飛天の御使い〜第六幕〜
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はじめに

 

この作品の主人公はチート性能です。

 

キャラ崩壊、セリフ崩壊の部分があることも

 

あるとは思いますが、ご了承ください。

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洛陽・宮殿内張譲私室

 

壁に刀で磔にされて死んでいる皇帝・劉弁の姿を目の前に言葉を失う一同。その残酷なまでの殺され方を目の当たりにした弟である劉協は、絶句して膝から崩れ落ちる。

 

「くっ、張譲のやつめ、命乞いをしておきながらすでに殺めた後だったとは、とんでもない下種じゃ。」

 

そう吐き捨てて拳を壁に打ち付ける馬騰。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

一刀はその光景を見て思考の奥に耽っていた。そんな中、言葉を発したのは劉協だった。

 

「・・・皇帝が崩御した今、私が次の皇帝になる。皆のもの、余に力を貸してくれるか?」

 

そう問うと、その場にいたものは跪き臣下の礼を取る。その姿を見た後、劉協は一刀へと視線を移す。

 

「北郷、と言ったな。此度の件、誠に大義であった。何か褒美を与えられればよいのだが・・・」

 

そう言葉に詰まる劉協に一刀は

 

「褒美というわけではないのですが、劉協様にお力を貸していただきたいことが御座います。」

 

そう言って言葉を続ける。

 

「今、こちらには反董卓連合軍がむかってきております。彼らの大義名分であった董卓の洛陽での暴政というのは事実無根でしたが、おそらく連合はその事実を知ったとしても董卓を討伐して名声を得るために歩みを止めることはないでしょう。ですから帝の力をお借りしたい。我々が真実を提示しても、連合の総大将である袁紹は耳も貸さないでしょうが、皇帝の言葉なら話は別です。それに連合に参加している他の諸侯は袁紹ほど馬鹿ではありません。袁紹を庇ってしまえば自分達も逆賊扱いにされると分かれば、連合から離脱すると思いますから。」

 

そう劉協に提案する。劉協は少し考え

 

「命の恩人の頼みだ、無下には出来ん。相分かった。それにどちらにせよ 帝が崩御したことを皆にも伝えねばならんからな。」

 

その言葉を聞いて一刀は

 

「ありがとうございます、劉協様。」

 

そう礼を述べる。

 

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その後、一刀は馬騰へと視線を移し、

 

「それじゃあ馬騰さん、馬超さん、力を貸していただけますか?」

 

そう伺う。馬騰は一刀の言葉に微かに笑みを浮かべ、

 

「我らが振るう槍は悪を討つ正義の槍。我らが仰ぐは天子のみ。その天子様が力をお貸しするのに我らがそれを拒むことなど出来ぬよ。それに貴君のような御仁になら喜んでお貸しするというもの。我が槍、欲に目が眩んだ連合の馬鹿どもを打ちのめすためにお使いくだされ。」

 

そう答える馬騰の後ろで馬超も、うんうんと頷いていた。それを確認すると一刀は董卓と賈?にむかって

 

「董卓さん、あなたの軍は我々に降った、という事にして欲しいんだけど駄目かな?」

 

そう問いかける。その言葉を聞いた賈?は不満げな顔をしながら考えている。

 

「残念なことに洛陽のことは事実無根でも、董卓の暴政という風評は各地にしっかり根付いてしまっている。だから君達をそのままにすることは、民に余計な不安を与えることになってしまう。だから君達には董卓、賈?という名前を捨ててもらうことになる。というか歴史の表舞台から消えてもらうことになると言った方がいいかな。だけど、君達は自由にしてもらっていい。涼州に帰って暮らしてもいいし、俺達について来てくれてもいい。君達のことは俺や馬騰さんたちが責任を持って守ってみせるから。」

 

そういうと三人は目線を合わせ頷く。その姿に安心したのか賈?は

 

「分かったわ、こうなった以上は仕方がないものね。月が助かるならそれが一番だし。」

 

そう答えた。董卓も納得したようで

 

「詠ちゃんが納得したなら私はそれでいいよ。どうする詠ちゃん?」

 

董卓は賈?に尋ねる。

 

「涼州に戻っても、僕達の顔は知られてるから涼州の民の不安を煽ってもいけないだろうから・・・・北郷、あなたの所にお世話になるわ。月もそれでいい?」

 

問い返す賈?に、董卓はうんと頷き、

 

「私の真名は月と申します。この真名、北郷様にお預けいたします。」

「僕の真名は詠。この真名あなたに預けるわ。」

 

二人とも一刀に真名を預けるのだった。

 

「謹んで預かるよ。俺には訳あって真名がないので北郷と呼んでくれ。」

 

苦笑いを浮かべながら、そういうと視線を王允に向ける。

 

