飛天の御使い〜第弐拾幕〜
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はじめに

 

この作品の主人公はチート性能です。

 

キャラ崩壊、セリフ崩壊、世界観崩壊な部分があることも

 

あるとは思いますが、ご了承ください。

 

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青州・北海

 

敗北から1ヶ月、青州より徐州へ向け出陣するは北郷軍3万。本拠である冀州・?には拠点防衛のための兵2万と白蓮、関靖、碧、楓を残し、一刀をはじめ愛紗、鈴々、恋、霞、翠、朱里、詠の北郷軍主力部隊で徐州攻略へ向かう。まもなく徐州国境というところで?より伝令が駆け込んできた。

 

「も、申し上げます。?が曹操軍の攻撃を受けております。公孫賛様が陣頭指揮を取って当たっていますが、敵軍3万の前に防戦一方で・・・・。すぐに救援を送っていただきたいと。」

 

その報告に一刀はまたしても自分の考えが甘かったことを痛感した。荊州制圧から1ヶ月足らずで、そんなに大群で冀州へ侵攻してくるなど思いもしなかったからだ。そんな思考に沈んでいる間に愛紗と鈴々が?へ向かおうと馬首を反転させていた。

 

「愛紗、鈴々。お前たちだけが向かったところで焼け石に水。むざむざ殺されに行くようなものだぞ。」

 

一刀はそう忠告するが、愛紗たちは耳を貸さない。

 

「義叔父上、私はもう誰かを失うようなことはしたくない。仲間が傷つき苦しむ姿を見たくはありません。お願いです、行かせてください。」

 

愛紗たちの瞳が一刀を見つめる。一刀はきっとこの状態の愛紗たちには何を言っても無駄なんだろうと思った。結局一刀は愛紗たちの思いを汲むことに決めた。

 

「わかった。ならば愛紗、鈴々、2人は先行して?へ向かえ。そして、翠、朱里、お前たちは?に侵軍している曹操軍の背後から兵5千を率いて強襲しろ。そして、必ず曹操軍から仲間を守ってみせろ。徐州の方は俺と霞と恋と詠で片付ける。早く行け。」

 

一刀の檄で愛紗たちは兵を率いて?へと向かう。一刀たちはそのまま徐州国境を越えると、曹操軍の展開している下?へと進軍していった。

 

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徐州・下?

 

「夏侯惇将軍、北方より砂塵を確認。北郷軍と思われます。」

 

伝令の報告に春蘭は腰を上げた。

 

「旗は?」

「金色の『十文字』の牙門旗を筆頭に、紺碧の『張』旗、深紅の『呂』旗、『賈』です。」

「よし、侵軍してくる北郷軍を足止めするのが我等の役目。しかし、弱兵相手なら足止めと言わず殲滅して曹操様の覇道を彩る戦果としようぞ。」

 

春蘭のその言葉に兵たちが応える。徐州に布陣する曹操軍は先の戦いの後、補充したこともありその数4万。これは、拠点防衛へ兵を割いた北郷軍にとってはかなりの数であった。しかし、北郷軍は一刀を先頭に敵陣へ一直線に向かってきた。それを見ながら春蘭は笑みを浮かべる。

 

「ふっ、総大将自ら先頭をきってくるとはな。北郷、貴様を倒して華琳様の覇道を彩らせてもらうぞ。」

 

そんな春蘭の宣言を聞いた一刀は鼻で笑い

 

「ふん、相手の強さも分からぬような輩に負ける気はせんよ。お前らまとめてかかって来いよ。」

 

一刀の挑発に春蘭は激発する。

 

「貴様など私一人で十分だ。いくぞ!」

 

そういうと春蘭は一刀へと駆け出す。その後には季衣も続いていた。そんな春蘭たちの姿を見て、一刀は霞と恋に指示を出す。

 

「こいつらは俺に任せて、霞と恋はあそこの男を頼む。只者ではなさそうだから油断するなよ。」

 

そう言って永倉を指さす。霞たちが頷くと一刀は春蘭たちに向かっていく。

 

「うぉぉぉ!」

 

