艦隊 真・恋姫無双 142話目 《北郷 回想編 その7》
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【 天声 の件 】

 

? 南方海域 連合艦隊 にて ?

 

 

唐突に鳴り響く銅鑼の音に訝(いぶか)しむ一刀達だが、何も驚いたのは一刀達だけはない。 敵である戦艦レ級は笑顔でキョロキョロと辺りを見渡し、駆逐ロ級達は警戒を強める。

 

つまり、双方に関係が無い事象。 

 

 

───の筈だったが、一刀の頭上より覇気溢れる声が、明確に敵味方を定め、号令を発する。

 

 

『三国の将兵達よ! 大恩ある、天の御遣いが緊急存亡の時! 彼の者に、恩を、義を、借りを返そうと思う者は、この場に顕現せよ!』

 

 

その声が終わるか終わらないかの内に、海上に白い靄(もや)が立ち込むと、一人、また一人と、形を作り出現する。

 

どの者も、現代の衣装とは到底違う鎧兜を着用し、自分の背丈より長い槍の様な武器、両刃が付いた剣、和弓より短い弓を持ち、何故か一刀に一礼した後、漁船付近へと集まる。

 

始めは一人、二人と数えていられたが、時には複数、時に百人の集団で現れ、瞬く間に万を越える軍勢が出来た。

 

そして、大別して緑、赤、紫の陣営に別れて、一刀達を護るかのように前へ隊列を編成、その鋭い矛先、煌めく剣、矢を番(つが)えた弓を──深海棲艦達へと向ける。

 

最初は興味深げに見ていた深海棲艦達も、次第に敵意を見せ始め、この謎の軍勢を駆逐しようと砲撃を開始。

 

この状況を見て、姿無き指揮官は、涼やかなれど、よく響き渡る声で、簡略ながらも的確な命令を軍に下す。 

 

────深海棲艦達の撃退を!

 

 

『全軍、天に唾棄する眼前の愚か者を、疾く撃ち破れ!!』

 

『───────!!!』

 

 

万を越える謎の軍勢は、声をこそ上げないが猛烈な殺気を放ちながら、号令に応えるが如く突撃する。

 

 

こうして、異形な海の怪物達と、千軍万馬の軍勢が、大海原の海上で───激突した。

 

 

◆◇◆

 

【 螺旋 の件 】

 

? 南方海域 深海棲艦側 にて ?

 

『マ………マサカ………!?』

 

 

三本橋は、かの軍勢を見て……不覚にも唖然としてしまった。

 

天の御遣いが存在していた時、頻繁に使用されていたと伝えられる、三国独自の鎧兜。 

 

現物は出土品しかなく、完璧な姿、彩色した物などは一つもない。 千八百年の経年劣化で、殆んど崩れてしまっている為、最新の研究結果で復原した、劣化品のみが存在している。

 

そんな三国時代の鎧兜を着用した万の軍勢が、自分に向かい一斉突撃してくるという、 歴史マニアだったら狂喜乱舞し、普通の精神の持ち主なら周章狼狽するレベルだ。

 

しかも、海上を走って来るなど、ミステリーのオマケ付き。

 

 

だが、三本橋は違う。

 

 

『…………前衛デ……留メヨ! 残リハ……急ギ退キ……三方ニ……別レ………迎撃スルンダ!!』

 

 

元々、軍の英才教育を受けて、少なからず海域での戦闘経験がある身。 深海棲艦達を駒のように動かし、前衛の一部で敵の前進を止め、残りの者を三つの艦隊に分ける。

 

どのみち、一刀相手には包囲戦を挑むつもりだったので、配置は既に出来ていたのが幸いし、直ぐに行動に移せた。

 

 

『ボク達モ………退クヨ!』

『………………………』

 

 

そう命じた三本橋は後方を振り向くと、前衛の位置では、早くも砲撃の轟音が轟き、金属の叩き合う音、何かが光り輝き、消える姿を何度も目撃する。

 

消える光は敵か味方か、どちらに勝利の天秤が傾くか、三本橋には興味が無い。

 

 

『これは、ボクの背負った罪………深海棲艦達に全力で味方するのが、ボクの責務であり、過去の償いに通じるんだ』

 

 

三本橋は、先ほどまで片言だと喋りを直し、普通通りの喋り方に変えた。 辺りには、事情を知る戦艦レ級だけで、他の深海棲艦は居なかったからという理由もある。

 

だが、最大の理由は、南方棲戦姫の《最終的に》命じたのは───

 

『自分の振りをして、北郷一刀達を抹殺するように』

 

───との事だった。

 

 

では、どうして南方棲戦姫の振りをしているのか?

