真・恋姫無双another 風ストーリーその2
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順調です。

 

全てが驚くほど順調に進みました。

 

私達がやったのは、盗賊を処罰するのではなく、登用する。

たったこれだけの事でした。

 

盗賊の数が減り、治安が安定した事で人の動きも活発になってきました。

 

登用した盗賊達のおかげで、開墾も進んでいます。

 

星ちゃんの力で、兵士さん達の技術も上がって士気も悪くありません。

 

稟ちゃんのおかげで、内政も安定しています。

 

そして、私はというと・・・

 

猫さん達と優雅に日向ぼっこです。

 

「風!!さぼらないで下さい!!」

 

やさしい口調ですが、怒りのこもった声で稟ちゃんが呼んでます。

優雅な時間は短いものです。

 

とまあ、こんな感じで毎日を過ごしていたのですが、ある日一つの大きな波が訪れました。

 

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「公孫賛様。公孫賛様にお会いしたいという方がいらしてますが?」

「私にか?」

「はい。なんでも私塾時代の知り合いだとか・・・。」

 

国が豊かになり始めてから、仕官を希望する人が増え、お城に来る人が増えたのですが今回は違うようです。

 

「私塾時代か・・・、懐かしいなぁ。よし、通せ。」

 

そう言って白蓮さんはあっさりと許可しました。

もう少し怪しんでもいいと思うのですが・・・。

でも、これが白蓮さんのいいところであるのも否めません。

 

「白蓮ちゃん!!」

 

兵士さんに呼ばれてきたその人は、中に入るや否や白蓮さんの真名を呼びました。

 

「おお、桃香か!!」

 

それに答えるように白蓮さんもその人の真名であろう名前で返事をしました。

どうやら私塾時代の知り合いというのは嘘ではないようですね。

 

「本当に久しぶりだなぁ。元気にしていたか?」

「元気にしていたよ。それにしても凄いなぁ、白蓮ちゃんは。太守様だもんね。」

「いや、太守と言っても小さな国だよ。・・・桃香はどうしてたんだ?」

「私?私はね、盗賊達を倒しながらみんなを救ってた。」

「それで?」

「それだけだよ。」

「それだけって・・・。桃香の実力なら私みたいに太守にだってなれるはずだろ!!」

「私ね・・・、大陸中のみんなを笑顔にしたいんだ〜。」

「笑顔に?」

「うん。太守とかになっちゃうと、どうしても自分の治める国の人達の事ばっかりになっちゃうでしょ?だから・・・。」

「なるほど、桃香らしいな。」

 

そう言って白蓮さんは笑いました。

桃香と呼ばれた人も一緒に笑ってました。

でも、さっきから近況話ばっかりで、なかなか核心の話になりません。

私達もそうですが、桃香と呼ばれた人のお連れさんも戸惑っているようです。

 

「桃香様、あの・・・。」

 

痺れを切らしたようで、お連れの人の1人が呼びとめました。

 

「ん、桃香。その二人は?」

「あっ、紹介遅れちゃったね。この二人は私と義姉妹の契を結んだんだ。」

「私の名は、関羽と申します。」

「鈴々は、張飛っていうのだ。」

「二人はね、すっごい強いんだよ!!盗賊なんかすぐにやっつけちゃうんだ。」

「そうなのか?」

 

白蓮さんはお連れの方二人に訝しげな目を向けます。

と、ここで星ちゃんがそんな白蓮さんに言いました。

 

「白蓮殿。このお二人の力を見切れぬようでは、更なる躍進は難しいですぞ。」

「そういうおぬしもなかなかの手だれと見える。・・・ひとつ勝負するか?」

「いや、やめておこう。今はまだその時ではないようだ。」

 

そう言って関羽さんが獲物を持ちましたが、星ちゃんは手を振って遠慮しました。

よく見ると、白蓮さんが複雑そうな表情をしています。

星ちゃんに、更なる躍進は難しいなどと言われたからでしょう。

でも、このままじゃいつまでたっても話が進みません。

ここは私が一肌脱ぎましょうか。

 

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「それで、皆さんはどのような用件でここにいらしたのです?」

「おお、そうだった。桃香、世間話をする為だけにここに来たわけではないだろう?」

 

私と白蓮さんの質問に、桃香さんと関羽さんが見合って考えています。

暫くして、桃香さんが話し出しました。

 

「白蓮ちゃん、暫く私達をここに置いてくれないかな?」

「桃香たちをか?」

 

白蓮さんの驚きに、関羽さんが申し訳なさそうに言いました。

 

