英雄伝説〜灰と菫の軌跡〜 試作版その4
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〜エリンの里・ロゼのアトリエ〜

 

「な―――――――」

「ヌシは確か鉄血宰相の………」

「ク、クレア少佐!?」

「ベルフェゴールさん達みたいにリィンの身体から出てきたって事はクレア少佐もリィンの………!?」

「おいおいおい………!あの鉄血の忠臣の一人まで、リィンの使い魔になっているとか、マジで一体何があったんだよ!?」

クレアの登場に仲間達と共に血相を変えたサラは絶句し、ローゼリアは目を丸くし、マキアスとエリオット、ランディは信じられない表情で声を上げた。

「――――並行世界の皆さんにとっては”久しぶり”かもしれませんが、それはそちらの”私”なので、私にとっては皆さんは”お初にお目にかかります”。”元鉄道憲兵隊少佐”にして、リィン様の使い魔の一人………皆さんもご存じのクレア・リーヴェルトです。以後、お見知りおきお願いします。」

「クレア少佐が”元鉄道憲兵隊少佐”って………」

「そういえばそっちの世界の鉄血宰相は”巨イナル黄昏”が阻止された後殺されたんだったね。もしかしてそれが関係しているの?」

クレアの自己紹介を聞いたアリサが困惑している中、ある事に気づいたフィーはリィン達に訊ねた。

 

「はい。宰相閣下亡き後、私は”巨イナル黄昏”を復活させようとした宰相閣下達に協力した罪に対する判決として”鉄道憲兵隊並びにエレボニア帝国からの永久追放処分”を受けていますので、既に鉄道憲兵隊もそうですがエレボニア帝国政府からも私の軍籍や戸籍も抹消されています。なので皆さんにとっての並行世界である私の事は”少佐”と呼ぶ必要はありません。」

「クレア教官………」

「ク、クレア少佐が鉄道憲兵隊どころか、”エレボニア帝国から永久追放処分”って………」

「確かに”巨イナル黄昏”のエレボニアに解き放とうとしたオズボーン宰相達に協力したクレア少佐に罪がないとまでは言えませんが、どうしてそれほどの厳しい処分に………」

「………まさかそちらの世界では”鉄血宰相”の残照を残さない為に、鉄血宰相の死後あの男に近しい者達を排除したのか?」

クレアの説明を聞いたユウナが辛そうな表情をしている中、アリサとエマは不安そうな表情で呟き、ある程度の事情を察したユーシスはリィン達に訊ねた。

 

「はい………クレアさんの件で察していると思いますが、レクター少佐もクレアさん同様エレボニア帝国から永久追放されましたし、ヴァンダイク学院長とクレイグ将軍閣下も降格処分を受けた後、それぞれ国境――――ゼンダー門とタイタス門に”左遷”されてしまいました。」

「な―――――学院長まで!?」

「そ、それに父さんまでそんなことになるなんて、一体どうして………」

「………ヴァンダイク学院長―――いえ、元帥閣下はオズボーン宰相の元上司で、クレイグ将軍閣下はオズボーン宰相の副官だった上二人は正規軍の上層部だから、軍にオズボーン宰相の残照を残さない為にも処分をしたのだと思うけど………いくら何でもあの二人にまで処分を与えるなんて、やりすぎじゃないかしら?あの二人は”黄昏”には関わってはいない上、クレイグ将軍閣下に関しては”黒キ星杯”が現れた事で帝都中に現れた幻獣や魔煌兵の撃退の指揮を執っていたのよ?」

辛そうな表情で答えた並行世界のエマの話を聞いて仲間達と共に血相を変えたラウラは絶句した後驚きの声を上げ、エリオットは信じられない表情で呟き、サラは真剣な表情でリィン達に訊ねた。

「………お二人はオズボーン宰相の死後、”エレボニア帝国”に対して”反乱”を起こしましたから、反乱鎮圧後そのような処分を下されたのです。」

「何だと!?」

「どうしてあの二人がエレボニア帝国に対して反乱を………」

プリネの答えを聞いて再び仲間達と共に血相を変えたユーシスは信じられない表情で声を上げ、ガイウスは呆けた表情で呟いた。そしてリィン達はオズボーン宰相の死後のエレボニア帝国の結末を説明した。

 

”黒キ星杯”が現れた際に起こった混乱を利用して帝都(ヘイムダル)に突入したリウイ前皇帝率いるメンフィル帝国軍、ヴァイスハイト皇帝率いるクロスベル帝国軍、そして次期エレボニア側のカイエン公爵に内定したミュゼ――――ミルディーヌ公女を旗印としたウォレス将軍率いる領邦軍―――――”ヴァイスラント決起軍”がバルヘイム宮を占領、並びにユーゲント皇帝達アルノール家を”保護”し、”黒キ星杯”消滅後事の次第を知ったクレイグ将軍率いる第四機甲師団がバルヘイム宮を占領した三勢力の軍と対峙している所にオリヴァルト皇子率いるカレイジャスが帝都の上空に現れた。

 

”黒キ星杯”が消滅する前に行ったオズボーン宰相達の演説と”黄昏”発動前の帝都に高まりつつある”呪い”によって、メンフィル・クロスベル連合に対する憎悪の感情が強まった帝都の民達がバルヘイム宮を占領している三勢力の軍を第四機甲師団と共に睨んでいる中オリヴァルト皇子は三勢力の軍に説明、並びにバルヘイム宮の解放を要求した時、オズボーン宰相との戦闘を終えたリウイ達がペテレーネ達による転移魔術で現れると同時にリィンが駆る騎神――――ヴァリマールが現れ、三勢力の軍は帝位継承権がまだ残っていたアルフィンの要請によって”巨イナル黄昏”を発動させて世界大戦へと発展させようとしたオズボーン宰相率いる軍勢力の鎮圧、並びに”黄昏”の件についてオズボーン宰相を重用し続けていたユーゲント皇帝も予め知っていた疑いがあった為、真偽を確かめるために一時的にバルヘイム宮を占領した事をリウイ達が説明をした後、ヴァリマールが”黒キ星杯”消滅後のカレル離宮で討ち取ったオズボーン宰相の生首を掲げてオズボーン宰相が死亡した事を帝都の民達に知らしめ、オズボーン宰相が死亡した事を知った”呪い”の影響を受けていた帝都の民達の心が折られて泣き崩れたり絶望を感じている者達もいる中、オズボーン宰相の”死”に驚いたがすぐに立ち直ったオリヴァルト皇子は”真実”を確かめるために三勢力それぞれの”総大将”であるリウイ、ヴァイス、ミルディーヌ公女、そしてリィンとアルフィンと共にバルヘイム宮にいるユーゲント皇帝の元へと向かって行った。

 

ペテレーネ達によって”贄”の影響を受けていたアッシュの発砲によって受けた肩の傷が完治させられたユーゲント皇帝は事の次第をリウイ達から知らされて説明を要求された後、諦念の様子で自分が”贄”に選ばれた者によって暗殺された後オズボーン宰相が”巨イナル黄昏”を利用して世界大戦へと発展させ、最終的に”終焉”を迎えたゼムリア大陸全土をエレボニアが”全て”を呑み込む事で新たな時代を築き上げようとしていた事どころか、”百日戦役”の勃発すらもアルノール皇家に代々伝わっていた古代遺物(アーティファクト)――――”黒の史書”によって予め知っていながら、今まで”黒の史書”通り歴史が進み、”黒の史書”の内容を避けようとすれば、更にその内容が悪化する事を知っていた為既に未来を諦めていたユーゲント皇帝はオズボーン宰相のやり方を止めずに全てをオズボーン宰相に任せていた事を告白した。

