英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜
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1月7日、PM4:30―――

 

 

メンフィル・クロスベル連合による”エレボニア帝国征伐”に加わる事を決めたリィン達は毎日様子を見に来ているエリゼが来訪するのを待っていた。

〜メンフィル帝国・マルーダ城・客室〜

 

「兄様、今よろしいでしょうか?」

「ああ、大丈夫だ。」

「……………………失礼します。」

リィンの許可を聞いたエリゼは部屋に入り、リィン達を見回して誰一人抜け出す事もせずに大人しく客室にいる事に僅かに安堵の表情を浮かべた。

「…………その様子だと、メンフィル帝国は俺達がここを抜け出してエレボニアに向かう事も警戒しているのか?」

「いえ…………兄様達の性格を熟知している私の独断によるものですから、毎日この部屋に来ている事にメンフィル帝国からの指示等ではありません。」

静かな表情を浮かべたリィンの問いかけにエリゼは複雑そうな表情で答えた後少しの間黙り込み、決意の表情を浮かべてある事を伝えた。

「―――兄様。本日メンフィル帝国軍によるトールズ士官学院からのヴァリマールの回収を終えました。ちなみに騒ぎを聞きつけたその場に現れたのはZ組の方々だけでなく、ヴァンダイク学院長とアルフィン殿下もいました。」

「え…………どうして、姫様がトールズ士官学院に…………」

「…………恐らく何の連絡もなく中々帰ってこないエリスお姉様が心配になって、お兄様が何か知っていないかを訊ねる為だと思いますわ…………」

「あ…………」

エリゼの話を聞いてアルフィン皇女がトールズ士官学院にいた理由を不思議に思ったエリスだったがセレーネの推測を聞くと辛そうな表情を浮かべた。

 

「そうか…………戦争状態になるとわかっている国にみすみすヴァリマールの保管を任せる事はしないと思っていたが、既に回収していたのか…………」

「…………?それでZ組の方々にもそうですがヴァンダイク学院長とアルフィン殿下にもメンフィルはユミルの件を理由にエレボニアを征伐するつもりである事を伝え…………――――ヴァンダイク学院長とアルフィン殿下には”メンフィル帝国政府の政治的判断”により兄様、セレーネ、そしてエリスの退学届けを渡しました。」

「…………っ!そう、ですか…………」

「メンフィル帝国とエレボニア帝国が戦争状態に陥ってしまう事を想定している以上、そうなってしまいますわよね…………」

ヴァリマールをトールズ士官学院から無理矢理回収した事に怒るどころか、冷静な様子で答えたリィンを不思議に思ったエリゼだったがすぐに気を取り直してリィン達に退学の件を伝え、エリゼの説明を聞いたエリスは息を呑んだ後セレーネと共に辛そうな表情を浮かべた。

「…………ヴァリマールがメンフィル帝国軍に回収されたのはちょうどよかった…………戦場でエレボニア帝国軍を圧倒して手柄を挙げる為にはヴァリマールの力も必ずいると思うしな…………」

「え……………………――――!?に、兄様…………まさかとは思いますが、メンフィル帝国軍による”エレボニア帝国征伐”に参戦なさるおつもりなのですか!?」

静かな表情で呟いたリィンの言葉を聞いたエリゼは一瞬呆けた後血相を変えてリィンに訊ねた。

「その”まさか”だ。」

「その…………エリゼお姉様。お兄様だけでなく、わたくしとエリスお姉様もメンフィル・クロスベル連合による”エレボニア帝国征伐”に参戦したいので、どうかリフィア殿下に待機指示からメンフィル帝国軍に加わる事ができるように取り計らって頂けないでしょうか?」

「な――――兄様だけでなく、セレーネとエリスまで”エレボニア帝国征伐”に…………!?―――いえ、それよりもどうしてメンフィルがクロスベルと連合を組んだ事をご存じなのですか…………!?」

