PokemonSM CosmosEpic 20:エーテルパラダイスにて
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エーテルパラダイスにて

 

コニコシティに戻ってきたヨウカとリーリエは、ライチに案内されてアクセサリーショップの中に入っていた。

 

「いいものたくさんあったね、リーリエちゃん」

「はい、どれも素敵でした!」

「喜んでもらえてよかったよ、またいつでもおいで」

「「はいっ!」」

 

売られているたくさんのアクセサリーに二人の少女は目を輝かせ、それぞれ気に入ったアクセサリーを購入した。

途中リーリエがなにを買おうか迷ったこともあったが、ヨウカの薦めで二つを購入、一方はリーリエ個人のものでもう一つはヨウカとお揃いのものだ。

 

「あ、いたいたーっ!」

「あっハウくん!」

 

そこにハウが駆けつけて、ヨウカ達に声をかけてきた。

 

「3つの試練を、ハウくんも突破してきたんだね」

「うん!

ライチさーん、おれねー、これから大試練にいどみたいんだー!」

「そうかい・・・ふふ、待ってたよ」

 

また挑戦者がきたにも関わらずライチは落ち着いた態度で接してきた。

 

「おれもねー、じーちゃんほど強くないけどー!

でもどのバトルもゼンリョクで楽しんでいるよー!」

「・・・ハラさんはハラさん、ハウはハウだもんね。

それぞれのやり方で、自分らしく進めばいいよ」

 

ライチの言葉にハウが白い歯をみせてにかっ笑ったとき。

奥の方から白い服の団体が姿を見せてこちらに歩み寄ってきた。

 

「あの人達は・・・エーテル財団の人達かな?」

「・・・!」

「リーリエ?」

 

不意にリーリエが帽子を深くかぶり視線を逸らした。

そんなリーリエの様子をハウが気にしてたとき、そのエーテル財団の団員がヨウカに用件を話す。

 

「ヨウカさん、ですね?」

「あ、はい」

「ザオボー殿から、用事が済んだようならエーテルパラダイスへ足を運んでほしいとのお達しです」

「あ、そうだったぁ!」

 

そのエーテル財団の団員にいわれて、ヨウカは思い出した。

確かザオボーと名乗ってた老人に、用事もとい大試練が終わってからでいいからエーテルパラダイスにきてほしいと言われたのだ。

そうなった経緯は、彼と団員とポケモンをスカル団から救ったからそのお礼の形だということも。

 

「んで、そのザオボーって人はいないの?」

「あ、はい・・・忙しい身なのでと告げて、今はあちらでお待ちです。

私をうそつきにしないように、あなたには必ずきてほしいとのことです」

「へぇー!

おれもみてみたいなー、エーテルパラダイスー!」

 

そこに割り込んできたのはハウだった。

だがハウには大試練があるはずだと思ったヨウカは、すぐにハウに確認をとる。

 

「え、ハウくん大試練は?」

「やるよー、エーテルパラダイスから戻ったら!」

「・・・ほんま、マイペースやね・・・」

 

ハウも一緒にいくと告げるとエーテル財団の職員はかしこまりましたと返事をし、二人に港にくるように告げる。

彼が去った後でヨウカはリーリエにもどうするかを問いかけた。

 

「リーリエちゃんはどうする?」

「え、エーテルパラダイス・・・ですか・・・?」

「?」

 

エーテル財団がでてきたときからどこか様子がおかしい。

そんなリーリエの様子を心配していると、彼女は少しどもりつつも首を横に振る。

 

「あの、私まだ・・・ククイ博士のお手伝いがあるので・・・行けないんです・・・ごめんなさい」

「そっか、忙しいならしかたないねー」

「・・・」

「気にしないでよリーリエー、またあえるんだし、そんときにまた一緒にあそぼー!」

「・・・はい」

 

申し訳なさそうにしているリーリエにたいし、いつもの態度で接するハウ。

ライチも、まずはいってきていいよとハウがエーテルパラダイスにいくことを止めなかった。

こうしてヨウカとハウの2人は、エーテルパラダイスに向かうことになった。

 

「じゃ、じゃあ次はウラウラ島でお会いしましょう」

「うん、またね」

「じゃーねー!」

 

ヨウカとハウはエーテルパラダイスへ向かうため、

 

「・・・」

 

リーリエはすぐには立ち去らず、ヨウカとハウの姿を見えなくなるまで見届けていた。

 

「・・・ごめんなさい・・・」

 

その姿はどこか悲しげであり、その口からでる消えそうな声で、リーリエは謝罪の言葉を告げていたのだった。

 

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「お待ちしてましたよ、ヨウカさん」

 

人工島、エーテルパラダイス。

船に乗ってそこに到着したときに迎え入れたのは、あのザオボーだった。

 

「あ、ザオボーって人だ」

「へー、この人がザオボーって人なんだ」

 

目の前にいる老人をみてヨウカとハウはそう話をした。

自分が誘ったのはヨウカだけだったはずなのに、ハウが同行していたことにザオボーは苦しい顔をした。

 

「まさか、同行者がいたとは・・・」

「この施設をみたいっていうから連れてきたんですよ、いいでしょ?