 

その後三勢力は予めの打ち合わせ通り、ユーゲント皇帝にオズボーン宰相の件を含めた他国も巻き込んだ様々なエレボニア帝国の”大罪”を犯した責任の追及として現エレボニア皇帝からの退位を要求し、更にはアルフィンもエレボニアの帝位継承者の一人としてユーゲント皇帝の退位を要求し、それらの”要求”をユーゲント皇帝は反論する事なく従い、エレボニア皇帝最後の務めとして、リウイ達が見守る中帝都の民達に”真実”を演説し、”真実”を知った帝都の民達から様々な罵倒を受けながら三勢力の軍によって、皇帝退位後の”今後”について決まるまでは謹慎場所となるカレル離宮へと護送されて行った。

 

ユーゲント皇帝の演説前にリーゼロッテ皇女にリーゼロッテ皇女がユーゲント皇帝の跡継ぎ―――――エレボニアの女帝に即位する説得並びに交渉をした事でリーゼロッテ皇女からの了解を得ていた為、ユーゲント皇帝の退位後アルフィンとリーゼロッテ皇女が帝都の民達にメンフィル・クロスベル連合との和解、並びにリーゼロッテ皇女が成人を迎えれば次代のエレボニア皇帝へと即位する事、そしてリーゼロッテ皇女が成人するまではアルフィンが”エレボニア皇帝代理”を務める事を宣言、更には次期エレボニア皇帝に内定しているリーゼロッテ皇女が”七日戦役”、エレボニアの内戦、そして”巨イナル黄昏”を未然に食い止めて”元凶”の一人であるオズボーン宰相を討ち取った英雄――――”灰色の騎士”であるリィンを自身の夫――――”王配”に迎える事でエレボニア・メンフィル・クロスベルの三帝国が同盟関係となり、三帝国の同盟関係によってエレボニアを含めた西ゼムリア大陸全土の平和が長く保たれるであろう事、他国の大貴族の当主に内定しているリィンは決してリーゼロッテ皇女の王配という立場を利用してエレボニアの政治に介入せず自身はあくまで”妻”の一人になるリーゼロッテ皇女の身を守るだけの存在である事を宣言して帝都の民達に新たなる希望を持たせた。

 

そして、メンフィル・クロスベル・ヴァイスラントの三勢力は事の次第を西ゼムリアの他の勢力に説明して、三勢力の行動は決してエレボニア侵略の為の行動でない事や、リィン達の宣言が決して偽りではない事を示すためにリベール、レミフェリア、七耀教会、遊撃士協会を加えた国際会議を西ゼムリアに平和の礎となるであろう『西ゼムリア同盟』を提唱したリベールで開く事をリベール王国に要請し、三勢力が行った事の次第の真実を知るためにもリベール王国は要請を承諾し、その結果『不戦条約』、『西ゼムリア同盟』の調印の場となったリベール王国の”エルベ離宮”にて国際会議が開かれた。

 

国際会議で事の次第を説明した三勢力はリベールを含めた西ゼムリアの他勢力に全てを諦めてオズボーン宰相を重用し続けたユーゲント皇帝、オズボーン宰相に近しい人物達――――既に”巨イナル黄昏”を未然に防ぐために再びゼムリア大陸の地に降臨した”空の女神”による”神罰”を受けたセドリック皇太子を除いた”鉄血の子供達(アイアンブリード)”やセドリック皇太子に従って”黒キ星杯”でリィン達を含めた第U分校の前に立ち塞がったトールズ本校の生徒達の処分を西ゼムリアの各勢力の代表者である自分達が決めることでエレボニアを含めた西ゼムリアの民達のエレボニア帝国に対する怒りを鎮めさせる事を提案、三勢力とエレボニアのVIPであるリーゼロッテ皇女、アルフィン、そしてミルディーヌ公女達の提案にアリシア女王達は難色を示しつつも為政者としてリーゼロッテ皇女達の提案が西ゼムリアに真の平和を訪れさせる為に必要な事でもある事を悟っていた為、承諾し、話し合いを始めた。話し合いはユーゲント皇帝と”百日戦役”勃発を作った元凶の息子であるレクター少佐の処分に関しては考えの違いによって会議を一端中断して日を改めて会議を再開する程に延長したが、最終的にユーゲント皇帝はハーメル村跡の傍に建造する予定となる家に住んで一生ハーメル村跡に建造する予定となるハーメルの村人達の墓で冥福を祈りながら幽閉生活を続ける事、クレアとレクター少佐はエレボニア帝国からの永久国外追放並びにその身柄の預かりはそれぞれメンフィルとレミフェリアという結果に収まり、トールズ本校の生徒達は罪を償う為の奉仕活動として遊撃士協会や七耀教会の協力者として、西ゼムリアの各地で活動をしているそれぞれの勢力の関係者達の活動を新年度まで手伝わさせ、新年度からは奉仕活動によって空白となった本来トールズ本校で学ぶべきだった内容や進級から7月18日までの内容を本校、分校の教官達が組んだ特別カリキュラムによって補完して”黒キ星杯”が発現した日である7月18日を持って進級するという処分に収まった。

 

一方国際会議が行われている間に三勢力によるオズボーン宰相の討伐やユーゲント皇帝の退位を含めた出来事にオズボーン宰相を慕っている”衛士隊”や”革新派”に所属している正規軍が反感を抱いている事で将来内戦や三勢力に対する戦争が勃発する火種が芽吹きつつある事を悟っていたヴァンダイク元帥はオズボーン宰相の上司であった自分が三勢力に対して反感を抱いている者達を纏める旗印となってエレボニア帝国に対して反乱を起こし、その反乱で三勢力に加えて”革新派”ではない正規軍に三勢力のやり方に反感を抱いている者達を纏めて自分ごと抹殺させる事でオズボーン宰相の死によって立場が不安定になりつつある正規軍に手柄を立てさせる事で立場を守らせると同時にエレボニアの後の争いの火種を全て刈り取ろうとし、ヴァンダイク元帥の狙いを悟ってオズボーン宰相の元副官であった自分も責任を取るべきだと考えていたクレイグ将軍も第四機甲師団団長という立場ではなくあくまで個人としてその反乱に付き合い、これ以上血を流さずに争いを終結させる為に国際会議に参加するエレボニアのVIPであるリーゼロッテ皇女達の護衛としてVIP達に同行しているリィン達とサフィー達の代わりに護衛に参加していたユウナ達を含めた第U分校の面々を除いたオリヴァルト皇子率いる新旧Z組とその協力者達が新たにクレイグ将軍が抜けた後一時的に第四機甲師団を任せられたナイトハルト中佐率いる第四機甲師団、”ヴァンダール”の関係者が所属しているそれぞれの正規軍の機甲師団による反乱鎮圧に介入し、正規軍と反乱軍がぶつかり合っている間に反乱軍の本陣に潜入して反乱を起こした総大将であるヴァンダイク元帥とクレイグ将軍を戦闘による制圧、拘束した事で二人に降伏宣言をさせて反乱は鎮圧された。

 

