真・恋姫†無双 天の御遣いと紅き武者 第十三話「華咲く夜に月は微笑み・・・」
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 どうも、最近支援数が増えないのが悩みのFULIRUです

 

 今回は水関攻略編です

 

 しかし、作者はマッタリ派ですのでじっくりじっくり書いて行きます

 

 

 蛇足ですが、新しく作品を作って行く際に、次回予告を出してみようかな、と思い書きました

 

 

 それでは、どうぞ

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 Side/華雄

 

 城壁の上から見下ろせば見えてくる敵

 

 其の中には懐かしき顔が居た。

 

 もう、何年経つのだろうか。あの日以来、私は自分の誇りである武に曇りが見えていた

 

 戻りたい あの場所へ

 

 帰りたい 皆が居た あの場所へ

 

 だけど・・・。もう、後戻りは出来ない

 

 歩んでしまったこの道を、守りたいと願ったあの瞬間を。

 裏切る事は・・・出来ないから

 

 さぁ、雪蓮・・・否 孫策 伯符。 終わらせよう。 我等の・・・因縁を

 

 果たそう・・・あの日交わした 『約束』 を

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 Side/孫策

 

 地平線に聳え立つ水関

 其の城壁の上に立つ懐かしい顔・・・華雄

 

 そっか・・・。 もう3年も経つのね。

 3年前は良かったわね。平和で楽しくて・・・和やかで

 

 でも、あの日に全て変わった・・・。

 貴方が突然居なくなって・・・。 蓮華が泣いたのよ? 貴方が居ない・・・って。

 帰ってきて・・・って。

 

 話したい事は山ほどあるけど・・・先ずは、己が武で語りましょう。

 

 貴方は其れが一番よね・・・。 でしょう? 桜華(おうか)・・・。

 

 

 

 違う陣から見詰め合う二人

 其の目に何が映っているのだろうか。

 

 情か? 懐かしさか? 殺意か? 迷いか?

 

 二人の間の過去に何があったのだろうか・・・

 其れは、大局・・・神のみぞ知る

 

 交差する想いとは裏腹に、 時は刻む そして、進んで行く・・・。

 時間よ止まれ、戻れ。そんな願いも叶わず少女達が歩んできた道。

 

 間違いが有ったのかもしれない。どうしてこんな事に、と後悔が有ったかもしれない。しかし、それでも進んだ道に偽りは無いと決意は揺らがない。

 

 また、あの日が来るよう願う為に・・・。

 

 

 彼女等もまた、大局に、時間に囚われ

 物語の傀儡として約束された運命を唯、只管に成して行くのだろうか?

 

 ・・・・・・・それとも・・・・・・・。

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 Side/劉備・孫策軍

 

 「さて・・・と、始めましょうか 劉備」

 「そうですね・・・孫策さん」

 

 

 二人の王が見つめる先----水関。

 難攻不落 鉄壁と謳われた要塞 未だかつて是を突破した軍は過去に無いだろう

 

 多くの兵と将が水関の門前で死に絶えた。其れは、この連合の誰しもが百も承知

 知っての上で戦を仕掛ける。生半可な気持ちで落とせるものじゃない

 

 しかし、彼女達には秘策が有る。特に、孫策には敵に動揺を誘う口実もある

 この戦は勝ったも同然と・・・確信していた

 

 「あの者・・・紅葉が提案した策はどうするの? 雪蓮」

 

 眼鏡をかけた黒髪の少女 冥林こと周喩

 

 「ん〜・・・。 やめておくわ。流石に、非人道的過ぎるでしょ・・・あれは」

 まぁ尤も、私達の策も人道的とは言えないけどね・・・

 

 「・・・そう、ね」

 

 やけに沈む周喩に周りも昨日の事を思い知らされていた・・・。

 昨日の晩 夜行は彼女達の軍議に参加していたのだ

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 〜回想〜

 

 「是が俺の考えた秘策・・・だ。 効率は、良いはずだ」

 

 事実 夜行の考えた策は、誰の策よりも効率良く殲滅可能な手だ

 

  しかし・・・。

 

 「確かに、効率は良い・・・。 しかし、良すぎる」

 「・・・どういう意味だ?」

 

 夜行の策に一人 異論を唱える眼鏡を掛けた黒髪の少女 周喩

 

