南条操の初恋
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プロローグ

 

わたくしの名前は南条操(なんじょう・みさお)と申します

 

桃月学園中等部2年B組出席番号30番で成績も優秀で文武両道(自己申告)

実家は誰もが聞いたことがある財閥の南条グループ総裁

非の打ち所のない正真正銘のお嬢様ですわ!

 

 

こんなわたくしですが1つだけ悩みがあります・・それは友達が居ないこと

表向きではニコニコして近づいてくる子は居ますけど金持ちのわたくしにおべっかを

使っているだけで本当の意味での友人は居ません

 

 

わたくしの性格のせいだと自覚はしておりますが変えるのはなかなか難しいですわ

 

 

 

そんな時わたくしにちょっとした事件が起きましたのです

 

 

1.体育館裏

 

学校につれてきたハムスターのハム子が目を離した隙に逃げ出してしまったのです

(何故そんなものを学校につれてきたのかって?ただの趣味ですわ・・)

ハム子が逃げた方を探していると桃月学園総合体育館に辿り着きました

 

中では剣道の試合をしているらしく竹刀のぶつかる音が響き男臭い臭いもします

 

踏み潰されては大変だとこっそり体育館に忍び込むことにしました

 

よく見るとハム子が防具が置いてある所をウロウロ!

すぐに取り戻さないと!

だけど知らない大柄な男子たちを前に純粋培養されたお嬢様であるわたくしが

近づきようもなく途方にくれていました

 

泣きそうになるのをぐっと堪え物陰から様子を見ていると男子たちが急に騒ぎ出しました

 

−ネズミがいる!−

 

 

それはネズミじゃなくてハムスターのハム子ですわ!

・・と思わず叫びそうになりましたけど声を押し殺して成り行きを見守ってました

 

 

 

 

2.出会い

 

 

するとその中の1人で長身で白髪?銀髪なの?で線の細い美男子がハム子を捕まえ

「ネズミじゃないなこれハムスターだろう・・何処から入ってきたのかな?」とその場を諌め

騒ぎを鎮めました

 

そしてその銀髪の美男子がハム子を連れて体育館から出て行くのが判ったので

そっと後を追うことにしましたの

 

体育館の裏では先ほどの整った顔が嘘のようにニコニコした顔がそこにありました

何処から来たの?可愛いね君!名前は?

・・・と撫で回しながら可愛がる彼の姿が!

 

物凄いギャップに驚きつつも彼の笑顔をいつの間にか赤面して見つめていました

そして彼の紺色の道着に「犬神」という字を見つけました

 

・・・犬神くん・・・か・・・

 

物凄い勢いで彼女の心に刻まれる「犬神」の文字

 

チチッ!!

 

ハム子が気が付いたのか急に彼の手から離れてこちらに向かってきます

 

え?え?えーーーーー?

まだ心の準備が出来てない!来ないでー!

 

 

ガサっ

 

あれ?君は・・・この子の飼い主なの?

制服からここの生徒みたいだけど・・・?

 

何でそんなに汚れてるの?

 

え?

 

よく見ると隠れてたせいかひざ下が結構汚れてたので必死で埃を落とす

 

この子君のペットなの?良かった!

 

ハートを射抜く微笑みに全身真っ赤になる気配

身体を支配する早鐘のように響く心臓音

 

−これは恋だ−

 

 

4.初恋

 

 

 

そう

この時生まれてはじめて操は恋をしたのだ

 

努めて平静を装い少し上ずった声で

 

あ・・ありがとうございます・・

この子をその・・助けてくださって・・・

 

この子の名前はハム子

わたくしの名は南条操と申しますわ

 

僕は犬神・・つるぎ

 

君・・その髪綺麗な金髪だね

ハーフか何かなの?

 

?

 

僕もドイツ人のクオーターで見ての通りの銀髪だよ

 

こ・・これは地毛で立派な純潔の日本人ですわ!

 

そうなのか・・ゴメン・・

僕・・この髪がコンプレックスなんだ

 

え?

 

この髪のせいで昔から何かと目立って苛められたりからかわれたり

あまり良い思い出はないんだ

 

そうだったの・・・

 

 

5.別れ

 

その時・・・犬神ー!何やってるのー?先生が集まれってさ!

と体育館のほうから彼を呼ぶ声がする

 

僕はもう行かなくちゃ・・・ハムスターもう逃がさないでね

じゃ・・

 

彼はそう短く言うと体育館に戻っていった・・・

 

 

 

 

短い間の出来事だったがこの出来事は彼女にとって衝撃的な出来事だった

 

ただの優男かと思ったら意外なコンプレックス・・・

 

一瞬で彼女の心をわし掴みにしたのだった

 

 

 

だが彼との再会はまだ季節を1回りしなくてはならない 

 

 

 

6.再会

 

 

 

あれから約1年・・・桃月学園高等部の入学式で

彼に再会した時は心臓が爆発しそうになった

 

ましてや同じクラスなんて!

 

神様がくれたプレゼント!神様が居たら抱きついてキスしたいような気持ち

 

だが現実は甘くなかった・・・

 

犬神君は彼女のことをあまり覚えてなかった

 

確かに彼からしたら剣道の試合の間の一瞬の出来事だしそれは仕方ないこと

だけどわたくしのこの気持ちは一体どう鎮めたら・・・

 

いや

 

絶対彼の気持ちを振り向かせて見せるわッ!

 

エピローグ

 

−それから−

 

 

車での送り迎えを断り同じバスに乗ってみたり

色んな動物を持ってきては自慢したり・・・

 

 

こうして彼女の空回り大作戦が始まったのだった・・・

 

 

彼女の周りは知ってか知らずか歩く少女マンガと言われからかわれたり

多少冷やかされつつ現在に至る・・・

 

 

 

 

 

・・・のちに恋のライバル・一条さんが現れようとはこのとき操は想像すらしてなかった

 

 

〈完〉

説明
ぱにぽに本編より前の中学生の操のお話です
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