恋姫†無双 『蒼天已死 黄天當立』 壱拾壱
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    張遼`s 視点

 

 

 

「はぁ〜」

 

アカン。

 

また、ため息をついてしもた。

 

城壁の上やから見張りの兵以外は来んとは思うけど今の姿は誰にも見られとおない。

 

情けなさ過ぎるで・・・。

 

「あいつに怒鳴ってもしゃあないとは分かってるんやけどな」

 

ウチは確かに黄巾党のやつらにキレとる。

 

黄巾党のせいでぎょうさんの人が傷ついてるんやからな。

 

ウチも部下もやけど村のやつらのこともや。

 

絶対に頭の張角達を許さへんと心に誓った。

 

でも、実際のとこ、張角達はただの少女でしかもあいつらまで被害者らしい。

 

最初はてきとおなウソばっかり並べとると思おた。

 

その時は一気に怒りが爆発した。

 

こんな巫山戯たことを言う奴にウチの部下が民が傷つけられたと考えたら頭はもう、怒りでいっぱいやった。

 

でもな、張梁の眼を見たときに怒りの的を失ってしまったんや。

 

張梁の眼は真っ直ぐで人を騙してるような眼ではなかった。

 

それを見た途端にウチは“張梁は悪いやつやない”と理解した。

 

理解はしたが行き場の無い怒りはそれだけやったら収まらんのや。

 

張梁のことを張梁やなくて黄巾党の頭としてキレた。

 

あいつらが望まなかったのかもしれんけどこればっかりはどうしようもない。

 

頭が理解できても心は納得せぇへんのや。

 

「はぁ〜」

 

次に張梁と会ったときは普通に対応できると思う。

 

あの時は感情が昂ぶりすぎてどうにもできへんかったけど今は落ち着いて心も整理しとる。

 

―――いや、心は整理できてへんな。

 

あんなに真っ直ぐな眼のやつが黄巾党の頭なやんて・・・・・・

 

怒りのぶつける場所がないやないか。

 

ああ、もう!!

 

こんな時は酒やっ!!

 

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   人和`s 視点

 

 

 

まさか、あそこまで感情をぶつけられるとは思わなかった。

 

ある程度の怒りは覚悟していた。

 

そう、怒りだけなら。

 

あの女性は怒りだけでなく悲しみもぶつけてきた。

 

大切な人を奪われた悲しみ。

 

力のない者が傷ついた悲しみ。

 

その想いは私には重かった。

 

“ただ、歌が歌いたいだけ”なんて甘いことが通用するわけがなかった。

 

みんなが必死なのだ。

 

平和になることに。

 

親しい人たちを守ることに。

 

私たちはそんな人たちにとって邪魔ではないのだろうか?

 

私たちのせいで悲しみが増える。

 

私たちのせいで多くの命が減る。

 

私たちのせいで―――

 

「人和っ!」

 

ビクッ

 

目の前には一刀さんの顔があった。

 

一刀さんの眼は真っ直ぐに私を見ていた。

 

そこには迷いも濁りもなかった。

 

綺麗な瞳だ。

 

私には眩しすぎる瞳。

 

ダメ、見ないで。

 

そんな真っ直ぐな眼で私を見ないでっ!!

 

私は・・・私は・・・

 

「・・・あ、うあぁぁぁぁあああ」

 

気づけば涙を流していた。

 

人目を気にすることなく泣いていた。

 

一刀さんはそんな私を隠すように抱いてくれていた。

 

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「落ち着いたかい?」

 

一刀さんの温かい手が私を撫でてくれていた。

 

私にはそんな資格はないのに。

 

「一刀さん・・・私は・・・・・・ぐすっ・・・ただ・・・・・・歌いたかった・・・・・・だけどっ・・・ぐすっ・・・無理だったっ!・・・・・・私たちは・・・邪魔で・・・ぐすっ・・・・・・誰かを傷つけてっ!・・・・・・そんな私に・・・ぐすっ・・・こんなこと・・・・・・してもらう・・・資格なんてっ―――」

 

私がそこまで言うと一刀さんはさっきよりも優しく私を撫でる。

 

「どうして・・・ぐすっ・・・・・・そんなに・・・優しいの」

 

気づけば一刀さんに本音を話していた。

 

姉さん達にも話したことのない今まで一人で抱え込んでいたものを。

 