リィンの後に答えてある事を頼んだセレーネの言葉に一瞬絶句したエリゼは信じられない表情でリィン達を見つめて問いかけた。そしてリィン達はメサイアに情報収集をさせて、その結果様々な状況を知る事ができた事や戦争に参戦する理由を説明した。

 

「そうですか…………プリネ皇女殿下達がメサイア様に…………そして兄様達はエレボニアの方々の為に、敢えてエレボニア帝国征伐に参戦なさるおつもりなのですか…………」

事情を聞き終えたエリゼは疲れた表情で溜息を吐き

「それでエリゼ。何とか待機指示が出されている俺達をメンフィル帝国軍の一員として加える事はできないか?」

「…………可能か不可能かで言えば”可能”です。元々兄様は待機指示が解かれた際はエレボニアの内戦を終結に貢献した事で実力が訓練兵時代よりも飛躍的に上がった事を考慮してでリフィアの親衛隊に所属する事が内定しています。それにメンフィル帝国人であるセレーネとエリスも”エレボニア帝国征伐”の為に現在メンフィルの民達に呼びかけている”義勇軍”の一員としてメンフィル帝国軍に所属する事が可能の上、編成の際は兄様と同じ部隊として配置する事は可能です。」

「そうか…………リフィア殿下の親衛隊に所属する事が内定していた話には驚いたが、それはそれで更に都合がいいな…………シルヴァン陛下の跡継ぎであられるリフィア殿下がすぐに俺達が挙げた手柄を知る事ができるしだろうしな…………」

エリゼの答えを聞いたリィンは静かな表情で呟いた。

「兄様、確かにメサイア様やプリネ皇女殿下達が仰ったようにエレボニア帝国征伐で様々な手柄を挙げる事ができれば、エレボニアの滅亡を防ぎ、アルフィン殿下の本来の処遇を軽くすることも可能でしょう。ですがその為には内戦の時とは比べ物にならないくらいの辛い道を歩まなければならない事は理解していらっしゃっているのですか?場合によってはZ組の方々と刃を交える事があるかもしれませんよ?」

「覚悟の上だ。そしてこれがその証拠だ。」

エリゼの問いかけに頷いたリィンはエリゼに太刀による斬撃によって二つに分かれた生徒手帳とARCUSを手渡した。

 

「これは……………………―――わかりました。兄様がその道を決めた以上、その背中を守り、そして支えるのが妹の…………婚約者の務め。エレボニア帝国征伐が始まるよりも前に兄様がリフィアの親衛隊に所属できるように取り計らいましょう。」

リィンから手渡された生徒手帳とARCUSを見て驚きつつリィンの”覚悟”をすぐに悟ったエリゼは真剣な表情で頷いて答えた。

「ああ、頼む…………!」

「セレーネに関してはルクセンベール卿が確かめるのが”筋”だから…………――――エリス、貴女までエレボニア帝国征伐に…………”戦争”に参戦するなんて、”本気”なの?」

「―――はい。姫様の為…………兄様を支える為に、私も剣を取って兄様達と共にエレボニア帝国征伐に参戦します…………!」

エリゼの確認に対してエリスは決意の表情で答えた。

「戦争に参戦するのだから当然敵国―――エレボニア帝国の軍人や貴族達の命を奪わなければならないのよ?”人と命の奪い合い”をすることは魔獣との戦闘とは訳が違う事はわかっているの?」

「勿論理解しています。…………と言っても実際にその状況に陥った事もない私の言う事では信用できないかもしれませんが…………それでも、もう私だけ兄様達に置いて行かれるのは嫌なんです…………!」

「エリスお姉様…………」

エリスの想いを知ったセレーネは辛そうな表情でエリスを見つめ

「本当は、戦争が終わるまで兄様達と共にユミルで待機してもらえるように手配しようとしていたのだけどね………………………………」

エリゼは複雑そうな表情でエリスを見つめて少しの間黙って考え込んだ後ある事をエリスに伝えた。

 

