短歌詰め合わせ5
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ニンゲンに産まれてこの体の中の細胞ひとつひとつがわたし

 

 

ふらふらと遠いとこから降ってくる星を拾って並べる仕事

 

 

成長をしていないわと気が付いてとりあえずまだ覚えてる九九

 

 

教養と知識がなけりゃ食い物にされる世界に生きてるお前

 

 

性善説信じし頃の真っ白で無垢な私を返せよ誰か

 

 

過去未来重なることのない線を越える絆という名の奇跡

 

 

生物に産まれ新陳代謝して今日もパルスは正常ですか

 

 

この世には多くのグレゴール・ザムザが居、わたくしもその一人なのです

 

 

人間がカムパネルラかジヨバンニの二択だとして私はザネリ

 

 

ビスコッティひとかじりする部屋の中モーターはうなり続けて深夜

 

 

人間は多面的なる生き物でそれを許してくれぬ顔本

 

 

あくまでもモブでありたし劇的な人生なんて疲れるだけだ

 

 

繊細なビスクドールに生まれれば何も映さぬ目玉は硝子

 

 

死にたいと思う日もあり一輪のカサブランカを右手に歩く

 

 

画一化された社会に気が付いて此処はとっくにディストピアだった

 

 

楽園へ逃げよう僕としっかりと握った手と手 飛び下りる橋

 

 

地に足の着かないままでわたしたち誰かが誰かの首を絞めてる

 

 

落ちられるとこまで落ちてブラジルに着いてサンバを踊って帰る

 

 

生物の定義すらまだ曖昧なこの世界には未知なる希望

 

 

 

 

〈付句〉

 

#夏の終わりを実感してる

 

 

草の香の薄れたぬるい風を受け夏の終わりを実感してる

 

 

早足で後ろに迫る締め切りに夏の終わりを実感してる

 

 

オリオン座見えるよというつぶやきに夏の終わりを実感してる

 

 

雨上がり夜道に虫の声響き夏の終わりを実感してる

 

 

 

#もっと有意義なことをしなよ

 

 

昨日今日明日明後日明々後日もっと有意義なことをしなよ

 

 

 

#思ったよりも儚い背骨

 

 

今生の君を支える複数の思ったよりも儚い背骨

 

 

#そんなのはうそに決まっているでしょう

 

 

そんなのはうそに決まっているでしょうウソツキの舌は抜いておいたわ

 

 

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説明
2016年最後の投稿。2016年は創作面では実り多き一年でした。お世話になった皆様に多大なる感謝を。来年も楽しく短歌を詠みたいです。

2016年12月31日 16:44
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