飛天の御使い〜第拾弐幕〜
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はじめに

 

この作品の主人公はチート性能です。

 

キャラ崩壊、セリフ崩壊、世界観崩壊な部分があることも

 

あるとは思いますが、ご了承ください。

 

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??side

 

「準備は出来ているか、天蓬(てんぽう)?」

 

冷たく透き通った声が一人の青年に向けられる。

 

「えぇ、袁家の治める河北三州は全て掌握できました。袁紹たちがあれほどバカだったおかげで予定よりも早いくらいですよ。」

 

白衣姿の青年が、眼鏡を触りながら答える。

 

「しかし、袁家のこの軍兵で北郷と戦うのは心許ないですな。正直質が悪すぎますよ。」

 

そうため息をつきながら答えるも

 

「ふっ、心配するな。我等には優秀な『傀儡兵』がいる。術符の傀儡なんかとは比べ物にならん武に特化した英傑たちがな」

「しかし??(なたく)殿、北郷一刀の武力は先の連合軍との戦いでも分かるように一筋縄ではいきません。以前の左慈や于吉の時とみたいに無力ではないのです。いくらそのものたちが、『壬生狼(みぶろ)』が武に長けていようと、まともに北郷と当たるのは得策ではありませんよ。」

 

心配する青年の言葉に、??と呼ばれた男は冷たい視線で青年を見て

 

「ふん、北郷は俺の獲物だ。あいつらには北郷配下の武将とやらせておくさ。だが、とりあえずは版図拡大が先だ。天蓬、お前は『壬生狼』を率いて幽州へ赴け。とりあえず河北四州を我が手に。」

 

そう指示を出すと、「御意に」そういって青年は踵を返して出て行った。

 

その青年と変わるように一人の男がやってきた。

 

「なんか、楽しそうなことしてんじゃん。戦ごとなら俺に任せてくれればいいのに・・・・。」

 

そう笑顔で喋る男に??は視線を向けた。

 

「捲簾(けんれん)、随分早かったな。益州の劉璋は片付いたのか?」

 

「あぁ、あの坊ちゃんちょっと脅せばすぐ恭順してくれたさ。まぁ、いくつかの郡の連中は未だ従ってはくれないがな。あの坊ちゃん、相当な嫌われ者みたいだし。」

 

カラカラと笑う捲簾にため息をつきながらも

 

「とりあえず今後も益州掌握に力を入れよ。我等の敵は北郷だけではないからな。」

 

??は捲簾にそう指示を飛ばした。捲簾は何か気になったのか??に尋ねる。

 

「そういや、敖潤(ごうじゅん)の姿が見えないけど何処行ったんだ?」

 

そう問う捲簾に??は

 

「貂蝉の捜索を任せている。力は無くなったもののやつはこの『外史』の鍵だからな。」

 

そういうと??はどこかへ歩いていく。

 

「どちらへ?」

 

捲簾がそう尋ねると

 

「管理者(マスター)の所だ。」

 

そういうと??の姿は消えた。

 

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洛陽・街部

 

「朱里〜!」

 

出迎えた愛紗が、一刀と一緒にいる朱里を見つけると泣きながら朱里に向かってきた。朱里も愛紗の姿を確認し、歩み寄っていく。たどたどしく歩いていく朱里を愛紗がギュッと抱きしめた。

 

「良かった、本当に無事でよかった。」

 

わんわんと朱里に縋り付いて泣いている愛紗に、朱里ももらい泣きしたのか二人して泣いた。そんな二人を見ながら近付いてくる一刃の頬を見て一刀が話しかける。

 

「そういえば一刃、この間は気にしなかったがその傷どうしたんだ?」

 

一刀が問いかけると、バツが悪そうに

 

「虎牢関の戦いの時、敵兵を討ち取ったときにもらったものです。大したことありません。」

 

そう答える一刃に一刀は

 

「ほう、お前に一太刀入れるやつがいるとは・・・。強かったのか、相手は?」

 

再び問い返す。その言葉に表情を曇らせ

 

「いえ、そういうわけでは。ただ・・・・。」

 

と言葉を詰まらせる。一刀は「??」といった感じで続く言葉を待つと

 

「執念、というんでしょうか、生きようとする意志が強かったんだと思います。」

 

そういって言葉を締めた。その言葉に一刀は少し考え、一刃の思っていることと同じように

 

「ふむ、きっとその者にはこの街に命を賭けてでも守りたい者があったのだろうな。」

 

そう言って一刃を見つめる一刀の目はいつになく真剣だ。

 

「一刃、お前はその者をはじめ多くの者の命を奪った。それはその人間の命だけではなく、その家族や友人、恋人の幸せを奪ったことにもなる。お前はその者の命とそれに関わるものの幸せを奪った罪を、業を背負っていかなければならない。そして、その者たちの分まで生きて償いをしなければならない。人を殺めた罪の重さに耐え切れなくなっても、お前の命はもはやお前一人のものではない。だから、自分の命を粗末に扱うようなことはするなよ。それは、お前が奪ってきた命と幸せに対する冒涜でしかないのだから。」

