スマブラ Abandon World 22「二人の小さき勇者」
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 スマブラ四天王は水と食糧を持って、散らばった仲間を探しに出かけていた。

 途中でゾンビやブロブに襲われたりもしたが、全て退けていた。

「仲間はかなり遠いが、水と食糧は十分だし、節約しながら進んでいけば大丈夫だろ」

「……な、何僕をじろじろ見てるの?」

 リンクは、カービィをじっと見つめていた。

 理由は、カービィが水と食糧を独り占めすると思っているからである。

「そんな変な目で見ないでよ、リン兄。流石の僕も、独り占めしたりはしないよ」

「本当にしないなら安心だぜ」

「まったく、疑わないでよねー」

 スマブラ四天王は互いに信頼し合う関係だが、この世界では徐々にそれが崩れ始めていた。

 それでも、いつか元の世界に戻れると信じ、彼らは仲間を探している。

「一体どのくらい進めばいいんだろう」

「さぁ、な。とりあえず真っ直ぐ進めばいいんじゃないか?」

「うん、そうしよう!」

 

「あれ」

 スマブラ四天王は真っ直ぐ進んだが、そこには大きな岩がぽつんとあるだけだった。

「やっぱり、ここには仲間はいないか……」

 諦めてその場を立ち去ろうとした瞬間、突然、岩ががたがたと動き出した。

「なっ……!?」

 その岩は口を大きく開いてマリオ達に襲い掛かる。

 どうやら、通常の岩に擬態した魔物のようだ。

「こんな魔物までいるのかよっ……!」

 リンクは剣を構え、他のメンバーも戦闘態勢を取ったところで岩の魔物が吠えた。

 

「はっ! っち、硬いぜこいつは!」

 リンクは剣で動く岩を斬りつけたが、硬さに阻まれダメージを与えられなかった。

「こういうのには大抵、弱点があるからな。それを探せばいい」

 マリオがファイアボールで牽制しつつ、ピカチュウが電撃で攻撃する。

「えーいっ!」

 カービィはハンマーを振り下ろして動く岩をバラバラにした。

 しかし、動く岩はすぐに元に戻り、岩の巨人と化してカービィに腕を振り下ろした。

 あれが命中したら、ひとたまりもない。

 マリオは急いでカービィの前に立ち、代わりに攻撃を受ける。

「うわぁ、どうしよう!」

「このくらいの失敗で挫けるなよ! 次で取り戻せばいいだろ!」

「うん、そうだね! ってうわぁ!」

 今度はカービィに向かって岩が飛んできた。

 カービィは岩を吸い込んでストーンをコピーし、腕を石にしてアッパーカットを繰り出す。

 岩の巨人は吹っ飛ばなかったが転倒させる事に成功し、マリオは岩の巨人にファイア掌底を浴びせる。

「よし、これは効いたな!」

 岩の巨人は反撃として腕を振り回しピカチュウを吹っ飛ばす。

「ってぇ!」

「何とかして弱点を見つけないとな……」

 リンクは相手の弱点を探そうとするが、それを相手が許すわけがなかった。

 飛ばしてくる岩を盾で防御しつつ、リンクは相手をじっと見る。

 すると、額に僅かに傷ができているのを発見した。

「みんな! あいつの弱点は額だ!」

「そうか! リンク、ありがとよ!」

 リンクのアドバイスで皆が岩の巨人の額を狙うと、岩の巨人はそうはいかないと額を腕で覆う。

 すると、カービィはホバリングをした後、岩の巨人の腕をストーンで押し潰した。

「今がチャンスだよ!」

「おう!」

 その隙にリンクは勇者の弓、ピカチュウは電撃を岩の巨人の額目掛けて放つ。

 すると、岩の巨人の身体が見る見るうちに崩れ始めていく。

「これで、とどめだ!!」

 そして、マリオが炎を纏った掌底を岩の巨人に繰り出すと、岩の巨人は木っ端微塵に砕け散った。

 

「はぁ……まさか、行き止まりに着くとはな」

「ここに仲間はいないから、引き返そうか」

「そうだな……」

 