 

表向きの理由は、南方棲戦姫の真似をしないと、深海棲艦達が命令に服従しないと、聞いていたから。 

 

だから、まず形から……と言う事で裸となり、更に深海棲艦御用達の白粉を塗り、白髪のウィッグ等の装飾具で変装した。

 

 

だが、裏となる本当の理由は……《 スケープゴート 》

 

天の御遣いの話を聞いた南方棲戦姫は、今まで経緯に御遣いとの類似性を感じ、一刀抹殺を決意する。 

 

だが、御遣いの力を警戒する南方棲戦姫は、一時的に取り込んだ三本橋を自分の身代わりとして指揮をさせ、万が一に備えると同時に、一刀の力を見極める予定だった。

 

もちろん、三本橋に説明したのは、表の理由だけ。 裏の理由など、話す理由が無い。

 

ついでに言えば、三本橋に南方棲戦姫の真似は無理だと判断し、三本橋自身が深海棲艦化した振りを演じただけである。

 

 

その理由は………三本橋の身体の一部が、南方棲戦姫を大きく上回ったから。 前からでも、横からでも、ハッキリと分かり過ぎて、全然身代わりにならなかったので。

 

これには、知略に秀でる南方棲戦姫の目をもってしても、見抜けなかった(笑)

 

 

『………ん? どうかしたのかい?』

 

『……………………』

 

 

戦艦レ級に曳航を命じた筈が、未だに動いていない事に気付いた三本橋。 心配して、戦艦レ級の顔を覗いて見れば、何時もの笑顔がなく、ただ俯いている。 

 

まるで、何かを知って……悩んでいるように。

 

 

『早く行かないと、敵が来ちゃうよ?』

 

『……………』

 

『ほらっ! 早く動こう!』

 

 

そこまで言われて、戦艦レ級はノロノロと曳航する。 

 

幸い、前線が謎の軍勢相手に圧倒しているらしく、此方まで迫る事はなかったが、もし襲撃されれば、小舟に乗る三本橋では、直ぐに轟沈されていたのは間違いない。

 

しかし、三本橋が乗った小船はユックリと進む。 戦艦レ級の戸惑う呟きを風に乗せながら。

 

 

『…………アノ……人間……ホン……ゴウ……言ッテタ』

 

『…………………カズト……ッテ………』

 

 

一刀が叫んだ名乗りが、まさか本人の思惑とは別に、戦況を徐々に変える一助になるとは、流石に知るよしもなかったが。

 

 

 

◆◇◆

 

【 姉妹 の件 】

 

? 南方海域 連合艦隊側 蜀軍 にて ?

 

 

あれから深海棲艦達は、急に現れた大軍勢に合わせ、右、左、中央の三連合艦隊に編成し、対抗する作戦へ移行。 

 

膨大な数の暴力で押し潰さんと、進軍してくる三国の将兵に襲い掛かった。

 

 

その内の右翼側では───

 

 

 

『お兄ちゃんを苛める奴は、何処のどいつなのだぁ!!』

 

『『『 ────!! 』』』

 

 

蜀に、その人ありと言われる《張翼徳……真名 鈴々》が、軍勢の先頭に立ち、丈八蛇矛を振り回して、駆逐ロ級達を手当たり次第ぶちのめす。

 

 

『うりゃりゃりゃりゃ───っ!!?』

 

『ガッ!』

『ギッ!?』

『グゲッ!!』

 

 

小柄の体躯ながら、長兵器である重き矛を小枝を振り回すように進む様子は、まるで周囲を破壊する暴風雨の如く。

 

相手を人と侮り、海の藻屑に変えようと近付いた深海棲艦達は、逆に深い海底へと沈められていった。

 

 

★☆★

 

 

そんな鈴々を見守る将が一人。

 

美しい黒髪を靡かせながら、義妹の様子に目を細める。

 

 

『………やれやれ、ご主人さまの為に活躍しようする熱意はよいが、目の前の敵に囚われ過ぎだ。 まあ、それが鈴々の長所でもあるのだろうが………』 

 

 

そう呟いた後、足下で荒い呼吸をする《軽巡ツ級》を見て、《関雲長 真名……愛紗》は睨み付ける。

 

 

蜀軍では、一部の将達に部隊を預け、何名かの将が単独で遊撃として指揮官を狙うように動いている。

 

例えば………こういう事がならないようにと。

 

 

爆進中の鈴々に横槍を入れようとした軽巡ツ級を、愛紗は八十二斤の青龍偃月刀を携え、その行き先を阻止。 

 

その愛紗の姿を見た軽巡ツ級は、不敵に笑い、巨大な両手で圧殺しようとしたのだが。

 

 

『バッ……バカ……ナッ? タカガ……ニ、人間……如キ……!』

 

『驕れる者、久しからず。 この私と青龍偃月刀を侮り、相手を過評価したのが、お主の敗因と心得よ』 

 

 

だが、予想に反して倒れたのは……軽巡ツ級。 

 