 

一刀の厳しい言葉に一刃は言葉を出すことが出来ず、ただ黙って頷くだけであった。

 

「まぁ、とりあえず俺はこれから各諸侯と一緒に皇帝陛下との会談があるからそれに行ってくる。お前たちはいつでも帰られるように兵を纏めて準備しておけ。」

 

そう一刃と愛紗に指示を出すと一刀は宮殿へと向かっていった。

 

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洛陽・宮殿内別室

 

新皇帝・劉協との会談を終えた連合・連盟軍の諸侯は、別室にて今後のことについて話し合っていた。

 

「敵は袁紹たちの河北三州を掌握したと思っていい。奴等が何を目的にしているか分からない以上、迂闊には動けない。しばらくは袁家の動きに注意を向けておく必要がある。」

 

一刀の言葉に各諸侯の反応は様々だった。

 

「もうこの漢王朝には群雄を束ねていけるだけの力はないわ。これからは確実に群雄割拠の時代になる。そんなときに手を拱いて見ているだけなんて出来るはずないわ。私には王として守るべき民があるのだから。」

 

そう強い口調で言うのは曹操だ。その曹操に追随したのは周瑜だ。

 

「我々も天下統一という目指すべきものがある。我々は我々の思うようにさせてもらう。」

 

そういうと曹操、孫権陣営は席を立つ。

 

(両陣営にはそれぞれの目指すべきものがある、か。)

 

前の外史でも経験したことだ。それは避けては通れないことなのだろう。曹操は覇道を、

 

孫権は亡き姉の目指した天下統一を目指すということ。それはいずれ一刀たちとも戦うことを

 

意味するのだから。

 

「君たちの気持ちは分かった。ただ一つだけ言わせてくれ。もし何かあったら俺を頼って欲しい。」

 

その言葉に曹操は笑みを浮かべながら、

 

「そんな事言ってもいいのかしら?頼る前に私が貴方のところを攻めるかもしれないわよ。」

 

そう宣言する。その言葉に苦笑を浮かべつつも

 

「その時はその時さ。戦うのが避けられないのなら戦って屈服させるまでさ。」

「出来るなら北郷殿を敵に回したくはないがの・・・・。」

 

一刀の答えに苦笑いを浮かべる馬騰。近くで見てきた者にとって一刀の力は畏怖の対象なのだろう。話し合いも終わり連合・連盟軍は解散。各諸侯は自国への岐路につくのだった。部屋には、一刀の旧董卓軍の月、詠、霞、恋、王允が残っていた。

 

「さて、俺たちも徐州へと行くとしますか。」

 

そう一刀は言った。此度の張譲粛清の功績として一刀は徐州の州牧の任に就くことになったのだ。

 

「まっ、俺一人では出来ることは限られるからみんな協力してくれ。」

 

そう言って岐路につく為の準備をするため部屋をあとにした。

 

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舞華side

 

(ふぅ、美味しくないわ)

 

酒家のテーブルで一人で酒を飲みながら深いため息をつく。

 

(あの人がいなくなってから私の世界は色味を失ってしまったような気がする。悲しみをお酒でごまかしているけどそのお酒も、彼がいなくなってからというもの一度も美味しいと感じたことがない。)

 

「代金、ここにおいておくわね。」

 

そういってテーブルにお金を置くと外へ出る。相変わらず外は雨が降っていた。

 

(雨・・・・・・・・・・、血の雨・・・・・・・・・・)

 

あの時の一刃の姿が目に浮かんだ。

 

(北郷軍の一刃将軍。賊を斬り伏せて血の雨を降らせた人。でも悲しそうな瞳をした人。)

 

そのようなことを考えていてふと視線を上げたとき、一人の男と目が合った。

 

ゾクッ。

 

(何っ?この寒気は・・・・。)

 

直感で身の危険を感じた。

 

(逃げなきゃ・・・・・。)

 

舞華は雨の降る中、どこへとなく駆け出した。しかし、その舞華を追いかけるように氷のような冷たい視線は何処からとなく舞華に注がれた。

 

(誰?誰なの?分からない。でも私の中の何かが警鐘をならしている。)

 

心の中でそんな不安を抱えながら、路地裏に逃げ込んだのだが先程の男は目の前に立っていた。

 

(・・・・・あ・・・・・・・っ・・・)

 

声を上げることが出来ない舞華はペタンと座り込んでしまった。

 

その様子を見ていた男は感情の篭らない冷たい声で

 

「・・・やっと見つけた・・・・。」

 

そう言うと何処から出したのか太刀を構え、舞華に向かって振り上げる。

 

(・・・・・・・・助けて!轟伎様。・・・・・・・お願い、誰か・・・助けて!)

