真・恋姫無双 魏エンド後 〜春華秋刀〜 7
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〜野営地/五胡〜

 

「ハッハー!どうやら無事に……とまではいかないか。まぁ、合流できたんだから良いか」

「本当ならすぐに合流できたんだけど、羅木の勝手な行動で遅れた故に兵の数も少なくなったわ」

 

煉火と那水が天幕の中で話し合っていた

 

「まあまあ、兵の数はこちらの方が多いんだ。それに那水と偲土もいることだしな」

「何をのんきな事を言っているの?魏の力を甘く見てたせいで羅木は許昌を落とせなかったのよ」

「あぁ、はいはい、解かってるよ。油断するなって言いたいんだろう」

 

那水が少し怒り口調で言うと、煉火はやれやれといった感じで話を受け流した。

 

「まったく、人が話しているのに。まぁ、私も貴方と一緒に後方で指揮を執りますから、そのつもりで」

「ハッハー!なんだよ、お前は戦場には出ないのか?」

「貴方も知っているでしょう?私はあまり人を斬りたくないの」

「ハッハー!何だ、まだそんな甘い考えをしているのか?それに、そんなのは偽善でしかないぜ?」

「………そんなこと、貴方に言われなくても、解かっているわ」

 

那水は顔を下に向けた。

 

「それと、羅木が許昌を制圧出来なかったのは許昌で一刀と闘ったんだろう?」

「!!!」

 

煉火が話すと那水は下を向いたまま肩を震わせていた

 

「本当なら記憶がない一刀には闘う力がなく、簡単に一刀も許昌も制圧できるはずだった」

 

煉火は真面目な顔をして那水の方を向いた

 

「結果はお前の知っている通り一刀は羅木と闘い、一刀は羅木が率いる軍勢を退けた。まぁ羅木が一刀との戦いに夢中になったというのも原因の一つでもあるが…。

これは俺の推論だが、もしかしたら一刀は記憶が戻り始めてるかも知れないな。だから、羅木と互角とまではいかないが何十合と打ち合った。まあこれはあくまで予想だけどな」

「………」

 

那水は右手で左ひじを掴んだまま黙った

 

(やれやれ、しょうがねぇな、那水の奴。でもまぁ、仕方ないか。一刀の事に関しては―――な)

 

 

 

 

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戦場/西

 

「怯むな!このまま敵を押さえつけろ!」

「「「「おぉぉぉぉぉおおーー!!」」」」」

 

秋蘭は自軍の兵を鼓舞し、兵たちもそれに答えるかのように奮闘していた。

しかし、今日の五胡軍は違っていた。

昨日までは攻に秀でた陣形を展開させ破竹の勢いで攻めてきたが、今は守に秀でた陣形を展開させ鉄壁の守りで魏軍の攻撃を潰していた

 

(おかしい……昨日とは明らかに兵の動き方が違う。

向こうの指揮官が変わったのか?だとしたら、昨日私と闘った男か?

いや、あの男は後方で指揮を執るより、前線で闘う方だな。なら、もう一人の女の方か?

昨日の見た感じだとあの女も相当な武の持ち主だろう……)

 

そこでふと秋蘭は顔を潜めた

 

(昨日は華琳様や姉者にもしかしたら………もしかしたら、“一刀がこの世界にいるかもしれない”という事を言えなかった

本当だったら、言いたかった

私はのどまで来ていたその言葉を声に出して皆に言いたかった

でも、結局は私は言えなかった。

それは何故だ?

……そんなこと本当は解かっている。

それは一刀はこの世界にいるという期待が、本当はこの世界に一刀はいないという絶望に変わるのが怖かったからだ。

だから、私は期待しない。一刀がここにいない事を――――――)

 

秋蘭は頭ではそう思っているが、心はそうは思っていなかった。

当然だ、いったん消えた愛した男が戻ってきたかもしれないかもしれないのだ。

 

「夏侯淵将軍!」

 

そこに一人の兵士が来た。秋蘭はそちらに目を向け

 

「どうした!?」

「我が軍と交戦している敵後方から砂塵を確認!どうやら敵の増援のようです!!」

「何!?敵は守りに徹しているのに後方から増援?一体敵は何を考えている?だが、こちらが不利な状況に変わりがないか。

華琳様に伝令を!至急こちらの戦況を報告しろ!!」

 

 

 

場所が変わり、戦場/中央

 

