ノーマネー ノーゲーム5
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ノーマネーノーゲーム5

 

マネーのライオン。久しぶりの外国からのお客さまは謎のタジキスタン人?だった。

興味津津に見つめていた丸の内社長はここまで沈黙を守っている。

それどころか彼には微笑みすら浮かんでいた。

ここで、謎のタジキスタン人のエイトはマジソンバックを開く。

ボーイ社長は目を凝らしてバックの中を確認していた。

なにか刺身のような食材を取り出す。

 

エイト「Well、話がそれてしまいました。

私の調理技術を見てくださーい。」

ガトー社長「何を作るの?」

 

怒り心頭に達しつつあったガトー社長が和らぐ。

 

エイト「過去の最終回で、すしロボットで寿司の忍者宅配を希望していたチャレンジャーがいましたね。

私は寿司ロボットなしで、みなさんに握り寿司を振舞いまーす」

丸の内「へえ。ある程度は修業してきたの?」

 

腕組みをして考え込んでいたボーイ社長がおもむろに発言する

 

ボーイ社長「俺、寿司はええわ。」

ガトー社長「えっ?」

ボーイ社長「金田一とかじゃねえけど、ブリリアントに推理してみようか?」

丸の内「ええ?推理ショーでもするつもりですか?」

ボーイ社長「イヤ、これからいくつかの質問をしたいな、と思ってよ。

それに全て素直に答えられたら、1000万なら出してやろうじゃねえか!

自分がイノセントだってこと証明してみな」

一同「ええっ!」

栄作「これは大事件です!条件つきながらボーイ社長がお金を出したがっています!」

 

ボーイ社長は今まで、ひんしゅく発言こそあったが、一度も投資をしたことがなかったのだ。寿司の賞味どころではなくなってきた。

 

ボーイ社長「ちょっと失礼する・・・」

 

席を外したボーイ社長はトレーニング用の自転車を持ってくる。

スピードメータとペースメーカーが付属している。

 

ボーイ社長「料理人になるなら、体力も必要だ。

体力も根性もなく、挫折したチャレンジャーを番組以外で沢山見てきたんだ。

おい、おまえ!この自転車を漕いでみな。

納得のできるパワーを発揮してみろ!それが第一の質問だ」

 

ぽかんと口を開いていたエイトが我に帰る。

 

エイト「1000万?本当に?武士に二言はない?」

ボーイ社長「つべこべ言わずにやってみなよ」

一同「???」

 

それなりの高速度で回転する自転車。

その横でニヤニヤするボーイ社長。

 

一同「おおおっ!」

ガトー社長「あんた、スポーツマン?」

ボーイ社長(ふっ、やっぱりな・・・)

 

ここで不思議な口調で言葉を発するボーイ社長。まるで呪いのようだ。

 

ボーイ社長「3次予選・・・国立競技場・・・0対8・・・」

一同「え?」

 

しかし、軽快に回転する車輪にぶれは起こらなかった。

 

ガトー社長「そうか!いつぞやのワールドカップの3次予選のアウェイ戦のことだ。

名ゴールキーパーを擁しながら、ふがいないDF陣のために、タジキスタンは

国立競技場で惨敗を喫したんだ」

ボーイ社長「フフフ、やはりそうか。

タジキスタンの選手ならトラウマでショックを受けたような反応をするはず」

 

何をわけのわからないことを、と言いたげな表情でボーイ社長を一瞥するエイト。

 

ボーイ社長「それでは、これはどうかな?

チビ・・・不細工メガネ・・・死ねよ!・・・

パシリをチクったら殺すぞ!」

エイト「!!・・・くっ・・・はあ、はあっ!」

 

何を思ったのか、ボーイ社長の呪いの言葉に即座に反応するエイト。

顔が急に歪む。激しくペダルを踏み出すエイト。

狂ったように加速する自転車。危険な状態だ。

 

栄作「やめろーっ!止まれーっ!」

 

思わず栄作が駆け寄り、エイトを制して自転車を止める。

エイトの目には涙が滲んでいる。

 

エイト「はあ、はあっ・・・」

 

ボーイ社長「謎は全て解けた!・・・

まあ、これがラストクエスチョンになっちまうが。

おまえ、本当のことを言えよ。FIFAには黙っててやるからよ」

エイト「くっ・・・!」

一同「FIFA?!」

ボーイ社長「料理人になろうとする男が、ワールドカップ最終予選の対戦表を持ってきたんで、わかったんだよ。

おまえ、タジキスタンのナショナルチーム入りを狙っているんだろう。」

ガトー社長「サッカーのですか?」

ボーイ社長「まあ、タジキスタンでも才能がある青年なら、同じことを思うだろうよ」

エイト「・・・」

ボーイ社長「おまえ、日本人だろ?何がモンキーだよ?

