左利きの魔剣士64
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ルリはドアを一旦閉めてチェーンを外すと開けました。

 

「とりあえず中に入って?散らかってるけど」

 

「えっ…、俺が中に入っても良いのか?」

 

「いつまでもこんなところに突っ立ってられても困るのよ」

 

中は殺風景でまだ開いてない段ボールも山積みにされています。ルリはベランダで洗濯物を干し始めました。ジンはキッチンの食器を左手だけで洗おうとしますが、上手く出来ませんでした。

 

「触らないで!割られたら迷惑よ?」

 

「右腕がないとやっぱり不便だなぁ」

 

「今、義手についての勉強をしてるから、魔法で本物みたいに動く義手を作ってあげるわ?」

 

「そんなものが作れるのか?すげぇなぁ」

 

「まだ実験段階だけど教授たちも協力してくださってるし、私の魔力なら可能だってみんな言ってくれてるの」

 

「ルリの魔力はそんなにすげぇのか?知らなかった…」

 

「普通科にいたから計測不能だったみたい。クレス先生はずっと前から気づいてたらしくて、お母さんに私を魔法科に編入させるように、何度も言ってたそうよ?」

 

「メリッサはすごい魔力だってのはわかるんだが、あの魔剣の威力がヤバかった…」

 

「メリッサの記憶もなぜか残ってるの。この体は新しく生まれたから前の体とは違うはずなんだけど、メリッサの魂と私の魂は共鳴し合ってたみたいね」

 

「共鳴するってどう言う事だ?メリッサとルリは全く違うと思うけど」

 

「私とメリッサは魔力の波動が一致してたの。だから体を奪い取れたってわけ。誰でも体が適合するわけじゃないわ」

 

「妖精のルリの回復魔法がすげぇのもわかってたよ。怪我してもすぐ治してくれてたからな」

 

「そうね。回復魔法の成績は十段階中最高の優を取ってる」

 

「ルリは天才なんだな。凡人の俺とは大違いだよ」

 

「あんただって剣術に関しては右に出る者がいなかったじゃない?間違いなく剣術の天才だったと思うわ」

 

…つづく

説明
処女作の復刻版、第64話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。
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