 「其の策に反対はしない・・・が。 少し、非人道的ではないか?」

 

 周りの誰もが頷く。そもそも、彼女等の戦いの目的は関の突破

 敵の殲滅ではない。しかし、其れが解らない夜行ではない

 

 「・・・なんだ、そんな事か」

 「「「!?」」」

 

 あまりにも予想外な言葉に皆が戸惑う。

 そして、次の夜行の言葉は恐怖という名の種を天幕に撒き散らす

 

 

 「勘違いしているようなら教えてやる。

  戦とは・・・敵を殺し 自分が生き残る  其れが、本来の目的だろう?」

 

 

 沈黙の間。中には固唾を飲み込む気配

 縛られた空間・・・『恐怖』

 

 「敵には最大の損害を、自分には最小限の被害を・・・其れが当たり前だろう?

  敵の喉元を喰らい 噛み砕き 命を貪り合う。是が本来の戦いだ。

  命の取引 悪く言えば殺し合い」

 

 「策とは、如何に自軍を殺さず 相手の命を奪う。 其の為に有る」

 「そんな事! ・・・『ならば、なんだ?』 くっ!」

 

 「まさか、剣を握り「降伏しろ」とでも言う気か?! 馬鹿馬鹿しい。

  敵が賊なら情け無く切る。

  しかし、相手が兵士なら妻子が居ると思い哀れむ、是がお前達の理想とする戦いか!?

  くだらない」

 

 「貴様! ・・・桃香様!?」

 

 凛とした黒髪の少女が得物を手に立ち上がる・・・が。直ぐに制止される

 

 其処には、劉備軍の大将である 劉備が立っていた・・・。

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 「お前も何か言いたいのか?」

 「はい。 私は、貴方より頭が悪いです。 武も大したものじゃない」

 「そんな事、言われなくても理解している。 お前は弱い」

 「でも! それでも、助けられる人は・・・助けたい!」

 「なんだと・・・?」

 

 夜行が目を細める

 

 「例え、相手が賊でも・・・罪を認め、更正するのならば・・・助けたい」

 

 「それに! 相手が逆賊董卓の配下である兵士でも、無理やり戦わせているかもしれない。

  だったら、助けてあげたいです!」

 

 劉備の必死の討論。其れは、天幕内の誰しもを魅了させる器の大きさ

 

 仕えている黒髪の少女も 赤い髪の少女も 青い髪の少女も其の心に惹かれ己が命を捧げている。

 

 しかし・・・・。

 

 「笑止。 言う事なら誰でも・・・餓鬼でも、賊でも出来る」

 

 「「「!?」」」

 

 凍てつく天幕

 炎の灯火が有るはずなのに、まるで・・・氷点下の下に居るような錯覚

 是が・・・怒りを交えた殺気

 

 「お前の其れは単なる理想論だ。 地位や権力、欲に溺れる者の一種の幻想だ」

 「貴様・・・それ以上言うなら『斬れるか?』 なに!?」

 

 「お前程度の刃が俺の体を貫けると思うなよ?

  お前と俺では背負っている『荷』が違う ・・・其れを知れ」

 

 「貴様・・・我が武を汚すかっ!」

 

 「ならば敢えて聞こう!お前は何を覚悟して人を殺める!? 何を知り、何の為に殺す?」

 

 「信じる者の為だ! 其の人が国を治めるに値する人だと思い、我が武を!

  我が命を差し出す! 障害となる者を斬る為だ!」

 

 「ふざけるな! 仕える者の想いに反し、己が武を振るう。其れが、忠を尽くす臣下か!?」

 

 「なっ!」

 

 「「「!?」」」

 

 彼女・・・劉備に仕える臣下達が一斉に夜行を見る

 

 彼の言葉の意味を知り、何故彼女・・・黒髪の少女 関羽が君子に反しているのかを

 

 「劉備は今さっき言ったはずだ!『助けられる者は助けたい』 そう言ったはずだ!

 なのに、お前は『障害となる者は斬る』 そう言った!

  是は、劉備が弱き人・・・助けられる人を救う機会を潰しているという事だ!