反乱鎮圧後、エレボニアのVIP達が帰国した後に行われた軍法会議によって主犯格であるヴァンダイク元帥とクレイグ将軍はそれぞれ”准将”への降格処分を受けさせら、更には国境であるゼンダー門、タイタス門の新たなる責任者として”左遷”させられ、”衛士隊”はハーメル村跡近くに隠遁する事となるユーゲント皇帝の護衛任務扱いとして事実上の左遷、反乱に参加した他の正規軍の兵達も降格や左遷処分となり、ヴァンダイク元帥達と共に反乱に参加したトールズ本校の生徒達は”三勢力――――ミルディーヌ公女の読み通りに国際会議の間に反乱が勃発し、国際会議を終えた自分達が帰国するまでに早期鎮圧された為”、国際会議によって決められた処分がトールズ本校の生徒達に対する判決となった。

 

そして現在のエレボニアは新たな政治体制が整うまでの間に作られたメンフィル・クロスベル・ヴァイスラントの三勢力と元エレボニア帝国政府による”臨時エレボニア帝国政府”によってエレボニアの今後の政治が動かされ続けている事、また帝都防衛はクルトの父にして”ヴァンダール子爵家”の当主である”雷神”マテウス・ヴァンダールが帝都防衛の任務に当たっている第一機甲師団の団長として就任し、エレボニア皇族護衛並びにバルヘイム宮の警備はリーゼロッテ皇女自らの強い希望によってメンフィル帝国軍の皇族親衛隊――――現メンフィル皇帝シルヴァン、前メンフィル皇帝リウイ、そして次期メンフィル皇帝リフィアの親衛隊が持ち回りで務めている事を説明した。

 

「”巨イナル黄昏”を未然に防いだ並行世界のエレボニアは今、そのような状況に…………………アルフィン皇女殿下は本当にそれでよろしかったのですか?そちらの世界では”巨イナル黄昏”は未然に防がれたのに皇太子殿下は”空の女神”によって裁かれ、父君であられる皇帝陛下からは帝位を簒奪し、皇帝陛下をハーメルに幽閉し、更にエレボニアの政治は他国の介入によって動かされ続けていることに………」

事情を聞き終えた仲間達がそれぞれ様々な感情によって黙り込んでいる中ラウラは複雑そうな表情でアルフィンに問いかけ

「………正直な所思う所はあります。――――ですが、グランセル城でのシルヴァン皇帝陛下達との和解交渉の際に”七日戦役”を和解へと導いて頂いたリィンさんに嫁がなければならないという話が出た時にわたくしはリィンさんを含めたシュバルツァー家から受けた”恩”を返すため………そしてそんな恩を受け、アルノール皇家とも縁があるシュバルツァー家に”ユミル襲撃”の件を含めて散々仇で返すようなことを行い続けてきたアルノール皇家の”罪”を償う為にも、”今後どのような事が起こっても”――――例えばエレボニア帝国とメンフィル帝国との間に再び戦争が勃発しても夫であるリィンさんやその実家であるシュバルツァー家を一生誠心誠意支えることを決めた時から、エレボニア帝国とは決別していますわ。今のわたくしはメンフィル帝国に所属している一員として、メンフィル帝国やリィンさん達の為………西ゼムリア大陸の平和の為………そしてエレボニア帝国の為に事実上”お飾り”である”エレボニア皇帝代理”を務めているのですわ。」

「「……………………」」

「アルフィンさん…………」

「殿下………」

辛そうな表情で語った後静かな表情を浮かべて語ったアルフィンの説明にリィンとエリゼが静かな表情でアルフィンを見つめている中セレーネは心配そうな表情でアルフィンを見つめ、ユーシスは辛そうな表情でアルフィンを見つめた。

「その………皇太子殿下には”空の女神”直々からの神罰が下ったと仰っていましたが、具体的にはどのような内容の”神罰”だったのですか?」

「………セドリック皇太子はエイドスさんに頼まれたミントが”セドリック皇太子の時間を巻き戻して、赤ちゃんにしたんだ。”」

「――――つまりは”セドリック皇太子が今まで歩んできた人生を奪うと同時に、セドリック皇太子という存在を世から抹消し、新たな存在として新たな人生を歩ませる”―――――それが空の女神”が降したセドリック皇太子に対する”神罰”にしてせめてもの”慈悲”ですわ。」

「………エレボニアの世情を考え、可能な限り民達のアルノール皇家に対する反感を無くすために、世間には皇太子殿下は宰相閣下の死後、某所に謹慎させられていましたが反乱を起こしたヴァンダイク元元帥閣下達によって身柄を拘束され、反乱の旗印となる事を強要されましたが、皇太子殿下はそれを強く拒否、そして元帥閣下達に反乱を止めるように説得しようとした所、皇太子殿下の考えをよく思わなかった反乱軍の一兵によってその命が奪われた哀れな人生だったという事にしています。…………なお、この筋書きについても元帥閣下達からも了承を得られてるとの事です。」

「ちなみに赤子となった皇太子は、ユーゲント皇帝とプリシラ皇妃との間に生まれた”新たなるエレボニア皇子”という扱いで半年後くらいに生まれた事にして、その存在を公表するとの事よ。」

エマの問いかけに対してミントとフェミリンス、クレアとセリーヌはそれぞれ説明した。

 

「”今まで歩んできた人生を奪い、新たなる存在として新たなる人生を歩ませる”という”空の女神”の”神罰”にして”慈悲”か………」

「それに皇太子殿下とエレボニアの為に学院長と父さんは更に自ら泥を被っただなんて………………」

「見ようによってはある意味えげつない内容でもあるな…………それまでの人生が全否定されて、もう一度赤子からやり直す羽目になったんだからな。…………ま、鉄血の件で責められる事なく普通に生き続ける事ができるんだから、責任を取らされて処刑されるとかよりはよっぽどマシか。」

ガイウスとエリオットはそれぞれ複雑そうな表情で呟き、ランディは疲れた表情で溜息を吐いた。

「………ザムザ――――いや、”クルト”。皇族守護の任についていたヴァンダール家の一員として………かつての皇太子殿下付きの護衛としてそなたは皇太子殿下の件についてそれでよかったのか?」

「正直、複雑ではありますが皇太子殿下の件は納得しています。”黄昏”阻止後、オズボーン宰相に組していた皇太子殿下の立場は非常に危うい事になる事も気づいていましたし、オズボーン宰相の死によるショックで精神が崩壊し、ショックによる気絶の後に目覚めた後の皇太子殿下の精神は幼児退行していましたから、皇太子殿下にとってはよかったと思っています………辛い出来事も全て忘れて、オズボーン宰相達に組した件で誰からも責められることなくもう一度一から人生をやり直すことができるのですから………」

「クルト君………」

ラウラに問いかけられて静かな表情で語ったザムザの様子をサフィーは心配そうな表情で見つめた。

 

「こ、皇太子殿下がショックのあまり精神が幼児退行したって………!?」

「ありえん話ではないの。何らかの出来事で強いショックを受けて”廃人”になるという例も実際にあるしの。」

「………元々皇太子殿下はオズボーン宰相に対して強い憧れを抱いていた上、今の皇太子殿下に関してはもはや崇拝に近い状態だったものね………」

ザムザの話を聞いて仲間達と共に血相を変えたアリサが信じられない表情をしている中ローゼリアとサラは重々しい様子を纏って呟いた。

「そう言えばそっちのリーゼロッテ皇女って、何で自分達やバルヘイム宮の護衛をメンフィル帝国の皇族親衛隊に頼むことを強く希望して、その通りにしてもらったの?普通に考えれば色々な意味でおかしいんだけど。」