「でやぁぁぁぁ!!」

 

春蘭が暴れていた

疲労で倒れた者とは思えないその一撃は重く、速く、一般の兵では受けきれるわけがなかった。

 

「でぇぇぇぇい!」

 

そして、春蘭は目の前の敵に水平に剣を切りつけ周りの兵3〜4人を斬り飛ばしていた

 

「ふん!我を倒そうというものは来い!この夏侯元譲が斬り伏せてくれる!!」

 

春蘭は七星餓狼を肩に置き、目の前の敵を威圧した。と、そこに

 

「春蘭さま!あまり突撃しないで下さいよ!!」

 

季衣が岩打武反魔を振り回しながら春蘭のもとに来た

 

「ふっ、季衣よ!この程度、私の手に掛かれば余裕というものだ!」

「春蘭さま〜〜。まぁ、そのために僕もここにいるんですけどね」

 

そう言うと、春蘭と季衣は互いの背中をくっつけた

 

「季衣!後ろは任せたぞ!!」

「はい!春蘭さまの背後は僕が全力で守ります!!」

 

春蘭と季衣が自身の武器を構えた所に

 

 

「………撃滅」

 

 

春蘭の胸目掛けて何かが飛んできた

 

「くっ」

「春蘭さま!」

 

春蘭は何とか弾いた

 

「…ずいぶんといきなりだな」

 

春蘭は目の前の的に皮肉をこめて話した

弾き返した丸い物体は主の下に戻って行った

 

「…汝……なら……防ぐ………思った」

 

そこには円月輪刀を左手に持っている、偲土がいた

 

「たしかお前は偲土とかいったな。我が名は夏侯惇!この前のケリを今この場で付けさせてもらう!」

「……夏侯…惇」

 

春蘭は前屈姿勢で七星餓狼を構え、偲土は円月輪刀を頭上で廻していた

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「………激滅」

 

二人は同時に飛び出し、ぶつかった。

 

 

 

場所が変わり、魏軍本陣

 

「華琳様、秋蘭ちゃんから伝令ですー。どうやら、秋蘭ちゃんの所に敵の増援が迫ってる様なのですー」

「何ですって?風、それで戦況は?」

「敵の増援の数は多くはないみたいですが、どうやら芳しくないようですねー。こちらの援軍を求めてきてますね、いかがなさいますかー?」

 

風が華琳に話していると横から

 

「バカ言ってんじゃないわよ!こっちだってギリギリなのに、援軍なんて遅れるわけないでしょ!」

 

桂花が叫んだ

 

「おやおや、桂花ちゃんは秋蘭ちゃんを見捨てるんですかー。冷たいですねー、風は桂花ちゃんを見損ないましたー」

「何ですって!?私だって助けたいわよ!じゃあ風、貴方は何か考えでもあるの!?」

「そうね。風、あなたはどうなの?」

「それはですねーー」

「「それは?」」

 

華琳と桂花は風の方を見た、二人の視線を浴びた風の口から

 

「………ぐぅ」

「「寝るな!!」」

 

すかさず華琳と桂花が風にツッコミを入れた

 

「………おぉ!考えが思いつかずに、つい寝てしまいましたー」

「風!貴方ねぇ!!」

 

桂花が風に文句を言っていると

 

「伝令!」

 

そこに兵士が来た

 

「どうした?」

「はっ!先ほど夏侯惇将軍が五胡側の将と思われる人物と交戦しました」

「な、何ですって、あのバカ!」

 

そこにまた一人

 

「伝令!夏侯淵将軍の部隊が敵の援軍と接触しました!」

「おやおや、次から次へといろいろな事が起こりますねー」

 

 

 

 

 

場所が変わり、再び戦場/西

 

『『『『ウォォォーーーー』』』』

 

「皆の者、耐えろ!これを防げば勝機は我らに来るぞ!」

 

秋蘭は目の前に迫って来る敵に矢を撃ちながら指示を出していた

 

(どうやらこの部隊は独断で動いてる様だな。後ろで控えている部隊が浮足立っている、本当なら攻めるには好機なのだが)

 

「ひひゃはははははははは!!」

 

そこに笑い声がした

 

「なん――――」

「ひひゃははは!見つけたぜ、水色の女!」

「ちっ!」

 

秋蘭は後ろに跳んだ。秋蘭が先ほどいた場所には漆黒の鋼爪が刺さっていた

 