「先ほどの桃香様の話通り、私達はこれまで村々を転々としながら賊どもを倒してきました。しかし、報酬などは最低限のものしかもらっておらず最近は賊も影を潜めつつあるようで、その報酬すら得るのが困難な状況で、ここ数日は食事もままなら無い状況なのです。」

「そうなのだ。愛紗がケチだから鈴々全然食べてないのだ。」

「それは、お前が人一倍食欲旺盛だからだろ、鈴々!!」

「てへへ。ごめんなのだ。」

 

張飛さんの役どころが何となく分かりました。

 

「おねがい、白蓮ちゃん!!私達働くから、暫くここに置いて!!」

「おねがいします!!」

 

そう言って頭を下げる、桃香さんと関羽さん。

そして、頭を下げようとしない張飛さんを、関羽さんが無理やり下げました。

 

「私としては桃香の力は知っているし、昔馴染みだから置いてやりたいのは山々だ。だが・・・。」

 

そう言って、白蓮さんは私達の方向を向きました。

内政は私と稟ちゃん、軍事は星ちゃんが行っているので、私達にお伺いをと言う事でしょう。

 

「私は構いませんよ。皆さん実力があるようですし。人数は集まってきましたが、それをまとめる将が、実質星さんしかいませんから、実力者なら大歓迎です。」

「風も稟ちゃんと同じ意見ですよ。別に構いません。星ちゃんは?」

 

星ちゃんは、答えが決まっているのにうーんと唸りながら何やら考え込む仕草をしました。

 

「そうですな、私も特に異論はありませぬ。稟の言う通り兵を束ねる将が私と白蓮殿だけでは心もとないですしな。それに・・・。」

「それに?」

「私の訓練の相手が白蓮殿では少々心もとなかったものですからな。関羽殿や張飛殿となら楽しめるやもしれません。」

「・・・どうせ私なんて中途半端な普通の武将だよ。」

 

白蓮さんがいじけてます。

 

「いやいや、白蓮殿は立派な武将ですぞ。ただ、ここにもっと凄い武将がいた。それだけのこと。」

「自分を誉めるか、私をけなすかどっちかにしろ!!」

「はははは。」

 

星ちゃんは相変わらずのようです。

 

「それで、白蓮ちゃん。私達・・・。」

「あっ、そうだったな。みなが問題ないのであれば、暫くここにいてくれて構わないよ。」

「ありがとう!!」

 

そう言って桃香さんは、白蓮さんに抱き付きました。

 

「おいおい、桃香!!苦しいって!!」

 

桃香さんの胸の脂肪に白蓮さんが苦しがっています。

別にうらやましくは・・・ありません・・・。

 

暫くの抱擁の後、桃香さんは改めて私達の方向を向きました。

 

「そういえば、自己紹介がまだだったね。私の名は劉備、真名は桃香って言います。」

「風の名は程立、真名は風です。」

「私の名は郭嘉、真名は稟といいます。」

「我が名は趙雲、真名は星です。これから宜しく、桃香殿。」

 

まだ真名で呼んでいいとは言われてないのですが、教えてもらったという事で劉備さんの真名を呼ぶ星ちゃん。

ですが、これに納得していない人がいたのです。

 

「まて!!まだ桃香様から真名で呼んでいいと言われてないではないか!!」

 

関羽さんが立ち上がって怒りました。

その行動に対し、意外にも劉備さんが怒りました。

 

「愛紗ちゃん!!私達、これからここでお世話になるんだよ!!その相手に真名を預けられないなんて信頼されないよ!!」

「ですが・・・。」

「私は、真名で呼んでもらってもいいと思ったから真名を教えたんだよ。みんなもそうだよね?」

 

そう言って私達に同意を求める劉備さん。

その迫力に私達はうなずくしかありませんでした。

 

「ほら。だから愛紗ちゃんも鈴々ちゃんもね。」

 

そう言って二人に真名を預けるように促します。

 

「わかりました・・・。・・・私の真名は愛紗だ。これからよろしく。」

「鈴々は鈴々なのだ!!」

 

こうして、桃香さん達3人が加わりました。

この先どうなるか分かりませんけど、楽しくはなりそうです。

 

「おーい、私を無視して盛り上がるなよー。」

 

なにやら声が聞こえてきますが、聞こえなかった事にしましょう。

 

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それから数日、桃香さん達はだいぶ馴染んできました。

今まで星ちゃんしか出来なかった兵站作業が、愛紗さんも加わりいっそう効率よくなりました。

鈴々ちゃんは、そういった細かい作業には向いていないのですが、実力は折り紙付きなので兵士さん達の鍛錬を行っています。

その人柄で兵士さんたちの間でも人気が高いようです。

 