両手が愛紗に到着する直前、青龍偃月刀を閃かして凶悪な両手を斬り飛ばすと、返した刃で致命傷を浴びせた。

 

その斬撃は、装甲に覆われていなかった身体を狙い、逆袈裟懸けに放った結果である。

 

 

『ソン……ナ……』

 

『それが分かったのなら、疾くと去ねっ!!』

 

『───グハッ!!』

 

 

こうして、軽巡ツ級に易々と止めを刺すと、辺りを警戒した後、盛大な溜め息を吐いた。

 

愛紗の溜め息は、義妹である鈴々に呆れて………と言う訳ではない。 まあ、相変わらずの猛突進振りに心配せずにはいられなかったが、それはそれ、これはこれ……である。 

 

 

『…………その真っ直ぐな想いが、正直……羨ましい。 ご主人さまは……私達を……お忘れになっているのに……』

 

 

三国の将兵を招集する号令の後、具現化を果たした愛紗は、三国時代から輪廻転生を果たした今の北郷一刀を見て、思わず目を見張った。

 

優しげな容貌は変わらずだが、あの時より十数年の年月を加味した男の魅力が滲みでる。 更に、海軍の荒波に鍛えられた精神、肉体が一刀に凄みや風格を備えさせた。

 

そんな一刀が逆境に陥る状況の中、的確な指示を飛ばし、味方を守ろうとする様子に、あの頃一緒に居た三国時代より、女として心の高ぶりを感じてしまっても、仕方がない話。

 

だが、その全てが………自分には一切向けられず、艦娘と呼ばれている女の子達へ注視されている。 そして、その子達もまた、敬愛と尊敬の眼差しで一刀に従う。

 

まるで、昔の自分達を見ているかのように。

 

 

『この想いは………あれから変わらぬまま。 いや、更に深く激しく、我が身を焼き尽くさん程なのに……』

 

 

その事実が、愛紗にとって……とても悲しく寂しかったのである。

 

だが、愛紗は失念していた。

 

ここは、未知なる戦場。 未知なる場所。 

 

敵は………目に見える範囲ばかりだとは、限らない。

 

 

──────バシャン!!

 

 

『─────ッ!?』

 

 

そんな時、背後より大きな波音がして、慌てて振り向く。

 

だが、その場所には新たな深海棲艦《潜水ヨ級》が、既に水面上へ現れ、美麗な顔を醜く嘲笑しながら、愛紗へ狙いを付けているのであった。

 

 

 

◆◇◆

 

【 狂乱 の件 】

 

? 南方海域 連合艦隊側 呉軍 にて ?

 

 

その内の左翼側は、孫呉が受け持っていた。

 

こちらは、軍勢を軍師達に丸投げして、戦える将達で指揮官を個別で狙う作戦である。

 

特に、この作戦を押した先代呉王は、水を得た魚の如く大活躍をしている。

 

 

『あははははっ! もっと、もっとよ!! もっと苛烈に、もっと迅速に、私を襲ってみなさいっ!!!』

 

『────! ───!!』

 

『ここよ、ここっ! 置物じゃないんだから、何時までも同じ場所に居ないわよ!!』

 

 

雷巡チ級は、海面を疾風の如く走り回る人間、孫伯符《 真名……雪蓮 》に、攻撃を全て回避され困惑していた。

 

得意の雷撃を発射しようとしても、動きが早すぎて追い付けない。 こちらも、機動力には自信があるのに関わらず、最適な距離を取る事が出来ないでいる。

 

しかも、動きを予測し的確に狙いを定めたのに、そんな魚雷を直前で回避するという、神憑り的な行動を起こすのだ。

 

こんな訳の分からない奴を、今まで相手にした事がない雷巡チ級は打つ手がなく、ほとほと困り果てていた。

 

 

『………詰まんないわねぇ、もう攻撃は終わり? それじゃあ、今度は私の剣撃、受けてみなさいよっ!!』 

 

『───ギィ! ギギィ!? ギギギィィィ!!』

 

『回避してもいいし、受け止めてもいいわよ。 だけど、最後まで……しっかり耐えて頂戴ねっ、と!』

 

『────ギガァァァ!?』

 

 

今度は此方の番だと、手に握る南海覇王改二(南海覇王の模造品、近代化改修済み)を振る雪蓮。 

 

その動きは、正に躍りを舞うが如く優雅でありながら、逆に剣撃は重く、早く、そして正確に斬り付けた。

 

幾ら回避しようとしても、受け止めようとしても、反撃しようとしても直ぐに反応され、新たな損害場所を作るのみ。 

 

 

『ふふふ………まだよ、まだまだなんだから。 その仮面の下で歪む顔、もっと私に見せてみなさいよ♪』 

 

『ギャッ! ギャギャ! ギャ………ギャギャギャギャ!!』

 

