恋姫小説11〜蒼天賛歌〜戦の玉
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どうも無限トマトです

 

かなり間が開いてしまった・・・

この作品のファンのかた・・・ってこんな作品にファンなんて居るのか?

あぁ・・・五月病・・・土とか食ってみようかな・・・

誰かー!!赤土持ってきてー!!

 

注意!!

 

 

二次創作です、原作のイメージをぶち壊されたくない方は回れ右

 

基本、妄想です

 

オリキャラでますよ、嫌な方は回れ左

 

強い一刀君が出ます、嫌な方は回れ右左

 

誤字脱字多いかも、多めにみてください

 

時間軸滅茶苦茶です、あと設定も滅茶苦茶ですそれでもいい?

 

以上がいいならどうぞ先にお進みください

 

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一刀たちが洛陽に来て一週間が経った

方々に斥候を放ち連合軍の進路を探り同時に戦力の充実を図る

たった一週間で出来ることは限られてくる一刀たちは悔いの残らないように作業に没頭する

そして連合軍が水関に迫った事を知る

戦いの時がきた

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詠「とうとう来たのね・・・葵、軍のほうはどう?」

 

葵「万全とは言い難いが十分に戦える」

 

霞「まっこの短時間でここまで出来たんが奇跡やな、そいで水関には誰を派遣するんや?」

 

詠「それは決まってるわ、葵、霞、それと一刀、雷轟この四名」

 

葵「一刀をもう出すのか?ここの守りに付かせた方がいいと思うが」

 

詠「一刀は有名だからね、その武勇は相手も解ってるでしょ」

 

葵「なるほどな・・・兵力は?」

 

詠「あまり多くは割けないわ」

 

霞「せやろなー・・・カツカツやもんそらしゃーないわ」

 

詠「ごめん・・僕にもっと力があれば・・」

 

霞「詠そないなことない、これだけ準備が出来たんわ凄いと思うで?」

 

葵「あぁ、見事な手腕だもっと誇ってもいい」

 

詠「ありがとう・・・」

 

霞「ええてそんなん、ほないっちょあいつらいてこましたるか!!」

 

葵「あぁ!!」

 

 

・・・・

・・・・・

・・・・・・

 

 

一刀「先陣か、これは大役だ」

 

雷轟「そうですね、この気の昂ぶり初陣を思い出します」

 

一刀「あまり気張らずに行こう、防衛戦だからね落ち着いて行けば大丈夫だよ」

 

雷轟「はい、ところで一刀様」

 

一刀「ん?」

 

雷轟「膝の上の事は突っ込んだほうがいいでしょうか」

 

恋「?」

 

音々音「気にしたら負けですぞ雷轟殿」

 

 

一刀の膝に恋が恋の膝に音々音がなんともシュールである

 

 

一刀「あー・・・なんか懐かれちゃってね・・・」

 

雷轟「そうですか・・・」

 

恋「一刀良い匂いする」

 

一刀「そうかなぁ・・・自分じゃわからないな」

 

音々音「恋殿はどこか野性的と言いますか、感覚でその人が良い人悪い人かを見分けるのです。と音々の恋

殿観察日記からの引用です」

 

一刀「そうなのか・・(観察日記?)それじゃあ俺は御眼鏡に適ったわけだ」

 

音々音「そう言う事です」

 

水面「ご主人様!!」

 

一刀「水面どうしたの?」

 

水面「準備整いました、いつでも出陣できます」

 

一刀「そうか、恋、音々ごめん行って来るよ」

 

恋「わかった・・」

 

音々音「御武運を」

 

一刀「水面ここの守備は任せたよ」

 

水面「はい!お任せください!!」

 

一刀「雷轟行こうか」

 

雷轟「はっ!」

 

一刀「さぁ、戦争がはじまるぞ!」

 

 

・・・・

・・・・・

・・・・・・

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場所は変わって、連合軍野営地

 

 

「では、総大将は袁紹殿で宜しいですな」

 

 

その場に居るものは無言の肯定

 

 

「それでは袁紹殿が総大将と言うことで」

 

