左利きの魔剣士69
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ジンが騎士団の宿舎に朝帰りしたので、ルームメイトのイノンドは尋ねました。

 

「おや?昨日はルリ殿のところへ行かれたようでしたが、随分と帰りが遅くなられましたな」

 

「ああ、初めての時はよくわかんなかったが…二回目の方が良いって場合もあるのか?」

 

「紅茶は一杯目より二杯目の方が美味しいと言いますが…」

 

「ルリの方は最初の一杯目だから、俺の方は良かっただけなのか…。でも俺が二杯目だからルリは良くなかったかもしれないな…」

 

「紅茶の話ですよね?」

 

「うん、こっちの話だから気にしないでくれ」

 

ジンはまたセルフィーユ王子に謁見の間へ呼び出されます。

 

「何かタメになるような面白い話をしてくれまいか?」

 

「タメになるような話かどうかはわかりませんが、王子は紅茶は一杯目と二杯目のどちらが好きですか?」

 

「二番煎じは良くないと言うが…。一杯目ではないのか?」

 

「実は一杯目より二杯目の方が美味しいとイノンドは言ってたんです」

 

「それは初耳だな。一体、どう言う意味だ?」

 

「どうやら俺たちは思い違いをしているのかもしれません。初めての方が良いと言うのはまやかしです。二番目の方が良い場合もある」

 

「確かに紅茶も一杯目は渋みが強いが、二杯目は口当たりが良くてまろやかになるのぉ」

 

「初めての時は訳がわからず、楽しんでいる余裕もないですが、二回目になると余裕が生まれて、上手く行く場合もあります」

 

「深い話だな。なかなかタメになったぞ?其の方には感謝する」

 

休日が来る前夜になると、ジンは必ずルリの部屋へ泊まりに行きます。

 

「初めての時より二回目の方が良いと感じたけど、三回目も悪くないな…」

 

「あんた、剣術よりそっちの方が才能あるんじゃないの?上達が凄まじいわ…」

 

「好きこそ物の上手なれって言うだろ?」

 

…つづく

説明
処女作の復刻版、第69話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。
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