サイボーグならそんなに偉いのか?」

丸の内社長「アハハ、やはり日本人でしたね。

だけど、サッカーの費用を狙うとかは伏せておいて

虚偽の発言をすれば『ノーマネー』になりますよ。」

ガトー社長「サイボーグ?!」

 

笑顔を浮かべる丸の内社長と目を丸くしているガトー社長が好対照だ。

 

ボーイ社長「おっと、簡潔に話さないと時間切れになっちまうな。

おまえ、あの有名な精神病院を退院した高校生だろ?

なんかスズみたいな金属の名前の付いたよ。

で、高校で陰惨なイジメを受けていた。

だからバックの内部に悪質な落書きをされていた。

でも、思い出のバックなんで捨てられなかった・・・」

ガトー社長「では、ショッカーというのは?」

ボーイ社長「昨年、東野監督が拉致されてすぐに解放されるという事件があったろう。おそらくショッカーが犯人だ。

決勝トーナメントまで導いた名監督を謎の組織の監督にしたかったのだろう。

従わなければ改造手術をすると、チェーンソーでも回しながら脅迫してな。

だが、確率論に長ける東野監督が屈服する可能性が低い、と計算して解放したんだろう。

そこで目を付けたのが、今の自分を壊したいと願っていた少年との邂逅だ。

勝手に改造手術に興じるショッカーとこいつの願望が一致したというわけだ。」

丸の内「なぜ、サイボーグだとわかったのですか?」

ボーイ社長「介護ロボ、エイトのような義眼。自転車で見せた運動能力。チビとバカにされてきたのに、異様に長い足。セラミック製の骨格に交換したのだろう。」

ガトー社長「ジオポリスジョーみたいですね」

ボーイ社長「だが、素性を明かしたくないんで、日本を離れることを決心した。

そして、無いに等しいコミュニケーション能力では、最初はGKしか活躍のしどころがない。ちがうか?

2000万というのは中途半端なサイボーグ手術を完成までもっていくための費用だろう。どこか間違っているか?」

エイト「・・・Yes・・・」

 

丸の内以外、ほとんど放心状態でボーイ社長の推理に聞き入っている。

 

ボーイ社長「おまえ、ここに来てこの1000万がどれほど重いか持ってみろ。」

エイト「Yes sir ...」

 

辛うじてガトー社長が言葉を繋げる

 

ガトー社長「あなたの夢はどんなものですか?」

エイト「アジア一のGKになることでーす!」

ガトー社長「ほほう。日本の河口や川縞を上回る守護神になると!」

ボーイ社長「ただし、ひとつだけ約束しろ。

カタール大会の最終予選で国立競技場に来い!

おまえの鉄壁の守りで攻撃陣を励まして、日本から先制点を奪ってみろ!」

ガトー社長「そうですね。だけど、すぐ日本が逆転しますけどね。

約束に命がけで臨むのなら、僕も500万出しますよ」

丸の内「おもしろい!私も500万乗りましょう!

2000万は広告収入で返済してもらいましょうよ」

 

丸の内社長は以前勝ち目の薄かったボクサーの涙に引かれて、75万乗ったことがあるのだ。

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3ヶ月後、大事件が起こった。メッシーを擁するアルゼンチンチームが親善試合でタジキスタンに敗れたのだ。サイボーグエイトがGKを務めるタジキスタンに96本のシュートを浴びせながら1本も通らなかったのだ。最後はPK線で

0−1で敗退した。

 

取材陣「エイト選手は電気仕掛けというか、もしかしてサイボーグではないですか?

ものすごい反則くさいんですけど」

アルゼンチン監督「まあ、親善試合だから目くじらを立てることもないかと。

FIFAもワールドカップの本戦前までは調査しないでしょうね。

ウチはまずタジキスタンよりフランスにリベンジしたいんでね。

まあ、決勝トーナメントで当たりそうになったら対策を考えましょうか。」

FIFA役員「エイトのプレーは現時点ではアンビリーバブルで、ブリリアントだと思います。」

取材陣「ベースボールの完全試合じゃあるまいし、何かつまらなくね?」

FIFA役員「まあ、そのうち飽きるかもしれませんね。

その時に調査と処分を考えましょう」

アルゼンチン監督「サナバビッチ!(Son of a bitch !)両津みたいに、

人間かメカか確かめるために、鼻からガソリンを入れたいね!」

FIFA役員「OH!両津!日本はコミック文化では決勝戦まで勝ち残れるますね!」

 

エイト「ククク。視覚と脳もメカニカル的に完全に接続した。

赤外線センサーと人工強化筋肉、セラミック骨格のコンビネーション!

