恋姫小説14〜蒼天賛歌〜主の玉
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注意!!

 

二次創作です、原作のイメージをぶち壊されたくない方は回れ右

 

基本、妄想です

オリキャラでますよ、嫌な方は回れ左

強い一刀君が出ます、嫌な方は回れ右左

誤字脱字多いかも、多めにみてください

時間軸滅茶苦茶です、あと設定も滅茶苦茶ですそれでもいい?

以上がいいならどうぞ先にお進みください

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一刀の帰還、虎牢関に居る仲間たちは大いに喜ぶと共に

一刀の口から出た作戦に驚愕する

 

 

 

霞「虎牢関を放棄する!?」

 

一刀「うん、相手は何十倍もの兵力だし、悪戯に兵を消費するだけだしね」

 

水面「ですが、篭城の有利を捨てる事になりますよ?」

 

一刀「兵数が同数なら有利だろうね、だけど、兵数での有利は俺たちに無い」

 

音々音「ですが・・・」

 

一刀「水関での戦いで減った兵は僅か数百、此方にはまだ水関と虎牢関の兵を合わせて五万

この兵を無駄にせず尚且つ、時間を稼げばいいんだろう?」

 

雷轟「・・・・・・」

 

一刀「なら、虎牢関を捨て洛陽までの道中に色々仕掛けるんだ」

 

 

ニヤリと一刀が笑う

 

 

美冬「色々とは?」

 

一刀「大軍団に無くて、俺たちに有るものは?」

 

楓「なんだそりゃ?謎かけか?」

 

霞「んー・・・速度かいな?」

 

一刀「正解、俺たちは統一された目的と志が有る、だけど相手は一時的な連合

行軍速度もバラバラ、協力するにも私欲が真っ先に動く、其処を突く」

 

葵「それで、その策とは?」

 

一刀「葵!もう起きても大丈夫なのか?」

 

葵「あぁ、一刀の一撃は効いたよ・・・それで、なにかあるんだろう策が」

 

一刀「俺は一度連中に捕まってるからね、相手の情報を色々仕入れてきた、まず輜重隊が圧倒的に多い、まぁ当然だけど

さらに騎馬を有する諸侯もこれまた多い、この場合歩兵がお荷物になるんだけど、一定の状況下では騎馬が荷物になる事をしらない」

 

楓「あれか?地面がでこぼこしてるとか、泥濘になってるとか・・・」

 

一刀「正解!そう、そこを利用する」

 

音々音「しかし、どうやって?雨でも降らすのですか?」

 

一刀「んー、雨乞いは出来ないんだよね俺、まず防馬柵を敷き詰める、後は輜重隊の車輪に合わせて溝を掘る、

そんで適当な大きさの岩を道筋に並べばいいんだ」

 

水面「防馬柵の意味は分かりますけど、岩?」

 

一刀「防馬柵は簡単に壊される、けど岩はそうはいかない、片付けるにしても時間がかかる、さらに歩兵を疲弊させることも出来る」

 

雷轟「ならばすぐにでも」

 

一刀「うん、とりあえず俺と雷轟が殿で今言った妨害を実行する、それ以外の皆は先に洛陽に行って迎撃の準備を頼む」

 

音々音「大丈夫でしょうか・・・」

 

一刀「俺たちの目的は決戦までの準備期間の確保、ならこれが一番有効だよ」

 

恋「ねね、一刀を信じる」

 

音々音「恋殿がおっしゃるなら・・・」

 

一刀「では行動開始」

 

「「「「「応!」」」」」

 

 

 

雷轟「一刀様、親衛隊の準備完了しました」

 

一刀「ありがとう、うちの親衛隊は色々やってきたからなぁ」

 

雷轟「そうですね、治水、建設、解体、開墾、だからこそ、この策を思いついたのでしょう?」

 

一刀「まあね、さて色々と準備しますか」

 

雷轟「御意」

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その頃、連合軍本陣

 

 

冥琳「これは、なんとも・・・」

 

