英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜
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〜パンダグリュエル・格納庫〜

 

「ブリューナク起動、照射。」

「――――――」

「「「「!!」」」」

アルティナの指示によってクラウ=ソラスにエリゼ達目掛けて集束レーザーを放ち、放たれたレーザーをエリゼ達は散開して回避した。

「ヤアッ!」

「バリア展開。」

「―――――」

レーザーを回避したステラは反撃に冷気と閃光を発する手榴弾――――A(アイス)グレネードをアルティナの足元へと投擲したが、クラウ=ソラスが展開した障壁によってグレネードの爆発と冷気は防がれた。

「喰らいなぁ!風雷神槍!!」

「――――――」

更にフォルデが風と雷を宿した一撃を放つヴァンダールの槍技―――風雷神槍でクラウ=ソラスに攻撃したが、クラウ=ソラスは両腕を交差してガードした。

「お返しです!」

「――――――」

「おっと!」

フォルデは攻撃を防がれた後に反撃してきたクラウ=ソラスの攻撃を軽やかに側面に跳躍して回避した。

 

「二の型―――洸破斬!!」

「あうっ!?」

クラウ=ソラスの注意がフォルデに向かっている隙を突いたエリゼが無防備になっているアルティナの側面から神速の抜刀による鋭い衝撃波を放って命中させるとアルティナは怯み

「崩しました!」

「続きますわ!」

アルティナの態勢が崩れるとエリゼとリンクを結んでいるメサイアがアルティナに追撃をした。

 

「メーザーアーム――――斬!!」

「――――――!」

「「「!!」」」

体制を立て直すためにアルティナはクラウ=ソラスの両腕を光の刃と化させて周囲を切り刻まさせ、エリゼ達はクラウ=ソラスの反撃を回避する為に後ろに跳躍して一端アルティナから距離を取った。

「回復します―――アルジェムヒール!!」

「――――――!」

エリゼ達が自分達との距離を取るとアルティナはクラウ=ソラスに回復エネルギーを自分達に降り注がせて自分達のダメージを回復した。

「アークス駆動―――」

「させません―――シュート!!」

「あうっ!?」

続けてアルティナはアーツを放つためにARCUSを駆動させ始めたがステラの正確無比な狙撃によってARCUSの駆動は中断させられた。

 

「闘技―――月影剣舞!!」

「あぁっ!?」

「!?」

続けてメサイアは再びアルティナ達との距離を一気に詰めた後広範囲を攻撃する美しき剣舞でアルティナ達に攻撃し

「クク、見切れるものなら見切ってみな?ハァァァァァァ…………ッ!!」

メサイアに続くようにフォルデは広範囲に無数の連続突きを放つヴァンダール流の槍技―――スラストレインで追撃した。

 

「エニグマ駆動―――ダークマター!!」

「あぁぁぁっ!?何故、エニグマで”戦術リンク”が…………」

「――――――!?」

二人が攻撃している間にオーブメントの駆動を終えたステラは重力でアルティナとクラウ=ソラスを一か所に固めてダメージを与えつつ動きを制限し、ステラのアーツを受けたアルティナはステラの戦術オーブメントがARCUSでないにも関わらず戦術リンクを発動している事に困惑していた。

「闇を切り裂く金耀の一刀――――セイッ、ヤアッ!ハァァァァァァァ……!

そこに太刀に闘気による凄まじい光を纏わせたエリゼが光の長剣と化した太刀で閃光の速さでアルティナとクラウ=ソラスに十字架を刻み込むように十字(クロス)に斬った後、太刀に闘気を溜め込みながら空高くへと跳躍し

「絶―――閃鳳剣!!」

「あぁぁぁっ!?ミッション失敗…………理解…………できません…………」

「――――――!?」

空高くへと跳躍したエリゼが閃光の速さで太刀を振るうと光の鳳凰が凄まじいスピードでアルティナとクラウ=ソラスを襲って光の大爆発を起こし、エリゼが放ったSクラフトをその身に受けたアルティナとクラウ=ソラスは戦闘不能になり、戦闘不能になったアルティナは地面に崩れ落ち、クラウ=ソラスは地面に倒れた。

 

「光よ――――」

ルーファスは先制攻撃に騎士剣に光を纏わせてリィン達に突撃して騎士剣を振るい

「させるか!」

「斬!!」

リィンはルーファスが放ったクラフト―――アークブレイドを正面から受け止めた。

「何っ!?…………!」

自身の技を正面から受け止めたリィンに驚いたルーファスは反撃を警戒してすぐに剣を引いてリィンから距離を取ったが

「うふふ、どこに逃げているのかしら?」

「な――――」

「すごいねこアッパー!!」

「ガッ!?」

転移魔術でルーファスの背後を取ったベルフェゴールによるアッパーカットを受けて怯んだ。

 