『ほらほら、弱音なんて言ってる暇なんてないの。 死にたくないなら、必死に抗ってみなさい!』

 

『───ギャギ! ギャギャギャ!? ギャギィギャギィギャアアァァァッ!!』

 

 

かなり頑丈な筈の身体が、剣を振り下ろされる度に、腕が飛び攻撃力が半減、足の艤装も破壊され機動力を潰された。 

 

艦隊を組む艦娘さえも、自分の攻撃を受けて撤退する場面を見ている雷巡チ級としては、実に納得できない事実。

 

しかし、こう何度も叩き潰されると、自分の実力は本当にそうだったのか疑問を抱いてしまう。

 

そんな事が………何回も何十回と繰り返され、ついには雷巡チ級の息が絶え絶えになると、ようやく雪蓮の攻撃は……止まった。 

 

 

『ギィ…………ギィ………』

 

『あーあ、もう終わりなの? 見た事の無い攻撃だったから、それなりに楽しめたけど………』

 

 

だが、それで罪を赦したという事も、見逃すという事でも無く───

 

 

『まあ、これで相手の動きも……大体は掴めたわねぇ。 まだまだ私を熱くしてくれる敵が居そうだし、さっさとコレを仕止めて、次の奴を相手しようかな〜♪』

 

『…………………ギィ………』

 

 

獰猛な笑みを浮かべて雪蓮が語る言葉を、要約して一言で表すと──《 無価値 》と。

 

こうして、雷巡チ級は止めを刺されるのだが、そんな彼女は薄れる意識の中……この悪夢から解放されるのを心の底から喜ぶのであった。

 

 

 

◆◇◆

 

【 昇龍 の件 】

 

? 南方海域 連合艦隊側 蜀軍 にて ?

 

 

短い思考と思っていたが、結構長い時になっていたと気付き、己の軽率な行動に臍(ほぞ)を噛む。

 

 

『( まさか、敵に気付かない程に思考に沈むとは……… )』

 

 

そう考え、敵より一撃を喰らう事を覚悟していたが………予想に反して、潜水ヨ級からの攻撃は来なかった。

 

その代わりに────

 

 

『後ろからの相手に気付かず、義妹の心配している姉馬鹿殿が、何をほざくのかな?』

 

『せ、星……なのかっ!?』

 

『左様。 もし、私が助けなければ………お主は終わっていたぞ、姉馬鹿殿?』

 

 

偶々、愛紗を狙う潜水ヨ級の行動を見ていた彼女は、気付かれないよう逸早く頭上から飛び込み、大口から現れた女性のうなじ部分を槍で突き刺して、これを撃破。 

 

しかし、それでも気付かぬ愛紗に、呆れた様子で声を掛けたのが、肩に愛槍 龍牙を担いだ《趙子龍 真名……星》である。

 

 

『幾ら、主が我らを覚えていないからとはいえ、些か気落ち過ぎていないか?』

 

『ぐぅ………だ、だがなぁ………』

 

『この身が貂蝉達の力により、奴らに対抗できる力と肉体がある。 だが、主は……普通に輪廻転生の輪へ乗り、この世に生を受けた身。 覚えている方が不思議、そう思わんか?』

 

『…………うぐっ』 

 

『しかも、ここは、我らが生きて居た場所と、縁も所縁(ゆかり)もない地。 だからと言って───』

 

『むっ! でやぁああああっ!!』

 

『性懲りもなく───はいはいはいっ!!』

 

 

星が途中まで話すと、愛紗が青龍偃月刀を振り上げて、星に斬りかかる。 

 

そして、ほぼ同時に星も龍牙を愛紗に向け突き入れた。

 

 

『………………ゲヘ……バッファ!!』

 

 

『………ガ……ギッ!』

『………グヘェ!』

 

 

星は全部の言葉をいう前に、愛紗の後方から現れた駆逐ハ級二隻を瞬時に突き倒し、物の見事に破壊。

 

愛沙も、星の背後から飛び上がりつつ迫る軽巡ヘ級を、青龍偃月刀で袈裟斬りにし、海の藻屑へと変えた。

 

しばらく残心として辺りを窺い、敵が居なくなった事を確認すると、持っていた得物を構え直した二人。

 

そんな緊迫した空気が一時的に解放された時、愛紗は先程の星が言おうとする言葉の意味を理解して、渋々と納得する。

 

 

『───分かった、分かった! ご主人さまを慕う女達に一々嫉妬や気落ちしても仕方がないと言いたいのだろう! はあー、あの星から先に正論を言われる事になるとは………』

 

『……性論、だと? あれほど奥手だった堅物が、主を酒の肴として、寝屋であった事を私と語ろうなどとは………』

 

『なっ!? な、なな、何を言っているっ!?』

 

『はははっ! すまん、すまん! つい、愛紗と久方ぶりに出会ったので、からかう悪い癖が出た!』 

 

『───星っ!!』

 

『怒るな怒るな。 落ち込んで身体の力を抜き過ぎても、責任の重さで固くなっても、どちらも物の役に立たずだ。 主の為に………この戦、早めに終わらせるぞ!!』

 

『まったく、お前ときたら………仕方あるまい!!』

 

 

そう言った後、再び二人は蜀兵達が抑え込む、次の深海棲艦に向けて飛び掛かっていった。

 

 

◆◇◆

 

【 再会 の件 】

 

? 南方海域 連合艦隊 にて ?

