IS かけがえのない絆
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4話「再会」

 

 

 

 

目が覚めると知らない場所に俺は居た。

目の前には大きな木があり、周りを見回すと海が見える。

…ここは島なのか?

でも、どう考えてもここはどこなのかがわからない。

 

「どこだ、ここは?確か俺は竜崎の一撃を喰らって…」

「……ここは((天狼島|てんろうじま))です」

「え?」

 

振り返ると1人の少女が立っていた。

金色の髪をなびかせ、その容貌はどこか天使のようにも見えた。

 

「そんな名前の島なんてあったか?」

「いいえ、あなたの…いえ、織斑一夏の居た世界には存在しません。そう…ここはあなたから見れば『異世界』」

「『異世界』…」

 

…と言うことはこれは夢なのか?

いや、まてよ。なんで俺の名前を知っているんだ?

 

「あなたは…、いえ『あなた達』はいずれこの世界に来ることになります」

「俺たち?他に誰が来るんだ?」

「いずれ分かります…」

 

その少女はその言葉を最後に消えた。

 

「おい!ちょっと待ってくれ!俺はまだ聞きたいことがっ…」

 

これを最後に俺の意識は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

再び目が覚めると白い天井が見えた。

……取り敢えずここは俺がいた世界のようだ。

 

「おっ、目が覚めたか!」

「……えーと、竜崎か。ここは?」

「覚えてたか!ここは医務室だ。ああ、それと俺のことは蒼って呼んでいーぞ」

「分かった、じゃあ俺のことは一夏な」

「おう!」

 

視線を窓へ移すと空が赤くなり始めていた。

……って、確かここに来たのがちょうど昼で、すぐ試合が始まったから……。

げっ、結構寝てたのかよ俺。

 

「全く、お前さぁずっと寝てっから暇だったんだぞ」

「ずっと居てくれたのか?」

「ああ、仲間を放っておけねえだろ?」

「お前…、いい奴だな!」

「今度ジュース奢れよなっ!」

「それ目当てだったのかっ!?」

 

 

 

―――ガラガラッ!

 

 

 

医務室のスライド式のドアを開け入ってきたのは千冬だった。

 

「目が覚めたか、一夏」

「千冬姉……」

「竜崎、看病ご苦労だった」

「いいえっ、とんでもないです!」

「そうか……。さておき、一夏」

「はい、何ですか?」

「竜崎からの攻撃をわけだが……なに、全身打撲だ。今日一日ここで安静にしていれば問題ないとのことだ」

 

だから体中が痛かったのか……。

って、もうちょっと心配してくれてもいいんじゃないか?

 

「これから先もISに乗るのだぞ?この位はよくあることだ、覚悟しておけ。ああ、それと今日の分の食事は気にするな。私が持ってくる」

「サンキュー、千冬姉」

「なに、このくらいはいいさ。だが、学校が始まったら教師と生徒の関係だ。慎めよ」

「……はい」

「ならいい。では仕事があるから失礼するぞ。竜崎、話すことがあるから付いてこい」

「はいっ!じゃーな、一夏!」

「おう、また明日な」

 

俺はそのまま千冬姉と蒼をベッドの上から見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏の居る医務室を出たあと、俺は織斑先生のあとをついて行った。

……話ってなんだろうなぁ?

そのまま付いていくと生徒指導室の前に着き、そして中に入った。

やっぱり試合を放棄したことだろうなぁ……。

 

「よし、まあ座れ」

「はい……」

「何そんな落ち込んでいる、さては試合を放棄したことだろう」

 

ギクッ!何で分かるんだ!?読心術でも得ているのか?

 

「確かに試合を放棄したことは懲戒処分が『普通』なら下るだろう。だが、お前はまだここの生徒ではない。だから今回は免除してやる」

「ほっ……危ねえ危ねえ」

「まあ、仲間を助けるために動いたことは誰が見ても敬意を払うことだ。ただ、この学校は他国の要請を受けることもある。そのときは……」

「分かってます。その時は仲間の分も行動するだけです」

「ならいい。では本題に移ろう」

 

そう言って目の前にある机に束になった資料が置かれた。

その厚さは学生の宿題レベルではない。軽く2倍はあるだろう。

その表紙には『重要機密』とだけ書いてあった。

 

「そんなもの見せていいんですか!?」

「お前がよく知っているだろう?『1年前の正体不明物質落下事件』」

「あー……、あれですか。でもなんで今更?」

「落下物は全部で3つ。あの内1つはお前が持っているのだろう?」

「なっ、な、何で知っているんですか!?」

「まあいい、それはさて置き。その内の1つはこのIS学園にある」

「こ、ここに有るんですか?」

「ああ、それで明日お前に見てもらいたいと思う。一応分かる範囲で調べてみておいた。それがその資料だ。目を通しておけ、いいな?」

 

と言って厚い資料を手渡された。……全部見れるのか?

