連載小説13
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「うぅ〜〜〜、疲れたぁ〜〜〜〜」

 

 

怒濤の、嵐のような50分だった。

国語の授業って、あんな? イケメン先生って、あんな?

 

「倉橋さんには、苦痛だったかもね…私はあれくらいでも平気だけど…」

「木谷さん、実は勉強できるでしょ…あの先生、明らかにこの学校の先生じゃないよ…」

 初日からいきなり進みすぎ。うちらへの質問高度過ぎ。もうぐっだぐだだよ。

「私が勉強できるなんてのはあり得ないけど…高校だったら普通じゃないの?」

「だって、進学校じゃないんだよ? もうちょっと和気あいあいとしててもよくない?」

 確かに他の高校の進行具合は分からないけど、他の授業との比較はできる。

あれは明らかに早い。雰囲気もぴりぴりしてたし。

「みんな、イケメンで騒ぐ余裕無かったし…」

「確かに顔はよかったね。倉橋さんじゃなくてもそれは分かる。けど、

勉強が本分なんだし、顔はさぁ…」

 う!

「き、木谷さん…なんですかその正論。私には通じませんよ? 例え先生でも、

イケメンはイケメン! 顔はいいにこした事ぁない!」

「力説されても…私には倉橋さんの方が注目に値するからなぁ」

 むぐっ! こ、この言葉は…もしや…

「木谷さん…レズ?」

「ちょ、冗談! 彼氏がいない=レズって図式? それは困るんだけど…」

 えぇ? そうなるの? そういう意味で言ったんじゃないのに。

これはちょっと補足しないと。こっちが変な認識持ちと思われちゃう。

「そういう意味じゃないって。私の方が注目に値するとか、髪を触りまくるとか、

言動が怪しいんだってば」

「そう? 女の子同士のコミュニケーションとしては普通でしょ」

 普通かぁ? 私は怪訝なまなざしを送ってやった。

「ちょっと、何その目は。私は正常だって。これくらいじゃ勘違いにもならないでしょ」

「するっての! だって、その執着…」

 い、いかんいかん。どんなに言っても勝てないんだった…

「ん? 執着がどうしたの? 続きは?」

「い、いいです。あなたはレズじゃないです…」

 はぁ。疲れる。

「そ、よかった。それより、次の授業、何かなぁ…」

 木谷さんは機嫌良くしてる。こっちが非を認めたような感じだからなぁ。

「次は数学です」

「なぬっ!」

 ん? 血の気が引いたぞ?

「わ、私…数学苦手なんだ…ど、どうしよう…」

「どうしようって、んな大げさな〜。私だって得意じゃないし〜」

 と笑ってみせるけど、木谷さんの顔はこわばったままだ。

「そ、そんな次元じゃないの。本当に…当時めちゃくちゃ先生に…」

「指導された? 怒られた?」

 激しい勢いで頷きまくってる。こ、こりゃあやばいな…

「っと、そろそろチャイムだ」

「あぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜、すうがくがぁぁ〜〜〜〜〜〜〜っ」

 悲観する木谷さん。よし、弱点ゲットだ。数学苦手なのは私も同じだけど。

 

 

「さ、授業だね」

 

〜つづく〜

説明
第13回
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