「………新姫様は内戦とオズボーン宰相達の件で、”エレボニア帝国軍自体を信用できなくなった為”、自身を含めた皇族関連の護衛をメンフィル帝国に頼んだのです。」

「エ、”エレボニア帝国軍自体を信用できない”って………!」

「内戦では貴族や領邦軍がエレボニア皇家に対して反旗を翻し、そしてオズボーン宰相が正規軍を掌握していたからこそ、そちらではオズボーン宰相死後正規軍の一部が反乱を起こした事を考えるとそちらのリーゼロッテ皇女殿下が貴族もそうだがエレボニア帝国軍に対して疑惑の目を向けるのも無理もない話ではあるが………何故、他国の皇族親衛隊の方が信用できるのだ?」

フィーの疑問に対して答えたミューズの答えを聞いたエリオットは信じられない表情をし、重々しい様子を纏って呟いたラウラはリィン達に訊ねた。

 

「………あの娘―――――リーゼロッテがお父様の跡を継ぐ事と引き換えにいくつかの条件をあの娘がわたくし達に要求しまして………その要求の内の一つがあの娘とあの娘のお付きの侍女にして親友の関係でもあるリーゼアリアが将来リィンさんと結婚する事で、そしてメンフィル帝国軍の派遣はそれに付随する形になるのですわ。」

「へ………リ、リィンとの………?」

「増々意味がわかんないんだけど。」

「つーか、そのお付きの侍女と一緒に結婚するとか、マジで何考えてるんだ?そもそもそのお付きの侍女の気持ちを全然考えていねぇじゃねぇか。」

アルフィンの説明を聞いたアリサが呆け、フィーは不思議そうな表情で首を傾げ、ランディは疲れた表情で呟いた。

「リーゼロッテ皇女殿下のお付きの侍女であるリーゼアリア――――リーアは私達の世界ではシュバルツァー家と親類関係に当たる貴族の子女でして。その関係で私と兄様は昔からリーアとの親交があり、私達はあの娘を妹同然に可愛がっていました。私同様兄様とは幼馴染の関係で、そして皆さんもご存じの兄様の”悪い癖”を考えればリーアが兄様の事をどう思っているかは皆さんも大体想像できるかと。」

「う”っ………」

「………なるほどね。」

「フフ、リィンらしいといえばらしいな。」

ジト目になったエリゼの説明を聞いたリィンが唸り声を上げている中仲間達がそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アリサはジト目で、ガイウスは苦笑しながらリィンに視線を向けた。。

 

「クスクス………――――話を続けるけどリーゼロッテ皇女がリィンお兄さんのハーレムにリーゼアリアお姉さんと自分も加えるようにして、それに付随してメンフィル帝国軍を自分たちの護衛に回すように要求した理由の話に戻すけど………リーゼロッテ皇女とリィンお兄さんとの婚約によってエレボニアはメンフィル・クロスベルと同盟を結ぶ事になる事やシュバルツァー家は今までの功績でメンフィルに優遇されている話はさっき説明したわよね?で、リィンお兄さんの将来の妻の一人になり、国家間の関係も関わるリーゼロッテ皇女に”何かあれば”、メンフィルにとっても都合が悪い上リィンお兄さん達”シュバルツァー家”の件もあるから、メンフィルはリーゼロッテ皇女に危害を加えるような事は絶対になく、むしろリーゼロッテ皇女を守る側だから、リーゼロッテ皇女にとってはメンフィル帝国軍の方が信用できるのよ。」

「ちなみにお父様とシルヴァンお兄様、そしてリフィアお姉様の親衛隊のみに限定した理由は皇帝直属の親衛隊ならばメンフィルの他の皇族や貴族の介入する余地はなく、またリフィアお姉様にとってエリゼさんは唯一の親友にして信頼できる家臣の上リィンさんも所属していた期間は短かったですがリフィアお姉様の親衛隊に所属していましたから、そんなお二人の将来の”家族”の一人になるであろうリーゼロッテ皇女殿下の事も無下にはできませんから、それをリィンさん達との親交で予め知っていたリーゼロッテ皇女殿下はリフィアお姉様の親衛隊も自分達の護衛に回して欲しい事を要求したのです。」

「ま、リウイお兄ちゃん達は”敵”には容赦しないけど、一度懐に入れた”仲間”に関しては大切にするから、オリビエとアルフィンの新しい妹もその”仲間”に入れて欲しかったからそんな条件を出したんじゃない?」

「………それとリーゼアリア先輩も婚約の件に含めた理由は、お二人がリィン教官と結婚する事で伴侶となる教官を通して親類関係になりますから、新姫様がリーゼアリア先輩を優遇する事に苦言する周りの貴族達の声を黙らせる為でもあります。今の新姫様にとってエレボニア帝国に所属している信頼できる相手はご家族であるプリシラ皇妃殿下とオリヴァルト皇子殿下を除けば、私とリーゼアリア先輩、そして第U分校と旧Z組の方々くらいだと思いますし………」

「それは…………」

「そしてそんなリーゼロッテ皇女殿下にとって第U分校が数少ない信用できる相手だからこそ、国際会議の護衛に第U分校を選んだという事か………」

「ハッ………今更な話、自分の所の貴族どころか軍も信用できず、戦争相手であった国の皇族や軍の方が信用できるなんて皮肉な話だよな。」

レンとプリネ、エヴリーヌとミューズの説明や推測を聞いたラウラとユーシスは複雑そうな表情をし、ヨハンは鼻を鳴らして呟いた。

「そっちの世界のリーゼロッテ皇女が自国の貴族や軍を信用できない理由はわかったけど、その信用できない相手には”皇室守護”の任に当たっていた”ヴァンダール家”も含まれているのかしら?」

「………恐らくは。僕達の世界のリーゼロッテ皇女殿下はそちらのリーゼロッテ皇女殿下と違い、アルノール皇家の血は引いておられず”養子”としてアルノール皇家に迎えられた方ですから、他者から見ればそんな養子のご自身が養父である皇帝陛下から帝位を簒奪したという風に見られますから、代々アルノール皇家守護の任に就いていた僕達ヴァンダール家も結果的にアルノール皇家の血も引かずに、ユーゲント陛下から帝位を簒奪して皇帝に即位することになるご自身に対して思う所はあると推測されているのだと思います。ただ、父を帝都防衛の任に当たっている第一機甲師団の団長に指名して頂いた上、父上と叔父上、そしてアルゼイド子爵閣下が近衛隊や衛士隊に代わる新たな皇家守護やバルヘイム宮守護の親衛隊をヴァンダール家とアルゼイド家主導によって発足する嘆願をし、その嘆願を受け入れて抱いた件を考えるとヴァンダール家とアルゼイド家は他の方々よりはまだ信用されている方だとは思っていますが………」

「クルト………」

「……………………」

サラの質問にザムザは重々しい様子を纏って答え、ザムザの様子をゲルドは心配そうな表情で見つめ、クルトは辛そうな表情で黙り込んでいた。

 

「そういえば………さっき、オズボーン宰相に近しい人達はそれぞれ中央から遠ざけられた話を聞いてから気になっていたんだが………父さんは何らかの処分を受けなかったのか?」