「えぇ、えぇこの私に任せれば、必ず勝てますわ!おーほっほっほっほ!!」

 

「はぁ・・・」

 

「ちっ・・・」

 

「あははは・・・・」

 

 

・・・・・・

 

 

紅蓮「ったく、長々と下らんことを」

 

冥琳「まったくです・・・水関の目の前にしても総大将が決まらないなんて」

 

紅蓮「そんなめんどくさい事やりたかないだろ、私だってそうだ」

 

冥琳「しかし、紅蓮様あの情報は本当に?」

 

紅蓮「あぁ、偵察が言ってたよ。漆黒に白銀の牙門旗・・・北郷が相手側に就いてる」

 

冥琳「また面倒な・・・肥大化したこの連合で神速と呼ばれる北郷軍に太刀打ち出来るか」

 

紅蓮「まっ絶対に無理だな、奴は強い。単騎で突っ込まれたら軍が崩壊する。大人しく篭城するって玉じゃない

隙あらば横っ腹に牙を突き立ててくるぞ」

 

冥琳「しかし、この断崖絶壁に挟まれた土地では・・・」

 

紅蓮「そこが甘いんだよ冥琳」

 

冥琳「えっ?」

 

紅蓮「奴を人と考えるな、あいつは獣だよそれもとびっきりの猛獣だ」

 

冥琳「・・・・」

 

「その話興味深いわね」

 

冥琳「だれだ!!」

 

紅蓮「盗み聞きたぁ趣味がわりぃぞ?曹操」

 

 

天幕の影から現れた少女、金色の髪の両側を巻き上げ

青を基調とした戦装束に身を包む

 

 

曹操「こんな所で立ち話しているほうが悪いのではなくて?嫌でも耳に入るわよ」

 

紅蓮「そいつは失礼、なに思い人と会えるんだ高ぶっちまうのは仕方ないだろう?」

 

曹操「あら?貴方も北郷を?」

 

紅蓮「つーこたぁお前もか」

 

曹操「えぇ、万金に値する才能が野に散るのはこの世の損失よ」

 

紅蓮「はっ!アイツはじゃじゃ馬だと思うがお前に乗りこなせるのか?」

 

曹操「もちろん、私は欲しいと思った物は絶対に手に入れる主義なの」

 

紅蓮「わりぃなアイツを譲る気はこれっぽっちも無いぜ」

 

曹操「なら、貴方を倒してでも貰う」

 

紅蓮「小娘が・・・言うねぇ・・・その首噛み千切るぞ」

 

曹操「獣に金を与えて、有効に仕えると思っているのか?大言を吐くな獣王よ」

 

 

睨み合う両者ピリピリとした殺気が辺りを包む

永遠と思える時間が過ぎる

 

 

紅蓮「くっ・・・くくく」

 

冥琳「こ・・紅蓮様?」

 

紅蓮「冥琳!陣営に帰るぞ!」

 

冥琳「っ!御意!!」

 

 

真紅の外套を靡かせ颯爽と歩きだす

そしてすれ違いざま

 

 

紅蓮「もし、一刀がおめぇを選んでも安心だ。そんときゃ頼むぞ」

 

曹操「頼まれずとも、至宝を自ら手放す愚か者は居ないでしょう」

 

紅蓮「はっ!減らず口を」

 

 

そのまま何も言わず立ち去る

 

 

曹操「・・・・・・」

 

「華琳様ーーー!!」

 

「華琳様!どこに・・・華琳様!!」

 

曹操「あら春蘭、秋蘭」

 

「華琳様!!何も言わずに何処かに消えるのは止めてくださいよ」

 

曹操「ふふごめんなさい、さて劉備!」

 

桃香「ひゃい!!」

 

曹操「貴方も欲しい物があるなら力ずくで取りなさい・・・でなければ諦める事ね。

行くわよ春蘭、秋蘭」

 

桃香「・・・・」

 

 

それぞれの思惑が渦巻く中

戦が始まる

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一刀「これは、壮観だな・・・」

 

霞「こりゃ、多いって話じゃないなぁ」

 

葵「これ位の方が張り合いがあるって物だ」

 