穏「あっ、冥琳様」

 

冥琳「穏、状況は?」

 

穏「輜重隊の車輪を悉くはずされてますねぇ」

 

冥琳「北郷・・・時間稼ぎのつもりか」

 

穏「そうでしょうねー、やられると以外にききますねーこれ」

 

冥琳「他の諸侯も同じ状態だ、兵糧の荷は解かれバラバラにされている」

 

穏「これは警戒したほうが良さそうですね」

 

冥琳「そうだな、これで終わるとは思わん」

 

「冥琳様、穏様!」

 

冥琳「亞莎かどうした?」

 

「それが、斥候が関の向こうの様子を報告してきたのですが」

 

冥琳「ふむ・・・それで?」

 

「道にはかなり幅の広い溝の様なものが、それと防馬柵が幾つも」

 

冥琳「なるほどな、かなりの切れ者か・・・」

 

「あの?冥琳様?」

 

冥琳「中々に面白い策を考えるな、工作隊の編成をしろ。そうだな、かなり熟練の者がいい」

 

「は、はい!」

 

冥琳「穏、使える木材は惜しみなく使え、出来るだけ再度使えるようにしてくれれば助かる」

 

穏「は〜い」

 

冥琳「北郷か・・・」

 

 

 

 

夏侯淵「報告は以上です」

 

曹操「そう、荷車の改良も必要ね」

 

夏侯淵「予想以上に足止めを食らうかもしれません、連携の取れてない諸侯、騎馬での移動が不可能なほどに道は障害物だらけ

いかが致しましょう華琳様」

 

曹操「やはり、北郷がほしいわね」

 

夏侯淵「はっ?」

 

曹操「元々水関、虎牢関での戦いは時間稼ぎのため、しかしそこで無駄に兵を減らせば、後に控える決戦の兵数が少なくなる

ならどうするか、関に拘らなければいい」

 

夏侯淵「しかし、篭城の利を捨てる事に」

 

曹操「この兵力差で篭城に利も無い、なら相手の嫌がることを徹底的にやればいい。だけどこの判断が出来ない。

堅牢で有名な関を捨てる事によって兵の士気にどれだけ影響があるか解らないんだもの。」

 

夏侯淵「なるほど・・・」

 

曹操「さらに此方にも想像以上の被害がでる、まずは兵糧、遅々として進まぬ作業に兵糧が持つか。

兵の士気も下がる、長すぎる行軍、終わらぬ作業、疲弊するのも頷ける。

それに対し相手は悠々と行軍し、本城に入り着々と決戦に向けて準備が出来る。

駄目押しに北郷の持つ連合の詳細な陣容、これだけでも相手は数万単位の兵を得たも同然。

両側を崖に挟まれたこの地形を最大限に利用し、尚且つ此方の痛いところを付いてくる、いい策だわ」

 

夏侯淵「かなり御気に召しているようですね、北郷の事が」

 

曹操「ふふ、それはもう。戦場では戦神、策を考えさせれば鬼算。これほど有能な者、欲してしまうのは当たり前でしょう?

この曹猛徳、覇道に有するものは例え神でさえ使ってみせる。天の御使いも同様にね」

 

夏侯淵「すばらしいお考えです華琳様」

 

曹操「工作隊を編成なさい、新兵も参加させるように良い訓練になるでしょう」

 

夏侯淵「御意」

 

曹操「北郷一刀、貴方を必ず私の元に」

 

 

 

 

愛紗「桃香様、我らが先陣を行けと」

 

桃香「えぇ〜!!私たちがぁ!?いいの!?」

 

星「仕方あるまい、我らの軍のみ被害が一番少ない」

 

朱里「そして、一番兵が少ないため、率先して作業が回ってくるでしょうね」

 

鈴々「にゃー?なんで?一番多い所がやれば早いんじゃないの?」

 

雛里「他の諸侯の皆さんは一兵でも疲れる兵を少なくしたいと思ってるはず、

なら戦線に出しても特に意味を持たない私たちを使うのは当然の事だよ」

 

