魔神達の幻想入り 第11話
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文「いい記事になりそうなので、私はそろそろ戻ります。それでは〜!」

15分もかかるインタビューに俺は息を切らしていた。彼女のマシンガントークに手こずらされたからである。

この女は間違いなく24時間ぶっ飛ばしで活動できそうなほどの熱血者だ。うん、そうに違いない。それを言いつつも彼女、文は満足そうに飛び去っていった。

身体についていた嫌気が剥がれる俺だったが、ポケギアのことをすっかり忘れていた。こんな無残な姿と化したくず鉄を直そうとしても、器具なんて持ってないからどうしようかと悩む。と、その時、エビスのポケギアが鳴り出す。

エビス「はい・・・ああ、神奈子はん、どないしました?・・・え!?ベンケイはんがこっちに来てるやて!?」

ジュウゴロウ「!?」

ベンケイ・・・だと!?

突然出てきた言葉に驚いたその直後、

魔理沙「なんだありゃ?こっちに来るぞ?」

魔理沙は空の向こうから何かが接近してくることに気づいた。よく見るとあれは・・・ベンケイのカイリューじゃないか!

ベンケイ「会長殿、無事でしたか!」

空から俺を見るベンケイは一安心すると、勢いよく飛び降りる。

 

ドンッ!

 

ベンケイが高いところからうまく着地した瞬間、一同はギョッとするような目で驚く。相変わらず無茶する奴だ。

続いてカイリューが地上に降りると、なんと見知らぬ少女も乗っていた。

魔理沙「にとりじゃないか、こんなとこで何してるんだ?」

にとり「この人の案内に決まってるでしょ!・・・私、機械好きの河童妖怪の河城にとりって言います」

ジュウゴロウ「!」

俺はふと閃いた。機械好きなら・・・

ジュウゴロウ「にとりと言ったな、この壊れたポケギアって直せるか?」

にとり「勿論だよ」

助かった!これで何とかなると思い、俺はにとりに壊れたポケギアを預けた。翌朝には直っているらしい。

ジュウゴロウ「あとはサイだな・・・ベンケイはサイを見てなかったか?」

ベンケイ「申し訳ないが、サイ殿のことは何も・・・」

やはり駄目か・・・。

ジュウゴロウ「何か心当たりがあればいいんだが・・・」

魔理沙「なぁジュウゴロウ、霧の湖とかには行ってみないか?」

ジュウゴロウ「湖?」

魔理沙は何か知っていそうな顔で言う。

そういえば、俺の部屋の窓で湖が見えていたが・・・

何かの手がかりになりそうかもしれないので、俺達はそこへ行くことに決定する。(但し、霊夢は行かない)

 

