IS〈インフィニット・ストラトス〉 転生者は・・・
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 翌朝のSHR。教室にはシャルルとラウラの姿が無い。

 ラウラはともかく、シャルルが居ないのはみんな疑問に思ってるだろうな。

 

「み、みなさん、おはようございます……」

 

 ふらっ、ふらっ、としながら教室に入ってきた山田先生。事情を知ってる身としてはお疲れ様です、としか言えない。

 

「織斑君、何を考えているのかはわかりませんが、私を子ども扱いしようとしてるのはわかりますよ。先生、怒ります。はぁ……」

 

 だがそれを実行するつもりは無いようだ。というかできそうに無い。

 今の山田先生が怒ったところで、誰も反省しようなんて気は起きず……むしろ山田先生が心配になる。

 

「今日は、ですね……皆さんに転校生を紹介します。転校生といいますか、すでに紹介は済んでいるといいますか、ええと……」

 

 山田先生の言葉は煮え切らないが、『転校生』に反応するクラス女子一同。すでに今月は二人も来ていて、いろいろと不思議に思ったりするのは普通なんだが。

 

「じゃあ、入ってください」

 

 

「失礼します」

 

 

 この声は―――シャルルだな。

 

「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします」

 

 ぺこり、と頭を下げるシャルル――シャルロットに、理解の追いつかないクラスメイトはとりあえずな感じでぺこりと頭を下げ返す。

 ちなみにトーナメント前、何か思い出そうとして寝てしまったとき、思い出せなかったのはシャルルの正体が一夏にバレる件だった。

 起きてそれに気付いたときは時すでに遅し。改めて問いかけるわけにもいかず、俺も一応知らないことにはなっている。……楯無のほうから情報は聞いてたけどな。

 

「ええと、デュノア君はデュノアさんでした。ということです。はぁぁ……、また寮の部屋割りを組み立てなおす作業が始まります……」

 

 本当に、お疲れ様です。

 そろそろ、状況を飲み込み始めたのが数人出てくるころか。

 

「え? デュノア君って女……?」

 

「おかしいと思った! 美少年じゃなくて美少女だったってワケね」

 

「って、織斑君、同室だから知らないってことは―――」

 

「ちょっと待って! 昨日って確か、男子が大浴場使ったわよね!!」

 

 俺は脱衣場にも入って無いけど。

 そして二人目、知ったかぶりをするな。

 

 ザワザワザワッ!! その事実に教室が一気に喧騒に包まれ、それはすぐに教室から溢れ出す。織斑センセー、HELP!

 

 

 バシーン!

 

 教室のドアが蹴破られるか、という勢いで開かれた。

 

「一夏ぁっ!!!」

 

 登場したのは鈴音。おい、お前二組だろ。SHRはどうしたよ。

 

「死ね!!!」

 

 鈴音のISアーマーが展開され、すぐに衝撃砲がフルパワーで開放。

 一夏、ご愁傷様。よかったな。明日の新聞の一面は飾れるぞ。

 

『哀れ高校一年生男子、同学年女子に殺害される。死体は原型をとどめておらず、クラスメイトは口々に悲しみの声を漏らす』

「ミンチでした」「トマトケチャップでした」「地面に落ちた柿でした」「あるいはイチジクでした」「破裂した缶コーラでした」「あるいはペ●シコーラでした」「せめて俺のISで痛みも死体も無く逝かせてやりたかったです」

 

 もちろん最後のは俺だ。その前に同じ内容のがあるがツッコまない。

 そして使う機体はヴァーチェだ。もしライザーソードが使えるならそっちを使う。

 

 ズドドドドオンッ!

 

「ふーっ、ふーっ、ふーっ!」

 

 あまりのことに肩で息をする鈴音。

 

「………………」

 

 着弾する直前、標的の一夏と衝撃砲の弾との間に割り込んだのは、シュヴァルツェア・レーゲンを纏ったラウラ。

 衝撃砲をとめたのは言わずもがなAIC。というか着弾してたら教室が大変なことになっていただろうから、ラウラに感謝だ。

 

「助かったぜ、サンキュ。……っていうかお前のISもう直ったのか? すげえな」

 

 一夏は直ったといっているが、肩の大型レール砲は無い。

 

「……コアはかろうじて無事だったからな。予備パーツで組み直した」

 

「へー。そうなん――むぐっ!?」

 

 一夏は突然胸倉をつかまれ、ラウラに引き寄せられ―――唇を奪われた。

 

「!?!?!?!?!?!?」

 

「あー……何というか、ご馳走様」

 

 クラス中が呆然として固まる中で、俺の言葉も消え去った。

 

「お、お前は私の嫁にする! 決定事項だ! 異論は認めん!」

 

「……嫁? 婿じゃなくて?」

 

 はい、ラウラの私の嫁発言いただきました。

 やっぱりラウラはいままでの感じよりこっちのほうが良いな。纏ってる空気もちょっとは柔らかいし。

 

「日本では気に入った相手を『嫁にする』というのが一般的な習わしだと聞いた。故に、お前を私の嫁にする」

 

 えっと、ラウラに吹き込んだのは黒ウサギ隊の副隊長……クラリッサだったっけ? それは二次元に対する話だ。現実で言ったらただのイタイ子だ。

 まあ、それはともかく。こんなことになれば黙ってない連中が居るわけだ。

 

 

「あ、あ、あ……アンタねえええぇっ!!」

 

 ジャキン!

 

 鈴が衝撃砲を再展開。

 逃げ出そうとする一夏に対して箒、セシリア、シャルロットも加わって(箒は日本刀……ってあぶねぇよ)―――

 

 

 ドガァァァァァンッ!

 

 

 この朝、比喩的表現でも幻想でもなく、リアルに教室が揺れた。

 

説明
第37話『とある朝の話』
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