「ひひゃはははは!会いたかったぜ、女!?おい、俺の事を覚えているよな?忘れたなんて言わせないぜ?」

「……あぁ、もちろん。覚えているとも私も貴様に会いたいと思っていたからな。それに確かめたい事もあるしな」

 

羅木は両手の鋼爪をぶつけながら

 

「確かめたい事?なんだ、それは?」

 

秋蘭は矢筒から矢を一本取り

 

「お前は… <ゴクッ> お前は一刀の事を知っているのか?」

 

少しの間が空き

 

「…………一刀、だと?」

「そうだ。先日お前は一刀の名を口にしていたな」

「ひひゃはははは!!」

「!!…何がおかしい?」

「ひひゃはははは!いや、まさかお前みたいなやつから一刀の名が聞けるなんて思いもしなかったからな!ひひゃはははは!」

「その口ぶりだと知っているようだな。では、お前は一刀のなんだ?」

「ははははは!俺が一刀何かだって?お前は随分まどろっこしい質問をするな!?」

 

秋蘭は本当なら別の事を聞きたかった。だが聞けなかった

もしもその質問をして否定されたら、心が壊れると思ったからだ

 

「まぁいい、そうだな。俺様にとって一刀は一番楽しくて、興奮する………殺し相手かな?ひひゃははははっははははは!!!!」

 

羅木は言い終わると、今まで一番大きな声で笑った

 

 

 

 

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「なん、だ、と?」

 

秋蘭は低い声で羅木に問いただした。しかし羅木にはその声に怒りと殺気が込められてるのを知らずに

 

「ひひゃはははははは!!聞こえなかったのか!?ならもう一度言ってやるよ。俺様にとって一刀は一番楽しくて、興奮する殺し相手で、あいつの“血”はとても甘くておいしいって事だよ!お前も今度飲んでみるか?意外とクセになるかもな?ひひゃははははははは―――――」

「き、貴様、許さん!」

 

羅木が笑い終える前に、秋蘭の怒りが頂点に達し、爆発した。

秋蘭は手に持っている矢を羅木の顔に放ち、羅木は左にサイドステップして避けた

続けて秋蘭は矢筒から三本矢を取り、連射した。

羅木は糸も簡単に三本とも避け

 

「ひひゃはははは!今度はこっちの番だ!」

 

羅木は左腕を後ろに引いて、勢いをつけて左腕を前に突き出した

それにより、左手に装着されている漆黒の鋼爪が秋蘭目掛けて射出された

 

「なに!?くそっ」

 

秋蘭は驚いたが片膝をついてそれをかわした

 

「まだまだ、行くぜ!!」

 

羅木は続いて右腕を引いて、右手の鋼爪も射出した

一般の兵や将なら喰らっていたが、弓使い特有の目の良さを持っている秋蘭は鋼爪の軌道を読み、左手を地面につけそのまま側転して避けた。

 

「ひひゃっははははは!お前中々やるじゃねぇか。だが、一刀の方が――――」

「黙れ!!!!」

 

いつもは沈着冷静な秋蘭が叫んだ。その声は辺り一面に響いた

 

「貴様が…」

「あぁん?」

「貴様が私の愛する男の名前を……口にするな!もう一度貴様の口から言ってみろ、ただでは済まさんぞ?」

 

そこには自身の怒りを押さえながら秋蘭は静かに話した

 

「ただでは済まない、だと?なら、どんな事をしてくるんだ!?ひひゃはははは!それに何だ?お前一刀に惚れてんのか?

やれやれ、全くおめでたい奴だ。それに一刀も災難だな、お前みたいな奴に、雑魚に愛されるなんてな!?ひひゃははははっははは!!」

「……………………」

 

その一言に秋蘭は顔を下に向けた。すると、辺りに重苦しい空気が漂った

そこには怒りの化身の生まれ変わりの様な秋蘭がいた

周りの兵たちも不穏な空気を察知したのか、動きが止まっていた

 

「もはや、貴様は許さん。絶対にない事だが、天や神が許したとしても……」

「許したとしても、何だ?」

 

羅木は小馬鹿にしたような笑顔をして秋蘭に聞いた

 

「私が貴様を殺す!」

 

秋蘭は顔を羅木に向け言い放った

 

「ひひゃははははははは!!なら、やってみろよ!!」

 

秋蘭は矢を放ち、羅木はかわしながら秋蘭に迫った。

 

