとズーバは攻撃のために動き出す。

 

「ジバコイルはゴルバットにでんげきは、ダイノーズはモウカザルにマグネットボム」

 

だがアカギは態度も顔色も変えず、ポケモンに技の指示を出す。

エアスラッシュはでんげきはによって打ち消されさらにズーバをも攻撃し、大きなダメージを与える。

ヒーコはなんとかマグネットボムを全部マッハパンチで打ち消すが、マッハパンチのパワーが切れて、ダイノーズに攻撃することができなかった。

 

「くっ・・・!

「ジバコイル、ラスターカノン」

「ズーバ、もう一度エアスラッシュ!」

 

ラスターカノンをエアスラッシュで打ち消し、さらにズーバはスピードスターで2匹を同時に攻撃する。

そこで相性で有利なジバコイルはズーバに攻撃しようとしたが、ヒーコはかえんぐるまでジバコイルに攻撃してそれを防ぎ、さらに大きなダメージを与える。

 

「ダイノーズ、ゴルバットにマグネットボム」

「はがねのつばさでうちおとせ!」

 

はがねのつばさはマグネットボムを連続で打ち落とし、それはすべて地面に落ちていった。

だが、ダイノーズは続けてパワージェムを打ち込みズーバを攻撃する。

それによって地面に落ちるズーバにさらに襲いかかるダイノーズに、ヒーコはかえんほうしゃを放ちズーバを救出する。

そんなバトルの様子を見ていたアカギは

 

「・・・この戦い、そのゴルバットは相性では既に不利・・・このまま戦い続けても無駄だ。」

「なっ!?」

「ゴルバッ・・・」

「そのモウカザルは非常に強い。

だがここでゴルバットを下げるか見捨てるかせねば、その実力は大いに発揮されることはない。

どちらかをしてそのゴルバットを諦めろ」

「やだっ!!」

 

クウヤはアカギの言葉を真っ向から否定した。

 

「てめぇなんかに、おれのポケモンのことなんてなに一つわかりゃしねぇよ!

例えなにがあっても・・・おれはみんなを見捨てたりなんかしない!

おれが、足手まといなんかにさせない!」

「・・・!」

「ズーバ、おれと一緒に戦って、こんな奴見返してやろうぜ!

ヒーコも、こいつをサポートしてくれ!」

 

彼の緑色の目は、2匹をまっすぐとみた。

 

「・・・モウ!」

「ゴルバッ!」

 

クウヤの言葉と、目に応えたそのとき、異変は起きた。

2匹の体は光り出したのだ。

 

「ヒーコ、ズーバ!」

 

ヒーコは炎の嵐に、ズーバは竜巻に飲まれ、光を放ち、その光と竜巻と炎は徐々に大きくなっていく。

 

「ヒーコ・・・ズーバ・・・」

 

それが止み、炎と風が過ぎ去った後。

そこには別のポケモンがいた。

 

「ゴウカザルと、クロバット・・・!

すごい、2匹同時に進化するなんて・・・!」

 

図鑑をみたクウヤは興奮のあまり図鑑と2匹を交互にみる。

クウヤは、シンオウで最初に仲間になった2匹が最終進化系になったことに喜んだ。

 

「進化した頃でかてはしない、ジバコイル、ダイノーズ、ともにでんじほう」

 

アカギは無表情で引き続きポケモンに指示を出す。

 

「いけ、ヒーコはかえんほうしゃ、ズーバはエアスラッシュ!」

 

同時に放たれた、パワーアップした二つの技。

かえんほうしゃ、エアスラッシュ、そして2つのでんじほう。

激しく衝突するがやがてかえんほうしゃはでんじほうを打ち破り、ジバコイルとダイノーズにダブルヒットした。

ズーバのエアスラッシュがおいかぜとなり、ヒーコのかえんほうしゃの火力をあげたのだ。

 

「やった!」

 

ジバコイルとダイノーズを同時に倒すことに成功したことに、クウヤはさらに喜ぶ。

 

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「ヒーコ、ズーバ、お前達よくやったな!