この究極のメカトロ技術により、人間離れした運動能力で、どこにシュートされてもブロックできる。

俺様からPKを決められるのは、遠藤くらいだな」

 

この時、別の思惑で蠢動している国があった。韓流スターを揃えるスター軍団韓国である。

 

女大統領「東野監督の拉致は失敗したのですね、地獄大使」

地獄大使「申し訳ない」

女大統領「まあ、仕方ないですね・・・」

サッカー協会役員「しかし、大統領。これらのプランを強行しても決勝トーナメントで勝ちぬいていくのは非常に難しいかと・・・」

女大統領「その時は、審判を買収すればよいのです」

役員「はあ、まあ。しかし・・・」

女大統領「世界一優秀な民族、韓国人がアジアの小国日本ごときに後れを取ることは許されないのです!

北ですら、日本人を『ジャップ』呼ばわりしているのですよ。

先日も見たでしょう。成田空港で、我らが誇るスター軍団を!

そして、見苦しいことに日本の女どもはエースストライカーに対して『ヨンさまー!』とか

騒いでいたでしょう!オホホホホ!」

 

 

そのころ1人の動画編集者が密かに活動していた。

妖夢「あなたにどうしても弟子入りしたんです。ゴリラ13さん」

ゴリラ13「ウゴウゴ・・・」

妖夢「・・・ぷぷっ!」

 

ゴリラ姿のヒットマンが鳴き声を出しているのを見ると、妖夢は吹き出してしまった。

頭の被り物を取ると、鋭い目つきで妖夢を睨みつけるゴリラ13

 

ゴリラ13「これは周囲を欺くための演出だ。今度笑ったら殺す!」

妖夢「わかりましたみょん!」

 

ゴリラ13「それにしても『僕は小学生ユーチューバー!!』ってやつか?

おまえのような子供があまり危険なことに突っ込まないほうがいいと思うぞ」

妖夢「もう特定犯に自宅とかも特定されたし、麒麟(大型ぬいぐるみ)も来たし。

殺し屋ユーチューバーの覚悟はできたみょん」

 

ゴリラ13「そうか・・・妖夢、これでタピオカティーでも飲んでろ」

 

500円玉を渡して人払いをするゴリラ13

 

妖夢「ありがとう。ゴチになります。って?」

 

ゴリラ「元岡部ジャパン監督の岡部監督だな・・・」

岡部「・・・。例のゴールキーパーを始末してほしい」

ゴリラ13「それはあんたの考えか?」

岡部「いや・・・」

ゴリラ13「まあいい・・・」

岡部「今でも忘れはしない。岡部ジャパンがたどり着いたあのフランス大会!

大変な功績だとおもっています。ただ、とても私たちだけで成し遂げることができたものではない。

国民のみなさんの応援と支援の力があってこそ実現できたこと」

ゴリラ13「・・・」

岡部「その情熱の炎は今日まで夢を追う若者たちの支えになっています。

・・・それをあのようなチートが許されるわけがない!」

ゴリラ13「・・・あんたのサッカーへの情熱はよくわかった。

だが、今回はあんたの依頼は受けられないな・・・」

岡部「えっ?!」

ゴリラ13「俺は2重の依頼は受けない・・・。行くぞ、妖夢」

 

岡部「もしかしてFIFAも動き出したのか?」

 

アミティ「ここで、CMです」

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ぼくたちはNintendo DSから目を離して周囲を見回す。

校門前から生徒たちの悲鳴が聞こえてくる

 

圭「何か校門前が騒がしいんだけど」

ガモウ「みんな、外の異変に気付いたんだな・・・」

ジョー「異変?」

ガモウ「簡単に言うよ。

僕たちは、砂漠と化した未来に来てしまったんだ」

圭「ええ?!未来?何それ?!」

ジョー「ええ?!ぼくん家に帰れないってこと?!」

 

思わず涙目になるジョー。

騒いでいる生徒たちがビンタされているようだ。

生徒たちをなだめる若原先生の怒号が響いてくる

 

若原「静かにしろというのがわからんのか!