ダメだというならあたし達このまま帰りますけど」

「い、いやいや!」

 

ハウを連れて立ち去ろうとしたヨウカを、ザオボーはあわてて呼び止めた。

 

「貴女には是非、代表に会ってもらわなければ!

もし貴女に帰られてしまったら、私は嘘つきになってしまいますゆえっ!」

「・・・はいはい」

 

彼の必死の制止が効いたのか否か、ヨウカはハウとともにエーテルパラダイスに入っていった。

奥の部屋に行こうとしたハウを止めつつエレベーターで上の階層に移動した先で、穏やかな微笑みを携えた眼鏡の女性に出会った。

 

「よくいらっしゃいました」

「んっ?」

「私はビッケと申します。

あなた達がザオボーさんの仰ってた子達ですね?」

「ええ、スカル団に絡まれてた我々を救ってくれたトレーナーです」

 

ザオボーはビッケと名乗った女性に向かって話を続ける。

 

「それとビッケ、ここでは私の立場を強く主張するためにも、私のことは支部長とおよびなさいといつも仰ってるでしょう?」

「はい・・・支部長。

では後のことは私に任せてください、無事に代表の元へお送りしますわ」

「うむ、では頼みましたぞ。

私はこのエーテル財団の存在を大々的にアッピールしなければならないという大仕事がありますので」

 

そのやりとりのあとでザオボーは去っていき、2人は今度はビッケに案内される。

 

「・・・島巡りをしているってことは、お二人は11歳なんですね」

「「はい!」」

「親元を離れて行動しているんですよね・・・苦労はないですか?」

「うん、大変だよー、でも楽しいよー。

どういう場所へ行ってなにをするかとは自分で考えて決めるしー、どんなポケモンと一緒にいるかはおれ達でいつも決めてるよねー」

「そうそう」

「・・・そう、ですよね・・・。

その年頃の子なら、自分で考えて行動しますよね」

「え・・・?」

 

そうつぶやくビッケの寂しげな表情が印象に残ったが、そのつぶやきと表情の意味を訊く前にエレベーターは保護区エリアに到達した。

そのエリアには自然が多く存在しており、水が流れ木々が生えていて、たくさんのポケモンが生き生きとしていた。

 

「うわぁ・・・すごい!」

「ここでは、多くの保護されたポケモン達が生活しているのですよ」

「どれだけのポケモンがここで保護されてるのかなー?」

「人間の手では限界がありますしね・・・どこまで踏み入れていいものかどうかも、私達で決められるものではありません。

でも、手の届くところまではとおもって、みんなここで活動しているのですよ」

「へぇ・・・」

 

ふとヨウカの記憶によみがえったのは、このエーテル財団に苦手意識を抱いているらしい、ツキトのことだった。

彼は胡散臭いと言っていたものの、未だにそれを感じるところはヨウカは気付いていなかった。

 

「こちらに、エーテル財団の代表がおられますよ」

「どんな人なんやろ?」

「ねー」

 

ヨウカとハウが代表のことを気にしていると、視界に金色のものが入ってきた。

それは髪であり、全体的にスラリとした人間のようでもあった。

 

「・・・愛しいポケモン達・・・私がずーっとずーっと・・・守ってあげますからね・・・」

 

その女性はそう独り言を漏らしつつ、ヨウカ達の存在に気づき振り返り、その姿を彼女達に見せた。

 

「・・・!」

 

ヨウカは目を丸くした。

代表と呼ばれた人物は、ボリュームも長さもある金色の髪に翡翠色の瞳に、白い肌の美女だったからだ。

だが、その女性は誰かに似ている気がした。

女性は2人の顔を見ながら、穏やかな表情で自己紹介する。

 

「私がエーテル財団の代表を務めている、ルザミーネともうします」

 

そんなルザミーネにたいし、ヨウカとハウも自己紹介をする。

 

「あ、あたしはヨウカっていいます」

「おれはハウでーす」

「よろしくね」

 

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「ルザミーネさんって若くて綺麗なのに代表を務めるなんてすごいなぁー!」

「もう、ハウくんったら」

 

ハウのその発言に対し、ルザミーネはくすくすと笑って衝撃の事実を彼らに告げた。

 

「これでも私、40を越えてるのよ」

「えっ・・・?」

「へー、そっかぁもうそんなトシ・・・」

 

ヨウカは一瞬訊き間違いをしたのではないかと目を丸くした直後、ハウは少しの間の後で驚く。

 

「えぇえぇぇぇえぇっ!?