雷轟「篭城戦でよかった、この数と野戦は御免こうむりたい」

 

 

目に見える範囲には人の群れ

野戦では包囲されて物量に押しつぶされてしまう事請け合いである

 

 

一刀「ん?・・・・やっぱりね」

 

雷轟「一刀様?」

 

一刀「いや、見知った顔が居たんでね」

 

霞「結構距離離れとるけどみえるんかい」

 

一刀「目は良い方だからね」

 

 

軽く手を振ってみる

視線の向こうの人物は大きく手を振り返す

 

 

紅蓮「おい!冥琳見たか!一刀が手振ってくれたぞ!!」

 

冥琳「子供ですか!貴方は!」

 

雪蓮「本当だ一刀向こうに居る」

 

祭「儂はその一刀とやらを見たことは無いんじゃが、堅殿がこれほどまで執心するほどの物なのか?」

 

思春「なんと言うか不思議な奴です」

 

明命「あとお猫様に人気です!」

 

祭「うむ!まったくわからん!!」

 

「母様!先陣が攻撃を始めました!」

 

「劉備軍だって!」

 

紅蓮「一番小さい所を先陣かよ・・・使い捨てか・・・」

 

冥琳「さてどうなることやら」

 

 

・・・・

 

 

一刀「来た!」

 

雷轟「先陣、関羽と見えます如何しますか」

 

一刀「相手も馬鹿じゃない、篭城戦を選んでるんだ攻めては来ないさ」

 

霞「てことは、野戦に引きずり出すか」

 

葵「そう言うことだな」

 

霞「暴走しなよ葵」

 

葵「解ってる、この戦の全権は一刀にある。むやみに突撃はせんよ」

 

一刀「ありがとう、葵」

 

葵「あぁ・・気にするな」

 

霞「フヒヒ・・・葵は一刀にメロメロやなぁ」

 

葵「なっ!霞!!」

 

霞「照れんでもええやん、うちかてそうや一刀はええ男惚れるんは当たり前」

 

葵「むぅ・・・」

 

霞「絶対守るで、なっ葵」

 

葵「あぁ、当たり前だ」

 

雷轟「・・・英雄は大変ですな一刀様・・・」

 

一刀「来たぞ!!」

 

 

逞しい軍馬に跨り雄雄しく得物をこちらに向ける

 

 

愛紗「北郷一刀殿!!そのように砦に縮こまっているなどと貴公は本当に男か!!あぁそうか貴公は臆病者だったか

臆病者にはお似合いだな!!」

 

葵「っ!一刀が臆病者だと!」

 

霞「押さえ!一刀が喋るで」

 

一刀「ふっ!まるで子供の喧嘩台詞だな!関羽!俺を口説き落とすならもっといい台詞を考えて来るんだな!!」

 

愛紗「口説き落とす!?私はそんなこと・・・」

 

 

顔を赤らめ、急に意気消沈してしまう愛紗

 

 

霞「ありゃ?なんやこの空気どう言うこと?」

 

雷轟「どうやら顔見知りのようですね」

 

霞「英雄には女が寄ってくるって言うけどこれは・・・」

 

雷轟「一刀様故致し方なし」

 

霞「なんや・・・その台詞でめっちゃ納得してもた・・・・」

 

 

・・・・・・

 

 

星「やはり来ないですな」

 

朱里「一刀さんですから・・・正攻法で行くしか・・・」

 

雛里「でもそれだと兵力が足りないよ・・・」

 

桃香「う〜ん・・・」

 

鈴々「暇なのだー・・・」

 

星「ここは、私も出る・・・ん?あれは・・・」

 

 

一刀「関羽よ!うろうろしていると矢が飛ぶ・・!?葵!!!」

 

葵「なっ!」

 

 

突然右の崖から矢が飛んでくる

反応しきれない葵を庇い一刀の左肩に深く突き刺さる

 

 

一刀「つぁ・・・伏兵?違うそのまま命を取りに来たか・・・」

 

葵「一刀!!おのれぇ・・!!これが奴らのやり方か!!」

 

霞「葵!?っちょまちぃな!!」

 

葵「華雄隊!!我に続け!!奴らを打ちのめすぞ!!」

 