「―――一つ条件があるわ。」

「え…………”条件”ですか?」

「ええ。さっきも説明したようにメンフィルはエレボニア帝国征伐の為に民達も参戦できる”義勇軍”を臨時的に結成することを決めたわ。そして明日その”義勇軍”の所属を申し出た民達や新たに配属予定の訓練兵達に”人の命を奪う経験”をさせる為に、正規軍と共にメンフィル帝国の領土内に潜伏している賊の討伐を行うわ。貴女もそれに参加して一人でいいから賊の命を奪って、その戦いを経験してもなお、エレボニア帝国征伐に参戦すると言えるのだったら、貴女も参戦できるように取り計らうわ。」

「”あれ”か…………」

「お兄様はエリゼお姉様が仰った件をご存じなのですか?」

エリゼが口にした条件を聞いたリィンは複雑そうな表情で呟き、リィンの言葉を聞いたセレーネはリィンに訊ねた。

「ああ…………メンフィル軍はいつ”戦場”に配属されてもいいように訓練兵の内に”人の命を奪う事”を経験させるために、正規軍が定期的に行っている賊や盗賊団の討伐に参加させているんだ。…………勿論その討伐戦は今まで失敗した事がない上、どの討伐戦も圧倒的な勝利で賊達を殲滅しているけど、それでも”本物の実戦”だから、当然メンフィル軍からも死者が出る事はある。前から聞こうと思っていたけど…………やっぱりエリゼも既に”あれ”に参加して、賊の命を奪っているんだな?」

「はい。兄様はどうなされますか?訓練兵時代に経験しているとはいえ、その件以降今まで人の命を奪った事がないのですから、その感覚を思い出す為にも参加なさりますか?」

「そうしてくれ。エリスを傍で守る為にも…………そして、エレボニア帝国征伐に参加する前にもう一度人を”斬る”感覚を取り戻しておく必要があるだろうしな。」

「わかりました。…………恐らくルクセンベール卿も今の件を聞けば、その戦いにセレーネも参加する事を条件とすると思うから、セレーネもその戦いに参加する覚悟を今の内にしておいた方がいいと思うわ。」

「わかりましたわ。」

そしてエリゼはリィン達の件をリフィアに相談する為にリフィアがいる執務室を訊ねた。

 

 

〜リフィア皇女専用執務室〜

 

「リフィア殿下、よろしいでしょうか?」

「む?エリゼか。――入ってよいぞ。」

「…………失礼します。」

部屋の主であるリフィアの許可を取ったエリゼが部屋に入ると部屋にはリフィアの他にもツーヤがいた。

「ルクセンベール卿?リフィアに何か用があったのでしょうか?」

「ええ、例の戦争の件でマスターがリフィア殿下に用がありましたので。」

「…………そうですか。ルクセンベール卿もいらっしゃっているのでしたら、ちょうどよかったです。」

「???えっと………エリゼさん、あたしに何か用があるのでしょうか?」

エリゼが呟いた言葉の意味がわからないツーヤは首を傾げた後エリゼに訊ねた。

 

「その件についてはすぐにわかります。―――リフィア。兄様達の件だけど…………」

「む?ああ、待機場所をマルーダ城からユミルに変える件か。それならばリウイと父からも既に許可が下りたから、リィン達はいつでもユミルに帰郷してもよいぞ。」

「いえ――――兄様、エリス、それにセレーネの三人もメンフィル帝国軍の一員として、メンフィル・クロスベル連合による”エレボニア帝国征伐”に加わる事を希望しているとの事だから”エレボニア帝国征伐”時の兄様達が三人とも一緒の部隊に所属させたいから、その件についての相談をしたいの。」

「何じゃと!?」

「ええっ!?リィンさんとエリスさん、それにセレーネが!?エリゼさん、本当にリィンさんとエリスさんもそうですが、セレーネも”エレボニア帝国征伐”に参戦する事を自分の意志で決めたのですか!?」

