真・恋姫外史 がんばれ一刀お笑い道中〜僕が外史に降りた理由〜 第十三話
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「うーむ・・・・・・」

 

賊の討伐任務を終えた帰り道、祭は唸りながら共に参加していた一刀の後姿を見ていた。

 

当の一刀はというと、少々疲労感を漂わせてはいるものの、特に変わった所は無かった。

 

その手にした凶器と、凶器に付着した多量の返り血以外は・・・・・・

 

一刀はまた武器を変えていた。

 

今度の武器は、鎖の先に小型の棘付き鉄球を付けたいわゆるモーニングスターだった。

 

より殺傷力が高まったこの武器を、一刀はためらうことなく戦場で振るったのだ。

 

ほんの少し前まで、自分を奮い立たせながら何とか戦っていた一刀だったが、今回の任務ではむしろ戦いを楽しむそぶりすらあったように見えた。

 

そのあまりの変わりように、祭は戸惑いを隠せなかった・・・・・・

 

 

 

 

 

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城に戻ると、祭は雪蓮と冥琳に一刀の事を話した。

 

「それはまた、えらい変わりようねえ。ついこの間まで精神的にいっぱいいっぱいだったのに」

 

「ふむ・・・・・・とりあえず言える事は、戦場で躊躇う事無く動けるようになったと言う事か。結構な事だ」

 

「それはどうかのう・・・・・・」

 

「何よ。気になることでもあるの?祭」

 

「うむ。一刀の目なんじゃが」

 

「目?」

 

「戦場で見た一刀の目。あれは戦人の目では無いように見えてな」

 

「ならば、どのように見えたと?」

 

「そうじゃな・・・・・・例えるなら、博徒に近いか」

 

「博徒?」

 

「うむ。危険を楽しむと言う点では似たようなものかも知れぬが、より危うい。そんな印象を受けた」

 

「「・・・・・・」」

 

「まあ、儂の気のせいかも知れん。少なくとも今までより戦場向きになったのは確かなのじゃから、さほど気にする事も無いか。だいたい策殿も似たようなものじゃからのう」

 

「ちょっとそれどういう意味よ」

 

「そのままの意味だろう。納得だ」

 

「冥琳〜〜〜」

 

場に緩い空気が流れる。

 

「そういえば、近々模擬戦があるのよね」

 

「ああ」

 

「一刀、参加させてみない?祭の言ってた変化、確かめてみたいし」

 

「ふむ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

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数日後、荒野にて模擬戦が行われていた。

 

軍を率いて対戦するのは一刀と穏で、審判は祭。

 

その様子を、丘の上から雪蓮と冥琳は見下ろしていた。

 

「ところで、一刀は軍略に関してはどうなの?」

 

「お前、そんな事も知らずにやらせたのか」

 

「うん」

 

「・・・・・・穏から聞いた話では、筋はいいらしい」

 

「へえ。そういえば、軍略に関しては穏が教えてるんだっけ」

 

「ああ」

 

「なら、今回は師弟対決になるわけだ。師匠越えはなるかしらね?」

 

「それは早計だと思うが・・・・・・そもそも、一刀自身が直接指揮をして戦ったのは、黄巾の時の劉備と共に戦った一戦のみ。それにあの時は実質、明命が隊を動かしていたと聞いているからな。そういう意味では、一刀は軍を率いる経験皆無と言ってもいい。穏に勝てる要素は見当たらないがな」

 

などと二人が喋っている間に、模擬戦開始の銅鑼が鳴った。

 

「始まったわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あらら・・・・・・」

 

思わず声が漏れる雪蓮。

 

開始早々、一刀は攻めに出た。

 

それを穏は緩やかに受け流しつつ、反撃の期を待っているという所だ。

 

「やはりまだまだだな。攻撃が途切れた時、形勢は決まるだろう」

 

「面白くないわねえ・・・・・・」

 

ぶつくさ言う雪蓮。

 

しばらくして、一刀の側の兵士達の動きが鈍った。

 

「ここまでか」

 

一転して攻勢に出る穏。

 

これで戦局は決まったかに見えた・・・・・・が、

 

「何か、両軍の兵士たちがどんどん脱落していってるみたいなんだけど・・・・・・」

 

雪蓮の言うとおりで、一刀の軍も穏の軍も、ほぼ同数の兵士が戦線離脱していく。

 

「一刀の軍の士気が落ちていないな。というか、完全に捨て身だな。あれは」

 

当初、普通に攻めていた一刀の軍だったが、穏の反撃が始まってから一切の防御を捨てた捨て身の攻めに出ていた。

 

結果、多数の相打ちで両軍共に被害が出ていたのである。

 

「ていうか、これ穏の旗色悪くない?」

 

「完全に乱戦になってしまっているな。しかしこれは・・・・・・」

 

 

 

 

 

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結果だけ言えば、勝負は一刀の勝ちだった。

 

残った兵士たちは僅かであったが。

 

ようするに、最初の攻めで減らした分だけ一刀が得をしたというわけだ。

 

「一刀さん。あんまりですよ〜〜〜」

 

袖をバタつかせながら一刀を非難する穏。

 

「うん」

 

それに動じもせず頷く一刀。

 

「軍師はいかに自軍の被害を抑えつつ、敵軍に被害を与えるかが腕の見せ所なんですよ〜〜」

 

「確かにそうじゃな。敵軍を全滅させたとしても、味方が壊滅していては勝利とは呼べん」

 

「うん」

 

「一刀さん聞いてます?」

 

「聞いてるよ。俺も今回勝ったとは思ってないし」

 

「では、何故あのような戦い方を?」

 

「少し思うところがあって。まあ、もうやらないから安心してくれ」

 

 

 

「・・・・・・冥琳」

 

 

 

「うむ。想像以上に危ないかもしれんな」

 

 

 

 

 

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どうも、アキナスです。

 

一刀くん、かなり危険な方向に行ってしまってるようです。

 

先行き不安ですね。

 

ではまた次回・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
一刀の変化
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コメント
未奈兎さん:怖いですね。一刀の指揮下に入る兵士達の行く末が(アキナス)
mokiti1976-2010さん:早死にしそうですよね。このままだと(アキナス)
劉邦柾棟さん:というか、不安しかありませんね。今のところは・・・・・・(アキナス)
おお、怖い怖い(未奈兎)
思春の荒療治が裏目に出てしまったのでしょうか?さすがにこのままでは具合悪いでしょうから早めに正気に戻る事をお祈りします。(mokiti1976-2010)
色々と不安がありますね〜。(劉邦柾棟)
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