IS〈インフィニット・ストラトス〉 転生者は・・・
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 箒を戦闘不能に、ラウラに大ダメージを一撃で与えた俺はGNキャノンをラウラに向ける。

 

 

『粒子再チャージ完了』

 

「ボーデヴィッヒ、終わりだ」

 

 粒子チャージの終わった両手のGNキャノンをラウラに向け、トリガーを引k―――

 

 

 

「うあああああ―――っ!?」

 

 

 

 突然のラウラの絶叫。それと同時にシュヴァルツェア・レーゲンから電撃があたりに撒き散らされ、俺は両腕をクロスさせて一応の防御を取る。

 

「くっ!? ―――来たか…」

 

 

「ああああああああ――っ!! ……」

 

 ラウラの絶叫が収まるのとほぼ同時に、ラウラの体は粘土のようにぐちゃぐちゃになったシュヴァルツェア・レーゲンに包み込まれた。

 

 黒い、深く濁った闇が、ラウラを飲み込んでいった。

 

 

「VTシステム。……篠ノ乃博士の言葉を借りるけど、本当に不細工な代物だな」

 

 その間にも粘土人形を作り出すように、ラウラを包むシュヴァルツェア・レーゲン"だったもの"は変形……いや、造形していく。

 そしてそれが地に足をつくと、その速度を早め急速に造形される。

 

 ラウラのボディラインをまんま反映したような黒い全身装甲《フルスキン》のISが造形され、腕と脚に最小限のアーマーが造形され、頭部にフルフェイスのヘルメットのようなアーマーが造形され、最後に―――

 

「『雪片』、か」

 

 その手に一夏の扱う雪片弐型。その原型であり現役時代の織斑先生の愛剣を複写《トレース》したものが握られた。

 俺はすぐさま織斑先生に通信を繋げる。

 

 

「織斑先生、避難勧告を早く……」

 

『わかっている。…山田君』

 

『は、はいっ!』

 

 

 

『非常事態発令! トーナメントの全試合は中止! 状況をレベルDと認定、鎮圧のために教師部隊を送り込みます! 来賓、生徒はすぐに避難してください! 繰り返します―――』

 

 

 

『織斑先生?』

 

『何だ?』

 

『一夏は今何をしてますか?』

 

『アイツならピットで白式の整備を――『織斑先生! 一夏が!』――なに?』

 

 通信に割り込んできたのはシャルル。

 

『一夏がアイツを倒すって飛び出して行っちゃって……ぼ、僕はどうすれば?」

 

『お前は待機だ。…玖蘭、時間稼ぎを頼む』

 

「了解…でも、倒しても良いんですよね?」

 

『……コアは壊すなよ』

 

 それには応答しないで通信を切った。どうせトドメを刺すのはアイツだろうし。

 

 

「らしいからさ、死合おうぜ?」

 

「―――!」

 

 向き合ったとたんに、黒いISは俺の懐に飛び込んできた……早い!

 

「ちっ!」

 

 ビームサーベルを抜く暇も無く、盾にした両手のGNキャノンを切り裂かれる。

 俺はGNキャノンを放棄してすぐさまその場から離れる。直後黒いISの巻き込むようにしてGNキャノンは爆散した。

 

「ちっとは―――って望めないよな」

 

 黒いISはその爆発をものともせずに、爆煙の中から姿を現した。

 すぐに俺向けて突っ込んでくる。それに対して俺は膝アーマーからビームサーベルを抜く。

 

 ジジジジィィィィ!

 

 実体剣とビームサーベルがぶつかる。熱量で溶けてもいいはずだが、雪片にそんな感じは無い。模造品とはいえ、雪片は雪片か……

 それよりビームサーベルで良かった。実体剣なら叩き折られていてもおかしくはない衝撃が俺の腕に走ったからな。

 

「くっ!」

 

 空いてるほうの手にもビームサーベルを持って、不意打ち的な感じで振る。

 しかし黒いISは今までのほうを弾くと、そちらも弾いて見せた。

 

「ちっくしょ、パワーが……」

 

 ヴァーチェの装甲を排除したことで、そちらに内蔵されていたGNコンデンサーも捨てることになり、必然的に一度に使えるGN粒子の量も少なくなる。それで当然機体の出力は落ちる。……それでも機体が軽くなったぶん機動性は上がっているんだけども。

 

 

 ――ビームライフルを頼む。

 

 ――了解。

 

 

 左手のビームサーベルを膝の中に戻すと、開いた左手にビームライフルが展開される。

 

「くらえ…っ!」

 

 通常のビームライフルより高出力なそれを撃つ。しかし―――

 

「は…?」

 

 それを黒いISは雪片で"切った"。オイオイ……ビームって切れるもんなのか?

 

「でも、そうじゃなきゃ面白くないよな……!」

 

 スラスター全開で黒い機体に接近、右手のビームサーベルで切りかかる。

 当たり前のように雪片で止められるが、

 

「この距離じゃ外さない!」

 

 敵機の頭にビームライフルを向けてトリガーを引く。

 しかしそれを、黒い機体は上体を後ろにそらすことで避けた。でも――

 

「それで避けれたと思うなら……万死に値する!」

 

 俺が銃口から出したのは、ビームはビームでも銃口から発生させるビームサーベル。そしてそれを振り下ろす。

 しかしそれは、黒い機体が後ろへ思いっきりバックステップしたことでかわされた。

 

「これまでかわすのか……自信無くすぞ。つーか早く来いよ一夏っ……!」

 

 

「行くぞ拓神!」

 

 やっと来たか……一夏。

 

「おせぇぞ!」

 

「悪い。道が混んでた」

 

 どこぞの畑に立ってるヤツと同じ名前の奴が言いそうな言い訳だな。知らんが。

 

 

「ま、いいさ。さっさと片をつける。俺がサポートはするから行け一夏!」

 

「おう!」

 

 

 ――やっぱ見せ場は主人公にってな。ティエリア、トライアルシステム発動。

 

 ――・・・・との同調……完了。トライアルシステム発動シークエンス、全段階終了まで……一〇

 

 

「一発で決めろよ?」

 

「サポートがしっかりしてればな」

 

「はっ、言うようになったな。こっちは完璧だ。お前はただ突っ込んで、ラウラをこっちに戻してくればいいんだよ」

 

「アイツも、あのISも一発殴らないと俺の気がすまないからな……行くぜ?」

 

 女子を殴る宣言はどうかと思うんだよな……

 

 

 ――トライアルシステム、発動準備完了。

 

 

「よし、行けよ一夏!」

 

「―――うぉぉぉぉっ!」

 

「トライアルシステム発動! さあ、お前の罪を数えろ!」

 

 俺を中心に一定半径のISの制御を奪うシステム……トライアル《裁判》システム。

 

「俺から、敵対者への判決は……有罪だ」

 

『トライアルシステム対象、シュヴァルツェア・レーゲン』

 

 

 飛び込んでいった一夏に対する対応を取ろうとする黒い機体の動きが完全に停止する。

 雪片も、その手から零れ落ちた。

 

「はぁぁぁっ!」

 

 一夏が振り上げた雪片弐型を振り下ろした。

 

 ズサッ!

 

 黒いISは真っ二つに切り裂かれ、中から出てきたラウラが崩れ落ちた。それを一夏が受け止めて―――

 

「殴るのは、勘弁してやれよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 番外編 Fin

 

説明
番外編その2『VS ラウラ&箒アナザー後編』
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