左利きの魔剣士65
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ジンは哀しそうに目を伏せながら言いました。

 

「今はもうその才能も潰れちまったよ?」

 

「左手でも防衛はできるんでしょ?防衛を極めたら良いじゃない!今出来る事を頑張りなさない」

 

「左手では小剣のフルーレしか持てない。右手なら大剣のエペを持てたんだが、フルーレなんて女や子供が使ってるような護身用の弱い武器だぞ?」

 

「例え護身用でも身を守れるなら立派な武器でしょ?私はそれを弱いなんて思わないわ」

 

「わかったよ。攻撃技じゃなくて防衛技を極めてみる」

 

「ええ、あなたならきっと出来るわ?攻めるより守る方がずっと大変な技術だと思うの」

 

洗濯物と皿洗いが終わるとルリはジンと一緒に出かけました。夕食の買い出しの為です。

 

「何が食べたい?ジン」

 

「俺の為に何か作ってくれるのか?」

 

「あまり難しい料理は作れないけど」

 

「前に一度だけ食べたアレが食べたいな」

 

「アレって…もしかして紅い兄弟に襲われる前に食べたお弁当の事かしら」

 

「紅い兄弟の事は思い出したくないな…」

 

「私だって思い出したくないけど、その後のメリッサの記憶の方がもっと嫌だわ…」

 

「メリッサの記憶って、どんな記憶なんだ…」

 

「ブヨブヨの太った男も相手してたみたいよ」

 

「ごめん!聞いた俺が悪かったけど聞きたくない」

 

「この体は綺麗だと思うんだけど、心は穢れてしまってるわね」

 

「ルリの心はずっと綺麗なままだと思うぞ?」

 

…つづく

説明
処女作の復刻版、第65話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。
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