 

 

この状況を、把握できる者は居るのかと問われれば、誰も居ないだろうな………と、独り言ちる。

 

 

『えーと、私達………どうすればいいの、提督さん?』

 

『あの、その………え〜とぉ……』

 

 

漁船の周りに居てくれる瑞鶴と潮より、指示を仰がれるが、一刀としても何がどうなっているのか、判断が出来ない。

 

急に発せられた号令の意味、現れた謎の軍勢の進退を考えると、どうやら一刀を助けに現れたと思わざる得ないが。

 

 

『……………と、言ってもな。 どうなっているのか、説明が欲しい───』

 

『………ふーん、今世では、中々の采配を取れるようになったようねぇ、一刀?』

 

『─────ぶほぉっ!?!?』

 

 

一刀の後ろより、急に金髪縦ロールの髪をした女の子が、突如現れ、その指揮振りを批評する。 驚いた一刀が奇妙な声を上げるが、その声を聞き少女は顔を微笑した。

 

 

『ふふふ……驚かせたかしら。 于吉や貂蝉より力を借りて具現化してみたけど、久しぶりに楽しい気持ちにさせてもらったわ。 あの二人も、たまには良い事してくれるけど……』

 

 

周囲に居る艦娘達も、この少女に対して危惧の念を抱き、どう排除すべきかと近付いた。

 

 

『は、早く提督さんから……離れて下さい!』

 

『へえ〜、この闇を利用して提督と夜戦しようなんて、侮れない女だね。 だけど、そう簡単には行かせないよ!』

 

 

他の艦娘達も驚きはしたが、不審人物という事で構えを取り狙いを定めた。

 

 

────だが、女の子は不敵に笑う。 

 

そして、誰に言うのか……虚空に向けて話かけた。

 

 

『まったく、こんな事になるのが分かりきっていたから、事前説明を頼んだのに、これは一体どういうことかしら?』

 

 

当然、誰もが思った。 

 

この漁船は、この場に居る艦娘達による包囲で、出入りが出来なくなっている。 もし、包囲を抜けて通行しようならば、仲間の誰かが気付き騒ぎ立てる筈だ。

 

それに、包囲を形成している艦娘達、誰もが辺りを見渡すが、仲間の姿意外に不審者は見受けられないのだ。

 

だから、ただの独り言の類いかと思われたのだが………

 

 

『…………………言っておくが、私は君とは違って、艦娘だけやってる訳にはいかん。 影ながら救いの手を差し伸べなければならない、大事な役目があったのでね』

 

 

そう、声が聞こえた。

 

艦娘達は思わず相手を探すが、何処にも居ない。

 

だが、一隻の艦娘だけが………涙を流しながら、声が聞こえた方に目を向け、小さく声を発した。

 

 

『い、生きて……いたんですね。 天龍さんを……皆を……戦艦レ級から……救ってくれた人。 だけど、だけど………』

 

 

潮の言葉を聞き付けた、他の艦娘達が事情を聞こうとすると、一刀の側に居る金髪美少女の横より突如、赤い艤装を装着した艦娘が現れた。

 

その艦娘は潮を見つけると、申し訳なさそうに軽く笑みを浮かべつつ、こう語る。

 

 

『………どうも味方まで騙すというのは、性に合わんのだが、そのお陰で確保できた。 これは、君に無用な心配させた、私からの詫びの品だ。 受け取って貰えないかな?』

 

 

その言葉が終わるか終わらない内に、甲板内に光が走り、それを直視した潮を含む艦娘達が目を瞑る。

 

 

そして、暫くして……誰かが目を開くと──

 

 

『あ、ああ……あっ! ────ッ!!』

 

 

驚愕と歓喜の混ぜた涙声で、誰かの名前を叫んだ。

 

しかし、その名を持っていた艦娘は、既に居ない。 

 

未熟な自分達と敬愛していた提督を護る為、海に散った儚き英雄達。 

 

だが、その声は次第に増えて、嗚咽混じりの歓喜の声が上がる。 次第にそれは、大きく海原に響き渡った。

 

 

『何時まで目を瞑ってるのよっ! 早く、早くぅ、目を見開いて刮目してみなさい!!』

 

『うぅ………い、痛い………』

 

 