「崩したわよ!」

「もらった!秘技―――裏疾風!斬!!」

「ぐうっ!?」

ルーファスが怯むとリィンはカマイタチを纏った電光石火の斬撃を叩き込んだ後更なる追撃に斬撃波を放ってルーファスに電光石火の2回攻撃を叩き込んだ。

「七色の光の矢よ――――プリズミックミサイル!!」

「エニグマ駆動――――カラミティエッジ!!」

「エニグマだと…………!?く…………っ!」

リィンとベルフェゴールの攻撃の間に魔術の詠唱とオーブメントの駆動を終えたセレーネとエリゼはそれぞれ七色の光の矢と漆黒の刃をルーファス目掛けて放ち、ルーファスはエリスが叫んだ言葉からリィン達がエニグマを使っていながら戦術リンクを発動させている事に驚きつつ自分に襲い掛かって来た魔術とアーツを間一髪のタイミングで回避した。

 

「(”鬼の力”を解放したリィン君と”転移”による奇襲をしてくる上一撃が重いあの女性とまともにやり合う訳にはいかない…………!)フフ、君には少しの間人質になってもらうよ!」

リィンとベルフェゴールの戦闘能力を警戒したルーファスはリィン達の中で圧倒的に実力が一番低いと思われるエリスを人質に取るためにエリスに向かってエリスの細剣(レイピア)目掛けて騎士剣を振るった。

「!甘く見ないでください!モータルクレッシェンド!!」

「何…………っ!?(バカな…………!ただの女学生だったエリス君が私の攻撃を見切っているどころか、これ程の反撃までできるとは一体どうなっている…………!?)」

しかしクロスベル侵攻が起こるまで予めベルフェゴールとの性魔術で身体能力等も上昇させたリィンがエリゼ達とも性魔術をしたことでエリゼ達もそれぞれ身体能力や魔力等も強化されていた為、リィンの性魔術によって身体能力等も強化されていたエリスはルーファスの攻撃を見切って回避した後反撃に荒々しいリズムで連続突きを放ち、ルーファスはエリスの実力の高さに困惑しながらエリスの攻撃を防いでいた。

「―――失礼!」

「っ!!」

そしてエリスの攻撃が終わるタイミングでセレーネはルーファスに冷気を纏った足払いで奇襲し、セレーネの足元からの奇襲にルーファスはギリギリのタイミングで回避した。

 

「―――緋空斬!!」

「聖なる盾よ―――守護せよ!!」

更にリィンが炎の斬撃波を放つとルーファスは結界―――― プラチナムシールドを展開して防いだ。

「レイ=ルーン!!」

「!!」

しかしベルフェゴールが放った極太の純粋魔力のエネルギーは直感で防ぐ事は不可能と悟ったルーファスは側面に跳躍して回避したが

「四の型・改―――紅蓮切り!!」

「グアッ!?アークス駆動……!」

「崩れなさい!」

「ぐっ!?しまった、ARCUSが…………!?」

リィンの魔力の炎を宿した太刀による一撃離脱技を受け、ダメージを受けたルーファスは状況を立て直す為に戦術オーブメントを駆動させたがエリスの狙いすました針の穴を通すような一撃のクラフト―――ブレイクニードルで戦術オーブメントの駆動は中断させられると共に”封魔”状態に陥った為、ルーファスはアーツを使えなくなってしまった。

 

「お兄様、エリスお姉様、下がってください!」

「「!!」」

その時全身に凄まじい魔力を纏い始めたセレーネはルーファスの近くにいるリィンとエリスに警告し、警告された二人はすぐにルーファスから距離を取った。

「ユミルで戦ったあの時にも貴方の命を奪う事を躊躇ったばかりに使わなかった事で後悔したこの力…………もう、躊躇いませんわ!グオオオオオオオオォォォォォォォッ!!」

「な―――――――」

全身に凄まじい魔力を纏ったセレーネは竜化し、竜化したセレーネを見たルーファスは驚きのあまり絶句した。

 

「氷金剛破砕撃 (ダイヤモンドアイスバースト)――――ッ!!」

「聖なる盾よ―――バカな!?」

竜化したセレーネは口から無数の氷の礫が混じった猛吹雪をルーファス目掛けて放ち、セレーネのドラゴンブレスを防ぐ為にルーファスは再び結界を展開したがドラゴンブレスは易々と結界を破壊してルーファスに襲い掛かった!

