IS〜彷徨いし剣の担い手〜クラス対抗戦
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ICHIKA:SIDE

 

クラス対抗戦当日となり、俺は『白式・我欲』を纏いビットからアリーナへと飛び出した。

 

「いきなり鈴が対戦相手なんてな。」

 

余りにも出来過ぎている状況に……目の前に第三世代機IS『甲龍』を纏い待ち構える2組のクラス代表、鳳鈴音を見ながらそう呟く。

 

「まあ、良いんじゃない?」

「だよな……本気で行くぞ?」

 

そう言うと何故か鈴は小さく静かに・・・だが耳に残る笑い声を洩らしながら俺を見据え、呟く。

 

「手加減……するつもりだったんだ。……なら、その認識を改めなさい。一夏ッ!!」

 

『それでは両者、試合を始めて下さい。』

 

鈴の宣言と試合開始の合図が同時に響いた。

 

『単一仕様能力(ワンオフアビリィティー)・形態変化(フォルムチェンジ)』発動、『転換(コンバート)』……『白式・鳳凰』

 

目の前にあるモニターにそう表示されると共に『白式・我欲』はその姿を『白式・鳳凰』へと変えた。

 

「映像で見たけど……本当に姿が変わるんだ…」

「ああ。さて―――――行くぜ!!」

 

背後のクジャクウイングを展開して呼び出した鳳双剣を両手で持ち、『瞬時加速(イグニッションブースト)』を発動させ、鈴の背後に回り込み一撃を喰らわせ……

 

 

「―――速い!?」

「驚きながらも対応出来てるじゃないかよ!!」

 

……鈴が呼び出したであろう青龍刀でギリギリ受け止められ、逆に弾き飛ばされた。

 

「代表候補生嘗めるんじゃないわよ!!」

 

その言葉と同時に放たれたナニカが『白式・鳳凰』に直撃し弾き飛ばされると共にSEが削られていた。

 

「……今のは・・・って!?」

 

慌てて体勢を立て直し、地面の落下を防ぐが俺の直感?の様な物が警告を発したので慌ててその場を飛び立ち上空へと移動する。そして先程まで俺が居た場所の地面が陥没しているのが見えた。

 

「やっぱり避けるか。」

 

鈴の言葉で分かったのは2つ。

1つは今の攻撃?を放ったのは間違いなく鈴である事。

もう1つは、その攻撃が見えない事だ。

 

さて、どう対応すれば良い?

 

 

 

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KANSEI:SIDE

 

管制室。

其処には今、織斑千冬、山田真耶、篠ノ之 箒、セシリア・オルコットの4名が1組と2組のクラス代表戦を観戦していた。

 

「今の攻撃は一体?」

 

そう口からこぼれるように洩らす箒の疑問の声に……

 

「衝撃砲……空間自体に圧力を掛けて砲身を生成、余剰で生じる衝撃それ自体を砲弾として撃ち出す、わたくしのブルーティアーズと同じ第3世代の兵器ですわね。」

 

この光景をモニター越しに見ていたセシリアは冷静に判断していた。

 

「だが、一夏には『白式・星詠』がある。それを使えば「無理ですわね。」オルコット、なぜだ?」

 

意外と気付かれてないことなのですが・・・

そう前置きをしてセシリアは話を始める。

 

「形態変化(フォルムチェンジ)を行うと極僅かな時間ですが、自身が無防備になってしまいます。」

 

そう、形態変化(フォルムチェンジ)の弱点と言っても良い部分をこの数日の一夏との特訓で気付いたセシリアならではの言葉だった。故にこの1週間はリベンジを誓うセシリアにも有意義であっただろう。

 

「なるほど、その時を狙う事が分かっているから織斑君は形態変化(フォルムチェンジ)が出来ないんですね。」

 

セシリアの言葉に納得したような声を出す山田真耶にセシリアは更に言葉を重ねるように言う。

 

「ですが、『白式・鳳凰』でも勝機は十分にありますわ。」

 

 

 

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RIN:SIDE

 

「相変わらず剣を持つと馬鹿みたいに強いわね。」

 

目の前の赤のISを纏う一夏を見てそう口から言葉が漏れる。

 

「褒め言葉か?」

「勿論。」

 

そう、一夏と剣。この2つの結ぶ縁を知る私にとっては今の言葉は最大級の褒め言葉だ。だが一夏はそうは思わなかったらしい。

 

「過大評価だな……俺は強くなんかない!!!」

 

そう叫ぶ一夏の顔に現れている表情は『あの時』と同じ・・・自身の力の無さを悔み、『アイツ』の後を追いに行きたいのに出来ない事を嘆いていた時とそっくりだった。

 