 

 

周りの兵や将は二人の戦いを見ていた

いや、見させられてると言った方が正しい

秋蘭から発せられている、怒気と殺気にやられて体が固まっているのだ

それから何分か時間が経ったが周りの人間にとっては数刻経ったといっていいような時が流れた

徐々にだが秋蘭が押され始めていた

 

(くっ!こ奴、やはり一筋縄ではいかないか)

 

最初は怒り任せて闘っていた秋蘭だが、押され始めてから徐々に冷静さを取り戻していた

 

「ひひゃははははは!どうした、どうした!?お前の力はそんなものか?」

「くそっ」

 

秋蘭は矢筒に手を伸ばしたが、そこに矢はなかった

 

(しまった、矢を撃ちすぎたか)

 

秋蘭はそこで片膝を着いた

 

「あぁ?もう終わりか!?あぁ、くそ!やっぱりお前も俺様を満足させてくれないか。なら、さっさと殺すか」

 

(我が命惜しくはないが、こんな奴に命を取られるとはな……。いや我が命ではないか。

定軍山で本来なら私は命を落としているはずだった

だが一刀が私の命を助けてくれた、そう一刀は全身全霊を賭けて私を助けてくれたのだ。

では私の中に今ある命は一刀の物か。

なら、仕方、ないか……)

 

「ひひゃははは!!」

 

(死ぬのは戦場に出た時から覚悟を決めている)

 

「ひひゃはははははははははは!!」

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

―――――――――――

 

 

(いやだ!失いたくない!!一刀がくれたこの命、失いたくない!!)

 

秋蘭は体を震わせた

 

 

 

「安心しな」

(………………と)

 

 

 

 

 

「苦しまずに」

(か………と)

 

 

 

 

 

 

 

「殺してやるよ」

(か……ずと)

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあな、女!」

(一刀!助けてっっ!!)

 

 

 

羅木は鋼爪を構え、秋蘭は目を閉じた

 

 

 

「ひひゃはははははは!!死ねーーーーー!!!!」

 

 

 

 

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『『『『ワァァァァァァァァァァァーーーー!!』』』』

 

 

その時、南の方から雄叫びが聞こえた。

 

「なんだよ!?また、邪魔が入ったのかよ!!」

 

羅木はイラつきながらその方角を見た

そこには魏の旗がなびいていて『楽』の旗が確認できた、その隣に蜀の旗があり、深紅の『呂』旗があった。

 

「魏の牙門旗と蜀の牙門旗!?援軍が来たのか」

 

その先頭に凪と恋が立っていた

 

「北郷隊!!これより我らは敵に突っ込む!!皆の者、準備はいいか!?」

「・・・・・・皆・・・行く」

 

『『『『ワァァァァァァァァァァァーーーー!!』』』』

 

凪は拳を高く上げ

 

「全軍……」

 

拳を振りおろした

 

「突撃!!」

 

『『『『オォォォォォオオーーーーー!!!!!!!』』』』

 

 

 

魏軍本陣

 

「華琳様!」

「桂花!!一体何が起こったの!?」

 

先ほど魏軍本陣に雄叫びが聞こえた

 

「どうやら、凪と蜀の恋が援軍として来たようです!!」

「おぉ、どうやらこれは好機みたいですねー」

「凪の部隊はそのまま秋蘭の部隊と合流して敵に当たっています。恋の方は敵本陣に向けて進軍してます」

「そう、なら桂花、全軍に指示を出しなさい。このまま一気に攻勢に出ると!」

「解かりました、華琳様!」

 

 

 

戦場/中央

 

「ハァ、ハァ、ハァ」

「ハァ、ハァ、どうやら我が軍に援軍が来たようだな?」

「……………」

 

春蘭と季衣は肩で息をしていた

 

「どうする?まだ、我らと闘うか?」

「…………」

 

春蘭の問いに偲土は黙ったままだった

その時

 

 

ゴオォーーーーン、ゴオォーーーーーン!!

 

 

銅鑼の音が鳴り響いた。

 

 

偲土は後ろを向き

 

「……退く」

 

偲土はその場から立ち去った

その場にいた春蘭と季衣は武器を下ろし

 

「春蘭さま〜あいつなんですか?僕と春蘭さまを相手に息を切らさないなんて」

「解からん。だが、あのまま闘っていたら間違いなく私たちは負けていただろうな」

 

 

 

五胡本陣

 

「てめぇら、撤退だ!さっさと国に帰るぞ!!