 

「こ、こんなに……。はい、頑張ります……」

「今日はもう寮に戻って休め。いいな」

「分かりました。そーいえば俺の部屋は?」

「ああ、そうだった。ほら、1026号室だ。無くすなよ?」

「おおっ、ありがとうございます!」

「では、明日09:30に職員室前に集合だ」

「はい。じゃ、さようなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

織斑先生との会話を終え、荷物を片手に俺は寮へと向かった。

太陽はもう沈みかけていた。だんだんと暗くなってきた。

ものの5分程度で自分の部屋の前に着いた。

 

「つーか寮って広いなー…」

 

唐突にドアノブに手を掛け、ひねってみると……開いた。……開いた?

 

「ま、いっか。じゃー、入るぞー!」

 

入るとこれはまた、どこのホテル?

大きめのベッドが2つ、しかも質が良すぎる。しかも羽毛布団。

奥には既に来ているであろう人物の私物があった。早いな、オイ。

 

「とりあえず荷解きするか!」

 

バッグから私服やら、予備の制服やら、教科書やら、出てくる出てくる。

 

 

 

―――ガチャッ!

 

 

 

ドアが開く音がした。

 

「ああ、すまん。荷解きしていてちょっと散らかっちまったな」

「……蒼なのか?」

「へ?」

 

振り向くとそこには赤い髪の女子がいた。……っておい、まさか!

 

 

「う、嘘だろ…!?夕日なのか!?」

「あ、蒼かっ!?本当に蒼なのか!?」

 

 

2人揃って半信半疑なもんだから動こうともしない。

 

「は、ははっ!ゆ、夢じゃねえよな?」

 

そう言って俺は近づいて、夕日の頭をポンッと軽く叩いた。

 

「ああ!夢じゃない!現実だ!」

 

そう言って夕日も俺の肩を揺すった。

 

 

 

 

約半年振りの再会、互いに違う向きへと動き出して半年。

2人はここで再会した。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから俺と夕日の2人は食堂で夕食を済ませ自室へと戻った。

廊下や食堂には少ないが入寮した人達も居た。

もちろん俺は男だから注目を集めるわけであって、食べづらいったらありゃしなかった。

お湯を沸かし、紅茶を入れた。

 

「はい、紅茶」

「ああ、すまないな」

 

紅茶が入ったティーカップを夕日に手渡し、椅子に腰掛けた。

 

「しっかし驚いたな、いつから来てたんだ?」

「いや、今日だ」

「は?」

「本当ならば試験があるはずだったんだがな。急遽中止になったんだ」

「……スマン、多分俺のせいだ」

「いや知っているぞ」

「知ってるのかよ!?」

「怪我人が出たんだろう?織斑一夏。山田先生から聞いたんだ」

「あれっ?一夏知ってんの?」

「ああ、今日校門で知り合ったんだ」

 

一口紅茶を飲む。

ちなみに紅茶限定ではなく、緑茶やマテ茶なんかも飲む。

さて、本題に移るか!

 

「なあ、夕日。半年前は未完成だった『アレ』、完成したか?」

「ああ、出来たぞ。いい出来になった」

「俺のISもそうなんだけどさ、どうやって作ったんだ?」

「それは明日話そう。蒼も明日呼ばれているのだろう?」

「明日?……あっ、そーだった!あれ読んどかないといけないな」

「私は既に読んだぞ。なんなら教えてもいいが」

「むちゃくちゃ有り難いです」

 

その日は夕日による講義が遅くまで続いた。

 

 

 

 

その日の夜、職員室で仕事をしている千冬と真耶の姿があった。

千冬はちょうど一仕事が終わり、一服することにした。

そこにコーヒーが入ったカップを持った真耶が来た。

 

「お疲れ様です、織斑先生」

「ああ、ありがとう山田君」

 

千冬はコーヒーをすすった。

 