「うおおおおおぉぉぉぉぉっ!?」

セレーネのドラゴンブレスを受けたルーファスは無数の氷の礫で全身から血を噴出させ、更にルーファスの全身のほとんどは凍結して、ルーファスは身動きすらできなくなった!

「明鏡止水――――我が太刀は生。見えた!――――うおおおおおっ!斬!!」

セレーネのドラゴンブレスを受けて瀕死かつすぐに動けない状態を見て好機と判断したリィンはその場で一瞬集中した後縦横無尽にかけながらルーファスに何度も斬撃を叩き込んだ後強烈な威力の回転斬りを放った。

「灰ノ太刀――――滅葉!!」

そしてリィンが太刀を鞘に収めた瞬間、鎌鼬が発生してルーファスに襲い掛かり、鎌鼬はルーファスの全身を切り裂いた!

「……………………?」

ルーファスは何故か一瞬で景色が変わった事に不思議そうな表情をしたが、眼下に頭部を失った自分の身体を見つけ―――

「おのれぇぇぇぇ―――!この私が”黄昏”が起こる前にこんな異国の地で果てるというのかぁぁぁぁ―――ッ!」

最後に絶命の言葉を口にし、憤怒と無念が混じったルーファスの生首はルーファスの遺体の傍に落ちた!

 

「ぁ……………………」

「―――エレボニア帝国クロスベル侵攻軍総大将ルーファス・アルバレア、メンフィル帝国軍リフィア皇女親衛隊所属にしてユミル領主の息子、リィン・シュバルツァーが討ち取ったり。」

ルーファスの絶命にアルティナが呆然としている中ルーファスの遺体の背後にいるリィンは静かな表情で宣言して太刀を鞘に収めた。するとその時ワルター中将達の殲滅とブリッジの制圧を終えたデュバリィ達が突入してきた。

「なっ!?こ、これは…………」

「…………どうやら今回の戦いの一番の大手柄は”灰色の騎士”達のようだな。」

「フフ、恐らくここに先回りしてルーファス・アルバレア達を撃破した様子だから、彼らの方はルーファス・アルバレアは離脱する考えに賭けて、その”賭け”に勝ったみたいね…………」

絶命しているルーファス達や戦闘不能に陥ったアルティナの様子を見たデュバリィが驚いている中、アイネスは感心した様子でリィン達を見つめ、エンネアは苦笑していた。

 

「ハハ…………これで正真正銘二度と”Z組”に戻れなくなったな…………”C”の仮面を取って素顔を表す事を決めたクロウもこんな気持ちを抱いていたのかもしれないな…………」

「「兄様…………」」

「お兄様…………」

「シュバルツァー…………」

寂しげな笑みを浮かべて呟いたリィンの様子をエリゼ、エリス、セレーネは心配そうな表情で見つめ、デュバリィは複雑そうな表情でリィンを見つめていた。

「オラ!何をしけたツラしてやがる!」

するとその時フォルデがリィンに近づいてリィンの背中を強く叩いた。

 

「フォルデ先輩………?」

「お前はエレボニアでできた大切な仲間達の為にメンフィル軍の一員として、今回の戦争でエレボニア帝国の連中をお前の踏み台にして”上”にのし上がる事を決めたんだろうが!そしてその第一歩として、お前はメンフィルが最も怒りを抱いている人物の一人にして今回の戦での”総大将”も務めている奴を討ち取って大手柄をその手に掴んだのだから、お前はもっと胸を張っていいんだぜ!」

「………先輩…………」

フォルデの励ましの言葉を聞いたリィンが驚きの表情でフォルデを見つめると一瞬フォルデとクロウが重なったように見えた。

「……………………ありがとうございます、先輩。そうだ…………こんな事でヘコんでいる場合じゃない…………戦争はまだ始まったばかりなんだ…………ルーファスさんを俺の”踏み台”にしたことを無駄にしない為にも、俺はもっと戦場で活躍して”上”を目指す…………!」

静かな笑みを浮かべてフォルデに感謝の言葉を述べたリィンは決意の表情を浮かべた。

 

「フフ、その意気です。」

「…………兄様に”喝”を入れていただき、ありがとうございます、フォルデさん。」

リィンの様子を見たステラは微笑み、エリゼはフォルデに会釈をした。

「ま、これも先輩の義務ってやつだよ。―――例えば”娼館”に連れて行って、”男”にしてやることとかもな♪」

「最後のその発言が全てを台無しにしていますよ、先輩…………」

エリゼの感謝の言葉に対して軽い様子で答えたフォルデが答えたある言葉にエリゼ達と共に冷や汗をかいて脱力したリィンは疲れた表情で指摘した。そしてすぐに気を取り直したリィンはアルティナに近づいて声をかけた。

