【サイバ】魔法王国英雄記 吼えろ!サイラス 〜剣が結んだ親子の絆(2)〜【交流】
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旅館ヘルプスト。

 

主人「それは災難でございましたねえ」

サイラス「全く、私としたことが。確かにディアの言う通り、少々人がよすぎたのかもしれん」

主人「しかし、それが貴方様が国民から愛される理由でもあるのではないかと。おっと、口が過ぎました;;;; ご無礼お許し下さい」

サイラス「いいのだ。さて、そろそろ風呂に入ろうと思う。沸いておるか?」

主人「それがその、昨日から釜が故障しておりまして、申し訳ございません…」

サイラス「えっ」

主人「ほど近い場所に公衆浴場がございますので、そちらに行かれてみてはいかがでしょうか?」

サイラス「そうするしかなさそうだな」

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サイラス「ここか、主人の言っていた公衆浴場とは。混浴だそうだが、この際背に腹は代えられぬか」

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脱衣場。

 

サイラス「先客がいるようだな。むっ、この黄色い服は!?」

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ガラッ!

 

サイラス「やはりお前か!! おい!!」

レイ「あっ、やべっ!!」

 

ダッ!

 

サイラス「あ、待て! えっ、女の子!?」

 

ヘナヘナヘナ。

 

レイ「ヘッへッへ、この隙にぃ! さいならー!」

ディア「こらあ、待ちなさーい!」

サイラス「ディア!」

 

ガッ!

 

レイ「離せ! 離せよ姉ちゃん!」

ディア「離しません! 全く、相変わらず変なところで純情でございますね王様」

サイラス「だからほっといてくれ」

レイ「離せ! 離せえええ!!」

 

・・・・・・

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サイラスとディアに物陰に連れてこられたレイ。

 

ディア「黄色い服を着た子が公衆浴場に入っていくのを見て、もしやと思ってあとをつけてみたらビンゴでしたわ」

レイ「ごめんなさい王様。はい、これ剣です…」

サイラス「ん」

レイ「柄に巻いてあった布を取ったらホワイト家の紋章が出てきて…それで怖くなって、売らずに隠しておいたんだ。王様の物とは知らなかったんだ。ホントだよ! ごめんなさい!」

サイラス「馬鹿者! 王の物でも民の物でも盗みは盗みだ!」

レイ「ひっ!」

ディア「ねえ、どうして盗みなんかしたの?」

レイ「おいら、5歳の時に父ちゃんと母ちゃんが死んじゃったんだ。働こうと思ったんだけど、こんな子供雇ってくれるところなんてどこにもなくて、それで盗みで生計を立てていたんだ…」

サイラス「なるほどな。しかし、それは盗んでいい理由にはならんぞ」

レイ「分ってます。盗みは死罪なんでしょ? どうせおいらなんか生きてても仕方ないんだ。早く父ちゃんと母ちゃんの元に行ったほうがいいんだ。一思いにやって下さい、王様…」

サイラス「いい心がけだ。そこになおれ」

レイ「はい…」

ディア「王様!」

サイラス「ディア、お前は黙ってろ! でやあーーーっ!!」

レイ「!!」

 

ビタッ。

サイラスが振り下ろした剣は、レイの首の1ミリ手前で止まった。

 

レイ「…?」

サイラス「レイよ、お前あの宿屋、ヘルプストで働いてみる気はないか?」

レイ「ヘルプストで?」

サイラス「あそこのご夫婦はな、事故で亡くなった息子夫婦の一人娘を引き取り、自分の子供のようにかわいがって育てていた。ちょうどお前と同じくらいの歳の子だった。だがその孫も、ちょうど1年前に流行り病で死んでしまってな、二人の気の落としよう、それは相当なものだった」

レイ「……」

サイラス「お前、その子の代わりに働いてみる気はないか? お前さえよければ、この私から話をしておこう」

レイ「分った! おいら働くよ! 一生懸命、心を入れ替えてね!」

サイラス「うむ。だがもし次に変な気を起こしたら、その時は…」(ガチャリ。剣を鳴らす)

レイ「もちろんさ! 見ていてくれ、王様!」

サイラス「うむ。楽しみにしておるぞ」

ディア「うふふふふ、ほんと人がよろし過ぎますわね王様はw」

サイラス「だからほっといてくれ」

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10年後。

 

サイラスの書斎。チラチラと揺れるランプの灯りで手紙を読んでいるサイラス。

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レイ『大変ご無沙汰致しております王様。私のこと、覚えていらっしゃいますか? 10年前大変お世話になりましたレイでございます。』

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サイラス「もちろん覚えてるさ。残念ながら、あれ以来ヘルプストに行く機会はなかったが、いつも気にかけていたよ。しかし、あの自分のことをおいらと言っていた子が今や“私”か。フフ、時は人を変えるものだな」

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レイ『王様の名君たるお噂は、遠きこの地にも日々鳴り響いております。忙しさにかまけて、今日の今日まで何のご報告もせず申し訳ございませんでした。

本日、急に王様のことを思い出すことがございまして、居ても立ってもおられず、筆を取らせていただきました。──

 

 

 

──是非またお妃様、ディアさんもご一緒にヘルプストにいらして下さい。かしこ』

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コンコン。

 

サイラス「どうぞ」

 

ガチャ。

 

アイリス「コーヒーが入りましたわよ、あなた」

サイラス「ありがとう。レイ、元気にしているようだ」

アイリス「それはようございました。あら、まだ便箋があるようですわ」

サイラス「本当だ。おや、この字は?」

 

メアリー『はあーい、お父上にお母上元気ー?w わたし今、ナッツとの新婚旅行でレイさんの宿に来てるんだ! びっくりしちゃった、レイさん、お父上と知り合いなんだって? 凄いんだよレイさん、経営者ご夫婦自慢の看板娘でね、レイさん目当てで、あちこちの街や村からお客さんがたくさんたーくさん来るんだって! お父上とお母上もまたいつか来なよ。じゃ、わたしたちはもうしばらくあちこち回って帰るから!』

 

サイラス「やれやれ、メアリーのやつ、宿に迷惑を掛けてなければいいが。これは近いうち謝りに行かんといけないようだなw」

アイリス「ええ、そうですわねw」

 

 

=END=

 

 

 

説明
サイラス https://www.tinami.com/view/1056102
 ディア https://www.tinami.com/view/1061923
メアリー https://www.tinami.com/view/1054196
(名前のみ)
 ナッツ https://www.tinami.com/view/1056093
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