「ずっと・・・・・・三人だけで・・・ぐすっ・・・・・・誰も・・・助けて・・・・・・くれなくてっ・・・ぐすっ・・・・・・姉さん達は・・・・・・ドジだから・・・・・・私が・・・ぐすっ・・・しっかりしないと・・・・・・いけなくてっ」

 

私が話している間も一刀さんはずっと頭を撫でてくれていた。

 

「寂しくてっ・・・辛くてっ・・・・・・ぐすっ・・・でも・・・・・・逃げたら・・・ダメで・・・ぐすっ・・・・・・私が・・・逃げたら・・・・・・姉さん達は・・・ぐすっ・・・怖かったっ・・・・・・姉さん達を・・・失うのもっ・・・ぐすっ・・・・・・独りなのもっ・・・でも・・・・・・どうしようも・・・ぐすっ・・・なくてっ」

 

言葉の意味は繋がってないかもしれない。

 

でも、想いが溢れる。

 

「人和はどうして欲しい?」

 

一刀さんの優しい声。

 

「たす・・・けて・・・・・ぐすっ・・・・・・助けてっ!・・・独りにしないでっ・・・・・・ぐすっ・・・姉さん達を・・・・・・私たちを・・・守ってっ!!」

 

「分かった。俺はどんなことがあっても君たちを全てから守り抜く!」

 

一刀さんは私と向き合い宣言する。

 

瞳は力強く、どこまでも真っ直ぐに私の眼を見ていた。

 

「がんばったね、人和」

 

誰からも言われたことがなかった。

 

一刀は笑顔で私の頭を撫でる。

 

私はそこで限界だった。

 

意識が途絶える。

 

最後に感じたのは一刀さんの暖かさだった。

 

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一刀は意識を失った人和を抱えて近くの宿に向かった。

 

この状態で連れてきた黄巾党の者達の所に戻るのは躊躇われた。

 

人和はかなり疲れている様子だったので出来るだけぐっすりと眠れる場所を、と一刀は思ったのだ。

 

「一部屋しか空いてないのか」

 

一刀は人和と2人きりの部屋というのに抵抗を覚えたが早く人和を横にしてやりたかったのでここに決める。

 

部屋には一刀の予想通りに一つの寝台しかなかった。

 

一刀は部屋を見渡す。

 

が、他に寝れるようなものは無かった。

 

とりあえず、人和を寝台に横にする。

 

そこからどうするかゆっくり考えようと一刀が椅子に向かうが服を引っ張る感覚に立ち止まる。

 

感覚がする方に一刀が目を向けると、人和が一刀の服を掴んだまま寝ていた。

 

一刀は少し引っ張ってみるが人和がしっかりと握っていた。

 

「はぁ」

 

一刀は諦めて寝台に腰掛ける。

 

ふと一刀が人和の寝顔を見ると幼い子供のように安らかな表情で寝ていた。

 

「全く、俺だって男なんだからこんなに無防備だと襲われても知らないぞ。いや、俺を男として見てないのか?」

 

一刀は人和の安らかな表情を見て微笑んでいた。

 

優しい表情。

 

まるで母親が子供を見るような表情。

 

「絶対に守るから。どんな犠牲を払ったとしても。」

 

一刀は強い覚悟を瞳に宿していた。

 

そして、一刀自身も眠りについた。

 

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『懺悔室』

 

今回も短いですかね…orz

 

関西弁は難しいです。

 

違和感等ありましたら報告を願います。

 

キャラの心情を書き表すのがここまで難しいとは……

 

思ってることの万分の一でも伝わったなら幸いです。

 

それと、キャラの心情を今後()で表したいと思います。

 

 

それではここまで読んで下さった皆様に多大なる感謝を!!

 

説明
張遼の関西弁に違和感があったら報告ください。

テスト前日ですが敢えて投稿です!

べ、別にテストを諦めた訳じゃないんだからねっ!!!

では、どぞ↓
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コメント
hokuhinさん クールなキャラが感情を思いっきり出すのが好きでしてwそう、評価して頂けると嬉しい限りです!(イタズラ小僧)
森羅さん どういたしまして d(^ω^)(イタズラ小僧)
人和が感情をあんなに爆発したSSは、読んだことがなかったけど良かったです。(hokuhin)
GJ!! d(^ω^)(森羅)
zanettaさん そう言ってもらえるとすごく嬉しいです!心情を言葉にするのは難しいですががんばっていきます。(イタズラ小僧)
いえいえ、本編では決して描かれなかった苦悩が、よくわかります! 頑張ってください!(zanetta)
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恋姫†無双 黄巾党 蒼天已死 一刀  人和 

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