「はい。知事閣下は2年前の内戦終結を切っ掛けに宰相閣下とは意見が合わない事が多く、その事によって宰相閣下との関係は疎遠になりつつありましたから、その事実のお陰かと思われますが幸いにも知事閣下は三勢力から処分の対象に選ばれず、臨時政府に関わっているメンフィル・クロスベル関係者に一日でも早く臨時政府から撤収してもらう為に処分対象に選ばれなかった政府関係者にオリヴァルト殿下やヴァイスラント決起軍――――いえ、貴族勢力の関係者達と協力して新たな政治体制を築き続けています。」

「そうだったんですか………」

不安そうな表情で並行世界の父の事について訊ねたマキアスだったが、クレアから事情を聞くと安堵の表情を浮かべた。

「フム………それで話を戻すが、何故鉄血の忠臣の一人をヌシが引き取り、使い魔のしたのじゃ?」

「…………実は国際会議が開かれる数日前にミハイル少佐から、クレアさんの事について頼まれていたんです。―――――”要請(オーダー)”の件も含めてメンフィル皇家に優遇されている俺がリウイ陛下達にクレアさんの処分を軽くしてもらうように頼み、処分後はエレボニア帝国では生きていけない立場になるであろうクレアさんを引き取り、将来シュバルツァー家の当主になる俺の元で働かせてやって欲しいと。」

「へ………」

「何でそこでミハイルの旦那が出てきて、わざわざそんな事をリィンに頼んだんだ?」

ローゼリアの質問に答えたリィンの答えに仲間達が驚いている中マキアスは呆けた声を出し、ランディは困惑の表情で訊ねた。

 

「…………ミハイル従兄(にい)さんは私とは”従兄”の関係で、両親と弟を事故で亡くした私はミハイル従兄さんの実家に一時期”家族”の一員としてお世話になっていたからです。………リィンさん達程ではありませんが家族間の関係は良好でしたし、”鉄道憲兵隊”に就任してからも度々気遣ってくれましたから………」

「ハアッ!?って事はあの主任教官はあんたにとって従兄だったの!?」

「あ、あたし達もクレア教官とミハイル教官が親戚同士だなんて今初めて知ったんですけど………」

「………もしかして君は知っていたのか?」

「………ええ、まあ。情報局のプロフィールでお二人が親類関係である事は知っていました。」

クレアの説明にアリサ達と共に驚いたサラは驚きの声を上げ、ユウナは信じられない表情でクレアを見つめ、クルトに視線を向けられたアルティナは静かな表情で答えた。

「”星杯”での戦いでリィンさん達に制圧されて拘束された私とレクターさんは”星杯”消滅後、それぞれの処分が決まるまで三勢力の軍の厳重な警備の中カレル離宮の客室の一室に別々に幽閉されていました。そしてそこにリィンさんが訊ねてきて、リウイ皇帝陛下達に私の処分を軽くし、自分の元で働けるように取り計らうから、”早まった真似”――――閣下の後を追うような事はしないでくれと仰ってくれました。………リィンさんのお気持ちは嬉しかったですが、最初は厳しい処分――――それこそ”銃殺刑”の判決が下されても受け入れる所存でしたから、断りました。私は幾ら恩ある宰相閣下の望みを叶える為とはいえ、決して許されてはならない罪―――――何の罪もないミリアムちゃんを―――――私とレクターさんにとっては妹のような存在を騙して”黒き聖獣”を滅ぼす”剣”の為に、命が奪われる事を許容し、そして世界を”終焉”へと導く元凶の一人になろうとしていたのですから………」

「クレア少佐………」

「………先程の口ぶりだと、そちらの世界では鉄血宰相達はアルティナではなくミリアムを”剣”に選んだのか?」

クレアの話を聞いたアリサが心配そうな表情をしている中、ある事実に気づいたユーシスはリィン達に訊ねた。

 

「ああ。そもそも俺達の世界のアルティナは先程も説明したようにそちらの世界のアルティナと違って、メンフィル帝国所属――――つまり、他国に所属している人間だから、メンフィルの軍属でもなく政府関係者でもないアルティナだけをオズボーン宰相達の元に呼び寄せる”理由”がないし、ましてやメンフィル帝国は”百日戦役”と”七日戦役”によってエレボニア帝国が大敗させられた強国だから、幾らメンフィル・クロスベル連合と戦争するつもりであっても、その時点のエレボニアの”力”ではどう足掻いてもメンフィル相手に強権を振るう事はできなかったからだと思う。」

「そもそも並行世界の新Z組の方達からアルティナさんの件も聞いていましたから、万が一アルティナさんだけがエレボニア帝国政府・軍に召還されるような事があれば絶対に拒否し、”強硬手段”をとってでもアルティナさんを確保しようとして来た際は相手を”殲滅”してでもアルティナさんを守る事を予めリィンさん達にもそうですが、アルティナさんにも全力で抵抗するように言い含めていました。」

「………まあ、わたし達の世界には”予知能力”があるゲルドさんがいますから、もしわたしの拉致を企んでも未然に防がれたと思いますが………」

「そうね。もしそんな未来が”視えたら”その未来を回避するために間違いなく、教官達に教えたと思うわ。」

ユーシスの疑問にリィンとプリネはそれぞれ答え、静かな表情で呟いたルディの言葉にゲルドは頷いて同意した。

「そして不幸中の幸いなのか、”剣”に選ばれた事で”星杯”出現後意識を失わされてオズボーン宰相達と共に”星杯”の最終地点まで連れてこられたミリアムさんは、オズボーン宰相達の死後クレアさん達と違って処罰の内容も所属している”情報局”からの追放のみという比較的軽い処罰になりました。」

「ちなみに私達の世界のミリアムさんは情報局から追放された後、ユーシスさんの所に”押しかけて”、アルバレア侯爵家の関係者として働いていますわ。―――最もユーシスさんは”本当はどのような意味”でミリアムさんを引き取ったのかわかりませんが♪クスクス♪」

「クク、そういえばあの白兎はアンタに対しては特になついていたな?」

ツーヤの説明に続くように説明をしたミューズは意味ありげな笑みを浮かべてユーシスを見つめ、ヨハンは不敵な笑みを浮かべてユーシスを見つめた。

 

「お、”押しかけて”って………」

「まあ、ミリアムちゃんらしいといえばらしいですが………」

「……………………フン。ミリアムの事だから、さぞそちらの俺が根負けするようなやり方で認めさせたのだろうな。」

ミューズの話を聞いて仲間達と共に冷や汗をかいて表情を引き攣らせたアリサとエマは苦笑し、ユーシスは静かな笑みを浮かべて呟いた。

「………それで?話を戻すけど、リィンの誘いを蹴って厳しい処分を受けるつもりだったのに、どうして心変わりをしてリィンの使い魔になったのかしら?」

「………色々と理由はありますが、リィンさんからこう仰られたからです―――――『貴女はまだやり直せる機会があります。もし本当に己の罪を償いたいと思っているのならば、”死”に逃げず生きて償うべきです。そしてそんな貴女に死んで欲しくなく、生き続けて欲しいと思っている人達もいて、俺もその一人です』、と。」