湖の近くまでやってきた俺達。そこは実に綺麗な湖で、シンジ湖を思い出すような風景だ。

魔理沙「一つ言っておくぜ、ここにはHな妖精がいるんだぜ」

ジュウゴロウ「H?」

全く意味の分からない言葉だ。簡単に説明してもらったところ、バカという意味らしい。

とりあえず降下し、地上に降りた次の瞬間に何かが飛んでくる。針だ。

ジュウゴロウ「ボーマンダ、アイアンテール!」

ボーマンダは体を回転させて光る尻尾で針を粉砕した。その粉砕した欠片からしては、どうやら氷でできた針とわかる。

魔理沙「今のがHの仕業だ」

「だからバカっていうなー!!」

茂みの中から怒って出てきたのは青い服を着た少女である。背中には氷の羽があって、まさに妖精だ。

ジュウゴロウ「そこの妖精」

「あいたはチルノっていう名前があるのよ!」

ジュウゴロウ「じゃあチルノ、このあたりに人間は来なかったか?妖獣を連れた人間なんだが・・・」

チルノ「ぜんぜん知らない。ってか、あたいの縄張りへ勝手に入るまねはさせないわよ!」

即答である。しかも、ここは彼女の縄張りらしい。

ジュウゴロウ「仲間がこの森で遭難してるんだ、早く見つけないとどうなる分からねぇし・・・」

チルノ「問答無用!」

と言ってチルノは氷の針を放った。素早く伏せて回避する。

ジュウゴロウ「仕方ないな・・・バルト、出番だ」

バルト「よーし!久々のバトルだ!燃え上がれ、バクフーン!」

バルトは上機嫌でチルノの前に立ってボールを投げると、中からかざんポケモン、バクフーンが唸りを上げて出てくる。

チルノ「さいきょーのあたいに勝負って?そういうのをバカっていうのよ!凍符「パーフェクトフリーズ」!」

バルト「火炎放射!」

氷の弾幕を放つチルノだが、バクフーンの火炎放射であっさり解かされてチルノの右側を通る。

チルノ「ふぇ?あたいの弾幕が・・・!?」

バルト「氷は炎にとても弱いからね。僕を本気にしちゃうと火傷するよ?」

完全にチルノを追い詰めてニヤニヤとするバルト。相変わらず腹黒いのが彼の特徴なのだからだ。

と、ここでチルノが悪あがきでもするかのように、両手を空に翳しながら氷の塊を作り出す。なかなかの大きさだ。

バルト「バクフーン、リザードンに交代!」

バルトも出し惜しみ無しでリザードンへ交代する。

チルノ「これで消えちゃえーっ!!」

チルノは塊をバルトへぶん投げる。対するバルトのリザードンも、口から漏れ出すような炎が湧き上がる。

バルト「放つのは炎の究極奥義!この一撃で世界に歴史を刻む!リザードン、ブラストバーン!!」

リザードンの口からチルノが投げた塊と同じ大きさの火球が発射。間近だと耳が痛くなるような物凄い音が鳴り響き、球と塊がぶつかった直後に勝ったのは当然ブラストバーン、その威力は打ち上げ花火みたいに炸裂した。

チルノ「そ、そんな・・・」

ジュウゴロウ「バルトの勝ちだ。約束どおり通らせてもらうぞ?」

チルノ「〜〜〜っ!もう勝手にしなさい!ベーだっ!」

チルノは悔しそうな顔であっかんべをし、そのまま森の中へ逃げ去った。

諏訪子「バルトって強いんだね!」

バルト「なんたって会長さんに仕えるトレーナーだからね」

ベンケイ「うむ、サイ殿を探すとしよう。会長殿、二手に分かれて探すのはどうかと・・・あれ?」

ベンケイは目を丸くした。俺がこつぜんと姿を消していたのだ。

エビス「ベンケイはん、どないしました?」

ベンケイ「会長殿がまたいなくなりましたぞ!」

一同「な、なんだってー!?」

 

 

チルノ「なによ、あんな変な奴つれてるなんてひきょーよ!あんなのがなかったら勝てたのに!」

チルノは悔しいせいで腹を立てていたが、すぐに直ると今度は悲しい顔になる。

チルノ「あたい、やっぱりさいきょーじゃないのかな・・・?」

「そうとは言わないぜ、チルノ」

チルノは突然後ろから聞こえた声に驚いて振り向く。そこには俺が立っていたのだ。

チルノ「あんた、あの人間の仲間じゃないの!」

チルノは素早く距離を開け、腕を構える。

ジュウゴロウ「俺にはジュウゴロウって名前があるさ。もう一度言うがチルノ、お前は最強じゃなくもない」

チルノ「それってどういうことよ・・・」

ジュウゴロウ「お前には未来があるからだ。お前はなれる可能性があるんだぞ」

チルノ「さんきょーに?」

ジュウゴロウ「そうだ。だかな、最強というのは俺たちの世界でも、幻想卿でもなれることはできない」

チルノ「なによそれ!それじゃあさいきょーになれないじゃない!」

ジュウゴロウ「まぁ落ち着いてよく聞くんだ。最強というのはな、なるんじゃない。知るんだ」

チルノ「知る・・・?」

チルノは呆然とした顔になる。

ジュウゴロウ「最強になるには、どうすればいいのかを知れ。それを知ったその時こそが、本当の最強になれる瞬間を目にするんだ」

チルノ「・・・もうちょっと簡単に言ってよ!」

ジュウゴロウ「いいだろう。例えるとしたら、お前はその氷を使った攻撃が得意みたいだな。その力は炎相手には通用しにくいが、要はお前がピンチでもその力を信じる覚悟があるかどうかだ」