 何故、其れが解らない!?」

 

 「「「「・・・・・」」」」

 

 一気に沈黙する一同

 彼女 関羽が無意識に行った行動・・・。 間違ってはいない

 しかし・・・彼女もまた、彼女なりに忠を尽くす人の為に命を燃やしている

 

 夜行は、其れを知り 人が最も行ってはいけない『無意識の罪』其れを潰した。

 

 「まぁいいだろう。 俺の策が認められないならそれで良い

  しかし、代わりに面白いモノが見られるだろうな。 お前達が布く策なら・・・な」

 

 「どういう意味かしら? 紅葉」

 

 周喩が眼鏡の奥に潜む眉間を寄せる

 自分達の策が知られているとすれば彼は二手三手 先を読む

 そう知っているからだ

 

 「そのままの意味さ。 あまり敵を・・・見縊るなよ?」

 

 そういい残し 去っていった夜行

 

 天幕の中には、自分自身に揺れる関羽と其れを自分と照らし合わせる者達が

 取り残された・・・。

                                  〜回想 了〜

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 「さて・・・と、上手く行ってくれるかしら?」

 

 桃色の髪が風に揺らされ揺れる髪

 静かに立っていたら見惚れてしまいそうな、そんな感覚が襲ってきそうな錯覚

 

 「後は明命次第だけど・・・あの子が失敗する事は無いでしょう」

 

 孫策が最も信頼を置いている周喩

 「断金の交わり」が其の証、故に・・・其れが彼女達の強さでもある

 

 「さて、冥林。 劉備達にも準備するよう伝えて」

 「あぁ、解った」

 

 さて、と華雄。 始めましょうか・・・戦いを。

 もう・・・後戻りは出来ない。 だから、あの時も私は進んできた。 どう?貴方は何か見つけられたかしら? 私は・・・どうなのかしらね・・・。

 

 

 何時も通りに戦いに酔い、笑う虎

 しかし、其の虎に絡みつく情

 手を伸ばせば届くはず・・・そんな距離の虎と華

 しかし、何かが二人の壁として其の身を晒す

 其れが何かは・・・誰も解らない。

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 〜水関〜

 

 城壁に揺らぎ、静かに動く影 何の感情も、面影すら残さない影

 周泰 字を幼平  彼女は隠密の達人とも言える

 

 彼女が歩く道には痕跡も、居たという証すら無い

 存在すら影とも言える彼女は誰にも掴めない・・・。

 

 (もうすぐ城門・・・。 後は、内側の兵士を殺して門を・・・)

 

 城壁の上から直ぐ下の兵士に得物の「魂切」を構える。

 息を乱さず、狙いを正確に定める・・・。

 誰も気づかない・・・存在が影のような彼女の動きには誰も掴めない・・・

 

 

 

                              ・・・・・ハズだった。

 

 

 「え・・・。 何・・・・コレ・・・」

 

 周泰の首に据えられた刃

 其の正体は・・・・一つの『斧』だった・・・。

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 「何・・・・コレ・・・」

 

 首に据えられた斧。 其の刃先は鋭く磨き上げられ、周泰の首を少し切っていた

 首から流れる血は流れる冷や汗を混じり、床に弾ける。

 

 「見ない顔だな。 差し詰め、孫策の刺客といったところか」

 

 背後から不意に声が聞こえる・・・。

 そんな、私の気配を察知されて・・・私の背後に回れる人なんか此処には・・・

 

 「悪いが、昔のように弱いままでは居られんのでな・・・消えてもらうぞ」

 

 クッ! 申し訳ありませんでした・・・孫策様!

 

 

 振り上げられる斧 太陽の反射でギラッと輝く斧は・・・まるで、処刑する場面を錯覚させられる。しかし、斧が振り下ろされる事は無かった・・・。

 

 

 「其処の者。 名を何と?」

 「え? ・・・しゅ、周泰です・・・」

 

 怯える周泰に対し・・・彼女は

 

 「そうか、私の名は華雄。 覚えておくぞ、貴公の名を」

 

 稟とした姿勢を崩さず、尚且つ微笑みかけてきた

 

 「周泰よ、孫策に伝えておけ。 『隠れてコソコソするなど貴様らしくない。

  私は逃げない、真正面から叩き潰してやる』・・・とな」

 

 叩き潰すという台詞と共に振り下ろされた斧

 斧は周泰の真横に振り下ろされ、城壁の一部を粉砕した

 

 「は、はい! し、しし・・・失礼しましたぁぁぁ!!」

 

 スタコラ退散する周泰の後ろ姿に、華雄は『やり過ぎたかな』とクスクス笑っていた

 

 「ええんか? 見逃しても」

 

 背後からの声・・・『神速』の異名を持つ張遼が自分の得物を掴みながら問う

 

 「あぁ。 孫策とは昔ながらの縁なのだ・・・許してくれ、張遼」

 「まぁ、月っちを悲しませるような真似さえせんとけば、許したるで?」

 「フフッ。 解っているさ」

 そう、我が主 月様を悲しませるわけにはいかない

 さぁ来い! 孫策 今度こそ、私の覚悟を見せてやろう!!