一刀に向かって振り下ろされた春蘭の剣撃を軽くいなし、後方から繰り出される季衣の鉄球の一撃を鎖を斬ることで回避し、バランスを崩した季衣に回し蹴り一閃。吹き飛ばされた季衣は意識を失ったのかピクリとも動かない。その姿に春蘭は激発するが、目の前には一刀が繰り出された剣撃が・・・・。それを受け止めはじき返すと、刺突を繰り出す。それを横に交わすと同時に身体を回転させ横薙ぎを繰り出す。春蘭はそれを屈んでかわすと後方へ跳び間合いをあける。一刀は吃驚したような表情で

 

「ほう、龍巻閃を防がれるとは・・・・。なかなかやるな、夏侯惇。」

「ふん、これくらいどうってことはないわ。まさか貴様、その程度とはいわんだろうな?この程度だったらとんだ肩透かしだぞ。」

 

そう言った一刀に、春蘭は笑みを浮かべながら答える。一刀は少し微笑んで俯く。そして顔を上げた一刀の顔は憤怒の表情になっていた。

 

「夏侯惇・・・・・・・、貴様に絶対的な『敗北』を教えてやる。」

 

一刀はそういうと外套を脱ぎ去る。それと同時に一刀は春蘭を睨みつける。そこには溢れ出る覇気と殺気の混じった冷たい空気が流れる。春蘭はその覇気に気圧されて動けないでいた。

 

(こ、これが北郷の『本気』なのか・・・・・・。)

 

「いくぞ!」

 

一刀が片手で刀を振り上げて地面に叩きつけると、その衝撃で土塊が飛び散る。その土塊は周りの兵を吹き飛ばし、春蘭に向かってくる。春蘭は飛んでくる土塊を剣ではじきながら堪えたが、気がつくと一刀の姿が見えない。ゾクッ、後方からの殺気を感じ振り向くと一刀が繰り出す抜刀術の一閃が近付いていた。それをなんとか剣で防いだものの衝撃で体勢を崩したところに鞘による二撃目が春蘭の脇腹を抉った。

 

「ぐはっ・・・・。」

 

あまりの衝撃に春蘭は跪いて立てない。そんな春蘭に一刀は止めの一撃を繰り出す。

 

(・・・・っ、やられる・・・・)

 

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しかし、次の瞬間その一撃を受け止めていた男がいた。男は春蘭に

 

「夏侯惇将軍、戦線は崩れました。ここは許緒将軍とともに退いてください。このままでは全滅は必至です。ここは永倉と僕で引き受けます。」

「・・・・わかった、頼む・・・・・」

そう進言し、春蘭はその男の言葉に従い痛む脇腹を押さえながら季衣を抱え、戦場を後にした。一刀は目の前の男の武器を見ながら何かを思っていた。

 

「貴様、何者だ?」

「僕の名は沖田。沖田総司といいます。あなたならご存知だとは思いますが・・・・北郷一刀。」

 

沖田のその言葉に一刀は目を見開く。

 

「そうか。お前たちはあの「外史」の時のような剪定者の類か・・・・。概ね俺を消すために来たってところか?」

「いえいえ、貴方の『存在』はこの世界を構造するために必要で重要なファクター。今はまだ消したりはしませんよ。裏切り者と一緒に殺してあげますから。」

 

その言葉に一刀は何かに気付いた。

 

「裏切り者?まさか貂蝉か?」

「そうです。あの者こそ、この『外史』を狂わせている張本人。それどころか厄介なことまでしてくれましたからねぇ。そんなヤツを殺してしまわないとこの世界は我々の想像できないことになりかねませんから・・・・。もちろん『異物』であるあなたも一緒に殺しますが、今はまだその時ではない。ですが、夏侯惇将軍たちのためにここは時間を稼がせてもらいますよ。」

 

沖田はそういうと刀を構え一刀に向かってきた。その一閃は速く、重い。

 

(前の奴らとは比べ物にならんな。こんな奴等が何人いるんだ、まったく)

 

そんな事を考えながらも沖田の攻撃を捌いていく。しかし、沖田も一刀の攻撃を難なく捌いていく。そんな打ち合いが何十合も続く。その間に夏侯惇たちの部隊は撤退を終えていた。沖田はそれを確認すると