これくらい言ってみれば、少しは分かってくれるだろうと思った俺。数秒後にチルノの返事が来る。

チルノ「覚悟なら、あるとおもう・・・」

ジュウゴロウ「それだ。それが最強に近づく1つの答えだ。知ることはたくさんあるが、知れば知るほど強くなれる。そして強くなってきたら挑戦してみろ。新しい発見も見つかるぞ」

チルノ(そっか、これがさいきょーの答えなんだ・・・なんだかうれしいかも・・・)

チルノはニコッと笑顔になる。

チルノ「じゅうごろー、あたいはあんたを子分にしてあげるわ!喜びなさい!」

ジュウゴロウ「はいはい・・・そろそろ俺は戻るぜ、仲間が心配してるかも知れねぇ。じゃあな」

俺は振り返らずに手を振って湖へ戻っていった。

 

戻ったときには一同が俺を見つけて一安心しているところが見えていた。

バルト「会長さん、勝手にどこいってたんですか!?」

ジュウゴロウ「人影が見えたから追ってたんだが、速すぎて見失っちまった」

エビス「無茶苦茶ですなぁ、会長はんもついでとして探そうかと思ってましたで」

面目ないと俺は謝る。さて、すぐに当初の目的を行わなければいけないな。ベンケイの案では二手に分かれて探すということで、俺はそれに賛成した。

構成は俺、ベンケイ、魔理沙、にとりが紅魔館へ。バルト、エビス、早苗さん、諏訪子は森の中へ探索することにする。

ジュウゴロウ(サイ、もしお前が今日中までに見つけられなかったら、今頃どう思っているんだ・・・?)

その答えはこんな感じだった。

サイ「アド、ここで少し休もうか」

 

一方の僕とアドは地図のルートどおりに歩いている途中、時間はすでに昼を過ぎていたので、用意していたコッペパンを取り出す。軽い食料とはいえ、空腹のままでいくよりはマシなところである。

アリスちゃんが言うには、人形は食事をとらなくても餓死になることはないと言っていたのですこし安心した。けど、人形でも疲れることがあるのなら、休ませるのは正解だと僕は思った。

コッペパンを食べたあとにお茶を飲んで一息つくと、僕は森の周辺を見渡す。今までは怖く感じた森だけど、今は自然豊かで落ち着きのある森になっていた。

もう一度地図を確認して現在地を調べると、大分進んだことがわかり、森を抜けるまであと1キロだった。もうひと踏ん張りである。

そう分かれば僕は身体を起こし、再び歩こうとした。その時アドは、

アド「ナニカイル。ナンダカヤナカンジ」

サイ「え?」

僕はアドに釣られて立ち止まる。後ろから誰かが近づいているみたいで、僕はもしかするとと思い前へ向く。

サイ「アド、全力で走るよ!」

アリスちゃんの言ってたあの妖怪だったら大変だ。逃げ切れる確率は全くないと言ってたけど、まだ気づかれてはいない。それならなおさら、急いで逃げれば助かる可能性があるのだ。とにかく走って・・・

・・・・・・?おかしい。全速力で走ってるのに、怪しい気配がどんどん近づいているじゃないか!

サイ「(それならば!)アド、木の陰に隠れるよ!」

ちょうど隠れるには打ってつけの木に通りかかると、僕とアドは素早く身を潜めて静かにその場で待つ。

すると予想通り、黒い服を着る少女がその場にやってきた。

「あれれー?見失っちゃったのかなー?お腹空いてたのに」

よだれを垂らしながらそういう。まさかあの子が、ルーミアなのか・・・?

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第11話でした。

ジュウゴロウはこう見えて優しいところもあるんです。ですから今後のチルノの強さがどうなっていくのかも期待のひとつとして楽しみにしていただければ幸いです。

さぁ、ついにサイは最大のピンチに遭遇してしまった!果たして、生きて人里にたどり着けるか!?

食うか食われるかの緊張が走る次回、第12話に続きますっ!!

説明
ポケットモンスターの世界に住むトレーナー達が幻想郷へやってくる不思議な物語。

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