「全く、何で今年の1年はこんなに仕事を増やすのだろうか」

「そうですね、世界で2人しかいない男性IS操縦者が2人、篠ノ之束博士の妹さんに、((妖精女王|ティターニア))も入ってきますしね…」

「本当に…全くだ」

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5話「メイビス・ヴァーミリオン」

 

 

 

 

 

再試験の翌日、俺は習慣の筋トレを始めた。

これは旅を始めた日からずっと続けていることだ。

それから朝食を摂り、身支度をしてから職員室へと向かった。

職員室前には織斑先生と山田先生が待っていた。

 

「すみません、遅れました織斑先生、山田先生」

「いや、いい。揃ったな、では行くぞ」

 

真新しい廊下を俺、夕日、織斑先生、山田先生の4人が固まって歩いていく。

そこまでは良かった。何も問題は無かった。……だが、悲劇?は訪れた。

 

「なあ、夕日」

「何だ」

「巨大なにんじんがこっちに落ちてきているんだけど」

「何?……何だあれは」

「本当ですね。あれは一体……」

「にんじん!?……全員伏せろぉっ!」

 

織斑先生の罵声により一瞬にして伏せた。その数秒後……

 

 

 

―――ヒュゥゥゥゥゥ……、ドカーーーーーーン!

 

 

 

もの凄い爆音と共に校舎の壁がぶっ壊れた。そして『巨大なにんじん』が突き刺さっている。

そして……『割れた』。

そこから現れたのは……

 

「あっはっはっ!IS学園に参上!びっくりしたかな!?」

「……束」

 

篠ノ之束、本人だった。ってどんな登場の仕方なんだ!?

 

「え、ええーっ!?篠ノ之博士なんですかっ!?」

「いかにも私が篠ノ之束だよーっ。……ぐあああぁぁぁ!」

 

ちなみに今、山田先生が呆然としている横で織斑先生が束さんにアイアンクローを喰らわせてる。

ミシミシッって言ったぞ今!?どんな威力なんだ!?

 

「何故お前がここにいる…!」

「ぐぬぬぬ……それはっ、ちーちゃんに会いたかったからさっ!」

 

うわっ!?そこから抜け出したぞ、この人……。

 

「……わっ、あおくんにゆーちゃんじゃないかー!ひっさしぶりー!」

「よう、束さん!」

「お久しぶりです、束さん」

「何?お前ら知り合いだったのか?」

「ええ、丁度半年ぐらい前に」

「そうか、それと束」

「なーに、ちーちゃん?」

「校舎の器物損害料金、払えよ」

 

千冬さんの超現実的な一言でこの事件は終わった。

これ見た人は驚くだろーな……。

 

そのまま織斑先生のあとをついていった。

そして、『エレベーター』に乗った。…エレベーター!?

 

「ああ、この学園の50メートル下まで降りる」

「50メートル!?」

「そんな地下に研究室があるのですか?」

「本来ならレベル4権限を持つ関係者のみ入れるんだが、今回の案件については特別だ」

「へぇ〜、凄いところにあるんだねっ!ちーちゃん!」

 

 

 

―――ガシィッ!

 

 

 

束さんの頭にまたもやアイアンクローが決まった。

 

「ぐあああぁぁぁ……痛いよー、ちーちゃん」

「……何故お前がここにいるんだ」

「興味があるからさっ、例の落下物に!」

 

そういってたやすくアイアンクローから抜け出した。

 

「全く……、騒ぎを起こすなよ」

「はーい」

「そういえば紅さん、昨日渡した資料に目を通しましたか?竜崎くんも織斑先生から渡されたはずですけど…」

「ええ、ちゃんと読みました山田教諭。竜崎も同時に」

「おう、ちゃんと読んだぞ」

「そろそろ着くぞ。話はそろそろ終わってくれ。ちなみにこの案件は重要機密に値する。他言した場合、査問委員会により処罰を受けることになる。いいな」

「「はい」」

 

まもなくエレべーターは止まり、ドアが開いた。

出ると一応スペースがあり、さらに暗唱番号式開閉型のドアがあった。

どうやら生体認証もあるようで、織斑先生は指を当てたり、目をカメラに向けたりしていた。

 

 

 

―――ウィィィィン!

 

 

 

ドアは左右に開き中へと入っていった。

その部屋の構造はコンピューターなどの様々な電子機器があり、まさに研究所だった。

 

「こっちだ、ついてこい」

 

その後数回に渡り生体認証を行い、ドアをくぐった。

つーか何部屋あるんだ!?今通っただけで5,6部屋はあるぞ?