ハッハー!やれやれ、まさか俺たちが退くはめになるとわな」

 

煉火は両手で腰を掴んでため息を吐いた

 

「これじゃあ、伯父貴に怒られるだろうなぁ。はぁ〜〜〜」

 

煉火は今度は深いため息を吐いた

 

 

 

 

戦場/西

 

「ちっ!許昌の時の女か!?あの時ちゃんと殺しておけば良かったぜ!」

 

羅木は秋蘭に視線を戻し

 

「安心しな!?お前はちゃんと殺してやるよ!!」

「一刀ーーー!!」

 

秋蘭は叫んだ

 

 

 

 

叫んでも来ない人物の名を

 

 

 

 

 

だがしかし定軍山で起きた奇跡が

 

 

 

 

 

 

再び起きた――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「羅木ーーーーーー!!」

「んだと!!」

 

羅木の横の死角から一刀が突っ込んできて、斬りつけた。羅木は咄嗟に左手鋼爪で受け止めたが耐えきれず、一刀と一緒に吹っ飛ばされた。

 

「なんだ?これは幻か?死の狭間で私は夢でも見ているのか?」

 

秋蘭は茫然とし、涙を流していた。

 

「秋蘭様!大丈夫ですか!?」

 

そこに、凪が駆けつけた

 

「凪、か?見てみろ、あそこでいるはずのない一刀がいるんだ?おかしいだろう?それに一刀があんなに強くなっているんだ」

 

秋蘭が指をさしてる方には羅木と一刀が闘っていた。

凪は秋蘭と横に片膝をつくと

 

「…秋蘭さま、あれは本物の隊長、一刀様ですよ。夢でも、幻なんかじゃありません。あれは私たちが“愛した一刀”様ですよ」

 

凪は笑顔でそう答えた。凪もまた目尻に涙を溜めていた

 

 

 

 

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「ひひゃははははは!!かぁぁ〜〜〜ずとぉぉぉ〜〜〜〜!!!」

「羅木!!」

 

武器が重なりあい鍔迫り合いをしていた

 

「かぁぁ〜〜〜ずとぉぉぉ〜〜〜〜!!!いいぞ、いいぞ!!俺を満足させてくれるのはお前だけだ!!」

「ふざけるな!!」

 

一刀は鞘に入ってる白帝に手を伸ばし、振り抜いた

 

「ぐっ!?」

 

羅木はそのまま後ろまで飛ばされた

 

「ひひゃはっはっははっはははアハハハアアッハっは!最高だ!そうだ、もっとだ!!もっと俺と殺し合オウ!!」

 

(な、なんだ?少しだが羅木の雰囲気が変わってる様な?)

 

「ヒヒャハハハははアハハははは!!一刀!今度はこっちかラ、行クぞ!」

 

(だんだんとおかしくなってる?……、どうやらそんな事を考えてる暇はなさそうだな)

「来い、羅木!」

 

「そこまでよ!!」

 

二人がまさに地面を蹴ろうとした瞬間、女性の声が響いた

 

「羅木!何をしている?撤退の合図が聞こえなかったの?」

 

羅木はその女性の方を向き

 

「邪魔すンな、那水。例え、てめェでも俺の楽しミヲ奪うなら容赦シナいゼ?」

 

羅木は先ほどより何かが変わっていた

 

「あら?それは悪い事をしたわね」

「ナら、さっサトこの場かラ去レ」

 

羅木が向き直そうとしたら

 

「でも、その状態で貴方は良いのかしら?」

「何ダト?」

 

そこで、羅木の左の鋼爪が砕けた。

 

「!!!」

 

羅木は驚いていた。まさか自分の鋼爪が砕けるとは思ってもみなかったからだ

 

「それで貴方は満足できるの?」

 

那水がもう一度羅木に問うと

 

「……ちっ、興ざめだ!!今日はこのぐらいにしてやる!」

 

そういい、近くにいた自分の馬に乗り

 

「ひひゃはははは!!一刀!次に会う時まで死ぬんじゃねぇぞ!!ひひゃははははは!!」

 

羅木はそう言い残し、去って行った。

今この場には一刀と那水と呼ばれた女性がいた

 

「どうする?俺と闘うのか?」

 

一刀は青帝と白帝を構えたまま女性に話しかけた

 

「今はやめておくわ」

「今、ね。なら次あったら闘うってことか」

「ええ。そして必ずこの私、五将の一人“那水”が貴方を必ず殺す!」

 

那水は馬に乗り

 

「その事は覚えておきなさい」

 

那水もその場から去った

 

残された一刀は少し困惑していた

 

(あの、那水って女性。横顔で良く見えなかったけど、悲しい顔をしていた。なんで?)

