飛天の御使い〜第拾幕〜
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はじめに

 

この作品の主人公はチート性能です。

 

キャラ崩壊、セリフ崩壊の部分があることも

 

あるとは思いますが、ご了承ください。

 

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連合軍・大天幕

 

一刀の行動に誰もが絶句した。一瞬時間が止まってしまったかのような静寂に包まれていたが、一刀の言葉に一同ハッと意識を取り戻す。夏侯惇、夏侯淵が曹操を下げ武器を一刀に向け、甘寧と周瑜が孫権の前に出て庇うようにし一刀に武器を構え視線を向ける。そんな中一刀は、ゆっくりと倒れていく袁紹たちを変わらぬ表情で見続ける。その一刀に声を掛けたのは馬騰だった。

 

「北郷殿、一体何を・・・・・。」

 

その言葉に一刀は今斬り伏せた袁紹たちを指差す。その指のさす先に馬騰をはじめ、各諸侯達も視線を移した。そこには袁紹たちの死体はなく破れた術符が3枚転がっているだけであった。

 

「どういうこと?」

 

曹操は目の前の事態が理解できないのか一刀に説明を求める。

 

「どうもこうも君たちはこいつらの掌の上で踊らされていた、ということだ。」

 

そう説明する。一同はその事実に驚きの色を隠せなかった。

 

「ふむ、妖の類か。しかし北郷殿、よく袁紹たちが偽者だと分かりましたな。」

 

そう問いかけてくる馬騰に一刀は

 

「まぁ色々と話を聞いているうちになんとなくかな。俺は一応袁紹たちの人となりはなんとなくだけど知っているつもりだ。確かに袁紹なら人質を使って戦いを強要させるようなことはするとは思うけど、側近の文醜や顔良はそれを良しとしないと思っている。文醜は戦いに居場所を見出すタイプの武将だが、基本的に真っ向勝負が好きなやつだし、顔良は人質戦略を袁紹がとったとしても、その人質を傷つけるようなことをしない人だと思う。まぁ、決定的な決め手となったのは袁紹たちが持っていた剣を見たときだけどな。」

 

そういうと袁紹たちが持っていた剣を馬騰に差し出した。

 

「ほう、これは北郷殿の持っている剣に造りが似ておりますなぁ。・・・・・・・・っ!これは。」

 

何かに気付いたのか馬騰は視線を一刀に向ける。

 

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「気付いたようだね。この剣は皇帝・劉弁が殺され磔にしてあった刀と同じものだ。」

 

その話を聞いた者たちから驚きの声が上がる。

 

「この刀は『日本刀』といってこの大陸では使われていない製法で作られている剣なんだ。そんな製法で作られている剣を袁紹たちが持っていたということは、その者はこの大陸のものではない可能性が高い。故に袁紹たちではないと推測したわけだ。無論、袁紹たちが誰かに与えられていたとも考えられるが、前述のとおり袁紹の人となりを考えたら違うかな、と思ったわけだ。」

 

そう言うと落ちている術符を拾い上げる。

 

「それに、この妖の類に似た奴と俺は以前戦ったことがある。こいつらの目的が何であるかは分からんが、俺の予想が正しければ俺に対する挑戦状かもしれんな。」

 

(そう、あの時は董卓側を利用して俺の命を狙ってきたが、今回は連合側からか。一体何者だ?)

 

そう思考の海に沈みそうなのを何とか取り直して、今後のことへ話を戻す。

 

「とりあえず袁紹が何処にいるのかは分からないけど、今回の一件で総大将である袁紹、というか袁家にはなにかしらの処罰があるものと思っていい。しかし、みなさんの処遇については俺のほうから劉協様に口添えするようにしておくから、皆さんはこのまま俺と一緒に洛陽に来て欲しい。劉協様もみなさんとの会談を希望してることだし・・・・・。」

 

そう提案する一刀に対して反対意見は出なかった。というか、目の前で起きたことが未だに信じられないといったところか。まともな判断が下せるときではないのかもしれない。

 

「馬騰殿、とりあえず連合の皆さんと洛陽へ向かってもらえますか?」

 

そう馬騰に指示を出して、白蓮のほうへ視線を移す。

 

「白蓮殿、すまいないが朱里と趙雲のところへ案内してもらえるかな?」

 

その言葉に白蓮は頷いて、関靖とともに自陣へと向かう。

 

