真・恋姫+無双 曹家の龍
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 『再会』

 華琳SIDE

 今日の私は春蘭と秋蘭を連れて町の視察に行く予定だ。陳留の刺使として町の様子を見るのも私の覇業のためには必要な事だから。

 しかし昨日見た夢がまだ気になっている。

 「華琳様。どうかなさいましたか?」

 「な、なにもないわ。しかし、この町も大分賑わって来たわね」

 「はい。これも華琳様の政治のおかげです」

 「ならいいのだけど。それよりもお腹がすいたわ。春蘭、この辺でいいお店知らないかしら?」

 「はい!でしたらあちらのお店なんかどうでしょう」

 春蘭の案内で私達は懐かしい飲食店に来た。

 「ここは・・・」

 「知りませんでしたか?昔からあるお店で、ここの炒飯が絶品なんですよ」

 「・・・そう」

 知らないはずが無い。この店は兄さんが初めて私を連れてきてくれたお店。私は少し戸惑いながらもお店の中に入った。

 そこは今も昔と変わらず客で賑わっていた。

 「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」

 「三名だが、席は空いているか?」

 「はい。こちらの席へどうぞ」

 店の店員に案内されて私達は席に付いた。

横にはすでに客がいて別の店員に注文をしていた。

 「俺は炒飯と拉?」

 「私は、棒々鶏で」

 「おじさんは、拉?メンマ抜きで」

 「わかりました。少々お待ちください」

 店員は厨房に注文を受けた料理の名前を言っていった。

 「花蘭は相変わらずメンマが嫌いですね」

 「当然でしょう。あんな茶色くてコリコリしたもの食べられないでしょう」

 「そうですか」

 二人が楽しそうに話しこみ男は何も言わずただお茶をすすっていた。

 「華琳様」

 「!? なにかしら?秋蘭」

 「そろそろ注文をしても宜しいでしょうか?」

 「そうね。私は炒飯を頂こうかしら」

 「私も炒飯で、もちろん大盛で」

 「それなら、私も炒飯をもらおうか」

 「わかりました」

 店員は厨房へと向った。私はどうしてか横の三人組が気になり盗み聞きをしてしまう。

 「それで、これからどうしましょうか?」

 「どうしようかね〜。ねぇか「おい、兄ちゃん。いい女連れているな」・・・」

 「俺達にもそこの女達と遊ばしてくれよ」

 「・・・」

 男共が男に喧嘩を売ってきたのに男は微動だにしない。それとも脅えて声も出無いのだろうか。それよりも私の町でよくもこんな事を、私が春蘭に命令しようとしたとたんに

 ドカン!!

 「!?」

 「はぁ〜〜〜。お前達のような奴がいるから今の世の中は荒れまくっているんだな」

 「き、貴様。よくもアニキを」

 「なんだ。喧嘩を売ってきたのはそっちだろう。人の女に手出しやがって、威張るんじゃねぇ!!」

 「くぅ〜〜〜。皆、今からアニキの敵を取るぞ」

 「「「「オォォォ!!」」」」」

 扉付近で延びている男を背に子分たちが剣を抜く。二人に女性が立ち上がろうとした時、男が二人の前に立ちそれを止めさせた。

 「お前ら、剣を抜くって事がどうゆう事か分かっているな」

 「はぁ?」

 「死んでも文句は言えねぇってことだ」

 「ハハハ。それは無い。死ぬのはお前だけだ!!」

 一人の男が男に斬りかかったとたんに、男は壁に掛けてあった剣を抜いて男の剣を斬りつけた。

 「!?」

 「あの剣は!!」

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 忘れるはずも無い。あの剣は兄さんが・・兄さんが使っていた飛龍。