 

「それでは我等はここで失礼しますよ。追撃は自由ですが、しない方がお仲間のためにはいいと思いますがね。」

 

笑顔でそういう沖田の言葉は?にいる仲間の事だと一刀は確信する。そういうと沖田はその場を後にする。

 

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同じ頃、永倉と戦っていた霞と恋は永倉を圧倒していた。

 

「いやいや、やはり二人相手は骨が折れますね・・・・。」

 

そんな状況に永倉は苦笑いを浮かべるが、その姿を見て霞が激高する。

 

「戦いの最中に笑みなんぞ浮かべよってナメんなや。」

 

霞は飛龍偃月刀を振り上げ、永倉へ振り下ろす。

 

(やれやれ、この『力』は気力をひどく消耗するから使いたくは無いんだが、仕方ない。)

 

永倉は懐から術符を取り出し念を込める。その永倉へ霞の剛撃が繰り出された。

 

ガキン・・・・・・

 

「なっ!」

 

霞は目を疑った。そこには霞の飛龍偃月刀を細い刀一本で防いだ永倉の姿があった。霞の攻撃なら一発でへし折られそうなくらいの刀身なのにもかかわらず、だ。すぐに永倉が力を抜き、霞はバランスを崩して切っ先は地面に突き刺さる。そこへ永倉の蹴りが霞の顔面を狙う。すぐさま腕で防御するが、衝撃で吹き飛ばされる。すぐに永倉の追撃が入るが、そこに恋が割って入る。方天画戟が永倉を捕らえようと刺突いれるが、永倉はスルリとかわすと恋に剣撃を繰り出す。が、恋も弾きながらかわす。しかし、恋は永倉の様子が変なのに気付いた。

 

「ぅぐぐぐぐ・、・・・・・・・うぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!」

 

永倉の戦場に響き渡るほどの咆哮に恋も霞も驚くが、永倉は恋に再び襲い掛かってきた。今までとは違い、その身には溢れ出る殺気を纏っている。一撃一撃がとてつもなく重く、かわした斬撃は地面を抉り取るほど強い。霞も武器を取り戻し、永倉に向かって攻撃を繰り出すがまるで当たらない。

 

(なんやコイツ、さっきまでの雰囲気と全くちゃうで。『技』というより『力』づくで武器を振り回しとるだけやのに付け入る隙が全然あれへん。速さも重さも桁違いや・・・・・。このままじゃ・・・・)

 

そう思っている霞の元へ現れたのは一刀と戦っていたはずの沖田だった。

 

「あららら、新八さん荒れてるなぁ・・・・。術符の力を使ったんだな・・・・。」

 

そう呟くと永倉の元へ近付き、術符を持った手で永倉を張った。その瞬間、永倉から溢れ出ていた殺気はなくなり、先程の落ち着いた雰囲気の永倉へと戻った。

 

「・・・っ、沖田か?」

「はい、新八さんが暴走してましたので一寸失礼して・・・・。とりあえず夏侯惇将軍たちの退却は終了しましたよ。我々も退くとしましょう。」

「・・・・そうか、世話をかけたな総司・・・・。」

 

謝る永倉に沖田は笑顔で首を振って

 

「いやいや、永倉さんの普段見れない姿を見ることが出来たので役得でした。」

 

そういう沖田に永倉は苦笑いし、この場を後にした。戦は終わりを告げ、一刀は霞たちのもとへと駆けつける。

 

「霞、恋、大丈夫か?」

「ウチらは大丈夫や。ただ、相手の雰囲気が急に豹変して暴れだした時にはどないしようかと思ったけど。」

「・・・・・・強かった、相手。」

 

それぞれの感想を口にする二人を労い、二人を連れて本陣の詠のところへ向かっていった。

 

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冀州・?

 

ドーーーーーーン!