「「「「おぉーーーー!!!」」」」

 

霞「葵!!くそっ!!完全に頭に血が上っとる!」

 

雷轟「一刀様!!」

 

一刀「っ・・・・霞、雷轟・・・」

 

霞「なんや?」

 

一刀「虎牢関まで下がれ・・・」

 

霞「一刀はどうすんねん」

 

一刀「葵を助ける、その後足止めとしてここに残る」

 

雷轟「なりません!!それならば私が!」

 

一刀「だめだ、怪我を負ってる俺と無傷の雷轟、どちらかを捨てるなら傷がある方だ」

 

雷轟「ですが!!」

 

一刀「巌創!!!」

 

雷轟「っ!」

 

一刀「巌創将軍!これは命令だ!張遼将軍と共に虎牢関まで下がり敵軍の攻勢に耐えうる様に軍を再編しなおせ!!」

 

雷轟「・・・・っ」

 

一刀「返事が聞こえんな、巌創!!返事はどうした!!!」

 

雷轟「・・・御意・・・」

 

一刀「ならば急げ、ここに居る暇は無いだろう?」

 

雷轟「どうか・・・御武運を・・・」

 

霞「一刀・・・死になや・・・」

 

一刀「約束は出来かねるかな・・・」

 

霞「あほう、そこは死んでも帰るっていいなや」

 

一刀「あぁ・・死んでも帰るよ」

 

霞「聞いたで・・・絶対帰って来い」

 

一刀「うん・・・」

 

霞「・・・虎牢関まで下がるで!!」

 

 

数百の兵を残し二人は後方の虎牢関まで下がる

 

 

一刀「っ・・・くあぁあああ!!!」

 

 

肩の矢を引き抜き地面に突き刺す

 

 

一刀「はぁ・・はぁ・・お前らの命を俺にくれ」

 

「「「「・・・・・」」」」

 

一刀「友軍を助ける為に死ね・・・行くぞ」

 

「「「「おおおおおおお!!!!我らが主!一刀様の為に!!!」」」」

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葵「進め!!卑怯者どもを切り伏せろ!!」

 

「「「「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」

 

愛紗「くっ!」

 

星「愛紗!!無事か!!」

 

愛紗「星!なんとかな!」

 

星「一旦下がるぞ、相手は死兵になってるこれでは分が悪い」

 

愛紗「解った!しかしなぜ突然・・・」

 

星「どこかの阿呆が先走ったようだ、華雄に矢を嗾けた様だがこの様子では他の誰かに庇われた様だな」

 

愛紗「なに!?くそっ卑怯な真似を・・・」

 

星「華雄にはそれを行なったのは我らと思っているようだな」

 

愛紗「っ・・!全体!作戦通りに後方まで下がるぞ!!」

 

星「迅速に行動せよ!!」

 

葵「下がる気か!そうはさせぬ!!」

 

一刀「葵!止せ!」

 

葵「一刀!止めるな!!奴らを引き裂かねば収まらぬ!!」

 

一刀「落ち着け!!このままじゃ犬死だ!!まだ戦は始まったばかりだろう!ここで君や君の部隊を亡くす事は

俺たちの敗北が決まるようなもんだ!!」

 

葵「しかし・・しかし!!」

 

一刀「葵!!」

 

葵「それでも!私は!!!」

 

一刀「っ!ごめん!!」

 

葵「なっ!がはっ・・・」

 

 

鳩尾に拳を叩き込まれ意識を手放す

 

 

「華雄様!」

 

一刀「虎牢関まで下がれ、殿は俺の隊が勤める。指揮はお前がしろ行け!!」

 

「はいっ!」

 

 

残った数百の兵をさらに分け、華雄隊の護衛としてつかせる

残りはたった百

 

 

一刀「これより敵本陣に突撃をかける、死にたくない者は咎めない、この場より去れ」

 

 

その場に居る者は一人も動かない

全員が死を覚悟している

 

 

一刀「・・・・ありがとう、あの世で会おうな・・・・全員構え!!」

 

 

手甲の軋む音が規律正しく聞こえる

 