 私はその時涙が出そうでたまらなかった。秋蘭も同じ気持ちなのか、目から涙が出てきそうだった。

 「う、嘘」

 男はいまだに信じられない顔をしていた。持っていた剣が綺麗に真っ二つに斬れていたのだから。

 「どうする。まだするか?」

 「「「「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ」」」」

 「おい待てよ。俺を置いていくな!!」

 男共はその光景を見て一目散に逃げていった。

 「に・・・・・兄さん」

 私は恐る恐る兄さんを呼んでみた。

 「ただいま。曹いや華琳」

 「!?」

 いまなんて、兄さんが私の真名を・・

 「うっ・・・えっく・・・・」

 「か、華琳!!」

 「バカ・・・兄さんのバカ。どうして、・・えっく・・・もっとはやく・・・か・・・帰って・・来てくれなかった・・」

 「ごめんな。華琳」

 兄さんが私を優しく抱き寄せてくれた。私はただ兄さんの胸の中で泣き叫ぶしかなかった。

 しばらく経って、私はここが店の中だと思い出して、今更だが恥ずかしくなった。しかし、店の中には私たち以外誰一人としていなかった。

 「・・・どうして?」

 「ここの店主が気を気かしてくれたんだろう。あとで誤らないとな」

 「えぇ、そうね」

 「それと、華琳」

 「なに?」

 「いい加減に離してくれないか?」

 「嫌よ。私をここまで悲しませたのに」

 「もう一人悲しませた人がいるんだが」

 「・・・しかたないわね」

 私は少し名残惜しんだが、彼女も私と同じぐらい悲しんでいたのを知っていたから、兄さんから離れた。

 「ただいま。秋蘭」

 「お帰りなさい、一刀様。生きていてくれて、本当に嬉しいです」

 秋蘭の目にはもう涙が零れるすぐそこまで来ていた。

 「・・・おいで」

 「う、うわぁぁぁぁぁあぁぁぁ・・・」

 彼女もまた兄さんの胸の中で泣いた。

 「そういえば、春蘭は?」

 私が彼女の存在が無いのに気づき振り返ってみると、兄さんの連れの彼女達に押さえつけられていた。おそらく私の真名を呼んで怒り襲おうと思って七星餓狼を抜いたとたんに空気を呼んだ彼女達に抑えられたのでしょう。

あとで、兄さんに彼女達の事も聞かないと。

私は色々考えていたが、まずは母様と父様のお墓に行き報告することが一番のすることだと思った。

 「華琳。そろそろ城に戻ろうか」

 兄さんに呼ばれて振り向くと秋蘭は泣き止み十三年前と同じく兄さんの少し後ろに立っていた。

 「奏、花蘭。もう夏候惇を離していいぞ」

 「はい」

 「は〜〜〜い」

 二人が春蘭を離した瞬間に彼女は兄さんに向って七星餓狼を振り下ろそうとした途端に、秋蘭が兄さんと春蘭の間に入った。

 「なぜ、邪魔をする?秋蘭」

 「例え姉者だろうとも、この御方をやらせるわけには行かない」

 「なぜだ!!こやつは華琳様の真名を呼んだんだぞ」

 「それは、この方が華琳様の兄上だからだ」

 「なにを!!華琳様に兄がいた事など私は知らん」

 「この御方が、曹仁様だという事がまだ分からないのか?姉者!!」

 二人の口喧嘩が酷くなっていく。いつもは冷静沈着な秋蘭がここまで怒るとは、よっぽど兄さんを慕っているのだろう。

 しかしこれ以上は不味い。兄さんも私と同じ気持ちのようだ。私と兄さんは喧嘩を止める為に二人に近づいた。

 「秋蘭!!いいかげん喧嘩を止めろ」

 「春蘭、あなたもよ。折角兄さんが帰って来たというのに私に恥をかかすつもり?」

 「しかし、華琳様!!」

 「もう一度言うわよ。喧嘩を止めなさい!!」

 「・・・・御意」

 「申し訳ございません。一刀様」

 「分かればいいんだ。しかし夏候惇。十三年ぶりだからといって俺を忘れるとは、華琳の臣下としてはあまりよく無いぞ」

 「なんだとう!!」

 「姉者!!」

 「うぅぅぅ・・・」

 「申し訳ございません、一刀様。もう一度姉者のために名を名乗ってくれないでしょうか?」

 「そうだな。俺は、性は曹名は仁字を子考だ。ここまで言って思い出せないか?」

 「・・・・そう・・じん・・・あぁぁぁ!!」

 「思い出したようだな」

 「も・・もも・・申し訳ございません!!」

 「いや。思い出してくれたんなら別にいいんだよ。それと華琳今回の事で夏こ「春蘭です」・・・いいのか、真名を言って?」

 「はい。曹仁様でしたらぜひ」

 「わかった。なら今度から俺のことは一刀と呼んでくれ。それと華琳さっきの続きなんだが、春蘭の事はお咎めなしだ」

 「兄さんがそう言うのなら」

 「なら、なしだ。よかったな春蘭」

 「はい!!」

 兄さんが笑顔で答えると春蘭は笑顔で返事した。秋蘭はそれを見て「姉者は可愛いな〜〜」と言っていた。

 「それと兄さん。あの人たちは誰ですか?」

 「ああ、彼女達は「貴様!!よくも俺に恥をかかせてくれたな」」

 「「「!?」」」

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 私達が声のする方に向くと、兄さんが最初に飛ばした男が兄さんに向って剣を突きつけて走ってきた。