エリゼから聞かされた驚愕の報告にリフィアと共に驚きの声を上げたツーヤは信じられない表情でエリゼに確認した。

 

「はい。兄様の”パートナードラゴン”として、そしてセレーネ個人としても今回の戦争に参戦する事を決めたとの事です。」

「―――すみません、リフィア殿下!今からセレーネに会って確認したい事がありますので、少しの間失礼します!」

そしてエリゼの答えを聞いたツーヤは血相を変えて部屋から退出し

「…………エリゼよ。何故リィン達はエレボニア帝国征伐に参戦する事を決めたのじゃ?余もそうじゃが父やリウイ達もトールズやアストライアに留学している件でエレボニア人達と親しくなったリィン達がエレボニア帝国征伐の件を知れば、戦争を止める為に何らかの行動を移す可能性が確実じゃと思ったから、予めエレボニアからリィン達を離して戦争が終わるまで一か所に待機させ続けるつもりだったのに、何故そのリィン達が参戦の意思を…………」

ツーヤが部屋から退出するとリフィアは困惑の表情でエリゼに訊ねた。そしてエリゼは事情を説明した。

 

「…………なるほどの。プリネ達が”方法”を教えたとはいえ、まさか本当にその”方法”を取る事に決めるとは…………」

「…………ちなみにこれが兄様の”覚悟”よ。」

事情を聞き終えたリフィアがその場で考え込んでいるとエリゼがリィンから渡された手帳とARCUSをリフィアの目の前の机に置いた。

「二つに斬られた手帳と戦術オーブメント…………?」

「―――兄様のトールズ士官学院の生徒手帳とARCUSよ。」

「なぬっ!?そんな大切な物をこのような有様にしたという事はリィン達は”本気”という事なのか…………」

エリゼの答えを聞いたリフィアは驚いた後真剣な表情で手帳とARCUSを見つめた。

「それで早速で悪いのだけど、その件で相談があって――――」

こうして…………リィン達はエリゼの手配によって義勇兵や訓練兵も同行するメンフィル帝国軍による賊の討伐戦に参加する事になり、翌日

 

 

 

1月8日、同日12:00―――

 

〜メンフィル王公領セルノ・バルジア統合領・街道〜

 

街道を十数両の馬車が駆けていた。そして先頭の馬車が先に進む道が倒木によって先に進めない事に気づくと馬車を止め、先頭の馬車が停車すると後続の馬車達も次々と停車した。そこに両側から無数の矢が襲い掛かり、馬車の周囲や馬車に矢が刺さった!

「ヒハハハハハ!メンフィル軍や領主共は”エレボニア”とかいう国との戦争の準備で俺達みてぇな連中に構う暇はねぇらしいからな。今が稼ぎ時だぁ!野郎共、金目の物と女を根こそぎ奪え!男は皆殺しだぁっ!!」

すると両側にある森から人相の悪い男―――主に街道を通る商人の馬車等を襲撃する賊が出てきて部下達に号令をかけ

「オオオオオォォォォ――――ッ!!」

号令に対してそれぞれの武器を掲げた部下達はそれぞれ下卑た笑みを浮かべて馬車に襲い掛かった。するとその時馬車の幌の中から次々と姿を現した銃口から銃弾が襲い掛かった!

「え”…………」

「い、一体何が…………?」

「ぐふっ…………!?」

「いてぇよぉ…………!?」

「俺の足がぁぁぁぁぁっ!?」

銃弾に心臓や頭を撃ち抜かれた賊達はその場で絶命し、運悪く手足に命中した賊達は痛みに呻いていた。

 

「なっ、一体何が…………!?」

「!?お、お頭…………!う、上…………!」

「上だと…………?な――――」

突然の出来事に呆然とした賊のリーダーは部下の言葉を聞いて空を見上げて雲の中から現れた戦艦――――”マグナニム”を見ると絶句した。

「誰が戦争の準備で忙しくてお前達のような外道共を討伐する暇がないって?」

するとその時馬車から槍を持つ碧髪の青年が現れて不敵な笑みを浮かべて賊達に問いかけ、青年に続くように馬車から次々とメンフィル兵達が現れ、更に”マグナニム”の甲板に整列していたリィン達を含めた多くの兵士達が予め描かれていた転移魔法陣によって賊達を包囲するように次々と転移で現れた!