「で、それに感動したクレアお姉さんは自分を立ち直らせてくれたリィンお兄さんに”恩”を感じて、その恩返しとして今後自身の人生全てをリィンお兄さんに捧げる為に、言葉通り自分の”全て”―――――それこそ心と一緒に”身体”をリィンお兄さんに捧げて使い魔になったって所かしら♪」

サラの問いかけにクレアが静かな表情で答えた後、からかいの表情で指摘したレンの指摘にその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「ちょっ、マーシルン!そんな生々しい話までする必要はないでしょう!?というかそういう事はせめて本人達のいない所でしなさい!後私のいない所でも!」

「全くこの娘は………どうしてこう、人をからかって遊ぶ言葉を次から次へと思いつけるのですか………」

「だってレンだし。キャハッ♪」

「………まあ、それもこれも兄様のいつもの”悪い癖”が原因の一つではあるのですが。」

「うふふ、旦那様は女性関連になるとまさに”天然”ですものね♪」

「そ、そうですね。その点に関してはその”天然”にやられてしまった一人として否定できませんし………」

「いや〜、娼館に誘っても必死に断り続けたあの初々しかったリィンが本当に成長したもんだねぇ。」

「ハア………女性関連になると罪深い性格になる教え子の性格を矯正できなかった事に関しては、教官として失格だと今でも思っているわ………」

「すみません、お兄様………エリゼお姉様達が仰った件に関しましては全く反論が思いつきませんわ。」

「う”っ………」

我に返ったデュバリィは顔を赤らめて指摘し、呆れた表情で呟いたサフィナにエヴリーヌは無邪気な笑みを浮かべて指摘し、ジト目のエリゼとからかいの表情を浮かべたアルフィンの言葉にステラは苦笑しながら同意し、フォルデが呑気そうな様子で呟いている中セシリアは疲れた表情で頭を抱え、セレーネは申し訳なさそうな表情でリィンに謝罪し、リィンは疲れた表情で唸り声を上げた。

「リウイやヴァイスよりもある意味性質が悪い男だな………」

「ご、ご主人様。」

「セリカ………貴方だけはリィンの事は言えないと思うわよ?」

(全くだの。ロカ嬢ちゃん達もそうだがお主の”使徒”達も全員、お主の”天然”にやられたようなものだの。)

呆れた表情で呟いたセリカの感想にシュリが冷や汗をかいている中ロカは苦笑しながら指摘し、ハイシェラは呆れた表情でセリカに指摘した。

 

「ったく、このリア充野郎は………ん?そういや、リィンは鉄血の血の繋がった息子でもあったな。もしかしてリィンの使い魔になったのはリィンが鉄血の息子だからって言うのもあったんじゃねぇのか?」

「ランディ殿、それは…………」

「そうですね………リィンさんが宰相閣下のご子息であるという理由も否定はできません。」

「……………………」

ランディの推測にラウラが複雑そうな表情をしている中静かな表情で同意したクレアの意思を聞いたリィンは目を伏せて黙り込んでいた。

「――――そういう訳ですから、私は大恩ある御方にして新たなる主である”リィン様”の使い魔の一人として持てる力全てを駆使し、皆さんを全力でサポートする所存です。………こちらの世界の私が犯した所業によってリィンさんが囚われ、ミリアムちゃんを失った皆さんからすれば私の言葉は信じられないかもしれませんが………」

静かな表情で呟いたクレアの意思を知ったアリサ達はそれぞれ黙り込んでいたが

「――――そんな事はありませんよ!並行世界でもクレア教官が味方である事は、あたし達にとっても心強い話ですよ!」

「ああ。トールズに通っていた頃から何度もお世話になっていた身としては本当にありがたい話だ。」

「ん。それにこっちに並行世界のクレア少佐がいる事で、わたし達の世界のクレア少佐の今後の動きがわかりやすくなるかもしれないし。」

「それにあんただったら鉄血宰相もそうだけど、こっちの世界のあんたや他の”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の連中への対策や連中が考えている今後の動きとかも思いつけそうだしね。」

「世界は違えど”星杯”の件で俺達に対する罪悪感があると思っているのならば、俺達の世界のリィン達を奪還し、そして”大方針”をやり遂げられるようにせいぜい足を引っ張らずについてくるがいい。」

「だから何で君はそんな上から目線なんだよ………」

「アハハ………改めてよろしくお願いします、クレア少佐。」

「皆さん…………本当にありがとうございます…………!それと先程も言ったように皆さんにとっての並行世界の私は既に軍属ではなくなった身ですから、私の事は気軽に”クレア”とお呼びください。」

ユウナの言葉を切っ掛けにユウナとサラ、フィーはそれぞれクレアに暖かい言葉をかけ、いつもの様子でクレアに指摘するユーシスにマキアスは呆れ、二人の様子に苦笑したエリオットは明るい表情でクレアを見つめ、ユウナ達の心遣いに思わず一筋の涙を流したクレアは涙をぬぐって頭を深く下げた後、優し気な微笑みを浮かべた。

「うむうむ、仲良きことはいい事じゃ!…………そういえば並行世界のリィン達の登場から気になっていたが、もしや並行世界の”騎神”の方もこちらの世界に来ておるのか?」

「あ…………っ!」

ある事が気になっていたローゼリアの疑問を聞いたエマは声を上げてリィンを見つめ

「そういや、”例の件”を試すためにもオレ達を先に行かせたけど、結果はどうやったん?」

「ええ、何とか無事成功しました。」

「幾らアタシ達の世界のロゼやヴィータ達の協力があったとはいえ、正直無理だと思っていたんだけどね…………」

「―――――メルカバを待機させている場所の傍に”彼”も待機させています。」

ケビンの質問に並行世界のエマは明るい表情で答え、セリーヌは苦笑し、リィンは静かな表情で呟いた後立ち上がった。その後リィン達はロゼのアトリエを出てメルカバが待機している広場に向かうと、そこにアリサ達にとって馴染み深い大型の人形が待機していた。

 

〜広場〜

 

「ぁ…………」

「ヴァリマール…………!」

メルカバの傍に待機している人形―――――”灰の騎神”ヴァリマールを見たアリサは呆けた声を出し、ラウラは信じられない表情で声を上げ

「うむ。こちらの世界のZ組は我にとっては”初めまして”になるな。皆も知っているように我は並行世界のリィンを起動者(ライザー)とした騎神―――――ヴァリマールだ。」

「ケビン神父の”メルカバ”がこの里に現れた時にはいませんでしたが………まさか”精霊の道”を使って、並行世界から騎神を呼び寄せたんですか!?」

「つーか、騎神もそうだが何で小嬢の妹のデカブツやオルディスの”実験”に使われた”神機”まであるんだよ!?」

ヴァリマールがアリサ達に自己紹介をした後困惑の表情を浮かべたエマは信じられない表情で自身の推測を並行世界の自分に訊ね、ランディは疲れた表情で声を上げてヴァリマールの周囲に待機しているパテル=マテルと白い神機――――”神機アイオーンTYPE-αII”を見回して声を上げた。

「フフ、騎神の”精霊の道”に空間を操るタイプ”α”、”匠王”と魔女の眷属(ヘクセンブリード)達の協力、そして”神殺し”の”使徒”になった事で”神殺しと繋がっている私による補佐”………私自身も正直成功する確率は万分の一くらいの低さと思っていたけど、まさか本当に成功するなんて私自身も驚いているわ。」

するとその時ヴィータがアイオーンの物陰から姿を現した。

 