 

「―――君にはメンフィル帝国が色々と聞きたいことがあるからルーファスさんと違って”捕縛”して、君が持つ情報を話してもらう事になる―――主に”黒の工房”について。」

「…………ルーファス卿が討たれ、クラウ=ソラスも無力化されて何もできなくなった私には抵抗の手段はありません。これよりメンフィル帝国軍に”投降”します。」

リィンの宣言に対してアルティナは少しの間目を伏せて黙り込んだ後目を見開いて投降を申し出た。

「ありがとう。リウイ陛下達も幼い君の命を奪う事までは考えていないとの事だし、”捕虜”になった君の身の安全についても何とかするから安心してくれ。―――エリゼ、早速で悪いが…………」

「―――それ以上は仰らなくてもわかっております。リフィア達にアルティナさんの身の安全をしてもらえるように後で頼んでおきます。」

「ああ、頼んだ。」

「………………………………」

敵であった自分の身の安全をする為の会話をしているリィンとエリゼの様子をアルティナは黙って見つめていた。

 

「フ、フン!敵だった者の為にメンフィルの皇族と近しい関係にある妹に頼るとはやはり甘い男ですわね!」

リィン達の様子を見守っていたデュバリィは鼻を鳴らして呆れた表情でリィン達に指摘したが

「フフ、そんな事を言っているけど、貴女も”黒兎(ブラックラビット)”を自分の手で捕える事ができれば、”灰色の騎士”のようにマスターに彼女の身の安全を頼むつもりだったのだからお互い様じゃない♪」

「ふっ、貴賓区画に突入した時はまさにその二つ名通り”神速”のような速さで全ての部屋を見て回っていたな。」

「や、やかましいですわ!」

エンネアとアイネスに茶化されると必死に反論し、その様子を見たリィン達は冷や汗をかいて脱力していた。

 

「ハハ…………今回の戦、デュバリィさん達には悪いが、アルティナの捕縛と今回の戦の大手柄であるルーファスさんの討伐は俺達が取らせてもらった。アルティナの件をわざわざ教えてくれたのに、それを横から掠め取るような事までして悪いとは思っているが…………」

「別に私達に謝る必要はありませんわ。公平な勝負の結果なのですから、それを否定するような愚かな事はしませんわ。」

「それに私達もクロスベル侵攻軍の”副将”の討伐とブリッジの制圧という手柄があるから、私達は私達で手柄があるから、あまり気にしなくていいわよ。」

「ルーファス・アルバレアの行動を読んだ上での待ち伏せと撃破…………―――見事だった。さすがは我らが”好敵手”と認めた者達だ。」

我に返ったリィンはデュバリィ達に近づいて声をかけ、リィンの謝罪に対してデュバリィは静かな表情で答え、エンネアは苦笑しながら浮かべながら答え、アイネスは口元に笑みを浮かべてリィン達を称賛した。

(うふふ、この戦争でご主人様がどれだけ素敵な男に成長するのか、楽しみね♪)

(はい…………不謹慎ではありますがこの戦争でリィン様は間違いなく様々な意味で大きく成長なさるでしょうね…………それこそ、かつてのお父様のように………)

一方リィン達の様子を見守っていたベルフェゴールの念話にベルフェゴールの隣にいたメサイアは頷いた後微笑ましそうにリィン達を見つめていた。

 

こうして…………エレボニア帝国による再度のクロスベル侵攻は失敗に終わり………エレボニア帝国はルーファスを含めた数人の貴重な優秀な人材に加えて、クロスベル侵攻に従軍した正規軍、領邦軍の兵士達を失うという大損害を被ることになった…………

 

また…………リィンは今回の戦の大手柄であるルーファスの討伐を評価されて、17歳という若さでありながら”少佐”へと昇進した――――

 

 

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という訳でこの物語でもルーファスは早期退場しましたwwリィンの昇進は灰と違って控えめにはしてありますが、この調子でどんどん昇進させ続ける予定です。(というかもうこの時点でメンフィルが考えているエレボニアのある人物の処遇は決まっていて、それに関しては灰とほぼ同じですが)次回はクロスベルでの祝勝会と”彼女”との契約の予定ですが、もしかしたらリィンの使い魔陣営初である天使枠のキャラを出すかもしれませんw

 

 

 

 

説明
第8話
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