そして……

 

「これだ、1年前の正体不明物質」

 

その瞬間部屋のライトが一斉に点いた。

部屋の中央に台座があり、その上に透明なケースに囲まれた物質があった。

真っ白な色をした物質。

どこか端末のようには見える。

 

「むむーっ、一体何だろー?」

「この物質について知っていることはないか?」

「いーや、無い。っていうか初めて見た」

「えっ?織斑先生が言うには2人とも落ちてきた落下物を自分の専用機に使用しているって聞いたんですけど」

「その通りです、山田教諭。しかし落ちてきたのは3つの内2つ、あと1つは後日知ったんですけど」

「そうですか」

「それに山田先生、世間は1つしか知らないと思いますよ」

「そーいえばそうですね……」

 

 

あの3つとはここから約1年前に起きた3つの正体不明物質落下事件で発見されたものだ。

実質3つの内2つは落下被害の場所があまり人目につく場所ではなかった。

残りの1つは街中に落下したために世間に公開されることになった。

国際IS委員会はこの3つの落下物を確認していた。

世間には街中に落ちた1つのみを公開することにした。

そのためこの事実を把握しているのは国際IS委員会とこのIS学園上層部と僅かのみである。

 

 

「あと1つ聞きたいんですがその2つはなんだったんですか?」

「そうだ、一体何なんだ?」

「そういえば織斑教諭、山田教諭共に知らないんでしたよね」

「束さんは知ってるよー!」

「黙れ、……続けてくれ」

「多分ビックリしますよ?だってあれは……」

 

 

 

「「ISのコアだったんだから(ですから)」」

 

 

 

「なっ……!?」

「そ、そんな!?だってまだISのコアは篠ノ之博士しか作れないんじゃ……」

「そーなんだよねー。でも落ちてきた2つについては全くわからないんだ」

「織斑先生、この物質は触れてもいいですか?」

「ああ、一応データは採取した。壊さないように」

 

と言って手元にあるリモコンを操作した。っていつの間に!?

 

 

 

―――プシュッ!

 

 

 

空気の漏れる音を鳴らし、ケースが台座へと入っていった。

俺と夕日の2人は近づいて見ることにした。

 

「何だろうなコレ?全く見たこと無いなぁ」

「ああ、これは私たちのと何か関係あるのか……?」

「まあ、とにかく触れてみようぜ」

 

そう言って真っ先に触れた。

その瞬間目をつぶってしまうような光が物質から放たれた。

 

「なっ、何だ!?」

「待て、私のISも輝いているんだが……!?」

「竜崎っ、お前のISも輝いているぞ!?」

「一体何が起こったんですか!?」

 

 

 

『やっと見つけました……』

 

 

 

 

 

 

 

 

光が収まった瞬間、女性の声が聞こえた。

金色の髪、その容貌は『天使』。

しかしそれは実体ではなく、目の前の物質から投影される立体ホログラムだった。

最初に声を挙げたのは……蒼だった。

 

「誰だっ、お前は!?」

『私はメイビス・ヴァーミリオン……、貴方達とは異世界にいました』

「異世界…?」

『はい、その世界は魔法が使え、私も魔導士でした……』

「魔法!?いいなぁ〜、じゃあ炎を出せたりするんだ!」

『はい、その他にもいろんな魔法がありますよ。巨人化したり、造形したり……」

「束、話をそらすな。ヴァーミリオンと言ったな?お前は何者だ?」

『私のことはメイビスで構いません。では話しましょう。私が居た世界について……」

 

 

そしてメイビスから異世界について話があった。

その世界には『魔導士ギルド』というものが幾多も存在していること。

そこは魔導士達に仕事の仲介をする場所であること。

各ギルドの責任者をマスターといい、メイビス自身幾多もあるギルド内、『((FAIRY TAIL|フェアリーテイル))』のマスターであったこと。

そして自分は既に他界し、幽体の身であること。

そのこと以外にもたくさんのことを話した。

一同はほとんど静かに聞いていたが、ところどころ驚きもあった。

 

 

「なるほどー。ありがとなっ、メイビス」

『いいえ、お構いなく』

「そーいえば俺の名前言って無かったな」

『竜崎蒼ですね?』

「え?何で知ってるんだ?」

『何故かは分かりませんがこの世界で言うネットワークを通じこの世界の全ての情報を得ることが出来るみたいです。またISのコア・ネットワークも同様です』

「待て、ならばこの学園の情報も既に知っているというわけなのか!?」

「そうですね…、学園の情報には生徒の個人情報や国家重要機密もありますし…」

 

