空と風と大地とともに6
[全1ページ]

:新しい仲間との旅と刺客の敗因そして、クロの強さ

 

ススとサラは、とりあえず町を出る事にした。

 

理由は2つある。

 

1つは、店で刺客に襲われたことで、ススの居場所が他の賞金稼ぎや刺客に知られている事を意味するからだ。

 

そして、もう1つはススが能力の高い術具師でることだ。

 

術具を使うには、頭の中で何かを起こすか強くいイメージして、それに必要な原子や分子時にはエレメントと呼ばれる物体や、何らかのエネルギーに属性を与えるものを調合する必要がある。

 

 

駆け出しで術具を覚え始めたばかりなら問題ないが、スカルテスほどの使い手ともなれば素早くそして強力な術具を使うために無意識のうちにエレメントを常に纏ってしまうのである。この世界には様々な種族・種類の生き物が存在している。その中にはエレメントをえさにするものいると言われている。術具師のまとっているエレメントはそうした生き物をよせつけてしまうのだ。だからひとつの場所に留まれない。これは、スカルテスだけでなく能力のある術具師すべての宿命である。だがやはり例外がないこともないのである。

 

 

「・・・・さて・・・行こうか」

 

「ええ」

 

 

スカルテスとサラは門を避けて町を出ようとする。理由は簡単、検問がおこなわれてるからだ。

 

 

 

 

スカルテス達が町を少し離れ、辺りが草原になり始めたところでいきなり怒気のこもった声が聞こえてきた。

 

 

「やはり貴様もぐるだったか」

 

 

三人は刺客の方に振り向いた。刺客はすでに長い爪を装備している。

 

 

「・・あの時の刺客か・・・」

 

「ああ・・・あの時は、場所が狭くてなぁ。俺の真の実力を発揮できなかったがな・・・命拾いしたな」

 

「真の実力ですって?笑わせるわ」

 

 

といいながらサラは剣を抜く。相手もいままでの相手とは位が違うのはサラの目でも明らかにわかるのである。

 

 

「くっくっ、ハッタリと思うか?」

 

 

次の瞬間、刺客の後ろの方の空に六亡星の紋章が浮き出る。

 

 

「・・・・何?・・なんなのあれ?」

 

「召喚術具だよ、あれは」

 

 

サラは見たこともない現象に戸惑いを隠せないでいた。しかし、スカルテスはサラとは対象に落ち着いていた。そう声だけは。

 

「いでよ、フレイム・ゴーレム!!」

 

 

例の紋章から体長10メートルはあるであろう炎に包まれている巨人が現れた。

 

「ふごぉぉぉぉぉっっっーーーーーーー」

 

 

この雄たけびひとつで地面やら何やらが揺れる。

 

 

「ちょっと待ってよ!スス、あれって・・・あんな生物存在するの?」

 

「しない・・・わけないよ。目の前にいるんだし。あれは術具の一種だよ」

 

「わ、私・・・そんな事聞いたこともない・・」

 

「説明してる暇なんてないよ。来るっ!」

 

「えっ」

 

 

サラがいままで見たことも聞いたこともない目の前の現実に狼狽している。一瞬の隙が死に繋がるかもしれないときに、サラにはそれがわからい筈はないのに・・・。

 

 

「ファイヤー・ボール」

 

「オオオォォォ」

 

 

その瞬間を刺客が見逃すはずもなく、手元に火球が現れる。すぐさまフレイムゴーレムの叫び声で火球はの大きさからアドバルーンぐらいの大きさまで一気に膨れ上がっり、それを、サラを目掛けて放った。

 

 

「壁よ阻め」

 

 

サラの前に庇うように両手を火球にむけて立ち、スカルテスの前に青い壁のようなものが現れた。しかし完全には防ぎきれず両腕を火傷してしまった。

 

「「スス」」

 

 

クロとサラはスカルテスの焼け爛れた腕を見てそれぞれ違うことを思っていた。

 

 

「傷よ癒えろ」

 

 