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白蓮の陣に着いた一刀たちは朱里たちがいる救護用の天幕へ向かった。天幕に入って目に入ったのは、白い召し物が赤々と染まっている趙雲と全身アザと傷に覆われた朱里の姿だった。一刀はすぐに朱里のもとを訪れるとギュッと抱きしめた。突然の事に「はわわっ!」と声を上げた朱里だったが、一刀の姿に安心したのか静かに泣き出した。そんな朱里の頭をなでながら

 

「こんな思いをさせてごめん。もう少し俺が考えて行動していれば未然に防げただろうに。」

 

そういうと再びギュッと抱きしめる。気が付くと朱里はすぅすぅと寝息を立てて眠っていた。

 

(よっぽど気を張っていたんだろうな)

 

そう思いながらそっと寝台に寝かしつけて、趙雲のもとへ向かう。

 

そこには白蓮と関靖が悲痛な顔を浮かべて立っていた。

 

「趙雲の具合はどうなんだ?」

 

そう軍医に尋ねると、暗い表情で

 

「傷を縫合はしましたが、傷口がとても深く恐らくもう・・・・・」

 

そう言葉を止めた。その軍医の言葉に白蓮と関靖の顔色は色味がなくなってきたが、

 

一刀は寝ている趙雲に話しかける。

 

「趙雲、大丈夫か?」

 

「おぉ、北郷殿か。随分と・・・・お見苦しい・・・姿を・・・お見せして・・・申し訳ない。」

 

苦しそうにそういう趙雲に一刀は首を振って

 

「君のおかげで朱里を、俺の大切な仲間を助けることが出来た。本当にありがとう。そして、君にこんな傷を負わせるようなことになってしまって本当に申し訳ない。」

「貴殿が・・謝ることではない。・・・私が・・・不覚を・・取った・・・だけだ。」

 

そう気丈に振舞う趙雲の姿をみて、とうとう白蓮と関靖が泣き出してしまった。

 

「星、お前とはまだ一緒にいたかった。酒飲んだり、馬鹿なことして騒いだり。それなのに・・・・」

 

白蓮は嗚咽で言葉をつなげられないでいた。その姿に趙雲は苦笑を浮かべていたが、

 

「さぁ・・・・みなには・・まだ・・・やるべきことがあるのでしょう?・・・いつまでもここにいてはいけませんぞ。早く行かれるといい。」

 

少し無理をしたのか、咳き込む姿を見せる。

 

「そうだな、白蓮殿行こう。」

 

そう言って一刀は、白蓮と関靖を無理矢理引っ張って連れて行く。天幕に出る直前、趙雲の方を振り返り

 

「星、・・・・『また』・・・会おう」

 

そういって天幕を出て行った。

 

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一刃side

 

気が付くと寝台の上に寝かされていた。傍には涙目の愛紗がいる。

 

(えっと、たしか師匠と戦うことになって、『抜刀術』で切り込んだけど師匠にやられてから・・)

 

そこから意識を失ってたらしい。目を覚ましたのに気付いたのか愛紗に抱きつかれる。

 

「義兄上、よかった無事で。本当に・・・・。」

 

そういいながらわんわん泣かれた。そんな愛紗の頭を撫で、

 

「ここは?」

 

今居る場所の把握にうつる。

 

「ここは洛陽の街にある救護用の建物の中です。」

 

愛紗から説明を受け、周りに目をやると北郷軍の兵士たちが隙間なく寝かされていた。

 

「なんか、すごい光景だな・・・・。」

 

そう呟いていると、隣の部屋から泣き声が聞こえてきた。かなりの人数だ。

 

「愛紗、あの泣き声は一体。」

 

そう聞くと愛紗は表情を曇らせながら

 

「連合軍との戦で家族を亡くした方々です。」

 

と弱々しく言った。その言葉に一刃も表情を曇らす。

 

(あの人たちの家族を殺したのは俺たちなんだ・・・・)

 

罪の意識が一刃の心を締め付ける。その空気に耐えられなくなった一刃は

 

「ちょっと外の空気吸ってくる。」

 

そう愛紗に告げた。

 

「義兄上、外は雨が降っていますよ。」

 

「いいんだ、少し一人で考えたいんだ。」

 

その言葉に愛紗は黙って頷くしかなく、一刃は洛陽の街へと出て行った。

 

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(『御剣の力は時代の苦難から人々を守るためのもの』、でも俺はその『御剣の力』で多くの人の幸せを奪ってしまった。弱きものを守るための力で、多くの人の『かけがえのない者』を奪ってしまった。俺はこれからどうすればいいんだ。俺に『御剣の力』をふるう資格なんてあるのか・・・・。)

 

自問自答する一刃の耳に、悲鳴が聞こえてきた。

 

その悲鳴の聞こえてきた場所に視線を向けると、3人の賊が往来で剣を振り回しながら暴れていた。

 

(街の人が危ない!)