 

一刀は青帝と白帝を鞘に納めた。

 

(それに、なんだかどっかで会った事あるような、そんな気がする……)

 

一刀は那水が走り去った方向を見続けていた

 

 

 

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魏軍本陣

 

「皆の者!勝ち鬨をあげよ!!」

 

『『『『『ウォォォォォオオオーーーー!!!!』』』』』

 

華琳が高らかに宣言すると

 

「華琳様!」

 

凪がやってきた

 

「あら、凪。貴方のおかげでこの戦に勝つ事が出来たわ」

「いえ。そのような勿体ないお言葉を頂けて、大変恐縮です」

 

凪が臣下の礼をして、続けて

 

「それで華琳様、大事なお話があります」

「それは、なにかしら?」

 

凪の神妙な顔つき気づき、華琳は姿勢を正した

 

「はい、実はか――」

 

「凪ちゃん!?何でここにいるの〜!」

「凪!?なんでいるんや?」

 

凪が話している途中で沙和と真桜が大声を上げた

 

「……二人とも、今私は華琳様に重要な話があるんだ」

 

凪はジトーッと二人を見た

 

「凪ちゃん、そんな目で見ないでなの〜」

「そうやで凪。そんな目でウチらを見んといて」

 

沙和と真桜は逃げようと、前を見ながら下がっていった

 

「真桜、沙和、二人もここにいてくれ、お前たちにも関係のある話だ」

 

凪がそう言うと、二人は互いを見て首をかしげていた

 

「それで、話というのは?」

「はい、実はかず―――――」

 

 

「華琳様ーーーー!」

 

凪が話していると、前から春蘭と季衣と霞と流琉が来た

 

「華琳様、ご無事でしたか!おお、援軍で来たのはお前か、凪!!」

「惇ちゃん、待ってぇ〜な。そんなに焦らんでも、華琳は逃げへんよぉ」

「春蘭さま待って下さいよ、僕これでも疲れてるんですよ?」

「季衣、大丈夫?帰ったらおいしい物を作ってあげるね」

「ホントにーー!やったぁー!」

 

それぞれが話しながらこちらに来たのでまたしても凪との会話が潰された

 

「………」

「はぁ〜」

 

華琳はこめかみをピクピクし、凪はため息を吐いた

 

「ゴホンッ!それでは気を取り直―――」

 

「おやおや?凪ちゃんではありませんか?」

「凪、貴方のおかげで此度の戦に勝つ事ができたわ」

 

そこに軍師勢の風と桂花が来た

 

華琳と凪は二人を見て

 

「……ぐぅ」

「な、ななんですか?華琳様?そんなに見つめて」

 

居所が悪くなったのか、風は寝たふりを、桂花は華琳に見つめられてると思い頬を赤くした

 

「さすがにこれ以上は大丈夫でしょ?それで凪、話というのは?」

「はい、実は今こちらに――――」

 

「華琳様!!」

 

そこに秋蘭が珍しく声を上げていた

 

「もう、何なのよ!?貴方達、ワザとやってる訳!?」

 

華琳が耐えられなくなったのか、怒り口調で叫んだ

そんな事をお構いなしに秋蘭が

 

「華琳様!……とが帰ってきました」

「何!?良く聞こえなかったわ!?」

 

華琳は聞こえなかったのか、まだ怒っていた。しかし、周りの皆はちゃんと聞こえたのか立ち尽くしていた

 

「ですから、一刀が帰って来たのです」

「っっっ!?」

 

今度は華琳の耳に届き、華琳は驚愕した。

 

「しゅ、秋蘭、そ、それは本当か?」

 

春蘭が秋蘭に尋ねると、秋蘭は瞳を潤ませながら頷いた

 

「な、なら、どこに、どこに一刀がおるんや!?」

 

霞が辺りをキョロキョロしていた

 

「霞様、落ち着いてください。一刀様はちゃんといますから。……それで、皆さまに知ってもらいたい情報があります」

 

