東方気安神 第五話・別宇宙天明記
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金髪の青い瞳を持つ魔女。

それがテンメイの特徴だった。

 

姿形は黒い巫女という表現が似合う。

 

このテンメイは別宇宙のテンメイであり、天明であったテンメイとは縁もゆかりもないのだが、それは事象上の出来事でしかない。

 

ドッペルゲンガーとは確実に違うテンメイがこの宇宙にはいると信じていた。

 

テンメイとテンメイ。

差別化されるのは”黒い巫女”というところである。

 

そして魔女とは本来宇宙をも超える事が出来るのであるから、幻想郷の大結界を超えるのも容易かった。

 

 

安神郷に”ようやく”着いたテンメイはその黒い巫女装束を微動だにさせず飛ぶ。

安神郷の住民は徒歩での移動手段であり、何となくその飛ぶ姿は不穏を当たりに振りまいた。

 

ソラネはいち早くその姿を見つけると、浮き上がってその姿を追う。

 

「あなたは何をしに来たのですか?」

 

「私はテンメイを探しに来た。」

 

「それだけですか? ならば弾幕勝負です。」

 

ソラネとテンメイ。二人は弾幕ごっこをやっている。

 

「無駄な事を。この安神郷で私に弾幕勝負で勝てるわけがないのです。」

 

決着はついた。ソラネはテンメイをボコボコにすると再び話をし出す。

 

「テンメイなら、私の家にいますが、無条件で渡すわけにはいかないのです。

少しは聞き分けますか?」

 

「なら、会うだけなら良いわよね。」

 

「良いですが、変な考えは起こさない事です。」

 

「早くして。」

 

ソラネはテンメイをテンメイのいる家に連れて行く。

 

テンメイは家に上がると、すぐにテンメイを見つけ、

 

「あなたを感じていたの。その顔、テンメイに違いないわ。」

 

「誰だろう?」

 

「さぁ、本人に聞いて下さい。」

 

「テンメイよ。あなたの名前と同じ。」

 

「え?」

 

「さあ、行きましょう。幻想郷(らくえん)に。」

 

手を差し伸べるテンメイに困惑するテンメイ。

今更だが、二人のテンメイの容姿ははっきり違った。

別宇宙のテンメイは金髪碧眼の外国人である。外世界のテンメイは黒髪黒目のはっきりした日本人である。

 

その差異は異質なるものの融合であり、なんとなくソラネの目には映えた。

 

ソラネには引っ張られて行くテンメイと引っ張っていくテンメイ。どちらも止める事が出来なかった。

二人のテンメイは後で、龍神様の逆鱗に触れたことを彼女は知らない。

説明
死んでしまったソラネは暇をしている。
龍神様の元では満ち足りた生活だけがあり、矛盾すらない。
そういった天国にソラネは住んでいる。
その天国の名前は”安神郷”。
今代の龍神様の支配する郷だ。
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