鬼畜王文台 蘇りし虎は曹魏を食らう 06 第九章一節
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第九章

 

 

 

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〜魏呉大会議 八日目〜

 

 

 

ゴスッ!!

 

 

王宮の広間に、景気の良い音が響き渡った。

玉座の前に並ばされた鈴々、桃香、季衣、真桜、沙和の五人が

孫堅から盛大な鉄拳を食らったのだ。

 

 

煌蓮「…何か言う事はあるかい?」

 

鈴々「あうぅ…ごめんなのだ」

 

桃香「…すみませんでした…」

 

季衣「ごめんなさーい…」

 

真桜「えろうすんまへん…もうメシなんてたかりまへんから堪忍やぁ…」

 

沙和「ううぅ…ごめんなさいなのぉ〜…」

 

煌蓮「孫呉(ウチ)じゃぁ、本人の同意なく無理やり食や金品をたかったり、

   あるいは逆に善意の押し付けっつったようなことは軍規によって禁じている。

   一度たかった連中は味を占めて調子に乗って、何度でも同じことを繰り返すからね。

   冥琳や秋蘭から聞いた話じゃ、坊主の財布がスッテンテンになるまで

   延々と飯を奢らせ続けたそうじゃないか」

 

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一刀はおととい、暑さしのぎの扇子を買いに、建業に新しく出来た市を一人覗き歩いていた。

なるべく将たちに出会わないよう、慎重に行動しながら、あっちをウロウロ、こっちをウロウロと。

あちこち探し歩いてようやく、柄の良い扇子が見つかり、それを買おうとしたところで、

魏の三馬鹿に見つかった。

そのまま流れで屋台で昼食をおごることになってしまい、

さらに季衣・桃香・鈴々・春蘭まで加わり、終いには鈴々と季衣と春蘭が対抗心をむき出しにして

一刀の金であるにもかかわらず食べ比べ競走を始めてしまい、

結果、彼女たちの食事代を全て一人で負担させられてしまったのである。

あくる日冥琳が、文鎮が壊れたから一刀に買いに行かせようとした所で、

彼の所持金が極端に少ないことに気づいた。

これに不審を抱いた彼女は、あくまでも自分の意思で

彼女たちに食事を振舞ったと主張する一刀の言を無視し、内部調査を行うよう華琳に指示。

稟を使いに出し、将校全員に聞き取り調査を行うと、その日のうちに犯行が発覚し、

その結果が今の状況であった。

ちなみにこのとき同行していた流琉・愛紗・凪の三人はあくまでも彼女たちをいさめる立場にいたので

ゲンコツは免れたのである。

ちなみに、今頃春蘭は、華琳の部屋でこっ酷いお仕置きを受けていることだろう。

尤も曹操の罰と孫堅の咆哮、どちらがマシかは如何とも比べ難いところではあるが。

前者を選んだのが春蘭、後者を選んだのがそれ以外の五人であっただけのことである。

 

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煌蓮「今日は拳一発で許してやるけれど、次やったら給金に響くからね。

   よく覚えておくんだよ、分かったね!?」

 

五人「は(へ)〜〜〜い(なのだ)……」

 

桃香たちは殴られた頭をさすりながら、玉座を退出していった。

 

 

煌蓮「秋蘭、坊主に公金で良いから損失分のゼニ返してやんな。帳尻は後でこっちでつけとくから。

   あと、あのはわわちゃんとあわわちゃんに、坊主の財布の紐を握らせときな。

   くれぐれも、   艶   本   なんかに流用しないようにってね」

 

秋蘭「はっ。 では後ほど稟に手配させましょう」

 

煌蓮「…ったく、あんな下らん本読んでる暇があったら、

   坊主のマラでも突っ込んでりゃいいってのにねぇ…せっかく平等に機会くれてやったってのに…

   まぁいいや。それと冥琳、秋蘭、各将軍格の配属決定書と赴任令状、会議の席取り表、

   それから桂花の奴に作らせた居住区の割り当て表は持ってきたかい?」

 

秋蘭「はい、こちらが桂花の作成した居住区表です」

 

煌蓮「どれどれ…」

 

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荀ケ案:

 

 

乾宮  孫堅  孫策  孫権  孫尚香  周瑜  黄蓋  甘寧

 