 

一刀「突撃ィィィィィィィ!!!」

 

「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」

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「曹操様!報告いたします!」

 

曹操「続けなさい」

 

「突出していた華雄隊が後方に下がりました」

 

曹操「猪の割には考えてるものね」

 

「しかし・・北郷が突撃をかけています」

 

曹操「・・・数は」

 

「百です」

 

曹操「春蘭、秋蘭兵を率い北郷を包囲せよ、出来うる限り相手の兵を殺さず北郷を捕らえよ」

 

「「御意!」」

 

曹操「流琉、季衣貴方たちも行きなさい、私の事は構わずに」

 

「はい!」

 

「わっかりましたぁ!!」

 

曹操「好機が向こうから来るとは・・・天命かしらね・・」

 

 

・・・・・

 

 

紅蓮「なにぃ!?一刀が突っ込んでくるだぁ!?」

 

「はいっ!先鋒を任された劉備軍が後方の軍に雪崩れ込んできたため戦況は混沌としています」

 

紅蓮「ちっ!あの嬢ちゃんもえげつない事を・・あそこは袁紹、袁術の陣か・・・祭、思春、雪蓮!私について来い!

蓮華、小蓮、穏、冥琳は本陣にて待機!明命はこの事態を引き起こした馬鹿の首をもってこい!!」

 

「「「「「御意!!」」」」」

 

紅蓮「一刀・・・」

 

 

・・・・・

 

 

星「ここまでくれば、良いか」

 

愛紗「星・・・これは現実か?」

 

星「あぁ現実だ・・・」

 

愛紗「たった百騎でここまで崩壊させるか・・・」

 

星「仕方ないさ、我らの兵では持ちこたえる事もできん」

 

愛紗「そうか・・そうだな・・・」

 

鈴々「愛紗ーーーーーー!!」

 

愛紗「鈴々!!」

 

鈴々「朱里が愛紗と星と一緒にお兄ちゃんを止めてくれって」

 

愛紗「解った!星聞いたな!」

 

星「あぁ心得た!おいお前、兵を率いて本陣に戻れ」

 

「はっ!」

 

愛紗「よし!では行こう!!」

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一刀「数に怯むな!!進め!」

 

 

敵陣に深く切り込んだ部隊はただただ血路を作るのみ

まるで巨大な獣の如く、間の前の人を肉に肉塊に変えていく

しかし自らも無事ではすまない、一人また一人と死んでいく

自らの体が崩れていくのも気にせずに進み進み続ける

 

 

一刀「・・・・・」

 

 

無作為に目に入った者をただの物にする

切る、切る、切る

腕を首を胴を切り結ぶ

何度刀を振っただろう何度人を切っただろう

自分に付いて来た百人の勇士も数人に減ってしまった

人の群れを切り進むと突然開けた場所に出る

 

 

「そこまでだ、北郷一刀!!」

 

一刀「・・・・・」

 

「貴公は包囲されている、武器を捨て投降しろ」

 

一刀「夏侯の牙門旗・・・魏の夏侯惇、夏侯淵か」

 

夏侯淵「ほう、我らを知っているのか光栄な事だな」

 

一刀「それで・・・魏の猛将さんが俺に何の用だい?」

 

夏侯惇「我らが主君曹操様が貴公を欲しているのだ共に来てもらおうか」

 

一刀「・・・・・・」

 

夏侯淵「突破できると思うなよ、兵を無駄に殺したくはないだろう?」

 

一刀「・・・」

 

 

後方の兵を見やる

囲まれた状況にも関わらず諦めの表情は見えない

しかし、共に長い戦を生き延びた友たちを見捨てることが出来るのか

 

 

一刀「出来る・・・はず、ないよなぁ・・・」

 

夏侯淵「懸命な判断だ、貴公がいくら強かろうとも兵卒は貴公にとって枷でしかない」

 

夏侯惇「安心しろ曹操様は貴公の兵にもお目を掛けて下さっている、命はとらん」

 

一刀「・・・・っ・・・それなら・・・」

 

武器を仕舞おうとした時である

 

 

「我らを舐めるな!!魏の将兵ども!!」

 