ホントなの、それーっ!」

「本当よ」

 

これで40を越えている年齢・・・と、ヨウカとハウは戸惑いの色を隠せずルザミーネの容姿を改めてみた。

 

「・・・にしても、2人とも・・・」

「どうかしましたか?」

「そのファッションは、少しダサイのではなくて?」

「えっ」

「2人はそれ、自分で選んできてるの?」

「あ・・・は、はい・・・ハウくんも?」

「うん・・・でも、ダサイと言われるとは思わなかったよー」

 

何故ここでファッションの話題なんだ。

そうつっこみたかったが、つっこめなかった。

 

「なんなら、私がコーディネートしてさしあげましょうか?」

「えー、でもルザミーネさんみたいなファッションが似合うのはリーリエくらいだよー!」

「・・・!」

 

ハウの発言にたいしルザミーネは驚いたが、すぐにさっきよりやや厳しい感じの顔になると、ハウに向かっていった。

 

「・・・安心なさい、全て私に任せておけばいいの!」

「えっ?」

「子供は親のいうとおりにしていれば、美しく、それでいて幸せになれるものなのよ」

「・・・」

 

その発言に対しヨウカはなぜか、恐怖を感じた。

自分も母親には結構甘えてばかりいた気もするし、母の言うことは聞いてきたつもりだ。

だが、それでも、このルザミーネの主張には、言うなれば違和感のようなものを感じていた。

 

「心身が傷つき、ここで保護されているポケモン達もそう・・・。

私がここにいる、全てのポケモン達の母となり、愛情を注いでいくのです・・・!」

「そういう気持ちで、代表やってたんだねー」

「そうですよ」

 

ルザミーネの続く主張にヨウカがまた、違和感のようなものを感じたとき、エーテルパラダイスが揺れた。

 

「うわっ!?」

「なんなん、今の揺れっ!?」

 

地震かな、と思ったそのとき真上に異変が生じる。

空間がゆがみそこに大きな穴のようなものがあく。

 

「・・・!?」

 

それはヨウカが前に空で見たものとにていた。

 

「穴っ・・・なのかなっ・・・!?」

 

その開いたものから、海月のようなものが姿を現した。

それと対面したヨウカは思わず、その海月のようなものにたいし問いかける。

 

「だれ・・・?」

「じぇるるっぷ・・・」

 

言葉が通じているのかもわからず、声のようなものを出しててもなにを行っているのか解らない。

穴、そしてそこから出てきた未知なる存在に対しハウはあるものを連想しそのまま口にだした。

 

「・・・もしかしてあれって・・・ウルトラビーストってやつ・・・!?」

「えっ!?」

「あわわわわ・・・る、ルザミーネさん・・・逃げようよー!

ここ危ないよー!」

「・・・」

 

ハウが慌ててルザミーネを逃がそうと説得したが、ルザミーネはそのポケモンのようなものに目を向けたかと思いきやふぅ、と切なげなため息をもらす。

 

「かわいそうに・・・この世界に迷い込んで、困っているのねこの子は・・・」

「うぇぇ!?」

 

ルザミーネはそのポケモンのようなものに対し手を伸ばす。

だがそのポケモンのようなものは力をためてそれを放ち、彼女達に攻撃を仕掛けてきた。

 

「ニャーくん、ひのこでむかえうって!」

 

その技をヨウカはニャーくんを繰り出し技を放たせたことで相殺し、そのポケモンのようなものと対峙する。

ロトムに確認をとるが、データにないと答えられてしまう。

直後にそれはどくの技を放ってきたが、ニャーくんはそれをかえんほうしゃで相殺して、口から火をこぼしつつ相手を威嚇した。

 

「じぇるるっぷ・・・」

 

ヨウカとニャーくんをみて適わないと判断したのかそれは、穴の中に戻っていき、数秒後にはその穴は閉ざされていた。

危機一髪、と思ったヨウカはずれたヘアバンドを直しつつ汗を拭き、背後にいたハウとルザミーネの無事を確認する。

 

「ハウくん、大丈夫!?」

「うん、へーき・・・」

「ルザミーネさんも、ケガしてませんか?」

「ええ、大丈夫よ」

 