鈴々「鈴々ちゃんと戦うもん!」

 

愛紗「我らが強くとも兵の数が勝敗を決める。悔しいが耐えろ鈴々」

 

鈴々「う〜・・・」

 

朱里「とにかく、これは良い機会です。一刀さんの策を学べます、後々の為に」

 

桃香「とにかく、うじうじしても始まらないね!元気が一番だよ!」

 

星「はははっ、我らはこうでなくてはな」

 

愛紗「では桃香様、兵の準備をしてまいります。朱里、雛里意見を頼みたい」

 

朱里「はい!」

 

雛里「わかりました!」

 

 

 

 

 

一刀「はっっクシュン!!」

 

雷轟「一刀様?風邪ですか?」

 

一刀「違うと思う・・・」

 

雷轟「誰かが噂しているのでしょうか?」

 

一刀「そうかもね・・・ズズッ・・・」

 

「一刀様・・・」

 

 

ヌゥと影から出てくる様に従者が立つ

 

 

一刀「お疲れ、首尾は」

 

「大方終わりました、行軍の速度を上げ本体と合流してください」

 

一刀「嫌だ、君達を置いていきたくない」

 

「どうかお聞き入れを・・・」

 

一刀「い・や・だ!」

 

「・・・・」

 

雷轟「案ずるな、私がお守りする」

 

「巌創殿・・・解りました、一刀様どうか御身を第一に・・・御免」

 

 

スゥと影に消える様に立ち去る

 

 

雷轟「一刀様、あまり皆を心配させないでください」

 

一刀「俺がこういうのだって知ってるだろ?俺が一番嫌うのも」

 

雷轟「・・・・・・」

 

一刀「雷轟?」

 

 

ふと、雷轟に影がさす

なにか考えているのかよくは解らない

 

 

雷轟「ふぅ・・・困ったお人だ・・・」

 

一刀「雷轟・・・?」

 

雷轟「さて、参りましょう一刀様」

 

一刀「あ、あぁ」

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数時間後、連合では既に不満が出始めていた

 

 

袁紹「遅い!!遅すぎですわ!!」

 

袁術「退屈じゃ!!退屈じゃ!!」

 

紅蓮(ちっ・・・まただよ・・・)

 

曹操(はぁ・・・)

 

袁紹「ちょっと華琳さん!どうなっていますの!!」

 

袁術「紅蓮!!まだ終わらぬのかえ!!」

 

紅蓮「これでも全力だよ!!グダグダ言う前に手目ェの部隊も投入しろ!!」

 

曹操「私に言われてもねぇ・・・自分の目で見てきたら?うるさいその口がもっとうるさくなるんでしょうけど」

 

袁術「なぜ、妾の部隊がそのような事せにゃならんのじゃ」

 

袁紹「大方華琳さんの貧弱な兵がじゃましているのですわ!そうに決まってますわ!!」

 

紅蓮「(♯^ω^)ギリビキ」

 

曹操「(イラ☆)」

 

桃香「あはは・・・はぁ・・・」

 

 

〜工作地帯〜

 

星「愛紗、首尾はどうだ?」

 

愛紗「どうもこうも、各々の隊が邪魔しあっている。遅々として進まん」

 

星「やれやれ、ん?一隊少ない気が」

 

愛紗「先行して物見をすると言っていたが・・・遅いな・・・」

 

星「ばかな・・・一刀殿を舐めているのか?」

 

愛紗「どうなったかはもう少しで解る、此処を抜ければ・・・!?」

 

星「これは・・・」

 

 

目の前に広がるのは、血の海

あるものは落とし穴に、あるものはブービートラップに

死屍累々、凄惨な光景だった

 

 

愛紗「気をつけねばな・・・」

 

星「そうだな・・・」

 

 

〜洛陽より数里先〜

 

霞「・・・・来た!」

 

恋「!」

 

楓「本当か!」

 

美冬「よかった・・・」

 

水面「ご主人さまーーー!!」

 