 

閉ざされた城門の外側からは、扉を破らんとばかりに破城槌が打ちつけられる。外には曹操軍およそ3万の軍勢に囲まれ絶体絶命。城門が破られでもしたら一気の攻め落とされるのは目に見えて分かる。そんな状況だけに白蓮たちは頭を抱えていたが、同じように俯いている関靖や碧、楓の姿を見て白蓮は覚悟を決める。

 

「関靖、碧、楓、私が部隊を率いて城門に取り付いた敵軍を払いに行って来る。私の部隊が出撃した後は、すぐさま門を閉じ篭城で時間を稼げ。敵兵は私が減らす。」

 

そんな白蓮の言葉に関靖は首を振る。

 

「白蓮様だけを行かせられる訳ないじゃないですか!私は白蓮様の部下です。白蓮様の隣には常に私がいます。行くといわれるのなら、私もお供します。」

 

関靖の言葉に白蓮は俯き、スッ、と関靖を抱きしめる。

 

「無能な君主ですまない。お前を助けてやることも出来なくて・・・・・・。」

「何を言っているんですか。白蓮様は私にとって大切な主です。無能だというならばそれは私のこと・・・・。だから、一人でなんか行かせませんからね。」

 

関靖の笑顔に白蓮も微笑む。その様子を見ていた碧と楓も立ち上がり

 

「我等も行きます。このまま閉じ篭っていても同じこと。ならば、我等の力で敵兵力を減らし少しでも拠点への攻撃を減らすために・・・・。だから白蓮さん、私たちも行きます。みんなで大暴れしましょう!」

 

楓の発言に白蓮は目の端に溜めた涙を拭い、指示を出す。

 

「それじゃあ、我等が出陣した後は門を閉め篭城せよ。我等が命を賭けて敵の攻撃をいなしてみせる。」

 

そういうと4人は少数の部隊で城門に取り付く敵部隊へと向かっていった。

 

「徐晃様、敵軍城門から出てきました。」

 

報告を受けた徐晃こと葵はその事に呆れたような顔をしていたかとおもうと、ゲラゲラと笑っている。

 

「篭城戦で打って出てきた?相手の指揮官はとんだ阿呆だね。茜ちゃん、この戦貰ったも同然だね。」

 

笑顔で見つめる先には趙儼こと茜が立っていた。茜はその言葉に少し考えていたが、

 

「まぁ、確かに拠点防衛で打って出てくるような奴らには負ける気はしないけど、油断は禁物だよ、葵ちゃん。戦は何があるか分からないんだから・・・・・。」

「大丈夫だって。城門に取り付いてる部隊って呂虔のところのだろ?だったら大丈夫だよ。呂虔、頭は悪いけど武力ならそこらへんの中堅どこの武将よりは強いから。」

 

茜の心配を葵は笑って吹き飛ばす。そんな城門前の呂虔の部隊は期待を裏切らぬ活躍で、白蓮たちの部隊の攻撃を迎撃していく。気力を振り絞り敵を倒していく白蓮たちであったが、ケガの影響もあり満足な動きが出来ていなかった。

 

「ぐわぁ。」

 

敵の攻撃を受けた関靖が、白蓮が、碧が、楓が敵に囲まれた。残された兵たちも絶望という現実を突きつけられて暗い顔をしている。そんな空気を変えようと白蓮が敵部隊の将・呂虔に向かっていく。白蓮の剣撃を侮蔑な眼差しで見ながら捌いていく呂虔。

 

「ふんっ!」

 

ガキン

 

「うわっ・・・・」

 

呂虔の剣撃を受け止めたものの、手に力が入らず剣は手から離れた。

 

「止めだ!死ねぃ!!!」

 

呂虔は振りかぶり、白蓮に剣撃を繰り出す。

 

(くっ、・・・・ここまでか。・・・・・すまない、北郷殿。)

 

「白蓮様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

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戦場に関靖の叫び声が木魂したその時、呂虔と白蓮の間を裂くように突き刺さったものが。それは青龍偃月刀だった。それを見た白蓮の目の前には、跳躍する馬上に見える愛紗の姿が。馬上から飛び降りた愛紗は呂虔を一蹴して吹き飛ばすと、白蓮のもとへ。

 

「白蓮殿、よくぞご無事で。」

 