「ヴィータ姉さん!?」

「まさか並行世界の放蕩娘まで来ておったとはの………ん?今ヌシは”神殺しの眷属の一人”と言っておったが………」

ヴィータの登場にアリサ達がそれぞれ驚いている中エマは信じられない表情で声を上げ、エマ同様信じられない表情でヴィータを見つめていたローゼリアはある事に気づくとセリカに視線を向け

「フフ………―――――初めまして”並行世界”のエマに婆様、そして”Z組”のみんな。”蒼の深淵”改め異世界ディル=リフィーナの”神殺し”セリカ・シルフィルの”第七使徒”ヴィータ・クロチルダよ。」

「えええええええええっ!?」

「へ、並行世界のクロチルダさんがエクリアさん達と同じセリカさんの………っ!?」

「い、一体何があって、ヴィータ姉さんがセリカさんの”使徒”の一人に………」

優雅な動作で名乗ったヴィータの自己紹介を聞いて仲間達と共に驚いたエリオットは思わず驚きの声をあげ、マキアスとエマは信じられない表情でセリカに視線を向け

「正直言って普通に考えればあまりにもくだらない理由よ………」

「セ、セリーヌ。」

呆れた表情で呟いたセリーヌの言葉を聞いた並行世界のエマは冷や汗をかき

「あら、”くだらない理由”とは失礼ね。私は一人の女として”星見の塔”の件でセリカに惚れて、”星杯”の件で心の奥底まで完全に奪われたのだから。エマがリィン君に抱かれて”使い魔”になったように、私もセリカの事を本気で愛しているからこそセリカに抱かれる事で”使徒”になったのに、それのどこが悪いのかしら?」

「ね、姉さん!」

「ハアッ!?」

「えええええええええええっ!?」

「な、なななななななっ!?」

自身の得物でもあるグリアノスの羽でできた扇を広げて妖艶な笑みを浮かべている口元を隠しながら答えたヴィータの説明に並行世界のエマが顔を真っ赤にして声を上げている中サラとエリオットは驚きの声を上げ、マキアスは顔を真っ赤にして混乱した様子でセリカに視線を向けた。

 

「やれやれ………あれだけ邪剣にしておきながら、”使徒”にしてまで受け入れてやるなんて、結局セリカも”男”と言う訳か?腹立たしい話じゃがヴィータはそこらの女達とは比べものにならないくらい容姿は相当整っている上、胸もわらわと違ってかなり大きい部類に入るしな。」

「う〜ん………それはないと思うよ?元々主(あるじ)にはその二つが揃ったエクリアちゃんとロカさんがいるのだし。」

「ん………それにセリカ………私やリタみたいな………小さな身体も………気にしない………」

「それに何よりもご主人様にはサティア様がいますから、ご主人様が浮気するなんて考えられませんよ〜。」

「というか前々から気になっていたけど既に私を含めた”使徒”達に加えてロカさんやリタちゃん達みたいに、多くの女性達と”関係”を持っている事はサティアさんにとっては”浮気”にはならないのかしら?」

「まあ、未来のサティア様はそれでもご主人様を愛しているから、多分サティア様にとっては浮気にはならないと思うわよ。」

「おい………そういう事はせめて、俺のいない所で言え。」

「貴女達ね…………私はともかくセリカ様にもそうだけど、ロカ様に対しても失礼でしょう?」

「ア、アハハ………」

「フフ、私は気にしていない所か、むしろ褒められているから嬉しいくらいよ。」

(クク、じゃが事実ではないか。それよりも先程から少々気になっていたが何故リタは『胸が大きい美女』の一人である我を例にあげなかっただの。)

呆れた表情で呟いたレシェンテの言葉にリタとナベリウス、サリアはそれぞれ指摘し、エオリアの疑問にマリーニャは苦笑しながら指摘し、レシェンテ達の会話にその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中セリカとエクリアはそれぞれ呆れた表情で指摘し、ロカは苦笑し、ハイシェラは口元に笑みを浮かべた後リタに視線を向けた。

 

「こっの”神殺し”ならぬ”女殺し”め!何で並行世界から来た男連中は揃いも揃ってリア充野郎ばっかなんだよ!?」

「おーい。言っておくが俺はこの中で唯一婚約者どころか、恋人もいない身だからリィン達とひとくくりにしてもらいたくないんだが。」

「全くやな。ワイかてリィン君やセリカさんみたいにモテモテな男とちゃうくて、むしろランディ君みたいに羨ましがる側やのに。」

「それと俺は将来の伴侶はプリネ皇女のみなのだから、多くの伴侶達がいるリィン達と一緒にされるのは心外だな。」

「アハハ………お姫様のプリネさんやシスターのリースさんを恋人にしている時点で二人とも十分”リア充”な人達の中に入ると思うんだけどな〜。」

「それ以前にエヴリーヌはそいつとプリネが結婚する事を認めていないから!」

「そもそもヘタレのケビンがモテるなんて、天変地異クラスの出来事だから絶対ありえない。むしろ私という存在ができた事が”奇蹟”だから、私にもっと感謝すべき。」

悔しそうな表情でセリカを睨んで叫ぶランディにフォルデとケビンは苦笑しながら指摘し、静かな表情で指摘するレーヴェの言葉を聞いたミントは苦笑し、エヴリーヌはレーヴェを睨み、リースは静かな表情で指摘し、その様子を見守っていたアリサ達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「やれやれ………姉妹揃って、様々な意味で”規格外”な男に惚れてその男の”はーれむ”の一人になった上婚前交渉までしているなぞ、並行世界のわらわは一体どこで育て方を間違えたのじゃ?」

「いや、それ以前にアンタはそっち方面の教育はしなかったじゃない。」

疲れた表情で溜息を吐いたローゼリアの言葉を聞いたセリーヌはジト目でローゼリアに視線を向けて指摘した。

 

「アハハ………えっと、パテル=マテルはレン先輩………じゃなくレン教官として、その”神機”は誰か操縦する予定はあるんですか?」

「確か情報局のプロフィールによるとその”神機”の原型となった機体はかつて”クロスベル独立国”のディーター・クロイス元大統領自らが操縦したそうですが………」

苦笑しているユウナはリィン達に訊ね、アルティナは静かな表情で呟き

「フフ、勿論決まっていますわ。」

「僕達の機体はそちらの世界の僕達と同じで、アルティナ――――ルディは”ゴライアス”だ。」

「クク、そんでもって俺達にはそっちの新Zにはいないメンツがいるんだから、ここまで言えば誰がその機体を動かすのか明白だろう?」

「まさか――――――」

ミューズとザムザ、ヨハンの話を聞いて察しがついたクルトはゲルドに視線を向け

「ええ、その”神機”―――――”アイオーンαU”は私が操縦する機体よ。機甲兵はどれも私にとっては”合わなかった”けど、不思議とその機体は私にピッタリだったの。」

「恐らくパリエに”α”が合っている理由はその機体が機甲兵と違い、霊力を扱う機体でもあるからだと思いますわ。」

「はい。ゲルドさんは霊力の扱いのエキスパートである魔術師ですし………」

「とは言ってもゲルドさんもわたしのように機甲兵による”実戦”は未経験ですから、少々不安は残りますが………」

視線を向けられたゲルドは静かな表情で頷き、デュバリィとセレーネ、ルディはそれぞれ説明した。

「ま、逆に言えば実戦経験をして実戦になれて操縦が完璧になったら間違いなく、機甲兵戦は新Z組の中でトップクラスになるでしょうね♪――――いえ、それどころか、リィンお兄さんまで抜かれるかもね♪」