「王允さん、董卓軍を俺の部隊に組み込みたいんだけど、誰か指揮できるような人はいないかな?」

 

そう尋ねると王允は少し考え、使いの者に誰かを呼んでくるように命じた。

 

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しばらくして使いの者が連れてきたのは、見惚れるほど容姿端麗な女性だった。

 

「お呼びですか、義父様。」

 

「舞華、この方が私達の新しい主になる方だ。ご挨拶しなさい。」

 

そういうと王允は女性を連れて一刀の前にやってきた。

 

「あなたが新しい主様ですか、私の名は任紅昌。真名は舞華と申します。」

 

透き通るような綺麗な碧眼、艶のある黒髪、華奢な体躯、妖艶な雰囲気、男なら誰でも見惚れてしまうだろう姿に、一刀はしばらく言葉を発することを忘れていた。

 

「あの〜、主様?どうかなさいましたか?」

 

そう覗き込んでくる舞華と目が合い、思わず顔を真っ赤する一刀。

 

「い、いや、なんでもない。俺の名は北郷。真名はないから北郷と呼んでくれ。」

 

そう答える一刀の言葉に、舞華は一瞬驚きの表情を浮かべたが、すぐに取り直して

 

「わかりました、北郷様。」

 

そう答えた。

 

「それじゃあ舞華、今から連合軍に対して行動を開始するから元董卓軍の兵を指揮して欲しいんだけど大丈夫かな?」

 

という一刀の問いかけに、

 

「大丈夫ですわ。義父とよく調練に顔を出していましたので兵の指揮は大丈夫かと。ただ、私自身は文官なので武の方は・・・・、そこが不安なのですが・・・・。」

 

そう答える舞華の肩にそっと手をやり、

 

「大丈夫、もし危なくなったら俺が必ず守ってやるから。そこんとこは安心していい。」

 

そう優しく言って連合軍の対策のため準備へ向かう。

 

 

 

 

「これがあいつらへの抑止力になればいいが・・・・・。」

 

そんな一刀の言葉は誰にも聞こえない。

 

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連合軍side

 

「関羽将軍、総大将・袁紹様がお呼びです。袁紹様の天幕までお越しください。」

 

そう連絡を受け、愛紗は袁紹の天幕へと向かった。天幕に入ると袁紹・文醜・顔良の三人が座っていた。

 

「袁紹殿、何の御用ですかな?軍議にはうちの諸葛亮が伺ったはずだが・・・。」

 

一刃がいなくなってから軍議には朱里を出していたのに、何故自分が呼ばれるのか腑に落ちない様子の愛紗に袁紹はこう口を開いた。

 

「北郷軍には洛陽攻略の先陣を切ってもらいますわ。」

 

その言葉に愛紗は黙って目を閉じ何かを考えている。

 

そして、目を開けた愛紗の口から袁紹への問いかけが放たれた。

 

「袁紹殿、一つお伺いしたい。此度の連合の大義名分をお聞きしたい。」

 

その愛紗の問いかけに袁紹は

 

「洛陽の都で暴政を行っている董卓を倒して、都の民を解放することですわ。」

 

こう答える。その言葉を聞いて愛紗は

 

「しかし、我が軍に降った董卓軍の兵に聞く限り、都で暴政が行われていたのは過去のことで董卓がその状況を改善し、善政をしいていると聞いている。これはどういうことなのですかな。」

 

怒気を含んだ言葉で袁紹に問いかける。そんな愛紗の態度にも動じることなく

 

「例え善政をしいていようが、董卓みたいな田舎者の太守が相国になって洛陽を仕切っているなんてそのこと自体が悪ですわ。」

 

平然と言ってのけたのだ。その言葉を聞いた途端、愛紗は声を荒げて立ち上がる。

 

「ふざけるな、我々は暴政によって苦しんでいる民を助けるために、弱き者を守るためにこの連合に参加したのだ。暴政の事実がないと分かった以上この連合に参加する理由はない。我々は離脱させてもらう。」

 

そう言って天幕を出ようとする愛紗に、袁紹は

 

「そう、離脱するんであれば北郷軍を残りの連合軍で囲んで殲滅しますわ。」

 

そう脅しをかけてきた。だが、愛紗は止まらない。

 

「我々がそんな脅しに屈すると思っているのか?もしするなら好きにすればいい。その時は、我が軍の総力をかけて貴様ら連合軍を叩き潰す。」

 

その言葉に袁紹はほぅ、と少し驚いたが、その目には獰猛な獣の様な鈍い光が点っていた。

 

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「そうですか、これを見てもまだそんな態度がとれますかしら?」

 

そういうと天幕の奥から人影が現れた。そこで目に映ったのは暴行されたのであろうか、痛々しいほど体中アザだらけで縛られ猿轡をされている朱里の姿だった。

 