急な光に何時までも目を開けない潮に、誰かが激しく肩を叩き現状を見るように言われてから、やっと恐る恐る最後に目を開けた、潮が見たモノは───

 

 

『て、天龍さん……? そ、それに、龍田さん、雷ちゃんや電ちゃん……こ、金剛さんまでぇぇぇ───っ!?!?』

 

 

漁船の甲板には、一刀達を逃がす為に囮として散った長門達六名の艦娘が、艤装こそボロボロの状態だが、怪我もなく呼吸も穏やかに、そして静かに眠っていたのだった。

 

 

『良かった、良かったねぇ!!』

『うわぁーん………潮ぉぉぉ!!』

 

『うわっ………あっ、はいっ! ───はいっ!!』

 

 

潮の大音声が場を支配し、そんな潮に感極まった何名かの艦娘が、大泣きしながら抱き付く。 

 

そんな仲間達を優しく抱き締めた後、大きく頷き、潮は赤い艤装の艦娘を改めて見た。

 

背丈は潮と同じくらいで、スレンダーの体型だが、その身体は戦艦級の力に満ち溢れている、謎の艦娘。 顔の上半分が隠されているが、見える口許からして、かなりの美少女。

 

彼女の素性が分からないが、こんな不思議な事ができるのだ、普通の艦娘では無いのは明らか。 

 

 

だが、それでも………と、潮は考える。

 

もう、何度も礼を言っても言い足りない、天龍達の……いや、皆の大恩人。 この戦いが終われば、改めて提督と一緒に礼を述べないと、と思い馳せる潮であった。

 

 

◆◇◆

 

【 道化 の件 】

 

? 南方海域 連合艦隊側 蜀軍 にて ?

 

 

『こんな時代に、こんな場所で、あたしが槍を振るえるなんて──よっと、おりゃああああっ!!』

 

『そうだよねぇ………て、わぁっ! こ、こんな夢みたいな事になるなんて、蒲公英──思っても見なかったかよっ!!』

 

 

こちらは、重巡ネ級に対して戦うのは、愛槍 銀閃を構え突撃する馬孟起《真名……翠》と、愛槍 影閃を握りしめネ級からの猛撃を外す馬岱《真名……蒲公英》である。

 

背中から自由自在に動く双頭の主砲、本体の足にある副砲に苦しめられるが、二人が息の合う波状攻撃により撃破。

 

他の深海棲艦は蜀兵に任せ、自分達は休憩を取っている。

 

 

『ふうぅぅぅ………やっと、終わった! それにしても、本当に此処って……あたし達が居た──って、蒲公英、何を!?』

 

 

翠が銀槍を杖のようにして立ち、片手で額の汗を拭いていると、従姉妹の蒲公英が口に両手を添え、何かやるつもりらしい。

 

 

『あっ、お姉さま。 貂蝉さんからねぇ、何でも世界の中心で叫ぶと、幸せになれるって聞いたんだよ。 だから、ものは試しって───』

 

 

そう言うと、蒲公英は息を大きく吸うと、大海原で叫んだ。

 

 

『西涼の錦馬超! ご主人さまの為に! ここにいるぞぉ───っ!!』

 

 

ぞぉぉぉ───

ぞぉぉ───

ぞぉ───

 

 

何故か、残響効果まで掛かかった蒲公英の声が、敵味方問わず拡散していく。

 

 

そこで、ようやく事態を呑み込めた翠が、大声で蒲公英を問い詰める。 

 

 

『────はぁっ!? た、蒲公英っ!? な、何で、そこで、あ、ああ、あたしの名で名乗るんだぁぁぁっ!?!?』

 

『だって、お姉さまの名前にした方が……おもし、じゃなくて、幸せになれるかな……って』

 

『面白いなんて言い掛けてるじゃないかぁっ!!』

 

『于吉さんにも相談したら、何か手伝ってくれるとか……』

 

『何で、態々、そんな奴に、相談なんか───!!』

 

『やっぱり……その反応が、ご主人さまに好まれるんじゃないかな……という蒲公英の神算鬼謀?』

 

『お前のが神算鬼謀なら、朱里と雛里はどうなるんだ! この馬鹿野郎が───っ!!』

 

 

この二人の言い争いは、次の深海棲艦が現れるまで続いた。

 

 

◆◇◆

 

【 助言 の件 】

 

? 南方海域 連合艦隊側 蜀軍 にて ?