「我ら一刀様の足手まといになろうものなら自ら命を絶とう!!」

 

「敵に下るなど、我らはせぬ!!ここで命を絶った方がましだ!!」

 

一刀「なっ!お前ら!!」

 

 

「狂信」一刀を思い過ぎた代償

主君に泥を塗る位なら命を絶つ極端な考え

その思考は次々に飛び火する

その行為がもっとも主君を傷つけるとも知らずに

 

 

「一刀様!!どうかご無事で!!」

 

「貴方お一人ならこの囲い突破できましょう!」

 

「さらばです!!一刀様!!」

 

一刀「まて!!」

 

 

手甲を己が胸に突き立て心の臓を引きずり出す

それにつられ次々に命を絶つ

「狂信」の果て、すべての友が骸に成り下がる

その光景を見つめる少年は何を思う

 

 

一刀「・・・・・・」

 

夏侯惇「なんと・・・」

 

夏侯淵「・・・敵ながら天晴れだ」

 

「うぅ・・・痛そう」

 

「こんな事って・・・」

 

 

静寂がこの場を包む

 

 

一刀「馬鹿野郎・・・こんな事せずとも俺が降ればいい事なのに・・・」

 

 

刀を一度鞘に収める

『兵は駒である』と誰かが言ったそれは正しい

一人の兵の為に全体に支障が出るのは愚かである

しかし少年は違う、たとえ全体に支障が出ようとも

たった一人を救いたい尊くもあり愚かな思考

横たわる骸、共に幾多の戦場を駆けた友

迷いの無い清らかな表情で眠る顔をソッと撫でる

 

 

一刀「あぁ・・・重い、命とはこんなにも重かったのか!!」

 

 

怒り、自分に対してかそれとも愚かな行為に及んだ友に対してかは解らない

しかし怒気を孕んだ声は次第に大きくなりビリビリと大気を震わせる

 

 

一刀「忘れていた・・・忘れていたよ!!なんて愚かなんだ!!あぁ!!ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

なんて事だ!!全部背負うと、そう心に誓っただろう!!なのに・・・なのに!!」

 

 

頬を伝う涙

彼は優しい、優しすぎる

心からの叫びは晴天に吸い込まれる

 

 

一刀「・・・・・曹操が俺を呼んでいるんだってな・・・」

 

 

ゆっくりと振り向いた一刀の表情はあの時、呂布との仕合のさいに見せた

機械的な見るものに恐怖を植えつける怒りの表情だった

 

 

一刀「構えろ・・・死にたくなければな・・・」

 

夏侯惇「っ!?全員かまえっ!」

 

一刀「遅い」

 

夏侯惇「なっ!?」

 

 

一瞬、まさに瞬きする間もなく距離を詰められる

反応が送れ武器も構えられず吹き飛ばされる

 

 

夏侯淵「姉者!!」

 

一刀「余所見をするな」

 

夏侯淵「!?」

 

 

何時後ろに回られたかも解らない

目に映るは白き月、己が首めがけ迫る

 

 

一刀「祈れ」

 

夏侯淵「っ!」

 

「秋蘭様!!」

 

 

轟音を立てながら一刀を狙う巨大な円盤

しかしまるで霧の様に一刀は消える

 

 

「えっ!?」

 

一刀「君からかい?お嬢ちゃん?」

 

「っ!」

 

 

耳元から聞こえる声

首筋をそっと撫でられる

視線をやれば真横に見える鬼の顔

 

 

「ひっ!」

 

一刀「細いね・・・簡単に折れそうだ・・・ベキッてね」

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

 

腕を振り回せども当りはしない

体を駆け巡る恐怖、有り得ない距離はかなり離れていたはずなのに

気付いたら真横に居るそしてあの顔がこびり付いて離れない

自分と同じ人があのような顔を出来るのか

戦場には慣れたそう思っていたのに怖いただその感情が溢れる

 

 

「ぅぅ・・・」

 

夏侯淵「流琉!どうした!しっかりしろ!」

 

「流琉!!」

 

一刀「その子にはきつ過ぎたかな?」

 

 