葵「早いな・・・工作しつつこの行軍速度・・・」

 

音々音「アイツの兵は皆化け物ですか・・・」

 

楓「当たり前だろ!!御館が直々に鍛えたんだぜ!」

 

音々音「あー・・・納得・・・できねぇです。」

 

 

悠々と天登に乗り、合流する

 

 

一刀「ただいま、色々仕掛けたからだいぶ時間が稼げるよ」

 

霞「どんくらい?」

 

一刀「んー・・・早くて一日、うまく行けば数日かな」

 

霞「そんなもんか」

 

一刀「そのうち、吹っ切れるよ。無理やり通ろうとすると思う」

 

音々音「それなら早く、詠や月に連絡せねば!」

 

 

ピョンピョンと腕を大きくふりかぶって音々音が言う

 

 

一刀「そうだね、斥候は俺の隊から出そう」

 

 

その頭をグリグリと撫でる

 

 

音々音「うにゅ!撫でるなです!!」

 

一刀「いいじゃないか、ウリウリ」

 

音々音「うにゅー!!」

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〜洛陽〜

 

 

詠「よく帰ってきたわ、一刀」

 

一刀「ただいま、詠」

 

 

そっと片膝をつき、背に身に着けた外套がふわりと優雅に舞う

 

 

詠「もう、そんなに畏まらないで」

 

一刀「一応ね、雇い主だからね」

 

詠「いいってば、それより虎牢関を捨てたって聞いたけど・・・」

 

一刀「あぁ、色々と仕掛けてきた。勝手な事した、責任は全部俺にね」

 

詠「・・・・、貴方の考えを聞かせて。それから決める」

 

一刀「解った」

 

 

〜説明中〜

 

 

詠「なるほど、やられる側としてはキツイわね」

 

一刀「だろう?この策の中核になる部分は俺の部隊にまかせて」

 

詠「いいえ、私たちの隊も連れて行って土地勘がある者がいた方がいいでしょう?」

 

一刀「助かるよ・・・!・・・」

 

詠「一刀?」

 

一刀「詠・・・十常侍は?」

 

詠「っ!?・・・・霞が」

 

一刀「そう・・・」

 

詠「どうしたの?」

 

一刀「いや、なんでもない・・・部隊の編成をしてくるよ」

 

詠「えぇ、お願いね」

 

一刀(嫌な予感がする・・・)

 

 

 

 

雷轟「一刀様」

 

一刀「雷轟、どうしたの?」

 

雷轟「いえ、一刀様は敵陣から単騎でお逃げになさった。疲れがたまっていると思いまして」

 

一刀「ははっ、大丈夫だよ。俺は丈夫だから」

 

雷轟「体は大丈夫でも、心はどうですか」

 

一刀「っ!」

 

雷轟「私は貴方の家臣です。貴方の癖はある程度心得ております」

 

一刀「・・・・・・」

 

雷轟「気にするな、と言わせていただきましょうか」

 

一刀「え?」

 

雷轟「戦場で死んだ兵たちの事を、忘れるのではなく。気にするな」

 

一刀「でも・・・」

 

雷轟「貴方は優しい、そして嘘が上手い」

 

一刀「嘘なんて・・・」

 

雷轟「甘く見ないでいただきたい、貴方が自分自身に嘘をついてる事くらい解り切っています」

 

一刀「そんな事無いって!雷轟なんか変だよ?準備しなきゃ、ね?」

 

雷轟「巫山戯けるな!!!北郷一刀!!!」

 

一刀「!」

 

雷轟「昨日、今日で戦事を知ったつもりか?甘ったれるなよ!!」

 

一刀「らい・・・ごう・・・」

 

雷轟「全てを背負って戦えると思えるのか!それが自分になら出来ると思っているのか!