さらに強くなって・・・さらに勝ってくれて・・・ありがとう!」

 

クウヤは最終進化を迎えた2匹を抱きしめる。

ヒーコとズーバはお互いに顔を見合わせて笑い、

 

「勝負は勝負だ、ここは身を引こう・・・。

そして君の実力も、素直に認めよう。」

 

そう言い、アカギは2匹をモンスターボールに戻し、クウヤをみた。

彼の視線に気づいたクウヤははっとなり、身構える。

 

「あのときより・・・随分と強くなったな、君は」

「へ、伊達にポケモンと旅してねぇよ」

 

アカギとクウヤはにらみ合い、やがてアカギの方から口を開いた。

 

「君は完璧な存在・・・完璧な世界・・・考えたことはないのか」

「え?」

「一切のけがれもない完全無欠な世界の一つとなったシンオウ地方・・・みてみたいとは思わないか。

長所も短所がその人間の可能性、存在意義すら縛り付け、すべてを否定する。

それが今の世界だ。

私の目指す完璧な世界には、それを気にする必要がない・・・。

どうだ、完璧な世界な方が、すばらしいとは思わんかね」

 

アカギの言葉は、正直クウヤにはわからない。

だが、彼の話には、いいと感じるものはないのはわかる。

 

「んな難しいことわっかんねぇよ・・・。

それに、なんとなくだけど」

 

クウヤは頭をポリポリと掻きつつもアカギを正面から見て、自分の気持ちを伝える。

 

「なんか、そういうのって・・・どうでもいい気がするんだよなぁ。

わかってもわからなくても・・・どっちでもいいし知ったところでどうなんだって感じちゃうんだよな。

完璧とか長所とか短所とか・・・完璧な世界も、ぶっちゃけおれにとっちゃどうでもいいよ。」

「・・・っ」

 

自分の理想の世界が、どうでもいいの一言で片づけられ、眉間にしわを寄せたアカギだが、すぐにあの無表情に戻った。

 

「・・・まぁ・・・まだ理解はできないか・・・」

「む、どういう意味だよ!」

 

バカにされた、と思ったクウヤはむすっとしてアカギに聞くが、彼はそれに答えようとはせずクウヤに背を向けた。

 

「私は君に敗北した。

それによりここは身をひき、何かをすることは一度やめることとする。

次会うときを、ひとまずは楽しみにしておくとしよう・・・。

さらばだ」

「あこら待てっ!」

 

クウヤは必死に叫び、アカギを呼び止めようとしたが、煙幕に阻まれ彼を見失ってしまった。

煙幕が晴れたとき、アカギはすでにそこにはいなかった。

 

「・・・逃げられちまったな」

「ゴゥ」

「クロバッ」

「・・・でも、まぁいいや!

とりあえずこのカンナギタウンも、この遺跡も守られたことだし・・・お前達もこうして無事で、しかも進化して強くなった!

上出来だぜ上出来!」

 

クウヤがにかっと笑ってそういうと、ヒーコもズーバも笑顔になる。

そんな2匹に元気が戻っているのを確認したクウヤは、2匹に呼びかけここを去ることにした。

 

「さ、もどろうぜ、コウキ達も心配しているだろうしさ」

 

帰る途中でクウヤはふと、アカギの言葉を思い出した。

彼が言う完璧というのはどういうものなのか、クウヤ自身はよくわからない。

だが、今までのギンガ団の行動や、アカギから感じる負の気配。

決していいものともいえないものがある。

 

「・・・完璧な世界・・・か・・・。

そんなものができたらいいのか・・・あったほうが、いいのか?