「ハハ、神機のスペックを考えれば、本当にそうなる可能性は十分に考えられますから冗談になっていないんですよね………――――そうだ、並行世界のZ組のみんなにこれを渡すのを忘れていたよ。」

小悪魔な笑みを浮かべて呟いたレンの推測にその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中苦笑していたリィンはある事を思い出すと、荷物から取り出した様々な武装をアリサ達に手渡した。

 

「これは………」

「どの武装も相当な霊力を秘めているな………」

「うむ。正直古代遺物(アーティファクト)クラスと言っても過言ではないぞ。」

手渡された武装の凄まじさを感じ取っていたラウラとガイウスは驚き、武装から感じられる霊力を感じ取っていたローゼリアは真剣な表情で武装を見つめ

「それらは私達の世界のアリサさん達―――――”旧Z組”が内戦時リィンさん達”特務部隊”と行動を共にすることを決めた時にレン皇女殿下――――メンフィル帝国から支給して頂いたセティさん達のご両親でもある”匠王”ウィルフレド・ディオン卿が直々に開発した武装です。」

「ええっ!?こ、これらの武装がセティさん達の………!?」

「はい。ちなみに武器にもそうですが防具にも私達の世界の様々な魔法鉱石に加えて”オリハルコン”も合成されていますから、例え”騎神”が相手でも生身でも十分やりあえるはずです。」

「というかリィンさん達の話だと、あたし達の世界の旧Z組の人達はリィンさん達と一緒に”蒼の騎神”相手に生身で戦って制圧したらしいけどね〜。」

並行世界のエマの説明を聞いて驚いているアリサにセティとシャマーラはそれぞれ説明し、二人の説明を聞いたアリサ達はそれぞれ驚いた。

 

「ええええええええっ!?へ、並行世界の僕達がこの武装を使って生身でオルディーネ―――――”騎神”相手に………!?」

「ひ、非常識な………」

「話から推測するとこの武装に使われている異世界の素材の中でもその”オリハルコン”って言う素材が一番の要因みたいだけど………その”オリハルコン”って一体どんな素材なのかしら?」

「――――”オリハルコン”とは伝承や文献等で出てくる『最も硬い鉱石』と言われている架空の鉱石の一種じゃが………まさか異世界に存在し、更にそれを加工する事ができる匠が存在するとはの。」

エリオットは驚きの声を上げ、マキアスは疲れた表情で呟き、サラの疑問にローゼリアは興味ありげな様子でアリサ達の武装を見つめながら説明し

「フフ、父様は私達にとっては世界一の”工匠”―――――職人ですから。」

感心している様子のローゼリアの言葉を聞いたエリナは嬉しそうな表情で答えた。

 

「しかし、何故並行世界の我らがこの武装を我らに託したのだ?」

「それは勿論世界は違えど”Z組”として、君達にせめてもの協力をする為さ。」

「並行世界のユウナさん達を助力する件で、自分達は行けない事を知ったアリサさん達はとても残念がっておられましたが………せめて、自分達の”想い”と共に戦って欲しいという意味を込めてその武装を皆さんに託す事を決められたのです。」

ラウラの疑問にリィンと並行世界のエマが答え、二人の答えを聞いたアリサ達はそれぞれ黙り込んでいたが

「フッ、世界は違えど考える事は同じという事か。」

「ん。もし逆の立場だったらわたし達がそうしていたかもね。」

「ああ…………――――異なる世界のオレ達の”想い”を届けてくれてありがとう。」

やがてユーシスとフィーは静かな笑みを浮かべて答え、ガイウスはリィンを見つめて感謝の言葉を述べた。

 

「その………”私”にまで託してくれてよかったのですか?私の場合は”私自身”がこちらの世界に来ていますのに………」

「はい。私はその代わりとなる武装がありますので気になさらないでください。」

エマに訊ねられた並行世界のエマは苦笑しながら答え

「………こっちのエマが今使っている武装は”空の女神”から貰った”外の理”でできた武装なんだから、むしろその”匠王”製の武装よりも性能は遥かに上だと思うから、”代用品”なんて言葉は間違っているでしょ………」

「何じゃと!?エマ、それは本当なのか!?」

「アハハ………うん。―――エイドス様から授かったこの魔杖は”聖杖ミリオンテラー”で、私が今身にまとっている防具は”聖衣フェニックスガーブ”という名前で呼ばれているってエイドス様は説明してくれたけど………」

セリーヌの話を聞いて血相を変えたローゼリアに訊ねられた並行世界のエマは苦笑しながら自身の武装を見せて説明し

「フフ………それと”空の女神”から”伝説の魔法(レジェンドアーツ)”も伝授されていたわよね?」

「アハハ………姉さんも武装もそうだけど、”伝説の魔法(レジェンドアーツ)”もエイドス様から授かっているからお互い様だと思うのだけど………」

「……………………」

「な、何か今の話を聞いて急に並行世界のエマだけ別人に見えてきたよね………」

「”空の女神”から武装を貰う事もそうだが、名前からしてとんでもない内容の魔法(アーツ)が使えるとか非常識過ぎる………」

「フフ、並行世界のオレ達の為にここまでしてくれるなんて、さすがは”空の女神”だな。ケビン神父、”空の女神”はやはり教会で伝えられている御方なのか?」

「ハ、ハハ………まあ、そんな所や………」

(絶対に間違っても”空の女神”の”本性”をウォーゼル卿にもそうだけど、こちらの世界の私達にも教えるわけにはいかないものね………)

ヴィータとエマの会話を聞いたアリサ達がそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中エマは石化したかのように固まって並行世界のエマとヴィータを見つめ、エリオットは困った表情をし、マキアスは疲れた表情で呟き、ガイウスに訊ねられたケビンは”空の女神”の”本性”を知っていた為冷や汗を滝のように流しながら答えを誤魔化し、リースは疲れた表情を浮かべていた。

 

「ええい、何なんじゃそちらの世界の”空の女神”は〜〜〜〜!?わらわに話を通すこともなく、そんなとんでもない事を放蕩娘どころかエマにまでしおって………ブツブツ………」

するとその時ローゼリアは疲れた表情で声を上げた後ジト目になってブツブツと呟きだし、それを見たその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「ハハ………―――――ともかく、改めてよろしく頼む。」

「うふふ、それじゃあ一端アトリエに戻ってまずはこれからの事について話し合いましょうか♪」

リィンは苦笑しながらアリサ達を見回し、レンは小悪魔な笑みを浮かべて今後の方針を伝えた。

 

こうして………活力を取り戻し、全てを取り戻す決意をしたアリサ達旧Z組は並行世界のリィン達という心強い援軍と共に”終焉”へと向かいつつあるゼムリア大陸の状況を変えるために行動を開始した―――――

 

 

 

-2ページ-

 

という訳で閃V篇はもう色々と原作改変だらけという事はよくわかったと思います(汗)しかし、リィン程ではないにしても新たな物語でもハーレムを増やしているヴァイスとセリカはさすがというべきでしょうか(笑)

説明
今回の話は今までの話より特にネタバレが酷いです(ガタガタブルブル)それでも良いという人達はどうぞ………
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