桃香さんは、白蓮さんや私たちと一緒に内政を担当してもらっています。

白蓮さんとかぶる部分がありますが、それはそれ。

今まで以上に効率よく作業が進んでいるのは事実です。

 

一緒に行動していくうちに、桃香さんに英雄の器を感じるようになりました。

相手が誰であろうと関係なく言葉をかけ応対する姿。

その全てを受け止めるだけの器。

白蓮さんもそれなりにあるとは思いますが、桃香さんの比ではありません。

 

そんな風に感じながら、充実した毎日を送ってました。

 

そんな矢先、ある噂が舞い込んできました。

 

「天の御遣い?」

 

稟ちゃんの言葉に白蓮さんが首をかしげます。

 

「はい、何でも流星に乗った天の御遣いがこの地に降り立ち、乱世を救うという事だそうです。」

「すごーい!!白蓮ちゃん、その人が私達の味方になったらもう大陸は平和になるよ!!」

「いや、ただの噂だしなぁ。」

 

考えがかなり飛躍した桃香さんに対し、白蓮さんは冷静でした。

 

「ですが、乱世というほど、今の世は乱れているのか?」

「そうですね〜。言われるほど乱れているとは思えませんねぇ。ですが・・・。」

 

星ちゃんの質問に冷静に答えましたが、含みを持たせのは訳がありました。

他の国に放った斥候からの報告ですと、盗賊の動きが活発化しつつあるようですし、地域によっては飢饉などが起きているようです。

ここでは、私達の頑張りでそう言った問題は起きてません。

 

「なるほど。その盗賊達の事や飢饉が酷くなれば民の心は乱れ、世も乱れるというわけか。」

「そうなりますね〜。それに朝廷の動きも気になりますし。」

「賄賂の横行や好き勝手な政治のせいで、今の朝廷への不満はよく聞くからな。」

「そうですね。その不満に対し何もしなければ民の反乱が起こるでしょう。」

「そうなれば、それに乗じて、力ある諸侯達が決起するでしょうね〜。」

「乱世の世の中になるというわけか・・・。」

 

私達は意見を出しあっていましたが、それに乗っかってこない人が約2名いました。

 

「そんな難しい話、鈴々には分からないのだ!!」

「そうだよ!!もっと分かりやすく言ってよ!!」

 

鈴々ちゃんはともかく、桃香さんはこれくらい認識して欲しいものですが・・・。

 

「とにかく、今は平和でもこのままの状況が続くと乱世になる可能性があるから、さっきの天の御遣いの話も単なる噂というわけでもないかもしれないと言うことです。」

「じゃあ、天の御遣いさん、来るの?」

「いえ、そうとも限りません。」

「でも、来ると考えた方が楽しいよね。来てくれないかなぁ、天の御遣いさん。」

 

夢見心地な桃香さんに少し呆れてしまいましたが、この前向きで明るい雰囲気は今の世の中には必要なのかもしれません。

 

「それで、その天の御遣いが降り立つと噂しているのは誰だ?」

「はい。なんでも管輅という占い師が言い回っているとか。」

「占いか・・・。私はそういったものはあんまり信じないのだがな。とにかく、この天の御遣いの話はあんまりしないようにしよう。」

「それがいいですね〜。存在しないものに民の心が奪われるのは良くないですからね〜。」

 

ここの太守は白蓮さんですから、白蓮さん絶対主義にしておけばそこまで乱れることもないはずです。

それにはこの天の御遣いという存在は、今のところ不要です。

 

この天の御遣いの話は、この時だけの話だと思ってました。

ですが数日後、この話を思い出させる事態が発生するのです。

 

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あとがき

 

すみません、また日数がかかってしまいました。

 

その2と言うことで、白蓮の下に桃香達3人が来ました。

白蓮と桃香達のこの繋がりは、今後の展開にはおそらく必要になるだろうと言うことでこの話となりました。

 

当初、出会い→紹介→1つの戦いという流れで、親睦を深める予定でしたが

戦いの描写が思った以上に難しく、それを省く形での話となってしまいました。

ここは猛省せねばというところです。

 

次回は彼が登場する予定です。

 

今回もご覧いただきありがとうございました。

説明
恋姫無双2次小説、風ストーリーのその2です。

タイトル通り、風の視点で物語が進行していきます。

今回は、白蓮の下に新しく3人の仲間が加わります。

誤字脱字報告、叱咤激励、感想をお待ちしております。
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コメント
だれが一刀をゲットするかな。(ブックマン)
一刀の到着間近!!(キラ・リョウ)
流星一刀号発射ー!(ヒトヤ)
ただいま流星の射出準備を整えております いましばらくお待ちください^^(nanashiの人)
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真・恋姫無双 恋姫†無双  白蓮   桃香 愛紗 鈴々 

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