・・・ううん、違う。

そんなものがあったって・・・結局・・・寂しいだけだろうな・・・。

それが・・・たくさんの人やポケモンを傷つけながらできたものだったら、なおさらだ・・・」

 

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「クウヤ!」

「コウキ!」

 

戦いから戻ってきたクウヤを早速出迎えたのは、コウキだった。

 

「わりぃ・・・アカギに、ボスに逃げられちまった。」

「ううん、君とこの町が無事で本当によかったよ!」

「本当じゃよ・・・感謝しておる」

 

するとそこに、老婆が現れクウヤに感謝の言葉をつげた。

始めてみるその老婆に、クウヤは首を傾げる。

 

「え、あんた誰?」

「ちょっとクウヤ、失礼だよ!

この人はカンナギタウンの町長さんの、スメラギさんだよ!」

「あ、あんたがスメラギさん!?」

「うむ、そうじゃが・・・わしに何か用かね?」

 

クウヤは慌ててリュックから木箱を出し、その蓋をぱかりとあけて、中に入っている曲玉をみせた。

 

「おれ、ミクリにいちゃんからこれ、あんたに届けてくれって頼まれて持ってきたんだ!」

「ほう、ミクリから・・・ふむむ、確かにこれはわしのものじゃ。

わざわざありがとさん・・・」

 

そういってスメラギは木箱を受け取る。

義兄からのお使いを達成させたクウヤは達成感に満ちた笑みを見せるが、そこでコウキはあることに気づく。

 

「でもギンガ団、ここでなにをするつもりだったんだ?

遺跡をねらっていたみたいだけど」

 

コウキと、話を聞いてぴくっと反応したクウヤは遺跡をみた。

そこでスメラギは、この遺跡について語り始める。

 

「この遺跡には、時間と空間を司る2匹の神と呼ばれしポケモンと・・・シンオウ三大湖に潜む心の象徴を描いた壁画があるんじゃ。」

「シンオウ三大湖?」

「シンジ湖、リッシ湖、そしてエイチ湖。

それぞれの湖には、感情、意志、そして知恵の象徴と呼ばれるポケモンがいるという伝承が残されているんじゃよ」

 

スメラギの話を聞いたコウキは思い出したように口を開く。

 

「あ、それ聞いたことがあります。

シンジ湖を荒らしたら、祟りが起こって、その人間からは感情が消えると」

「そういやミクリ兄ちゃんも・・・リッシ湖で伝説のポケモンを調べてるとか言ってたな」

「でもそれがギンガ団と、どういう関係が?」

 

ギンガ団を率いているものが誰なのかはわかったが、それでもギンガ団の全貌は、まだまだわからないことだらけだ。

 

「まぁ・・・そのうちわかることじゃろう」

「そうかな」

「そうかもな」

 

ひとまずポケモンセンターで休もうと話が転がり、クウヤはコウキにゴウカザルになったヒーコとクロバットになったズーバを見せた。

コウキは2匹の最終進化に驚き、そして自分のことのように喜んでくれた。

そしてポケモン達を全員だし、食事を与えていたら、スメラギがクウヤに話しかけてきた。

 

「先程、あのアカギとやらとの話、聞いておったぞ」

「えっ」

「ハッキリと自分の意見を、堂々と言えるとは・・・正直驚いたわい。

しかも相手の目的も否定して、どうでもいいと言い切った・・・度胸があるんじゃな」

「そうでもないと思うぜ?」

「うむ?」

 

クウヤは頬をポリポリ掻きながら言う。

 

「おれは、思ったままを言っただけだぜ。

・・・おれって、いいとこも悪いところもたっくさんあると思うけど、どっちにしたって、おれの味方でいてくれる、信じられる人がいるしさ。

おれが完璧じゃなくたって、それでもいいって思ってくれる仲間がいるんだったら、おれはいつも通りに過ごせるんだ。

たとえ、近くにいなくたって、信じられればいいよ」

 

へへ、とクウヤはスメラギに笑いかけると、自分のポケモン達に駆け寄った。

 

「・・・お主は、そのままが一番じゃよ」

 

ポケモンたちとじゃれ合うクウヤをみて、スメラギはふっと笑って、そういった。

 

説明
そういえば忘れていた…(アホ
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