「なっ、朱里!」

 

愛紗は思わず飛び出しそうになったが、朱里に剣先が突きつけられているのをみて思いとどまる。

 

「おのれ、袁紹!卑怯な・・・・」

 

そう唸る愛紗の姿に嬉々とした表情を浮かべ

 

「卑怯とは心外な・・、これは『駆け引き』と言うんですわよ。あなたのような猪武者には分からないでしょうけれども・・・・。では一刻後に出発してくださいませ。その間、あなたの所の可愛い軍師さんはこちらで面倒みておいてあげますから。おーほっほっほっほっほ!」

 

そう言われると愛紗は悔しさで肩を震わせながら天幕を後にした。

 

(自らが『悪』だと分かっていながら、まだ私たちは『悪』として剣を振るわなければならないのか。)

 

愛紗は自分に問いかけている。

 

(自分の正義を貫くなら連合を離脱しないと。でもそうすれば大切な仲間である朱里を失ってしまう。)

(義兄上、あなたがいたならどうしますか。義叔父上、私はどうすればよいのですか。)

 

見上げた空は愛紗の心と同じようにどんよりと曇っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

進軍を開始して数刻後、洛陽に放っていた斥候が戻ってきた。

 

「洛陽で布陣している軍を発見しましたが・・・・・。」

 

斥候は言葉に詰まっていた。

 

「どうした、早く報告せよ。」

 

愛紗はそう促すと、斥候は重い口を開けた。

 

「布陣している軍は董卓軍の他に西涼の馬騰の軍があり・・・」

 

また斥候は言い詰まる。愛紗は少し怒りぎみに言葉をたたく

 

「はっきり報告しろ。」

「はい、旗印は『馬』『任』。それから・・・・・・」

 

その報告を聞いた愛紗の顔色が真っ青になる。その報告とは、

 

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洛陽付近に展開している軍、その数およそ1万5千。

 

 

その中心には

 

 

 

金色の『十文字』の牙門旗が

 

 

高々と掲げられていた。

 

 

 

 

 

 

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あとがき

 

 

申し訳ありません。

 

あれだけ偉そうなことを言っていたにも関わらずまた終わらせられませんでした。

 

展開を広げたら広げただけ纏めることが出来ない自分の表現力の無さに

 

情けなさが溢れてきます。

 

無事に反董卓編終わらせられるのでしょうか、心配です。

 

ちなみに一刀の十文字の旗のモチーフは、色々な作品で董卓軍の武将の旗だけ

 

「深紅の呂旗」とか「紺碧の張旗」とか色の表現が使われていたので

 

真似てみました。どんな色がいいかなぁと思ったのですが、金色が一番仰々しいし

 

言い方も「こんじきのじゅうもんじ」ってカッコいいかなと思って使って見ました。

 

いかがだったでしょうか?

 

こんなグダグダな作品ですが、少しでも楽しんで読んでいただければ

 

幸いです。どうぞ温かい目で見守ってください。

 

説明
恋姫†無双の二次創作です。
反董卓連合編です。
新たなキャラの登場となってます。
拙い未熟な文章ですが
少しでも楽しんでもらえれば幸いです。
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6248 5181 51
コメント
サイトさん とうとう動いた一刀がどのように連合に対するのか、そして愛紗の運命は・・・・、ご期待ください。(eni_meel)
・・・・これで、連合は摘んだなwそれと愛紗さんご愁傷様(サイト)
投影さん 舞華・一刀・一刃がどう絡んでくるのかが今後の鍵ですね。一刀が連合軍相手にどう振舞うかお楽しみに。(eni_meel)
BASARAさん  ようやく出せそうです。(eni_meel)
sink6さん 愛紗たちを怒らせるだけではないですからね、袁紹は・・・・。 (eni_meel)
今回出てきた舞華ってあの一刃が殺した・・・・・いよいよ一刀が魅せる飛天御剣流。一対多数の殺人剣術。なんだかぞくぞくしてきました。次の更新がんばってください。(投影)
やっと、一刀の登場!(BASARA)
袁紹は本当の生き地獄をみるはめになったな(sink6)
双神さん  ようやく一刀と連合の絡みが書けそうです。(eni_meel)
とうとう一刀が・・・!?(RAIN)
ヒトヤさん  袁紹は真・恋姫だとおバカキャラですが、無印の反董卓の時は結構黒い感じだったので、その袁紹を土台に少し狡猾さを出して描いてみました。(eni_meel)
袁招もぼこぼこになって欲しいね(ヒトヤ)
gmailさん  確かに王允の娘は貂蝉ですが、彼女は・・・・・今後の展開をご期待ください。(eni_meel)
王允の娘が貂蝉じゃないとなると、彼は一体・・・(gmail)
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