その言葉に白蓮は涙を浮かべるも何も言葉に出来なかった。それを見た愛紗は、得物を取って呂虔へと向きなおる。そこには『闘神』と謳われる関雲長の姿があった。

 

「仲間が随分と世話になったようだな。・・・さん。・・・・・・・・許さん、許さんぞ、貴様らぁ!!!!!」

 

そんな愛紗の覇気に気圧された兵たちを呂虔は立て直す。

 

「たった一人増えただけだ、怯むな。あいつは俺が倒す。お前ら俺に続け!」

 

呂虔の檄に兵たちは冷静さを取り戻し、愛紗たちへと向かう。しかし、展開した部隊の端のほうから兵をなぎ倒しながらやってくる影が。それは愛紗と共に先行して戻ってきた鈴々だった。

 

「愛紗一人じゃないのだ。お前らみんなぶっ飛ばしてやるのだ。いっくぞーーーーーー!」

 

戦線の一角を鈴々が崩す中、愛紗は呂虔に向かっていった。呂虔も得物を持って迎撃に入る。互いの得物がぶつかり合う。呂虔は笑みを浮かべ愛紗を見下すような視線を向けていた。

 

「お前のような小娘なんかに俺が倒せると思っているのか?ははははは・・・・・・」

 

呂虔の笑いに愛紗は目を光らせる。

 

「ならば見せてやろう・・・・、仲間を守るための、弱者を救わんとする我が剛撃を。」

 

愛紗は青龍偃月刀を振りぬく。呂虔も斧を振りかざしそれを迎撃する。

 

ガキィィィィィィィィィィン

 

愛紗の一撃は相手の斧を叩き斬り、そのまま呂虔の頸を刎ねた。そして愛紗は高らかと吼える。

 

「敵将・呂虔。北郷が一の家臣、関雲長が討ち取ったりーーーーー!」

 

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後方の部隊の兵たちは暢気に話していた。

 

「なぁ、呂虔様の部隊、まだ城門をおとせないのかな?」

「まぁ、あれだけ攻勢に出てれば直に堕ちるさ。」

 

そんな兵たちのもとへ伝令が走る。

 

「後方より北郷軍の騎馬隊、およそ5千。」

 

その報告に兵たちは慌てる。そしてその視線の先に見えるは『馬』の旗印。

 

「あたしの仲間を傷つけた奴らは、この槍を受けてぶっ飛びやがれ!」

 

兵を蹴散らしながら前進してくる翠に、敵部隊は混乱する。そして、呂虔が討ち取られたことが分かると更に拍車がかかる。北郷軍の増援の急襲の報告はすぐに葵たちにも知らされた。混乱する兵たちに喝を入れる。

 

「お前ら、数では私たちの方がまだ多い。取り乱さずに冷静に処理せよ。」

 

だが、そんな混乱する兵たちに止めを刺す出来事が起こった。不意に聞こえてきたのは・・・・

 

ジャーーーーーーン  ジャーーーーーーーン

 

戦場に鳴り響く銅鑼の音。その音の方を見た曹操軍、そして愛紗たちは目を疑った。そこには『十文字』の旗が掲げられていた。その隣には『任』。愛紗たちが、いや北郷軍が帰りを望んでいた者の姿がそこにはあった。さらにその部隊から突出してくる一騎の馬影。その姿に白蓮と関靖は目を疑った。失ったと思っていた者が目の前にいたからだ。

 

「常山の趙子龍、ここに見参!我が友を、そして慕う者の仲間を救うため参った。いざ!」

 

趙雲は敵軍へ単騎で突入し、敵を蹂躙していく。それを城門まで駆けつけていた朱里が見てすぐに指示をとばす。

 

「みなさん、反撃に出ます。戦える人は二人一組で敵に当たってください。」

 

その指示に「応」と答え兵たちは反撃を開始する。北郷軍の増援部隊に戦線を崩された葵たちは、直ぐに部隊に撤退の指示を飛ばす。

 

「くそっ、こんなはずじゃあ・・・・。雛里の指示は完璧だったはずなのに・・・・・。」

 

そう肩を落とす葵に茜も俯いてはいたが、すっと顔を上げ

 