心配ないから落ち着くんだ・・・」

ガモウ「・・・これだから大人たちは。

荒涼たる敷地外の状況を見て『心配ないから、Take it easy!』

って言えるなんて頭が狂っているよ。」

 

そんななか朝井先生は意外と冷静だった。

 

ガモウ「ああ、朝井先生、何かわかりました?」

朝井「うーん、放送室の無線が一瞬だけ鳴りだしたんで、いろいろいじってみたんだ。

どうも、人工衛星がまだ生き残っているようなんだよね?」

ガモウ「生き残っている・・・先生も人類が未来に破滅したとお考えですか?」

朝井「そうだよ。役立たずの教頭先生は、『そんなことはありえない』って叫んでいたけどね。

『核ミサイルが着弾したにちがいない!』とかのたまっていたけど。

核ミサイルが爆発したら、板橋だけ都合良く助かるわけがないっつーの!」

 

ガモウ「ところで、先生はパソコンもいじっていたようですが・・・」

朝井「ああ、普段から頻繁に萌えサイトにアクセスしていたんで、

この際に履歴を消去しようと思ってね・

ガモウ「・・・。シスアド担当の若原先生に怒られますよ」

朝井「アハハハ」

ガモウ「笑っている場合じゃないと思うけど。

まあ、InPrivateブラウズを使って履歴を残さないという手もあったんですけどね、ワハハハ!」

朝井「インプラント・ブラジャー?ブラジャー♪」

圭「朝井先生!笑ってる場合じゃないでしょ!」

ガモウ「『笑っていいとも!』」

圭「やれやれ・・・」

ガモウ「冴子先生も言ってたよ。『こういう時こそ笑って生きていきなさい』って」

 

こんな時、ジョーなら「さわっていいとも!」とか言って、ともだちんこで股間に触ってくるところだけど、ジョーは泣き崩れていた。

ぼくもともだちんこをされて「ああん」とか変な声をガモウ君には聞かれたくなかった。

 

ガモウ「そうそう、朝井先生はこの前ほのぼのタッチのショタサイトを閲覧していたんだ。

先日、君たちが下校中に『ともだちんこ』している写真撮らせてもらったよね。

アップしたらおもしろかったかな?なんて思っていたよ。ぷぷっ!」

圭「・・・・。まじめに説明してくれないと怒るよ?

ぼくは触られただけで、触り返していないし」

ガモウ「まあまあ・・・ところで、人工衛星って、アメリカが日本に協力して贈ってくれたものかもしてないね」

圭「送る?誰かにプレゼントしたの?」

ガモウ「ていうか、日本の頭の悪い科学者だったら、僕たちが未来に飛ばされたとか

考えられるかな?」

 

ガモウ君はすでに今回の事故を、元の世界の視点で考えているようだった。

さすが、IQ180の天才児だった。でも話がぐるぐる回っていて付いていけないよ。

ちな、原典版では、楳図先生は「絆」とか人間模様を盛り上げるために、

頭の悪い科学者たちが、破片1つない跡地を見ても、テレポートの発想には至らなかった、

というストーリーを展開していた。

 

先生たちも、生徒をなだめつつ右往左往していた。

 

教頭「若原先生、どうしましょう?街の様子が気にはなりますが、

敷地外に出ると放射能を浴びるはめになるのでは?」

若原「ええ、まずは構内の用役関係などを確認するのが先決ではないかと・・・」

教頭「6年生と5年生!静かにしなさい!

外は非常に危険です!出ると放射能で死んでしまいますよ!」

生徒A「イヤだ!家に帰りたいーっ!」

 

後ろで立ち聞きしていた関谷が不敵に笑っている。

 

関谷「バカか、こいつら。なんのための『日米安保』だと思っている。

今に米軍が助けに来てくれるに決まっている・・・」

 

ガモウ(おや?給食のおじさん・・・なんかいつもと雰囲気がちがうね)

 

関谷「俺だけは、米軍が救助にくるまで絶対に生き延びてやる!

食料を確保しておかないとな・・・生きろっ!生きるために内っ!」

 

「無頼伝涯」の有名なセリフ(3巻で、涯が脱走に失敗して、澤井課長の号令で撃たれ、外に墜落しそうになった時)を口にすると、校舎内に戻り、給食室に直行する関谷。

 

つづく

 

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