巫山戯るのも大概にしろ!!」

 

一刀「っ!お前に・・・お前に何が解る!!俺のなにが・・」

 

雷轟「お前みたいに何も言わなければ、解るはずが無いだろう!!!」

 

一刀「!?」

 

雷轟「仲間だ家臣だと言っているのなら、もっと頼れ!!俺はお前の収集品では無いぞ!!!」

 

一刀「そんな事・・・」

 

雷轟「水面も、美冬も、楓も、頼るべき相手は居るだろう!なぜ頼らない!なぜ一人で抱え込む!

俺たちはそんなに頼りないか!何かを任せるには力不足か!」

 

一刀「そんな事があるはず無い!」

 

雷轟「ならどうして頼らない!!」

 

一刀「っ!何も知らないくせに・・・俺の・・・なにが・・・解るんだ!!!」

 

 

駆け出す、一目散に、脱兎の如く

 

 

雷轟「・・・・・・・・」

 

水面「雷轟さん・・・」

 

雷轟「水面か・・・」

 

水面「ご主人様は」

 

雷轟「大丈夫、あの方は強いよ」

 

水面「はい・・・」

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一刀「はぁ!はぁ!」

 

 

息が切れる、足が緩やかに歩を進める

 

 

一刀「くそっ!子供か・・・俺は・・・」

 

 

雷轟の放った言葉が巡る

 

 

一刀「失敗は許されない・・・絶対に・・・」

 

 

既に幾人もの命が散っている、失敗なぞ許されない

重い、おもい、オモイ

重圧、プレッシャー呼びかたは、なんでも良い

意識すれば、息すら忘れてしまう。

北郷一刀が初めて、『童貞』を失ったのは、桂花を救う時だ

その日、『童貞』を失った、つまり人を『殺した』。

己が傷つくのは慣れている、体に付いた傷跡はその証拠

師が言うには、一刀は『優しすぎる』らしい。

それは、長所であり短所、裏であり表。

片方を使えば、もう片方も付いて来る。

それは呪いの様に、祝いの様に

一刀を蝕む。

病の様に、祝福の様に

 

 

一刀「滑稽だな・・・何が戦神だ・・・何が鬼神だ・・・俺は・・・唯の」

 

 

―――唯の臆病者だ

 

一刀は『優しい』

助けを求めるものに、手を差し伸べてしまう。

一刀は『優しい』

牙を剥くものに、安らかな死を与える。

一刀は『優しい』

全てを、小さな両手で抱きこもうとする、死も生も

一刀は『優しい』

どんな理由であれ、知った者が傷つく事を嫌う

一刀は『優しい』

たとえ、それが憎むべき相手であっても

 

 

一刀「ははっ・・・」

 

 

乾いた笑い

カラカラの咽からの、SOS

震える、怖い

血が引いていくのが解る、あぁこの感じは似ている

修行の中、腹を一文字に切り裂かれた時と同じ

じわじわと熱が消えていく、耳元がチリチリとひり付く

ゆっくりと、ゆっくりと、命が消えていく

 

 

一刀「っ・・・・!」

 

 

揺れる、ゆれる、ユレル

揺らぐ、ゆらぐ、ユラグ

大地が支えてくれない、いや支えてないのは自分の足か

思い出す、初めて『殺した』日の事を

眠れなかった、自分に言い聞かせた言葉は、夜の闇に吸い取られた

自分の体温で温まっているはずの布団が、まるで氷の様な

逃げれば良かったのだ、この世界に来て無理に戦わなくても良かったのだ

グルグルとネガティブな感情が頭を巡る

 

 

一刀「自分でも思う・・・本当に馬鹿だ」

 

 

一刀は『優しい』

全てを包み込もうとする、背負おうとする

小さな体で、小さな両腕で

その自重に潰されそうになりながらも

一つ、また一つと、背負い込む

一歩でも歩を進めば、足がへし折れると知っていても

一つとして、落とさぬように、こぼれぬように

ゆっくりと、ゆっくりと、傷つきながら歩いていく

もし、何かの事故で落としてしまったら

一刀は酷く、酷く傷つく

深く、深く心の深淵まで届く

 

 

一刀「フッ・・フッ・・・」

 