 「兄さん!!危ない!!」

 もう嫌だ。これで兄さんまでいなくなったら。もう私は立ち直れない。だから私が兄さんをたすけ・・・・?

 私が男の前に出ようとした時には、男は動かなくなっていた。

 「ありがとう。夜桜(やおう)」

 「いえ」

 「夜桜。貴方いままで何所にいたのですか?」

 「そうだよ。おじさんも心配していたんだからな」

 「・・・・」

 兄さんを助けてくれた子は、何も喋らなかった。しかし、兄さんはその子の頭を感謝の気持ちをこめて優しく撫でていた。

 「兄さん。その人は?」

 「そういえば、まだ紹介してなかったね。三人ともちゃんと自己紹介して」

 兄さんがそう言うと三人は私たちの前に来た。

 「性は司馬名は懿、字を仲達と申します」

 「司馬という事は、あの名門の」

 「はい。私はそこの長女です」

 「それが、どうして兄さんと一緒に?」

 「それは、後でお話します。花蘭。次は貴方ですよ」

 「わかっているよ。性は荀名は攸、字を公達と申します。以後御見知りよりを」

 「・・・・」

 「夜桜。貴女も挨拶しなさい」

 「・・・・」

 司馬懿が注意しても彼女は何も答えず。ただ、兄さんが首を縦に振ると「夜桜」とだけ答えた。

 「彼女は性と名が真名みたなもんだから。これで許してあげて」

 「兄さんがそう言うのでしたらいいですけど。帰ったらこの十三年間何所にいたのか教えてもらいますからね」

 「うぅ・・・・はい」

 私が笑顔を見せると「母上みたいだ」と呟いて店を出て行った。

 私達は店主に挨拶をしたあと、城へと戻った。

               第三話 完

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 「第三話終了。はぁ〜〜〜二つ続けてはしんどいな」

 「それなら、二つ書かなければいいんじゃないかしら」

 「ごもっともですが。それはできない!!」

 「どうして?」

 「この作品を楽しみにしている人たちがいるからだ」

 「あなたの作品なんて、誰も楽しみにして無いわよ」

 「グワァ!!」

 「華琳。言いすぎだ。例えそれが本当でも言って良い事と悪い事がある」

 「・・・・・」

 「黒龍のヤツどうしたんだ?顔が真っ白だぞ」

 「兄さん。あなたって時にすごい事を言うわね。黒龍のとどめをさしてどうするんですか」

 「そうか・・・それは悪い事を言ったな」

 「はぁ〜〜。それでは作者黒龍が死にかけなのでここは私と兄さんでしめるわよ」

 「よし。え〜〜と確か・・・皆さんまた会う日まで、バイ。だったかな?」

 「ええそうよ」

 「それでは皆さんまた会う日まで・・・バイ」

 「バイ」

 「・・・・・・・・・・・BY]

 「死してなを仕事を終わらすか」

 「まさに漢と書いておとこ読むですね。兄さん」

説明
討伐から帰ってきた華琳。春蘭と秋蘭を連れてお店に行く。そのお店は兄一刀との思い出のある店だった。そしてそこに待ち受けていたのは・・・
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コメント
夜桜って誰だ? ものすごく気になる... 更新楽しみにしてます^^(メルクリウス)
続きも期待してます。(伏宮真華)
よっしゃああああああ待ちに待った曹家の龍が読めたああああ!!!!!!!!!!!!期待に胸を膨らませて次回も待ってます(VVV計画の被験者)
二つ同時はすごいけど三つもあると話が混乱しませんか?でもこれだけあると面白いですねぇ今後もがんばってください!!(黄昏☆ハリマエ)
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真・恋姫無双 一刀 華琳 春蘭 秋蘭 花蘭  夜桜 

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