とりあえずハウにもルザミーネにも怪我がないと知ったヨウカは、あの得体の知れないものを相手に戦ってくれたニャーくんにありがとう、とお礼を告げてボールに戻す。

 

「・・・また、迷い込んでくる可能性があるわね・・・」

「・・・そうかもしれませんね・・・」

 

もしもあれが、ウルトラホールであり、そこから出てきたポケモンらしきものがウルトラビーストだったとしたら。

どうすればいいのだろう、とヨウカが疑問を抱いているとルザミーネが自分からその対策を語り出した。

 

「あの子達も、私達エーテル財団で保護してあげましょう」

「えぇ、そんなことできるのー!?」

「・・・すぐに用意するわ・・・。

大丈夫、あの子達も私が守り、愛情を注ぎます」

「ほえー・・・」

「・・・そのためには・・・あの子が必要だけどね・・・」

 

最後の言葉は聞き取れなかったが、それを呟いたときにルザミーネは笑みを浮かべていたのがわかった。

 

「・・・?」

 

その一瞬の笑みが、不気味に感じたヨウカは肩を少しふるわせた。

 

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ウルトラビーストの乱入騒動が起きたが一瞬で終わったので、ハウとヨウカは次の目的地へ向かうためここでこの場を去っていくことになった。

彼女達がエーテルパラダイスを去ることになり、ルザミーネはビッケに声をかける。

 

「ビッケさん、このお二人はまだ旅の途中だそうだし・・・そろそろ

送り出した方がいいでしょう。

ウラウラ島へ向かう船のところへ、案内してあげて」

「了解しました、代表」

 

ビッケはルザミーネの指示を聞き、ヨウカとハウにまた、自分について行くように告げて2人を乗せてエレベーターを操作する。

 

「では、また!」

「まったねー!」

「またね」

 

ハウとヨウカは元気よくルザミーネに手を振って別れを告げる。

ルザミーネは初対面の時と同じ優しげなほほえみを浮かべて、そっと手を振りかえした。

彼女と別れてからヨウカ達はビッケについて行き船が止まっている停泊所に戻り、船に乗り込んだ。

 

「ウラウラ島いきの船しか出てないから、まずはウラウラ島へいこー!」

「そこからハウくんはアーカラ島行きに乗って、大試練やね」

「うんー」

 

ビッケは最後にヨウカとハウにあるものを差し出した。

 

「こんなものしかあげられませんが、旅先でどうぞ」

「わーい!

マラサダだマラサダだーっ!」

「おっきい・・・ありがとうございますっ!」

 

ハウとヨウカは大きいマラサダを受け取り、嬉しそうに笑う。

そんな2人の表情をみてビッケもほほえむ。

 

「あなた達の島巡りが、良いものでありますように・・・」

 

そう言葉を残したビッケは暖かい微笑みを2人に向けて、ウラウラ島へ向かう船を見送ったあと、ルザミーネの元へ戻った。

 

「・・・ふぅ・・・」

「あの二人は、このエーテルパラダイスから旅立たれたようです」

「そう、わかったわ」

 

戻ってきたビッケの報告を聞いたルザミーネはあの笑みを消して、高いヒールの音をその廊下に響かせながら歩き、エレベーターに乗ると保護区とは別のエリアに移動した。

 

「・・・この後はどういうご予定だったかしら?」

「例の研究の成果に対するレポートの確認、そして、今回のウルトラスペース開通による研究結果の確認がございます」

「・・・そうね・・・ついにあそこへの扉が開いたんだものね・・・。

僅かな残り香だけでも成功したのだから・・・これはやっぱり本物を用意した方が成功率も範囲も、グンとあがるということね・・・」

 

そう語るルザミーネの口角は曲線を描いており、その翡翠色の瞳は暗みを宿して光を消していた。

 

「待っててね・・・私のかわいい子達・・・会いに行ってあげる。

ずっとずっとずっと・・・愛してあげる・・・。

美しい世界・・・最高のパラダイス・・・私もすぐ・・・そこへいくわ・・・」

 

ルザミーネはクスクスと笑いながら、自分の生活スペースに入っていった。

そのときの微笑みも声も、不気味で冷たいものがあった。

 

「・・・」

 

ビッケは一人、もの悲しげにあるものに目線を向けたのだった。

そこにはルザミーネらしき人物と、男性、そして幼い男の子と女の子が写った写真が入った写真立てがあった。

 

 

説明
あの女性の登場です。
私の中ではある意味、今までのポケモンのキャラでもトップクラスのやばい人ですね。
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