次の瞬間スカルテスの両腕に淡い光が纏い、光が拡散するのと同時にスカルテスの腕はどちらも綺麗に治っていた。この術はかなりの疲労が心身ともに溜まるのであまり多様はできないのである。天才といわれていたスカルテスでもあまり使いたくない術のうちのひとつである。

 

 

「・・・よくも、ススを」

 

 

サラは電気のエレメントを周囲に集めだした。

 

 

「サっちゃん。だめだぁー」

 

「雷鳴よ轟け」

 

 

スカルテスが止める間もなく、強力な雷が刺客に向けて放たれる。刺客は避ける事もせずに立ち尽くしていた。

 

サラは他の術が不得意というわけでは無いのだが、好んで電気と風系統のエレメントを使う。電気のエレメントだけを比べればスカルテスよりも強力な威力を出すことができるだろう。が・・・。

 

 

「オオオォォッッ」

 

 

再びフレイムゴーレムが叫んだ。この叫び声と共にサラの放った雷が吸収され、それと同じかそれ以上のジュール(熱量)の火槍をサラとスカルテスをめがけて放った。火球の周りには陽炎ができるほどのジュールである。それを考えるとサラの雷の威力も相当のものである。スカルテスは軽く舌打ちをした。

 

 

「断て、防げっ」

 

 

先ほどの青い壁よりもさらに蒼く藍に近く小さく厚みのある、例えるなら盾に近いものがある。その盾はスカルテスの前に浮いているが、火槍とぶつかり盾がガラスのように砕け火槍もジュールをほとんど失ったがサラを庇ったスカルテスは軽く服を焦がした。

 

 

「スス、ごめん・・・・なさい。でも、どうしてなの」

 

「あれは、自分の対のエレメント以外は吸収してそれ同等の威力で返してしまうんだよ」

 

「・・・・・そんな事って」

 

「知らなかったのかぁ、まぁそういうことだ。はっはっはっはぁ、どんどんいくぞ」

 

 

というと刺客は周りに火のエレメントを集めだした。

 

 

「ゲイボルク」

 

「オオオォォッッ」

 

 

刺客は眼前に人と同じくらいの大きさの炎の竜巻を作り出し、フレイムゴーレムの叫び声でこれも強化される。

 

 

「阻めっ」

 

「我が前に現れよ鎧」

 

 

スカルテスは先ほどの盾を作り出し、サラは自分とスカルテスを銀色の円柱で包み込んだ。その二つの防壁でなんとか刺客の炎の術を防ぐことができた。

 

刺客は続けざまに様々な炎の系統の術を放ってきて、スカルテスもサラも防ぐのがやっとで攻めることもできずにいた。

 

 

 

 

「あの刺客はもともと炎のエレメントを集めやすいみたいだな。大技を打つ時の溜めやエレメントの量をゴーレムの補助を使うとは言うだけのことはあるみたいだね。プラス威力も上がってるみたいだし。このまま防戦一方ってことは無いとは思うけど」

 

クロは眼下の戦いを冷静に見ていた。サラの実力は悪くは無いが刺客ほどではない。でも、スカルテスがいるから加勢はまだいいと考えていた。それよりも・・・・しかし、命のやり取りの最中に気を失うことは無いと、ここで入れ替わらないことだけを心配しているのであった。

 

 

 

 

 

 

*************************

 

 

 

 

 

だがいかに召喚術具の補助を受けていたとしてもやはりどこか疲れが見えてくるもの、スカルテス達を甘く見ていたわけではないが、予想以上のしぶとさに心の中で悪態をついていた。そのわずかな隙をスカルテスとサラは見逃さず反撃にでた。その隙は並大抵の実力者でも見逃してしまうかもしれないぐらいの隙であった。

 

 

「津波よのみこめ」

 

「水よ貫け」

 

 

スカルテスとサラの水系の術が刺客とフレイムゴーレムを襲う。逃げ場の無いほどの広範囲の水が、前方からはサラの打ち出した水の弾が貫き後方からはスカルテスが作り出した大きな波が呑み込もうとした。