 

祈るような気持ちで声にならない程小さな声で愛しい者の名を呼ぶ。来る事はないと分かっていても・・・。

 

その時

 

「うおぉぉぉぉーーー」

 

男の後ろから声が聞こえたかと思えば、男のいたところに轟撃がはいった。男はとっさに跳躍してよけたが、その隙を突いて舞華を助ける影が。それは一刃と鈴々の姿だった。そして轟撃を放ったのは愛紗だ。3人は、舞華を庇うように舞華の前に立ち男に対峙する。一刃は只者ではない雰囲気を醸し出す男に向かって

 

「貴様、何あってこの女性に危害を加えようとする?これ以上はこの俺が許さんぞ。」

 

そういって刀を男に向ける。男は一刃たちに得物を向けられていても、

 

その視線を舞華からはずそうとしなかったが一言

 

「退く」

 

と呟くと霧のようにフッと消えていった。その後、騒ぎを聞きつけたのか一刀がやってきた。

 

「どうしたんだ、3人とも。そんな物騒なもん振り回して・・・・・。」

 

そういう一刀に愛紗は今の出来事を話した。その話を聞くと一刀の表情はみるみる険しくなった。

 

そして、一刀は舞華に

 

「誰かに狙われるような心当たりがあるかい?」

 

そう尋ねるが、舞華はフルフルと黙って首を横に振る。

 

「とりあえず戻ろう。会談も終わったし、皆帰り支度も出来ているみたいだから。」

 

一刀はそういうと動けない舞華を抱えて一刃たちと自軍の陣へと戻るのだった。

 

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??side

 

「ほんなら大方、うまいこと事は運んどるいうことやな。」

 

「はい、マスター。」

 

??がそう報告すると、後ろから??に声をかける影が・・・・・。

 

「見つけた・・・・・、・・・・・、でも邪魔された。」

 

そう報告する男に??は

 

「邪魔された、誰にだ?」

 

「ほんごうぐんの・・・・・、3人いた」

 

「ふん、北郷の弟子どもか。まぁ、いい。見つかったんなら策を講じていけばいい。とりあえずお前は、引き続き『奴』を監視しろ。わかったな敖潤。」

 

??はそう指示を出すと、男は靄の中に消えていった。

 

「『鍵』は見つかったようやね。後は貂蝉の奴が隠した『銅鏡』か。難儀なことやなぁ・・・。」

 

マスターと呼ばれる男は苦笑しながらぼやく。

 

「ご心配いりません、全ては滞りなく実行いたしますゆえ・・。」

 

そういうと??は踵を返して出て行った。

 

 

 

 

 

「さぁ北郷はん、お手並み拝見といたしましょうか。」

 

その呟きは誰にも聞こえない。

 

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あとがき

 

群雄割拠編スタートです。

 

まぁ、今回は最遊記シリーズからのキャラの参入がありましたので

 

だんだん懸念していた恋姫の世界から遠ざかっているような気になってきました。

 

上手いこと上手いこと融合できるようにあれこれ悩んでおりますが、

 

私の文章力と表現力ではますます迷走しそうです。

 

でも少しでも楽しんで読んでいただければ幸いです。

 

説明
恋姫†無双の二次創作です。
今回は、色々目新しいの満載になってます。
あぁ、だんだん恋姫の世界から遠くなっていくような・・・。
こんな拙い自己満足な作品ではありますが
少しでも楽しんで読んでいただければ幸いです。
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コメント
k5810さん コメントありがとうございます。董卓の暴政は事実無根でしたが、張譲の暗躍等があったのは事実ですし、劉協を助けた一刀のこともあってのお咎めなしという措置だと・・・・。(eni_meel)
考えなしか私欲で連合に参加した反乱軍なのにお咎めはなしなのね(k5810)
金獅子さん 他のSSの方と同じかどうかは、今後分かると思いますよ。(eni_meel)
関西弁??もしやまたお前か〜〜〜!!!(金獅子)
スターダストさん まぁ見る方が想像して楽しんでいただければ、いいかなと。ここまで露骨だと隠してる感じがしないですが・・・・。(eni_meel)
・・・・え〜と・・・・最初の登場から感づいたというか気になっていたというか・・・舞華ってまさか・・・だったり?  「マスター」とやら・・・関西弁・・・多分・・・お前かw(スターダスト)
うじさん そうですね。結構伏線をあちらこちらに散りばめておりましたから・・・・。(eni_meel)
とんでもない考えに行き着いてしまった・・・・よくよく考えたら複線あったもんな(うじ)
投影さん この『外史』において舞華は重要な位置づけです。それが語られるのは群雄割拠が終わってからもしれないし、その前に語られるかもしれない。まだ、構想中ですので・・・・。(eni_meel)
舞華が鍵?いったいどうゆうことでしょう・・鍵という場合、死や絶望が切欠になることが多いですけど、それもうかなり当て嵌まってますし。次の更新楽しみにしてます。(投影)
はりまえさん 一応無印ベースですので・・・・。頑張ります。(eni_meel)
この世界は雪蓮は亡くなっているのか・・・・・いれば面白うそうだったけど・・・・今後に期待します(黄昏☆ハリマエ)
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恋姫 無印 アフター るろうに剣心 最遊記 オマージュ 

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