 

なんて、脆い

なんて、醜い

なんて、弱い

 

 

一刀「っ・・・・・・ぁぁ・・・・」

 

 

騙し騙しの結果

自分を許せなかった結果

 

 

一刀「つら・・・」

 

 

言葉に出せば終わりだ

もう、踊れない

 

 

一刀「つら・・・ぃ」

 

「一刀さん?」

 

一刀「!?」

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顔を上げれば、心配そうに覗き込む月

どうやら、此処は庭のようだ

いたる所に花が咲き、木々が青々と茂っている

 

 

月「どうかなさったのですか?顔色が優れませんが・・・」

 

一刀「何でもないよ、何でも・・・」

 

 

精一杯の笑顔

しかし月の表情は変わらない

 

 

月「そうは見えません、失礼しますね」

 

一刀「あっ」

 

 

月の小さな掌が額にそっと触れる

ヌルイ空気が清流に流される様な感覚

 

 

月「熱は無いようですね・・・一刀さん?」

 

一刀「ごめん月、もう少し・・・このままで・・・」

 

月「・・・・はい」

 

 

何も聞かず、額に手を当ててくれる

 

 

一刀「独り言いってもいい?」

 

月「はい、大丈夫ですよ。」

 

一刀「ツライよ、怖いよ、苦しいよ、逃げたいよ・・・」

 

 

単語の羅列、端から聞けば何のことやら

それでも、優しい笑みを称えたまま月は聞いてくれる

 

 

一刀「でも、嫌だ。逃げたくない!守りたい!俺は強くならなきゃいけないんだ!

皆を!全てを!守りたい!!もう・・・嫌なんだ・・・っ!誰かが傷つくのは!見たくないんだ!」

 

月「はい」

 

 

ボロボロと涙が出る

止まらない、女の子が居るのに、守るべき女の子なのに

 

 

一刀「守りたい!!皆を!水面を!雷轟を!美冬を!楓を!恋を!音々を!葵を!霞を!詠を!そして君を!」

 

 

ぎゅっと月の手を握る

 

 

一刀「っ・・・ぅぁ!」

 

月「・・・・・」

 

 

赤子をあやす様に、頭を撫ぜてくれる

涙が止まらない

 

 

月「落ち着きました?」

 

一刀「うん・・・ありがとう」

 

月「じゃあ、こんどは私が独り言をいいますね」

 

一刀「うん」

 

月「私には力がありません、一刀さんや雷轟さん、楓ちゃんみたいな

それに、水面ちゃんみたいに軍略を持っている訳でもありません

美冬ちゃんのように医学の知識も」

 

一刀「・・・・・・」

 

 

この世界で、力を持たぬものは搾取されるだけだ

権力があろうとも、迫り来る陰謀に打ち勝つ力が無ければ

だたいいように利用される。

この少女は、一刀が考えるよりも辛い経験をしてきたのだろう

 

 

月「私にできる事は、限られています。

民の皆さんが苦しくないように、楽しく生きられるように

そう願いながら、政をする。それしか出来ないから」

 

 

寂しそうに笑う

 

 

月「でもそれでいいんです。他に私ができる事は無いですから。

でも、それでも重圧に潰されそうになる時があるんです」

 

 

その小さな双肩に、何十万の命と生活が圧し掛かっている

一刀の荷物のように、背負い込めるものではない

しかし、少女は言う

 

 

月「私も、自分を信じてきた民の皆さんを全員救いたいです

でも、私では押し潰されてしまいます。だから私は皆に持ってもらうんです」

 

一刀「・・・」

 

月「私一人じゃ、持てないものですから。詠ちゃんや恋ちゃん、音々ちゃん、霞さん、葵さんに

分け合って、分かち合って、持ってもらうんです。

そうする事で私は、君主董卓になれるんです」

 

 

強い、この子は強い

 

 

一刀「怖くないの?自分の選択で仲間が死ぬかもしれないのに」

 

月「怖いですよ、でも・・・信じてますから」

 