 

「テ、テメェは領主の息子の…………!?」

「し、しかもメンフィルの兵士達があんなにたくさん…………!?」

「畜生!?罠か…………!」

青年―――セルノ・バルジア統合領の領主の息子にしてメンフィル皇家の分家の一員であるエフラム・ファラ・サウリン・マーシルンの登場に賊達は狼狽え始め

「エレボニア帝国征伐を行う為に戦争の隙を突いて民達に危害を加える後顧の憂いはとっとと絶たせてもらう!」

エフラムは自身の得物である槍を構え

「―――――これより賊の討伐を始めます!総員、一人残らず殲滅しなさい!決して一人も逃がしてはなりません!!」

「オオオオオォォォォォ――――ッ!!」

エフラムに続くように鞘から細剣(レイピア)を抜いた蒼髪の娘―――エフラムの妹であるエイリーク・ファラ・サウリン・マーシルンの号令に力強く答えたメンフィル兵達は賊達に向かい、戦闘を開始した!

 

「クソ―――ッ!!」

「お、お頭!?」

「一人だけ逃げようとするなんて、ずるいっすよ!?」

メンフィル兵達との戦いによって一気に総崩れになって次々と討ち取られて行く部下達を見て勝ち目はないと判断した賊のリーダーは森に向かって逃亡し始め、それを見た部下達もリーダーの後を追って行ったが森の前には予め転移によって配置されていたリィン達が立ち塞がった!

「―――あんた達には俺達に”戦場に出る覚悟”を決めさせる為の”糧”になってもらう。エリス、セレーネ、行くぞ!!」

「「はいっ!!」」

リィンは賊のリーダー達に太刀を向けて宣言した後号令をかけ、リィンの号令にエリスとセレーネは頷き

「ガキ共が!舐めやがって…………!やっちまうぞ、テメェ等!!」

「オオオォォォ―――ッ!!」

一方リィンの言葉に表情を歪めた賊のリーダーは部下達に号令をかけたが

「二の型―――疾風!!」

「へ――――」

「速い――――」

部下達の一部はリィンのカマイタチを纏った電光石火の攻撃によって首を刈り取られて絶命し

「ヤァァァァァ………ホーリーインパクト!!」

「ぐぎゃああああああっ!?」

「がああああああああっ!?」

残りの部下達はセレーネの光の魔力を込めた薙ぎ払い攻撃によって身体を横に真っ二つにされた後絶命した!

 

「なああああああああっ!?何なんだよ…………何なんだよ、テメェ等は!?」

一瞬で部下達が絶命した事に驚いた賊のリーダーは信じられない表でリィン達を見つめ

「…………後は貴方だけです。――――――御覚悟を。」

「ガキが…………舐めるなぁぁぁぁぁぁっ!!」

自分と対峙して細剣を構えたエリスの言葉に怒り心頭になり、自身の得物である斧を大きく振りかぶってエリス目がけて振り下ろした!

「…………!ヤァァァァァァァ――――ッ!!」

自分目がけて振り下ろされた斧をエリスはよく見て回避した後斧を地面に叩き付けた事ですぐに態勢を戻せない相手の後ろに回って背後から相手の心臓目がけて細剣で力を込めた突きを放った!

「ガハッ!?…………こ、この俺が…………こ、こんな女子供にやられる…………だと…………ぐふっ!?」

背後から心臓を貫かれた賊のリーダーは口から大量の血を吐いた後自分の心臓を貫いている細剣を信じられない表情で見つめながら絶命して地面に倒れた!