 

 

『ええいっ! ウロチョロと水面下に潜りおって! 儂の豪天砲が届かぬわっ!!』

 

 

豪快に武器である豪天砲をぶっ飛ばし、潜水カ級を狙う厳顔《真名……桔梗》だが、今回は非常に分の悪い戦いを強いられていた。

 

何故なら、潜水カ級は潜水艦ゆえに、危なくなれば直ぐに潜り、再度出現する場所も特定ではないという、神出鬼没の戦術を取る事ができたからである。

 

そのため、何時もの戦のように狙いが定まらず、非常に苛立っていたのであった。

 

 

『しかし、桔梗様! ここは奴らの敵地、私達の武器が通じないのは仕方ない事では………』

 

『馬鹿者っ! 自分の持つ得物の良し悪しで、勝負に負けたなどとほざくなど、喧嘩師としての名折れよっ!』 

 

『は、はいっ! すいませんっ!!』

 

 

そんな桔梗を心配して、魏延《真名……焔耶》が言葉を掛けるのだが、それが火に油を注ぐ結果となり、怒鳴り返す桔梗。

 

だが、喧嘩師の誇り、桔梗の主であるお館の為、どうにかして打開策をと考えるのだが、幾ら考えても良策は浮かばない。

 

 

『必ず、必ず何か、手がある筈──』

 

『桔梗、ちょっと耳を貸して……』

 

『ん、紫苑? お前に何か、策でもあるのか?』

 

 

そんな悩む桔梗に、僚将であり友でもある黄漢升《真名……紫苑》が、艶かしい仕草をとりながら耳許で呟く。

 

 

『───という方法が、あるのよ。 寧ろ、この方法で早く倒さないと、ご主人さまに負担を掛ける事になるわ』

 

『………何だと?』

 

『焔耶ちゃんには、既に伝えてあるから、後は実行に移すだけ。 この方法は、私も颶鵬(ぐほう)で何回か試しているから、効果は間違いないわよ』

 

『だ、だが、そんな簡単な事で………』

 

『論より証拠よ。 焔耶ちゃん、始めてちょうだい!』

 

 

桔梗は納得いかないようだが、紫苑が強制的に号令を発すると、焔耶は自分の持つ得物、鈍砕骨を使用し、海面を無闇矢鱈と叩きまくる。 

 

始めは何も変化は無かったが、それでも続けていると、焔耶の後方より、潜水カ級の黒い長髪が見え、雷撃を仕掛けようと準備するのが見える。

 

 

『今よ、桔梗っ!』

 

『うむっ、食らえぇえええっ!!』

 

 

桔梗の放った豪天砲の杭は、見事に潜水カ級の頭を貫き、先の戦いの雪辱を果たした。

 

この結果に驚く桔梗は、にこやかに笑う紫苑に問い質す。

 

 

『紫苑よ、これは……どういう事だ?』

 

『ふふ、池に落ちた虫が逃げようと動くと、魚が食い付くでしょう? だから、同じように派手に音を立てると、獲物が居ると思って近付いて来るみたいなの』

 

『成る程………流石に紫苑だけあって、悪知恵が働くわい』

 

『ちょっとそれ、どういう意味?』

 

 

厄介な敵を倒して上機嫌になる桔梗、桔梗の軽口に怒っていますと可愛くアピールする紫苑。

 

 

『あ、あの………私は……何時まで続ければ………』

 

 

そして、命じられたままに、海面を叩き続ける焔耶。

 

 

こうして、更なる戦いが………続く。

 

 

◆◇◆

 

【 支援 の件 】

 

? 南方海域 連合艦隊側 呉軍 にて ?

 

 

『あの………思春殿』 

 

『………なんだ?』

 

『何を、そんなに怒っているんですか?』

 

『……………別に、怒ってなど……いない!』

 

 

この二人の相手は、戦艦ル級。 

 

腰まで伸ばした黒髪、上下の黒服を着用した、左翼側の指揮官。

 

更に言えば、両手へ主砲、副砲を備えた楯状の艤装を展開、強力な火力、優れた耐久力を持つ、攻守共に優れた深海棲艦でもある。

 

 

『でも、どう見たって不機嫌じゃないですか! 具体的には一刀様を見てからで…………』

 

『アイツの事を喋るな! 思い出すだけで……腹立たしい!』

 

 

だが、そんな強敵が居る目の前で、何故か戦いもせず、口喧嘩をしている甘興覇《真名……思春》と周幼平《真名……明命》の二人。 

 

そんな隙だらけの様子を見て、何も言わず攻撃を開始しても、誰も責めないし文句も無い。

 

だから、当然……両手を二人に向け、砲撃を開始───

 

 

『こんな簡単な策に引っ掛かるとは──はあっ!』

 

『……………』

 

 

──する前に、後方から矢が飛来し、戦艦ル級の首へと当たる。 されど、戦艦ル級は深海棲艦の中で上位の耐久を持つ艦、矢尻は刺さることなく、少しの傷をつけて海に落ちた。

 

戦艦ル級は後方に向き直り、自分を狙った人間、黄公覆《 真名……祭 》を見て、ニヤリと笑い砲筒を向ける。

 

だが、そんな戦艦ル級の後ろから、今度は鈴の音がチリン、と鳴った。 思わず、場違いな音色に戦艦ル級の動きが鈍り、片方の腕を背後へと備える。

 