突然聞こえる兵の絶叫

見れば配備していた兵の死体の山、鬼の手には生首

少し目を離した隙に数十人がただの肉塊に成り下がっていた

 

 

夏侯淵「いつのまに・・・」

 

「おまえぇ!流琉に何をした!!」

 

一刀「・・・・浴びせたんだ殺意をね」

 

夏侯惇「殺意だと・・・」

 

夏侯淵「姉者!!」

 

 

腹部を押さえよろよろと立ち上がる

 

 

夏侯淵「姉者怪我は」

 

夏侯惇「心配するな・・・それよりも、貴様流琉は少なからず戦場に出ている、それならば殺意は浴びているはず

それがどうしてこうまで」

 

一刀「簡単さ、その子は知らないんだよ純粋な殺意って奴を」

 

夏侯惇「なに?」

 

 

流琉と呼ばれた少女は肩を抱き小刻みに震えている

 

 

一刀「確かに戦場は殺気に満ちているさでもね」

 

 

一歩、歩み寄る

 

 

夏侯淵「っ!」

 

「うわわっ!」

 

夏侯惇「・・・・」

 

一刀「その中には不純物が混じっているんだ、生きたい、故郷はどうなっているか、ここで死んだらどうなるかとかね・・・」

 

 

刀から滴る血

一滴また一滴と血の道を作る

 

 

一刀「そんな不純物まみれの殺意は殺意と呼ばない、本物の殺意ってのは」

 

 

首を空に投げる

 

 

一刀「ただ相手を殺すそれだけ、それ以外の感情、思い、考えを一切捨てた物を・・・・」

 

 

投げた首が一刀の顔を隠した時、拳で首を吹き飛ばす

辺りに散らばる血肉それは吹き飛ばした本人にも降りかかり

地獄の鬼を彷彿とさせる容姿に変貌させる

 

 

一刀「殺意と言う」

 

夏侯淵「鬼神、戦神とはよく言ったものだな・・・」

 

夏侯惇「あぁ・・・まったくだ・・・(あれを本物の"鬼"と言うのだろうな・・・)」

 

「流琉・・・」

 

「大丈夫・・・大丈夫だよ・・・季衣・・・」

 

一刀「無駄話は終わりだ・・・祈れ」

 

 

刀を構え飛び掛ろうとした時

 

 

「みぃ〜つぅ〜けぇ〜たぁ!」

 

一刀「っ!?くっ!」

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突然の攻撃、少しでも反応が遅れたら腕を落とされていた

 

 

一刀「紅蓮・・・・」

 

紅蓮「おぉ、呼び捨てたぁ嬉しいねぇ一刀」

 

 

真紅の外套を靡かせ大振りの片刃剣を肩に担ぐ

 

 

紅蓮「随分楽しそうな事してんじゃねぇか"俺"も混ぜろよ」

 

祭「ふっ堅殿本気じゃな、どれ儂も一つ本気で行こうかのぅ」

 

雪蓮「やっほー一刀、来ちゃった」

 

思春「久しいな北郷、こんな形で不本意だが死合おうか」

 

一刀(これは・・・少し・・・)

 

「ならばその話、我らも噛ませてもらおう」

 

一刀「!」

 

 

強靭な槍の一撃

避けれたものの当たっていたらただでは済まなかっただろう

 

 

一刀「愛紗、鈴々、星・・・」

 

愛紗「一刀殿、お相手願おうか」

 

鈴々「お兄ちゃん!!勝負なのだ!!」

 

星「あの時の、言の通り死合いましょうぞ一刀殿」

 

 

揃いも揃った武将その数11

絶望的なこの状況の中一刀は何を思うのか

血の滲む左肩を押さえ伏せた顔からは表情は読み取れない

 

 

一刀「あぁ・・・今日はいい天気だなぁ」

 

 

天を見る

 

 

一刀「殺し合いなんかするのが馬鹿らしくなる・・・」

 

 

掌を掲げ目を細める

 

 

一刀「下がらせた部隊は虎牢関に着いたかなぁ」

 

 

光によって透けた掌の中を血潮が流れて行く

 

 