 

「ハァ…………ハァ…………わ、私………………人を…………」

「これが…………人と人が命を奪い合う…………戦なのですわね…………」

「エリス…………セレーネ…………」

初めて人の命を奪った事でそれぞれ顔色を悪くしているエリスとセレーネをリィンは辛そうな表情で見つめたが

「よくも、お頭を――――ッ!」

「ぁ――――」

「させるかぁぁぁぁぁぁ――――ッ!!」

距離が離れた場所にいた他の賊が憎悪の表情を浮かべて弓に番えた矢をエリスに放とうとし、初めて人の命を奪った事によるショックと咄嗟の出来事にエリスの反応が遅れ、リィンがエリスを守る為に瞬時に”鬼の力”を解放してエリスに矢を向けた賊に向かおうとしたその時!

「ぐぎゃああああああっ!?」

賊は突如炎に包まれ、炎は賊を骨まで残さず焼き尽くした!

 

「エリスお姉様、大丈夫ですか!?」

「え、ええ…………よくわからないけど、助かったみたいね…………」

賊が焼き尽くされた後すぐに我に返ったセレーネに心配されたエリスは戸惑い気味に答え

「(今の炎は一体…………味方の魔術師によるものか…………?)…………とにかく、これでエリゼとルクセンベール卿の条件は果たした。二人ともよく頑張ったな…………」

元の姿に戻ったリィンは炎を放った使い手について考え込んだがすぐに気を取り直してエリスとセレーネに優しく声をかけて抱き締め

「兄様…………私…………私…………っ!」

「う…………あああああぁぁぁぁ…………っ!?」

リィンに抱き締められた二人は緊張が解けた事や初めて人の命を奪った事によるショックによって泣き始めた。

 

(二人とも本当によく頑張ったわね…………だけど、今の炎の魔術――――――”メルカーナの轟炎”は誰が放ったのかしら…………?”メルカーナの轟炎”のような上位魔術が使える人物で今回の討伐戦に参加なされているのはエイリーク皇女殿下のみの上、そもそも”エイリーク皇女殿下は火炎属性魔術は扱えないはず”だけど…………)

リィン達の様子を物陰から見守っていたエリゼは安堵の溜息を吐いた後リィン同様エリスを助けた人物の事について考えていた。

「うふふ、純粋無垢な女の子がピンチだったから気まぐれに助けてあげたけど、中々面白そうな男の子がいるじゃない♪何やら色々と”訳あり”のようだし、久しぶりに気まぐれにするあの”勝負”を申し込んであげようかしら♪」

一方高位火炎魔術を放ってエリスを助けた人物――――下着としか思えないような扇情的な服を身に纏った妖美さを漂わし、撫子色の髪を腰までなびかせ、まさに”絶世の美女”と言ってもおかしくない美しい容姿とセレーネと同格の豊満な胸を持つ睡魔族の女性が空から興味ありげな様子でリィン達を見守っていた後転移魔術でその場から消えた――――

 

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という訳で今回の話の最後で登場したキャラは皆さんご存じのキャラですwwこの物語のリィンの使い魔は多分3人で、リザイラとミルモは原作通りセリカの使い魔として登場させると思います。(まあ、他の物語と違って使い魔がたった3人でもその内の二人がいれば、リザイラがいない穴は十分補えると思いますがww)ちなみにリィンの使い魔は割と早い段階で揃う予定です。…………まあ、もしかしたら今までいなかったリィンの使い魔枠である天使キャラが新たに加わるかもしれませんが、今の所その可能性はほとんどありません。ちなみに出せるとしたらユリーシャあたりですかね…………?あ、でも元々いるリィンの使い魔(?)の一人の性能考えたら、そのキャラの下位互換のユリーシャはいらねぇ…………(そんな所まで原作と同じww)

説明
第2話
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コメント
本郷 刃様&黄泉様 はい、やはりあの方ですww(sorano)
やはりあの方ですかw(黄泉)
リザイラもミルモもセリカ側登場で良かったです、そして最後に出てきたのはやはり彼女ですかw(本郷 刃)
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