 

『敵に背を向けるなど、その余裕が命取り! 鈴の音は、黄泉路に誘う道標と心得よ!』

 

『─────ッ!』

 

 

狙い違わず、戦艦ル級は思春の斬撃を辛くも対処。 その後すぐに砲筒を向け、二人へ反撃しようと試みるのだが───

 

 

『隙、ありですっ!!』

 

 

と、明命が足を狙って攻め立てた。

 

前後、上下と意識を拡散して攻める孫呉の三将は、格上と思われる戦艦ル級相手に、少しずつ攻勢を強める。

 

しかし、指揮官と命じられるだけあり、通常の攻撃は通じず、戦艦ル級の優位は崩れず。 三名の攻撃にも余裕でもなかったが、隙が生まれる事もなかった。

 

だが、それを見て口角を上げたのは、三名の中で最年ち……ゴホン、戦場経験がある祭である。

 

 

『───ならば、お主に見切れるかっ!!』

 

 

急に的を天空へと変えて、一矢を放つ。 

 

と同時に、祭は素早く戦艦ル級に飛び掛かかり、多幻双弓を手に持ち攻めかかる。

 

僅かの間だけの、四面攻撃。 流石の戦艦ル級も、これには攻める訳には行かず、防御を固めるしかない。 楯のような艤装を貝のように閉じて、反撃の機会を窺う。

 

しかし、これが、これこそが、祭が望んでいた状況。

今までの攻撃は、全て、この為の布石。

 

攻撃をしていた思春と明命に、この場から退くように合図をすると、自分も距離を置きつつ矢を番(つが)える。

 

真の狙いは、戦艦ル級の主砲部分の砲口。 そこに矢を突入させ、内部の砲弾を引火させるという作戦。

 

逆に言えば、この三名が作戦を立てて挑まなければ、勝てないという戦艦ル級が、それだけ強敵だった証。

 

一人だけで挑めば、鎧袖一触で終わらされていた。

 

 

『強敵相手に我が名を示そう! 我が名は、黄公覆! 孫呉に仕える老将の一人よ!!』

 

 

そう言って、祭は矢を放つ。 狙いは違わず、砲口に吸い込まれるように入ると………

 

 

────次の瞬間!

 

 

戦艦ル級が誇った片方の艤装が轟音を伴い、粉々に吹き飛び、戦艦ル級から絶叫が上がる!

 

 

『今こそ、勝機───』

『行きま───』

 

『待てぇえええッ!!』

 

 

それを見た、思春と明命は好機と見て追撃しようとするが、祭はそれを止めた。

 

 

『祭さま、何で止めるんですかっ!?』

 

『明命の言う通りです! 今なら───』 

 

 

『冥琳(周公瑾 真名……冥琳)からの注意を忘れたか!? 彼奴(あやつ)らには、火薬で武器を飛ばす火器があるという事を! それに当たれば、如何に儂らでも一溜りもないわ!』

 

 

孫呉に仕える筆頭軍師の名を出すと、二人は黙り込む。

 

だが、黙った思春達に、祭は再度語る。

 

 

『それにの………敵味方判断できぬ者が……近付いてきておる。 儂が彼奴を倒す故、思春と明命は彼の者達を調べて──』

 

 

祭が言い終える前に、近くにまで来た者……艦娘達は、手負いの戦艦ル級を砲撃で、瞬く間に轟沈させた。

 

そして、その艦娘達の集団から一隻の艦娘が離れて、祭達に近付き、丁寧な言葉使いで話かける。

 

 

『皆様、初めまして。 私は帝国海軍大本営、元帥直属艦隊で旗艦を命じられました、Queen Elizabeth Class Battleship 二番艦、Warspite (ウォースパイト)と申します』

 

『『『 ……………… 』』』

 

『あの、貴女達の所属しているAdmiralに、お会いしたいのだけど………今、どちらに?』

 

 

 

説明
一刀君の回想 その7 です。 やっと題名通り。 今回も長い話です。 再度、誠に申し訳ないですが、6月30日の投稿も都合で休みます。 停電で作ったデータが消えてしまったので。
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コメント
未奈兎提督 コメントありがとうございます! 一応、大海原をかける戦『漢女』も……(震え声)(いた)
形は違えど大海原をかける戦乙女、じゃな(未奈兎)
mokiti1976-2010提督 コメントありがとうございます! お気に召して頂ければ幸いです。 まだ、何名か出しますよ。 最後の艦娘は、数年前に要望されていたので出してみました。(いた)
海面を縦横無尽に駆け回る恋姫達…斬新な展開ですね。そして、桃香はやはりいないと…いた所で役には立たない可能性が大でしょうけど。(mokiti1976-2010)
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艦隊これくしょん 真・恋姫†無双 

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