皆は歓喜に浸って、涙を流していろ中、凪は真面目な顔をして話を続けた

 

「実は一刀様には、昔の記憶がありません」

 

その一言で周りの空気が一気に変わった。凪は続けて

 

「一刀様は魏、許昌で過ごした私たちとの記憶がありません」

「なんやて?じゃ、じゃあ、一刀はウチらの事、まったく覚えてないんか?」

 

霞は声を震わせながら尋ねた

 

「はい。どうやら自分の名前しか覚えていないみたいです」

「「「「「「「「!!!」」」」」」」」

 

それを聞いた皆は顔を俯く者、地面に座り込む者、涙を更に流す者といた

 

「ですが皆さま、私はあれが本物の一刀様だと心の底から思っています」

「えっ?」

 

少し離れたところから、こちらに歩いてくる青年がいた

その青年の姿は彼女たちの心に永遠といて、彼女たちが忘れる事が出来ない人物そのものだった

青年が傍に来ると

 

「皆さん、初めまして。俺の名前は北郷 一刀。字と真名はありません」

 

その言葉を聞き、皆は落胆した。ただ一人、ある少女を除いて

 

「そう。私の名は曹孟徳。真名は華琳よ」

 

そう言うと一刀は驚き

 

「えっ!?良いのかい?初めて会った人間に真名を預けても?」

「良いのよ。私がそうしたいと預けたいと思ったから、預けただけよ」

 

一刀は困惑していた

 

「それとも、何?貴方は私の真名を受け取りたくない理由でもあるの」

 

華琳が意地悪そうな顔をして一刀に言った

 

「い、いや別に!……解かったよ、“華琳”これでいいかい?」

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

その場にいた皆が目を見開いてた。なぜならそこには、愛した男と同じ笑顔があったのだから

 

 

 

 

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「どうやら、本当に彼は一刀のようね」

「はい。そこは間違いないと思われます、華琳様」

 

一刀と少し離れた場所に華琳と凪が話していた。

今向こうでは、魏の武将全員と真名の交換をしていた

 

「まさか、記憶を失ってるなんて全く。でも、完全にはなくなっている訳ではないみたいね?」

「はい。それは私も思いました」

 

華琳と凪が話していると、トテトテっと小走りで走ってくる恋がいた。

 

「恋?あぁ、蜀の援軍は彼女だったのね」

「恋様には許昌の時にもこちらの援軍として助けていただきました」

「そう、ならちゃんと感謝しないとね」

 

そこで、凪は困った顔をした

「それとですね、華琳様」

「どうしたの、凪?」

 

華琳は胸騒ぎがした

 

「実は恋様は、その、なんというか」

「何?はっきり言いなさい」

 

恋は一刀の傍に着くと

 

「んん?誰やと思ったら、恋やん。どないした?」

 

霞がそう話すが、恋は気にも留めず

 

「・・・一刀」

 

恋は一刀の服の裾を掴むと

 

「あれ?恋、どうしたの?」

 

「「「「「「「「恋?」」」」」」」」

 

その場にいた魏の武将達は嫌な予感がした

 

「・・・・・・一刀・・・・一緒に寝る」

「あぁ、ごめんね、恋。今は忙しいから―――――」

「・・・・・・・・・・・ダメ?」

 

一刀は止まった。

それは男なら当然だ。

なにせ、恋が

 

(抱きつき+上目遣い+涙目+首傾げ)×恋の可愛さ=地球上の男は撃沈

 

 

このような絶対公式が成り立つ

 

「それじゃ、行こうか?」

「・・・・・・〈コクッ〉」

 

(あの、種馬!そんな所も変わっていないみたいね!!)

 

この華琳の心の叫びはその場の全員が思った。

 

 

 

 

この後、魏の武将全員で恋に一刀と一緒に寝る事をやめるよう説得した、恋は駄々をこねたが渋々それを了承した。

が、翌日“なぜか”“偶然”一刀の天幕で会った魏の武将全員に起こされた一刀の布団の中には、恋が抱きついていた。

その光景を見た全員は笑顔だった。

その直後、男の悲鳴が聞こえたとか。

 

 

それはまた別のお話。

 

 

 

-8ページ-

 

 

あとがき

 

皆さま、ここまで読んでもらい本当にありがとうございます。

 

読者の皆さま、言いたい事は何か解かります。

 

秋蘭はあんなキャラじゃない!!!!! 後、秋蘭出過ぎ!!!!!