 先ほど行った道を引き返した後、マリオ達は改めて仲間を探した。

「こっちがダメだから次はこっちかな」

「目印はやっぱりないけど、何もしないよりはましだよね」

「無駄足で食糧とかを消費しなきゃいいんだがな」

「え〜! お腹ペコペコはやだよ〜!」

「だったらちゃんと仲間を探すんだな……って、おい!」

 マリオ達が歩いていると、ピカチュウが血痕を発見した。

「どうした、ピカチュウ」

「ここに血痕があるぜ」

 飛び散っている血痕は赤黒く、既にここで戦いが行われていた事が分かった。

「えっと、誰が戦ってたんだろう」

「分からないが、仲間である事は確実だな」

「ええ? って事は、早く助けないと死んじゃうって事?」

「……その可能性はあるな」

「だったら、早く助けなきゃ!」

「あっ、待て!」

 そう言って、カービィは走り出した。

 マリオ、リンク、ピカチュウはカービィの後を追っていった。

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 その頃……。

 

「うぅ、なんでこんなに敵がいっぱいいるの……」

 緑の服と帽子が特徴的な二人の少年剣士が、ゾンビやブロブと戦っていた。

 こどもリンクとトゥーンリンクである。

 二人の服には血の跡がついており、長く戦闘が続いていた事が伺える。

「この世界はボク達みたいなのにも優しくない世界みたいだ。

 どっちかが全滅するまで終わらないみたいだよ!」

「だったら、早くやっつけなきゃ……!」

 そう言ってこどもリンクは弓を構えて炎の矢を放つが、

 体力が減少していたのか矢は明後日の方向に飛んでいってしまう。

 そして、ゾンビ達は二人に向かって腕を振り下ろした。

 二人は攻撃を受けないように盾を構えたが、蓄積した疲労の影響でばたりと倒れた。

 

(あぁ、ボク達はここで……)

(死んじゃうのかな……)

 

「なんだか嫌な予感がする……」

 走っていくうちに、リンクは冷や汗をかく。

 助けようとした仲間が、最悪の状況になってしまう可能性を考えたからだ。

「リン兄……」

「ああ……もしも神様がいるなら、みんなを助けてくれよ……」

「リンク! そんなに暗くなるなよ! 死亡フラグなんか俺達でへし折ってやろうぜ!」

 後ろ向きになっていくリンクをマリオは激励する。

「そうだな、マリオ。希望の光はまだあるはずだ」

「その光を消しちゃダ……」

 その時、カービィの腹(?)の虫が鳴る音がした。

「……うん、お腹空いちゃった」

「ほら、食糧だ」

「えっ、たったこれだけ?」

「仕方ないだろ、貴重なんだから」

 マリオから渡された食糧の量にカービィは不満そうな表情になるが、今は仕方ない事だと諦めた。

 そして食糧を食べた後、マリオ達は再び先へ進んでいった。

 

 やがて、スマブラ四天王は仲間がいると思われる場所に辿り着いた。

 そこで彼らが見た光景、それは――

 

「コリン君!!」

「トゥーン!!」

 ボロボロになって倒れている、こどもリンクとトゥーンリンクだった。

 マリオ達は大急ぎで彼らに駆け寄った。

 幸い、息はあるようでまだ生きているが、既に満身創痍と言える程の重傷だった。

「生きててよかった……」

「よかったじゃねぇよ! お前ら、このままじゃ死んじゃうんだぞ!」

「確かに周りは敵だらけだしねぇ……」

 そう、カービィの言う通りゾンビやブロブが一行を囲んでいる。

 彼らに殺される前に、二人を救出、治療しなければならない。

「どうする?」

「俺はこどもリンク、カービィはトゥーンリンクをラストホープまで連れて帰る。いいな?」

「う、うん!」

 リンクはこどもリンクを抱きかかえ、カービィはトゥーンリンクを口の中に入れた。

「ひょにょにゃきゃにゃらあんしんだよ!」

「マリオ、ピカチュウ、お前らはあと一人の仲間を探してくれ」

「「了解!」」

 マリオとピカチュウはリンクとカービィが去っていくのを見送った後、

 それぞれの技でリンクとカービィを追う敵を全滅させた。

 そして、残り一人の仲間を探すために歩き出すのだった。

 

「大丈夫だ、リンク」

「俺達が、仲間を全員見つけてやる……!」

説明
こどもリンクとトゥーンリンクの共演は、スマブラSPでついに叶いましたね。
今回はそんな二人が主役のお話です。
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スマブラ 長編 こどもリンク トゥーンリンク マリオ リンク カービィ ピカチュウ 

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