一刀「ふーーーー・・・・」

 

 

大きくため息をつく

掌を顔に当てゆっくりと輪郭をなぞる様に下げてゆく

それに合わせて顔も下げてゆく

額、鼻筋、鼻、唇、顎その全てをなぞり終えた時バッと顔を上げる

 

 

一刀「実際は違う意味らしいけど、言わなきゃならないかな」

 

 

カァと大きく口を開け―――

ガチィ!と噛み合わす―――

―――何かが入る音がした―――

 

 

一刀「あぁ・・・死ぬには良い日だ・・・」

 

 

赤い瞳の鬼が笑っている・・・

-10ページ-

 

どうも無限です

 

アニメの様な切り方ですよねすいません・・・

続きのほうは執筆中ですのでしばしお待ちを

 

くそぅ・・・天気が曇りだとこっちの心模様も曇りになるんだよ・・・

あぁ・・・お日様を見せてくれ・・・・

 

では次の作品で・・・

説明
十作目です

今回は非常に微妙なところで終わってしまった・・・
反省・・・

それではどうか生暖かい目でご覧ください
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コメント
hedorock様 脳筋ってレヴェルじゃねーぞ!!w(夢幻トマト風呂)
この一刀 武力1000智謀2統率30くらい?(bal)
リョウ流様 そういっていただけると本当にありがたいです!!(夢幻トマト風呂)
はりまえ様 関西弁を文に起こすのは本当にむずい・・・(夢幻トマト風呂)
Dada様 ありがとうー!!(夢幻トマト風呂)
神龍白夜様 続きうpったよー!!(夢幻トマト風呂)
jackry様 オン!!(`・ω・´)(夢幻トマト風呂)
gmail様 ありがとうございます!(夢幻トマト風呂)
曹仁様 やってみたいんですよねー・・・時間があれば・・・(夢幻トマト風呂)
5Pめで霞の「死になや」は「死ぬなや」では?まあ、関西弁は難しい(黄昏☆ハリマエ)
サイコー!!(Dada)
夢幻さんやvb(Dada)
早く続きを!!(リンドウ)
恋ちゃん介入でなんとか収集がつきそうな勢いですねww 次回更新楽しみにしています、頑張ってください!!(gmail)
死ぬには良い日だ・・・塵骸魔京思い出したわww(曹仁)
sink6様 そこは色々考えてますよ!楽しみにしてください!(夢幻トマト風呂)
はりまえ様 続き早めに上げます・・・がんばって・・・(夢幻トマト風呂)
おやっと?様 もうなんなの・・・今回の誤字、脱字の多さ・・・・発見ありがとうございます!!(夢幻トマト風呂)
nayuki78様 よく見かけますねぇ、でも今回のはバキのゲバルさんの件だったり(夢幻トマト風呂)
鉄男様 はい!がんばります!(夢幻トマト風呂)
KG様 楽しみにしていてください!(夢幻トマト風呂)
悲しいですねとても悲しい・今の一刀に勝てる人っているんでしょうか・あと止められる人はいるのでしょうか(sink6)
暴走状態は恋並だかんなま最悪本陣壊滅ぎりぎりだろうな。(黄昏☆ハリマエ)
7P鈴々 朱里が愛紗と→星と じゃない?前のセリフで愛紗ーって叫んでるから愛紗に言ってるセリフのはず。(おやっと?)
つ【死ぬにはよい日だ】・・・・戦記物ではよく出てくる台詞ですね。さて・・・・(nayuki78)
一刀がゲバル化!続きがすごく気になる!楽しみに待ってます。(鉄男)
続きがかなり気になる終わりかたですね!期待してます(KG)
闇羽様 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ありがとうございます!!最悪のミスだ!!早く発見できてよかったです!!それとゲバル編はかなり好きです、バキ大好き!!(夢幻トマト風呂)
4p:冥琳「盗み聞きたぁ趣味がわりぃぞ?曹操」 やけにガラの悪い冥琳になってますがこれは紅蓮かな?     一刀がゲバル化してしまったなぁ。死を覚悟した鬼神の大暴れの始まりかな?これは楽しみだw(闇羽)
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