 

わかりますよ、皆さま!! でも作者的にこういう秋蘭を妄想したかったんだもん!!!

 

それに、作者は一番秋蘭すきだもん!!! 秋蘭すきだもん!!!

 

普段は冷静だけど、心の中では……みたいな!!

 

だから、皆さま怒りを鎮めて下に注目です!!

 

 

@@@@@@@@@@@@@@

 

 

ここで皆さまにアンケートを取りたいと思います。

 

次の話は拠点√の話を書きます。一応、3人ぐらい書こうと思います。

 

そこで、皆さまには誰の拠点が見たいか下記から2つ選んでください。

 

コメント、応援ボード、メール等からお答えください。

 

では、お願いします。

 

皆さま、『2』つですよ。

 

 

1.華琳

 

2.春蘭

 

3.秋蘭

 

4.凪

 

5.春蘭・秋蘭

 

6.恋

 

7.それ以外にリクする

 

 

5は姉妹二人同時という意味です。

 

7を選んだ方は名前を記入してください。

 

出来れば、今までで名前が出た人達でお願いします。

 

皆さま、『2』つですよ!?

 

 

@@@@@@@@@@@@@@

 

 

P.S

 

デフォルトで秋蘭の拠点は確実かもしれません(笑)

 

 

説明
思ったより長くなってしまいました。

最後にアンケートがあるのでよろしくです!

総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
10971 8120 78
コメント
那水と何があったんだ(VVV計画の被験者)
4と5でお願いします(森羅)
1と4がみたいですね。(eni_meel)
1でファイナルアンサー(katyu)
1と5(ogany666)
7,那水(雪蓮の虜)
1,4でお願いしますー(刀)
4と5で(momo)
4.6で、(solomon4)
BookWarm さん誤字指摘ありがとうございます!修正しました(mighty)
BASARA さん、誤字指摘ありがとうございます!修正しました(mighty)
munimuni さん? 『2』つと言ったはずですよ? 作者への挑戦状ですか?www(mighty)
あいうえお さん、無理やりですか…。ですが、ご指摘ありがとうございます! 少し考えてみます(mighty)
闇羽 さん、貴方はとても影響力がある方なんですよww(mighty)
皆さまコメントありがとうございます!アンケートは今週の日曜日で締め切らせてもらいます(mighty)
3,4でお願いします。(封馬)
1,4!!!(motomaru)
1と4で(tomato)
2と5でお願いします。(ブックマン)
4,6(空良)
3,6でお願いします!(ha-)
1・5希望です!!(ワカンタンカ)
3ページ目「飲んでいるか」ではなく「飲んでみるか」ではないですか(BASARA)
3.4(BASARA)
1・3希望です(kurei)
4と7(霞)でお願いします(ミドリガメ)
6と7(霞)でお願いします(阿)
3、秋蘭 6、恋でお願いします。(カイト)
1,6でよろしくっす。(遼)
秋蘭いいよ秋蘭 たとえデフォであろうとも、1,5で(よーぜふ)
8w桂花と霞(ゲストさん。)
1,4できまりですな。(poyy)
1.4でお願いします!(seshill)
悩むぞい…4、6…かな(ハチミツ)
今更ですが、羅木の笑いは無理矢理入れている様にしか思えないです。目障りな部分が多々ありました。(あいうえお)
4と5ですかね。お願いします。(ハンニバル)
1.6でお願いします(舜焔)
1.華琳と4.凪でよろしく・・・ でも8とは? 7では!(きたさん)
1と稟を〜(万象)
…なんか某作品で俺が「アンケートは全部ー」とかやってからアンケートの数をきっちり指定する作品が増えたような気がする(汗  とりあえず秋蘭は俺も好物なのでごっつぁんでした!次の拠点でも読みたいんでアンケは4・5で一つ(闇羽)
更新お疲れ様ですwww拠点は1,5ですかね?華琳いれば後は好きにしてくださいwww(miroku)
更新マジで待ってましたあああああああああ!!!! お久しぶりです!! 一刀は蜀にいたのか? それとも恋に拾われたのか? まぁ、なんにせよ帰還できてよかったよかった。 アンケートは1、3で(峠崎丈二)
タグ
真・恋姫無双 魏エンド 春蘭 華琳 秋蘭 一刀   五胡 

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