 

その刹那クロは刺客が見せた歓喜の笑みをみの見逃さなかった。

 

 

「風よっ!」

 

 

同時だった。クロは風に乗り素早く上空へ逃れ、フレイムゴーレムは灼熱の蒸気となって爆発した。スカルテスとサラは良くて重症を免れないだろう。

 

 

「ククククッ・・・ウヒャハヒラ。引っかかりましたね。そぉう、このゴーレムは補助だけではない。弱点である水系統に対する切り札でもあるんですよ・・・・。ひゃはははは」

 

「随分と勝ち誇ってるみたいだね。まぁ三分の二も引っかかったみたいなもんだし勝った気になるのは良いけど・・・ちょっとばかり気が早すぎるよ。笑い方も下品だし・・・」

 

 

ゆっくりとクロの方へ目を向ける刺客。その表情には驚きが微塵も感じられない。

 

 

「やはり、今の風のエレメントはキサマか」

 

「あの程度で気づくんだ。やっぱ口だけじゃないんだね・・・君も十分強い」

 

「だが貴様の主人は・・・もう動けまい。ヒャーハッハハハ。例え力を使っても意識の回復には時間がかかる。倒れているスカルテスを捕らえるくらい貴様の邪魔があっても何の影響も無い・・・・・ムダな事だ」

 

「誰が邪魔をするって言ったのかな?」

 

 

セリフと共にクロの周りの空気が変わる。高密度のエレメントを集めているのだ。

 

 

「そんなな事する必要なんか無い。・・・驚く必要も無い、君を殺してしまえばすむ事だよ」

 

 

言うが早いか、クロの身体が刺客の視界から消える。刺客はやっと気づいたのだ。今までスカルテスがあらゆる強敵を退けて来れたのは、この黒いハトが居たからだと。

 

刺客の認識は正しかった。今までスカルテスにも、あのキトリにも倒すことの難しい敵は少なくはなかった。その敵をことごとく退けてきたのはクロなのだ。

 

自分の考えの無さへの後悔と少しの快感と共に意識は闇へと落ちていく。痛みはかすかにしか感じない。付け根から切り落とされた六つの肉塊と共に・・・。

 

 

「二人共、無茶しすぎだよ」

 

 

大木を背に二人と一匹が焚き火を前に話している。

 

 

「そりゃあれだけの水を打ち込めばとセルかもしれないけどさぁ、相打ちってのはどうかと思うよ。僕の力でも意識の回復はできないんだからね。今回はどうにかなったからいいけど・・・・」

 

「うるさいわね、爆風で飛ばされて気を失ってたハトになんか言われたくないわよ」

 

 

苛立った声でクロの言葉をさえぎるサラを、スカルテスは落ち着いた声でいさめた。

 

 

「違うよサっちゃん。クロがいなかったら僕らは全身大火傷で行き倒れてたんだよ」

 

「・・・・・。さすがにもうサっちゃんはやめてよ」

 

 

事実であるだけにサラも強がりを言うこともできなかった。

 

スカルテスは思う。

 

 

「これから先、あんな奴が何人も出てくるのだろうか?だとしたら・・・いつまでも目を背けるわけにはいかなくなるね、キトリ・・・」

 

「もっと強く・・・もっと強くなって見せる。誰にも、誰だろうと負けたくないっ」

 

 

サラもサラで思う。

 

二人の思いと共に炎は夜明けまで燃え続けた。

 

 

説明
六作目です
今回はクロの大活躍ってやつが見れますね
マスコットキャラではありませんよ
マジで



今回で書き溜めが最後なので
更新が遅くなりますね

ということで
アンケートでも
良かったらお願いします

今後の展開について
1、作者が勝手に考えろよ
2、スカルテスとサラの過去の話(学園的な感じ
3、冒険を進める
4、その他(なるべく反映できるように頑張ります

総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
362 346 1
タグ
ファンタジー

アブルイラリさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com