 

震宮  曹操  荀ケ

 

 

兌宮  劉備  関羽  張飛

 

 

巽宮  陸遜  呂蒙  周泰  公孫賛

 

 

離宮  貂蝉  卑弥呼  華佗  北郷一刀

 

 

坎宮  夏侯惇  夏侯淵  許緒  典韋

 

 

艮宮  郭嘉  程c  楽進  李典  于禁

 

 

坤宮  諸葛亮  鳳統  張遼

 

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煌蓮「………」

 

秋蘭「……文台様…いかがなされましたでしょうか?」

 

煌蓮「…なぁ、秋蘭」

 

秋蘭「はっ」

 

煌蓮「あの荀ケって奴ぁ、間違いなく魏の筆頭軍師だったんだよな?」

 

秋蘭「御意」

 

煌蓮「なら、これはどういうことだい? 何でうちの坊主があの筋肉と一緒の離れにいるんだい?

   このあたしを馬鹿にしてるのかい? ちっとばかし考えりゃ、あいつらと一緒の宮に入るのを

   坊主が大反対することくらい分かりそうなもんじゃないか。

   それにあそこの震宮は八つの宮の中じゃ一番せまいけど、

   天に一番近い真東にあるから坊主にこそ使って欲しい部屋なんだよ」

 

秋蘭「…と、申されますと……?」

 

煌蓮「まぁなんだ、あいつにゃ別の仕事を与えたほうが良いのかもね。

   『人事に過度な私情を挟みし者は、曹魏の軍師足り得ても、孫呉の軍師足り得ず』。

   この一言だけ言ってやりゃ良いさ。 …こいつぁ没! うちの連中に代わりにやらせるよ。

   はぁ…あたしゃ部屋取り担当の人選を間違えたのかねぇ」

 

秋蘭「そうおっしゃると思いまして、私と冥琳殿で代案を作成してまいりました。こちらです」

 

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夏侯淵・周瑜案:

 

 

乾宮  孫堅  孫策  孫権  孫尚香

 

 

震宮  北郷一刀

 

 

兌宮  劉備  関羽  張飛  諸葛亮  鳳統  張遼

 

 

巽宮  陸遜  呂蒙  周泰  公孫賛

 

 

離宮  貂蝉  卑弥呼  華佗

 

 

坎宮  曹操  夏侯惇  夏侯淵  荀ケ

 

 

艮宮  郭嘉  程c  許緒  典韋  楽進  李典  于禁

 

 

坤宮  周瑜  黄蓋  甘寧

 

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煌蓮「あぁ、これなら文句ないね。よし、これでいこう。

   で、その荀ケって子は、どうしてこんなおかしな案を出したんだい?」

 

秋蘭「申し訳ございません文台様…あやつには少々厄介な性癖がございまして」

 

冥琳「厄介な性癖? 何なのだそれは」

 

秋蘭「うむ…実は桂花は、根っからの男嫌いなのです。我が魏において男性の兵士が尉官以上に

   昇進できなかったのも、全て桂花が人事を担当していたためでした」

 

煌蓮「なるほどね。それで将兵連中を全部女で固めたと」

 

秋蘭「そのとおりです…なんとも申し開きようもございませんが、全て事実です」

 

冥琳「なるほど……確かにそれは、厄介な性格だな。

   呉でそのように恣意的な人事を行えば、間違いなく軍籍を剥奪されるぞ」

 

煌蓮「うちにゃ魯粛や韓当って義賊出身の将がちゃんといるさね。

   顔つきは悪いけど、馬術なら霞ちゃんとそう引けをとらん有能な連中さ。

   尤もあいつらは、普段は荊州との境の国境警備やってるから、

   こっちに来るのは年に一度あるかないかくらいだけどね。

   うちらは人相の良し悪しで差別したりはしないよ、能力と忠義心が揃っていればそれで良いのさ。

   よく覚えとき。あと今あたしが言ったことは、魏の子達にも周知徹底させておくように」

 

秋蘭「はっ」

 

煌蓮「あとあの子にはお仕置きだね。帝(みかど)の機嫌を損ねたんだ、

   ドギツイ罰をくれてやれって華琳ちゃんに伝えな」

 

