テキスト練習1
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俺はよく勘違いをする。

だから後々になって、思い返してなんとなく恥ずかしい気持ちになる……。

今も……。

時紀「確かに小さい時って、変な勘違い多いよね?」

裕太「まぁ……」

小さい頃って純粋だから変に妄想して、勝手に隙間埋めちゃうんだよなぁ。

妄想が次の妄想を呼んで、結局手がつけられなくなるんだ。

裕太「時紀は例えば、どんな勘違いしてたんだ?」

時紀「うーん……そうだなぁ……」

俺も色々と壮大な勘違いしてたからなぁ。

時紀「あ、そーいえば幼稚園の時、

   自分は宇宙人に操られているって、勘違いしてた事があったんだよね」

なんだか凄い予感がする。面白そうだなこれは……。

時紀「だからさ、地球とは別の惑星があって、そこから人間は操られてるってさ……」

裕太「……………」

言葉が出てこない……凄い……いややっぱ凄い以外何言ったらいいのか……。

時紀「む、昔の事とはいえ恥ずかしいんだから無言はやめてよねっ!」

裕太「あ……、ああ……すまん……」

まさか一般常識が人格持ったみたいでお馴染みの高倉時紀が……。

誇大妄想狂だったなんて。個人的には大スクープ。

時紀「も、もう! 次は裕太の番だよ! ちゃんと吐いてもらうからね!」

裕太「わ、わかってるって……つってもなぁ……」

探せば探すほど出てくるんだよなぁ、こういう恥ずかしい話。

ちょっと考えれば解るだろっていうそのちょっとが難しい頃の話だからなぁ。

……あ。

裕太「俺もそういうのあってさ、地面の下には人間労働場があると思ってたんだよ」

時紀「ぷっ、なにそれ」

裕太「わ、笑うなよっ!

   なんかさ、悪い事したら地下の奥深くで重労働させられるって思ってたんだよマジで」

本当に恥ずかしいんだけどさ……。

時紀「なんかきっかけでもあったの、その勘違いとかに?」

裕太「大方C級映画でも見たんだろうけどさ……あの頃は信じてたなぁ……」

裕太「じゃあお前のはあるの? さっきのその、勘違いの元ネタみたいなの」

時紀「多分、裕太と同じような物だと思うよ、何かに影響されてっていう……」

裕太「まぁ、サンタとか信じられる年齢だからなぁ」

時紀「そうだよねぇ」

時紀「確かに信じてたなぁ……サンタ」

裕太「悪い子にはサンタが来ないって脅されたりとかさ」

時紀「あるある! あれって酷いよねぇ」

裕太「サンタが居ないって判った後は親が嘘ついてた事で怖くなったもんなぁ」

時紀「そうだよね、あれって子供を手懐けるための嘘だもんね」

裕太「だろ? すんげー怖かったよ」

時紀「でもいま考えると、あの頃の感受性って凄いよね」

フィクションであることに気付けないからな、あの年齢では。

裕太「何でも片っ端から信じていくからな」

時紀「だから刷り込みが起きるんだろうし」

裕太「両親が嫌いな俳優とか、理由無しに嫌いになったりするよな」

時紀「あるある。逆に感性が似て好きな歌とかお笑い芸人が被ったりとかね」

裕太「でもあの瞬間って結構虚しいんだよ」

時紀「なんで?」

裕太「だってそれ親の影響じゃん。

   ってことはそれ俺じゃないじゃん……みたいな」

俺は今も現在進行形でそう思っている。

全部影響下で、誰かの真似事やコピーの連続だって。

時紀「裕太らしい複雑な捉え方」

裕太「そうか?」

時紀「そうだと思うよ」

そうなのかなぁ……。

時紀「いや……まぁ、思わない事もないけどさぁ」

裕太「一度や二度くらい脳裏を過るだろ?」

時紀「まぁ、ねぇ……そういわれると確かに……だけど」

裕太「もちろん、こんな考え方だと疲れるけどなっ」

こういう事考えてる時は脳みそが何だか、

ギシギシ言ってる感じがする……マジで。

時紀「そうだねぇ……いつかパンクしちゃう気がするよ」

時紀「でも裕太はまだまだ多感なんだねっ」

裕太「……俺はその笑いをどう受け取ったらいいんだ」

時紀「いやいや褒め言葉だよ、これ」

……嘘だ。絶対嘘だ。

時紀「もう、そんな顔しないでよ裕太」

裕太「俺、今どんな顔してる?」

時紀「いつもの八の字眉げ。裕太は困ったらすぐ顔に出すからね」

そうか……八の字か……。

時紀「気分屋だって思われてんのもその所為だよね」

裕太「まぁ……」

八の字状態が眉間に皺よせてるように見えるらしく、

だからすぐ不機嫌になると周囲から勘違いされている……時紀いわくだが。

裕太「まぁ癖だから正しようがない」

時紀「またそんな事いって……癖だって心がければ治るよ?」

裕太「別にお前は怒ってないって、判ってんじゃん」

時紀「そうだけど……」

そんなもんでいいんだよ。

別にみんなにわかってもらう必要もないし、第一そんな事は無理だ。

裕太「だからその代わり、お前を大事にしないとな」

時紀「……勘違いされそうだよ、そのセリフ」

裕太「……」

確かに。

裕太「……訂正しよう。お前を友人として大事にしないとな」

時紀「やっぱ多感だねぇ……」

裕太「ば、ばっかその遠くを見つめる目ぇやめろってっ!」

時紀「ははははっ」

……何が多感な時期だ。俺はすんげー達観してるのに。

そりゃもう世を一望できるくらいにさ。

時紀「そんな事考えてるから多感なんだよ?」

……こいつはすぐ俺の心を読みやがる。

裕太「ま、だからこそ必要なんだがな」

時紀「そりゃどーも」

切っても切り離せないな、きっと。

どこまで続いていくのだろうか……。

やがて分岐が来て、ばらばらになってしまうけど。

いやいや。

もしかしてもしかすると……分岐しないとか。

あるわけがない……とも言い切れない。

複雑だ。やっぱり複雑だ。

……あ。

時紀「ね、一望できない、でしょ?」

裕太「…………確かに」

くやしいが、まだ時紀が上手だ。

俺よりも俺のことを知ってるから。

マジでくやしいけど……っ。

時紀「八の字の癖はいつ治るんだか……」

ああいう呆れ顔も、全部全部悔しいが上手だ。

いつか、俺もああなりたいもんだ。

いや、あいつを超えたいもんだ……こうだな。

アイツのことは眺望してやるぜ。

…………いつかな。

 

 

 

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