メイビスの情報収集能力について言及したのは千冬と真耶だった。

学園の教員である以上、情報漏洩については最も注意しなければならない。

 

『はい、ですがそれを悪用するつもりは全くありません。私はこの約1年間、この世界のありとあらゆる情報を見てきました。この世界にとっての光と闇、どちらも見てきました。私は光を信じます。貴方達は世界を必ず良い方向へと導いてくれることを信じています』

「そうか…、分かった。信用してもいいのだな、メイビス」

『はい。それと世界で暗躍している組織の情報も分かります。その情報をそちらへ優先的に提供します』

「助かる、すまないな」

『いいえ、それが光を…、貴方達の仲間を守ることならば』

「ねー、ちょっといいかな」

『なんでしょうか、篠ノ之さん』

「メイビスは残り2つの落下物、いやISのコアについても知ってるの?」

『全容は分かりませんがこちらの世界の技術と私が居た世界の魔法が融合したことは確かです』

「魔法かー、なるほどなるほど。そのコアの開発技術分かったりするのかな?」

『ちょっと待ってください……』

 

メイビスは目を閉じた。

どうやらネットワークを使い、検索しているようだ。

数分後…

 

『検索が終わりました。残念ですがそれについては分かりませんでした…』

「やっぱりかー、納得したよ!ありがとねー」

『いいえ、私は何もしていませんよ』

「いいのいいの!うーん、…あっ!今からメイちゃんって読んでいいかなぁ?友達の証さっ!」

『いいですよ。ありがとうございます』

「いーえっ。じゃっ、私は帰るねちーちゃん。まったねー!」

 

そう言って篠ノ之束という嵐が過ぎ去っていった。

 

『いい人ですね、篠ノ之さん』

「いや、アイツは心を開く相手が数人しかいない。大抵は冷酷なんだが…」

『それでもいいのです。人はそれぞれ違うのですから…』

「織斑先生、この物質がメイビスさんの意識端末であることは分かりました。今後どうなさいますか?」

「ふむ…、しかし知っているのは上層部とここにいる4人と、ああ。あの天才か…、全く」

『いいえ、もう1人知っているはずです』

「俺ら以外にも知っている人がいるのか?」

「一体誰なんだ…?」

『それは…、織斑一夏です』

「な、なんで一夏が知っているんだ!?」

「一夏は今日来たばかりだぞメイビス。それに海外に行ったときも私と一緒に行動していたが」

『昨日試合がありましたね?織斑くんが気絶したとき、意識レベルで対話を行いました。コア・ネットワークを応用して』

「そ、そんなことも出来るんですか…!?」

 

意識レベルでの会話((相互意識干渉|クロッシング・アクセス))は操縦者同士で波長が合うことによって起こる現象。

専用機を持っていない一夏と行うのはまず不可能だが…。

 

「んんっ、話を戻そう。それでメイビスの処置だが。紅、お前に託そうと思う」

「私ですか、織斑教諭?」

「ああ、今後メイビスを狙って襲撃があった場合ここにあっては絶対に安全とは言い切れない」

「だから専用機を持っている紅さんに渡すんですね」

「ああ、そうだ山田君。それに…」

「それに何だって言うんですか、織斑先生?」

「束に場所を知られた。たとえ開発者であってもこの学園の部外者だ」

 

実質、束は指名手配中の身だ。

ISの開発者でも指名手配は指名手配。

簡単には情報を明け渡すわけにはいかない。

 

「なるほど…。分かりました、お受けします」

「助かる、紅」

『よろしくお願いしますね、紅さん』

「はい。それと私のことは夕日で構いません」

「では紅さん。これを受け取ってください」

 

そう言って真耶から夕日にメイビスの意識端末が手渡された。

白を基調とした端末。その中央には赤い妖精のマークがある。

大きさはスマートフォンより少し大きい位でポケットに収まるサイズだった。

 

「では今日はここまでにしよう。ご苦労だった」

 

その言葉を最後に一同は研究室から退室した。

時刻はもう昼を過ぎようとしていた。

説明
今回から複数話での投稿にします!
今回は…4話「再会」5話「メイビス・ヴァーミリオン」です!
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オリ主 FAIRYTAIL メイビス・ヴァーミリオン インフィニット・ストラトス 

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