「とりあえず今回はこちらの負け。許昌へ戻ってこれからの指示を仰がなければ・・・・・。」

「あぁ、華琳様にお仕置きされるよね・・・・。どうしよう・・・・。」

 

葵の言葉に茜も想像したのか顔が青くなりながら撤退していったのだった。こうして、?での防衛戦は北郷軍の勝利で幕を閉じたのだった。

 

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許昌

 

「華琳様、徐州での北郷軍との戦いは春蘭たちが敗れ、徐州奪還されました。また、?への侵攻も北郷軍の増援部隊にやられたらしく、徐晃・趙儼の部隊は敗走して撤退、攻城部隊の呂虔は関羽に討ち取られたそうです。あと未確認の情報ですが、重傷を負っていたと言われていた一刃がその戦いに姿を見せたそうです。」

 

宮殿の入り口での桂花の報告に曹操の表情は曇っていた。さらに

 

「江夏の戦いですが、秋蘭様と流琉ちゃんが奮戦しましたが孫呉の軍勢に敗れ江夏を奪われたそうでしゅ。」

「秋蘭たちは無事なの?」

「はひっ、敗れはしましたがお二人とも無事です。」

「そう・・・・・。」

 

そういうと「ふぅ」、とため息をつく。やはり残っている軍勢は一筋縄ではいかないところばかりだ。北郷、孫権の軍勢は小勢力だからといって侮っていたが、こうも同じ時期に攻めてくるとは・・・・。それを思った瞬間、曹操は北郷と孫呉が同盟を結んだのだと思った。

 

(やられたわね・・・・。確かに孫権ならそのような策に出るのも分かる気がするけど、北郷がそれを呑んだのも意外ね・・・。あそこは何処にも属さずに戦うような姿勢だったはずだから、そんなこと考えもしなかったわ・・。でも、これからの事をもっと考えないといけないわね。劉璋の動きが全く読めないのも不気味だわ・・・・。)

 

「これから軍議を行うわよ。」

 

曹操のその言葉に桂花、雛里は頷き宮殿へと向かおうとした。だが、

 

ザシュッ

 

バタッ

 

 

 

 

桂花と雛里の目に入ったのは矢を受けて倒れた曹操だった。

 

「「華琳様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」」

 

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あとがき

 

飛天の御使い〜第弐拾幕〜読んでくださってありがとうございます。

 

連日W杯の見過ぎでろくに睡眠も取れなくて、尚且つ筆の進みが悪かったせいで、

 

少し時間がかかってしまいました。

 

今回のオリキャラは新撰組の沖田くんです。

 

さらに待望の趙雲こと星の復帰となりました。

 

これにより北郷軍の戦力が再びアップしたことになりますね。

 

さてさて続きを書かねば・・・・。

 

日本対オランダを見ましたが、残念ながら勝てませんでした。

 

岡崎のシュートが決まればなぁと思いましたが・・・・。

 

是非次戦こそ勝って決勝トーナメントに行って欲しいですね。

 

拙い作品でお見苦しい点もあるとは思いますが、

 

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

 

感想やメッセージもお待ちしております。

 

 

 

 

 

説明
恋姫†無双の二次創作です。
北郷軍VS曹操軍2回戦。
前回敗れた北郷軍は曹操軍に勝つことが出来るのか?
北郷軍の負けられない戦いがここにある。
拙い作品ですが、少しでも楽しんでいただけたら
幸いです。
感想やコメントもヨロシクお願いします。
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コメント
スターダストさん この外史は負傷者続出ですね。今後の展開は・・・・。続きをご覧ください。(eni_meel)
負傷者増加!?しかもどっちもその軍のエースとトップってどうなるか気になるww(スターダスト)
はりまえさん 陰謀で傷つく者の多いこの世界ですが、これからどうなっていくのやら・・・・。次回をお楽しみに。(eni_meel)
砂のお城さん 無事に星の復活となりました。覇王の運命やいかに・・・。次回に向けて頑張ります。(eni_meel)
次回楽しみです、一刃につづく魏の覇王も重傷になっていくどうなっていくこの外史!!?(黄昏☆ハリマエ)
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