 

とっさに賊のほうへ駆け出していく。

 

「お前達、このまま去るなら命だけは助けてやる。だが、去らぬなら命はない。」

 

そういうと一刃は刀を賊に向ける。賊はそんな一刃を見て

 

「なんだ、貴様は。そんなもん振り回したってビビりゃしねぇぞ。」

 

そういうと賊は一刃に襲い掛かってきた。ふぅ、とため息をつきながら賊の剣撃をかわし、あっという間に3人の賊を斬り伏せた。そんな時不意に香る匂いにつられ振り向くとそこに居たのは、雨に濡れ、賊の返り血を浴びて立っている任紅昌、舞華の姿だった。舞華はじっと一刃の目を見て、表情を変えず小さな声で

 

「貴方は・・・・本当に・・・降らせるのですね、・・・・・・・・血の雨を・・・・」

 

その言葉に一刃は持っていた刀を・・・・落とした・・・。

 

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あとがき

 

今回でおもだった連合の描写は終わったつもりです。

 

長かった・・・・・。

 

終わる終わるといいながら終わりませんでしたが

 

無事終了です。

 

これからどのような流れで行くのか決めてないのでどうするか頭を悩ましております。

 

それよりも白蓮の部下の『関靖』に真名をつけることができるのかが、

 

今の悩みです。なんかいい真名ないかなぁ・・・・。

 

相変わらずダメダメな文章ですが、少しでも楽しんで頂けると幸いです。

 

説明
恋姫†無双の二次創作です。
今回は少し短めです。
この物語の今後に関わる重要な場面を描いた
つもりです。描けてなかったらごめんなさい。
相変わらず拙い文章ですが
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
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コメント
アルトリアさん コメントありがとうございます。そういっていただけると書き手冥利に尽きます。(eni_meel)
やっぱり面白いです!これからもがんばってください(neoken)
スターダストさん コメントありがとうございます。一刃・舞華の心の葛藤はこれからゆっくりと描いていければと思ってます。袁紹については・・・・。 (eni_meel)
どうも新読者です。 一気に最初から読んでしまいましたww さて一刃は舞華の言葉で何を思うのか、そして舞華は一刃をどう思うのか。ついでにエンショウたちはどうなんだろう?次回も楽しみにしています(スターダスト)
サイトさん 漢女の登場は期待薄ですね。一刃の折れそうな心は誰によって救われるのか。今後の展開次第ですね・・・・。頑張ります。(eni_meel)
conquerorさん 日本の漢女は出る予定ありませんし、もう一人は序幕を見ていただいたら・・・・・。(eni_meel)
はりまえさん 軍医涙目・・・・。(eni_meel)
投影さん 本人たちが何処にいるのかは別途描く予定です。巴との出会いを髣髴とさせるシーンを誰で表現しようか色々と悩みましたが、この形が一番しっくりくると思いました。ちなみに、舞華は調練とかには顔を出していましたが、基本軍師ではない文官なので戦場に出たのは一刀対北郷軍の時だけですので、もしかすると・・・・・。(eni_meel)
sink6さん・ハルくんさん・poyyさん 残念な事にこの外史には華陀は居ないんですよぉ・・・・。スイマセン。(eni_meel)
カズトさん・砂のお城さん コメントありがとうございます。星はみんなに好かれて幸せ者ですね。(eni_meel)
一刀のパ〇〇を生贄に捧げ漢女を特殊召喚・・・・出来るのか?一刃がもう折れる寸前!どうなるか楽しみです(サイト)
漢女2人はやく華陀連れてこい! そうしないと星が手遅れにーーーー!!!!!!(conqueror)
医者だ!医者を呼べぇ!!ゴッドハンドでも黒医者潜りでもいいからぁ!!!もしくはKだKをよべー!!(黄昏☆ハリマエ)
やっぱり偽者だったか。しかし本人たちはいったいどこへ・・?一刃の後悔、こういうのが見たかったです。原作の巴との出会いを彷彿させる血の雨、軍経験のある舞華は気絶するのでしょうか?次の更新がんばってください。(投影)
華陀今すぐにここに来ーーーーーーーーーーーーーーーーい!!(poyy)
華陀はどこだあぁぁぁぁぁ!!!(ハルくん)
おい星マジかよ、医者王!!!出番だぞおおおおお(sink6)
星ーーー!!!(スーシャン)
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