 

 城壁の上から身を乗り出し、孫の牙門旗へ向けて刃先を差し向ける

 そして、彼女の目線は孫策を捕らえ こう呟く『私は逃げない』・・・と

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 〜孫策軍〜

 

 「参ったわねぇ〜 彼の言っていた『面白いもの』ってコレなのかしら」

 

 苦笑いの孫策に、爪を咥える周喩

 最悪の誤算・・・。 絶対に見つからないと確信していたハズだった

 しかし、違った。 周泰は華雄に見つかった。 策は潰され、宣戦布告をされた

 

 そう、我々は勘違いをしていた・・・見誤っていたのだ、彼女・・・華雄を。

 しかし、夜行だけは違っていた。 彼女の強さの・・・本当の意味を理解していた

 

 周喩は昔の友人の変貌さに驚愕せざるをえなかった

 孫策は昔の親友の挑発に乗らざるをえなかった

 

 『此処で逃げては駄目、逃げたら私は・・・負ける』

 

 そう、確信させられたから・・・。

 

 「雪蓮、一度策を・・・「駄目よ!」・・・やはり、か」

 「良いじゃない! そろそろ体がウズウズしてきちゃった・・・」

 

 孫策が興奮を隠しきれずにいる

 これ以上せき止めていたら暴走してしまう程に、だからこそ孫策は

 

 「行くわよ冥林。 もう後戻りは出来ないのよ!」

 「・・・・解った」

 

 城壁の上の華雄と下から見上げる孫策

 交差する想いとは裏腹に、彼女達は互いに争いを欲す

 其の眼に映るのは・・・高揚。

 

 

 其の先の果てに在るのは・・・

 虎が地にひれ伏すか、華が散るか・・・どちらかだった・・・。

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 あとがき

 

 どうも、FULIRUです

 

 華雄さんだってやれば出来るのです! 決して猪じゃないのです!

 と、主張する作者です。

 

 皆様はどうでしょうか・・・ねぇ?

 

 次回から水関攻略ターンに入ります

 さぁて・・・どう繋げようかな・・・。

 

 それでは、皆さん さよ〜なら〜。

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 虎と華との戦いの戦火

 

 虎は激しく奮い立ち

 

 華は静かに舞い散らす

 

 二人の少女は血に濡れて・・・

 

 

 そして、血は滲む

 

 

 次回 真・恋姫†無双 天の御遣いと紅き武者 第十四話

 

      『虎と華 散り行くも・・・』

説明
真・恋姫†無双 天の御遣いと紅き武者 第十三話 です
話はあまり進みませんが・・・。
面白いとコメントを頂ければ嬉しい限りです


尚、更新は毎週日曜日にしたいと思います。


しかし、最近支援数が伸びない・・・。ツマラナイのかな?
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コメント
ねこじゃらし様>コメント有難う御座います。 ハテ?ナニヲイッテイルノカワカリカネマスナァ・・・(クスクス(FULIRU)
予告が不吉すぎるぞ!今すぐ考え直すんだあああ!(ねこじゃらし)
弐異吐様>コメント有難う御座います。 今後の華雄姐さんの活躍にご期待ください!(FULIRU)
華雄かっけぇぇぇぇ!(弐異吐)
双神様>コメント有難う御座います。 そう言って頂ければ嬉しい限りです(FULIRU)
ヒトヤ様>コメント有難う御座います。 萌将伝で目立ってくれると嬉しいのですがねぇ・・・。(FULIRU)
夜行かっこいいっすね。(RAIN)
まぁ、漢女二人と渡り合うくらいですからね(ヒトヤ)
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真・恋姫†無双 紅き武者 夜行 華雄 孫策 周喩 劉備 関羽 周泰 

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