一刀「!」

 

 

言葉がでない、本当に、自分が小さく見える

なんて大きい、この子はこの乱世を生き抜いてきた

 

英雄だ

 

 

一刀「・・・ありがとう、月」

 

月「いいえ、私は独り言を言ったんですよ」

 

一刀「それでも、ありがとう」

 

月「はい」

 

一刀「行って来る」

 

 

信頼とは、簡単そうで難しい

他人を信じる、自分のテリトリーを侵させる

これほど怖いものは無い

信頼とは、難しい

信じた相手が裏切ってしまったら、その痛みは信頼と比例して大きくなる

信頼とは、難しい

信じた相手が死んでしまったら、その悲しみは信頼と比例して大きくなる

怒りも、悲しみも、痛みも、喜びも

だから人は心のどこかで、完全に信頼しない

それも良いだろう

だが、真に人を信頼しない者に、忠誠は付いてこない

 

 

一刀「雷轟!」

 

雷轟「はっ!」

 

 

だから

 

 

一刀「此度の作戦の肝、お前に任せるぞ!!」

 

 

恐怖を抑えて

 

 

雷轟「はっ!この雷轟命に代えましても!!」

 

 

伝えよう

 

 

一刀「信頼してる、お前なら出来ると」

 

雷轟「ありがたきお言葉!!身に余る光栄でございます!!」

 

一刀「水面!」

 

水面「はい!」

 

一刀「詠と共に、軍備の最終調整を!」

 

水面「はい!」

 

 

恐れるな

 

 

一刀「美冬!楓!」

 

「「はっ!」」

 

一刀「篭城戦に備え、兵糧、薬の準備を」

 

「「御意!」」

 

 

痛みも、怒りも、悲しみも

自分が『優しい』のなら

全てを包み込めばいい

 

 

一刀「皆、信頼してる!頼りにするよ!」

 

 

慣れない事なら少しずつ慣れていけばいい

少しずつ持っている荷物を持ってもらおう

だから、自分も持とう、皆の荷物を

 

 

少し軽くなった体が心地いい

時間は少ない

早く、それでいて確実に

歩を進めよう

 

決戦が始まる

-8ページ-

 

なんかやたら長くなったなぁ・・・

本当はここら辺で洛陽終わってるのになぁ

 

色々書き足してもうて、やってもうたなぁ

 

だが私は謝らない

 

                ウェ!?>(OwO;)

説明
14作目です

生暖かい目でみてくだしあ
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コメント
一刀の決意・・・こんな風に覚悟を決めることができるのは一刀だけだろうな・・・(ミドラ)
あと一歩、あと半歩。時としてたったコレだけの距離が無限の彼方にあるかのごとき錯覚におちいったりしますからね。でもそれに踏み込んだ一刀はきっと成長できることでしょうね^^b(深緑)
アラトリ様 jackry様 鉄男様 アンダラ!ダリナンタイッタイ!゙〉(`0w0´♯)(夢幻トマト風呂)
ryu様 ありがとうございます!!(夢幻トマト風呂)
haruakihito様 ありがとうございます!がんまります!(夢幻トマト風呂)
悠なるかな様 期待してください、でも期待しすぎるのもだめですよ^^;(夢幻トマト風呂)
nameneko様 はい!がんばります!(夢幻トマト風呂)
はりまえ様 ありがとうございます^^(夢幻トマト風呂)
(OwO)ウェェェェェイ!!(鉄男)
( 0w0)ウェェェェェェェイ!! (アラトリ)
更新お疲れ様です。人としての弱さを持ちながらみんなをやさしさで包む一刀君、かっこいい!続きを楽しみにしております。(ryu)
待ってました!!予想通り面白かったです。次も頑張ってください(haruakihito)
成長した一刀君に期待です(悠なるかな)
一刀乗り切ったな。頑張ってください(VVV計画の被験者)
ま、頑張ってとしか言えない。自分勝手で理不尽だけど・・・・・・(黄昏☆ハリマエ)
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