秋蘭「承知いたしました。 ではそのように伝えてまいりましょう。

   それでは私は、これにて失礼いたします」

 

煌蓮「後は配属決定書と席取り表だね。 赴任令状はあとで良いや、見せな」

 

冥琳「こちらに」

 

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会議席位置(上にいくほど席次が高い 右にいくほど席次が高い)

 

 

            孫堅

 

     北郷            孫策  

 

    孫尚香    周瑜      孫権

 

    甘寧     陸遜      黄蓋

 

   公孫賛     周泰      呂蒙

 

     劉備             曹操       

 

   夏侯淵     夏侯惇      関羽

 

   張遼   郭嘉   荀ケ   諸葛亮

 

許緒   典韋    張飛    程c   鳳統

 

    于禁     李典       楽進

 

    張宝     張角       張梁

 

    卑弥呼    貂蝉      華佗

 

 

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煌蓮「ん〜………」

 

冥琳「いかがでしょう、文台様?」

 

煌蓮「そうだねぇ……坊主と馬鹿娘の左右を交換、あと春蘭と秋蘭の所も左右取っ替え。

   それ以外はこのままで良いや」

 

冥琳「では、雪蓮が北郷の下につく、ということで宜しいのでしょうか?」

 

煌蓮「まぁそういうことだね。 いざとなりゃ坊主にゃあたしの代わりに

   百二十万全軍握ってもらうことになるからね」

 

冥琳「承知いたしました。 ではそのように手配いたしましょう」

 

煌蓮「後は目玉の、配属決定書だね」

 

冥琳「はっ、こちらでございます」

 

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孫呉国  配属決定通知書

 

 

太守  武烈皇帝 孫堅

 

天譴大師  北郷一刀

 

軍師  周瑜  呂蒙  荀ケ  郭嘉  鳳統

 

騎兵将軍  孫権  張遼  公孫賛

 

歩兵将軍  夏侯惇  許緒  楽進  李典  于禁  関羽  張飛  貂蝉

 

弓兵将軍  夏侯淵  典韋  黄蓋  孫尚香

 

隠密将軍  周泰

 

水兵将軍  甘寧  卑弥呼

 

唱歌隊  張角  張宝  張梁

 

衛生部隊長  華佗  

 

天譴直参将軍  孫策  劉備  曹操

 

天譴直参軍師  陸遜  諸葛亮  程c

 

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煌蓮「……ん? 華琳ちゃんの名前はどこにあるんだい?」

 

冥琳「こちらです。 この左の一番下のほうに」

 

煌蓮「ん? どこさね……おぉ、あったあった。

   おーおーおー、こいつぁこいつぁ……クックックックックッ、

   なぁ冥琳、この配属の案を出したのはどういった連中だい?」

 

冥琳「はっ、雪蓮と穏、劉備殿と諸葛亮殿、それから曹操殿と程c殿も関わっておりますな」

 

煌蓮「あやつらも悪よのぅ、かーっかっかっかっかっか!」

 

冥琳「北郷も災難ですな、ほかの者たちが黙っておりますまい?」

 

煌蓮「そうだねぇ。要は自分一人さえ加わっておけば、

   あとは部下たちを呼び込むなり好きに出来るからねぇ…

   なかなか図太い考えの持ち主じゃないか、あいつらは」

 

冥琳「まぁ、そういうことになるでしょうな。 それで、いかがいたしましょうか、この配属案は?」

 

煌蓮「そうだね、これはこれで良いね。変更の必要なし」

 

冥琳「はっ! では直ちに全将兵を召集させましょう」

 

煌蓮「よっしゃ!! おい官吏ィ、鉦を鳴らせぇ!! 全将に招集をかけろぉー!!!

   これから各方面隊の配属を発表する!!」

 

 

 

第九章一節終了

 

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コメント
いっそのこと貂蝉と卑弥呼の『漢女部隊』でも作ったらいいジャマイカww(零壱式軽対選手誘導弾)
白蓮が高い位についてますね。出世ですねw(ブックマン)
まぁ桂花だからね、こうなるだろうよ・・・(キラ・リョウ)
しかしネコ耳案だと皆の貞操は確実に守られる罠www(村主7)
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恋姫無双 孫呉 曹魏 孫堅 文台 秋蘭 冥琳 

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