「拙いかも……一夏、次で終わりにしましょう?」

「そうだな、そうするか。」

 

一夏が賛成してくれてよかったと思う。

そう考えると私と何かを決めたような表情をしている一夏は……同時に私達は最強の一撃に値する攻撃を・・・

・・・放てなかった。

 

「なに?」

 

いきなりアリーナ全体に衝撃がはしり、私と一夏の間を割るようにナニカがアリーナの地面へと落ちるように降り立つ。その時の衝撃でナニカが落ちた一帯を砂埃が覆う。

 

「ちょっと待てよ。ロックオンされてる!?」

 

慌ててそう言う一夏にナニカが一目見て高威力だと分かるビーム放った。

 

 

 

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ICHIKA:SIDE

 

突如、アリーナに現れたナニカの姿を『タカヘッドブレイズ』を模したハイパーセンサー、『神鷹』で確認出来た俺は……

 

「ロックオンされた!?」

 

……ロックオンされたと同時に放たれたビームを間一髪で回避して鈴の近くに移動する。

 

「ちょっと待て!?」

 

砂埃が晴れた先に居たのは『打鉄・七刀』で戦闘をした際の無人機に酷似した外見を持つISだった。

 

「ありえないよな……」

 

ここである考えが浮かんだ。世間一般では不可能とされている無人機を作る技術を持ち、ラウズカードの能力を使用出来る装置の開発が出来るであろう『天災』の存在を……

 

 

 

 

 

だがすぐさまその考えを否定する。

 

 

 

 

 

「(……『あの時』の言葉を聞いてるからな、俺は。それに……)」

 

今、『天災』の側に居るであろう『あの人達』がこんな事を許すはずがない。それなら考えられるのは……

 

「まさか、作ったのを盗まれたのか?」

 

そっちの可能性が高いな。と思いつつ、現在の状況を確認する為に鈴に声をかける。

 

「鈴、逃げ道は……」

「……塞がれてる。」

 

苦い物を口にした時の顔をしながらそう告げる。その言葉に慌てて(けど、冷静に見えるように)辺りを見ると確かにアリーナに入る時に使ったビットは塞がっているし、観客席を見ても観戦していた生徒達はいまだに観客席に居たままだ。

 

『聞こえるか?』

 

考え込む俺に千冬姉から通信が入る。

 

「聞こえてるけど、いったいどんな状況なんだよ。」

 

話を聞いて思ったのはマジか?だった。

 

「ピットに向かうハッチが全部閉じられて開けられない?しかもハッキングを受けていて操作出来ないって……」

 

狙いは俺そのものか?それともラウズカード?くそッ!判断材料が少なすぎる。取りあえずハッキングを何とかしてるって話だし……

 

「時間稼ぎはどれくらい必要ですか?」

 

あのアンノウンをなんとかしないといけないのは確実だ、とりあえず足止めなら出来ない事はないだろう。

 

『……出来るか?』

「お任せあれ。」

 

通信を切って、ビームを放った後から動きの無いアンノウンを鈴と共に見据える。

 

「一夏、どうするのよ?」

「俺に考えがある、まずはアイツの動きを止める。」

「どうやって?」

 

俺の言葉に鈴は疑問の声を上げるがその手段がある俺は自身の策を告げる。

 

「手札を1枚晒す。……足止めならコレ(・・)だよな。」

 

『単一仕様能力(ワンオフアビリィティー)・形態変化(フォルムチェンジ)』発動。

『転換(コンバート)』……『白式・縛土』

 

サイ!ゴリラ!ゾウ!

……サゴーゾ、サッゴーゾ!!

 

そう聞こえると共に俺の周囲に現れた『色があるサークル』と『色の無いサークル』が踊り、俺の前に重量系のコンボのサークルが並び……その姿を変える。

 

「また姿が変わった!?」

 

鈴が驚いているように自分の纏うISの姿に変化が起きていた。

タジャドルコンボを模した『白式・鳳凰』から、両手足の装甲が追加され、両手に大型のガントレッドが付随した『仮面ライダーオーズ・サゴーゾコンボ』を模したIS、『白式・縛土』へと変わった。

 

「このコンボの力なら……」

 

足止めが出来る。そう考える俺を嘲笑うかのようにその電子音は響いた。

 

 

 

【THIEF・ON】

 

 

 

響くと同時に俺の中に有るナニカが強引に抉り出されたような激痛が俺の意識を奪いにかかった。

 

 

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『白式・縛土』

サイ、ゴリラ、ゾウの3枚のコアメダルを使用したサゴーゾコンボを再現した相手の動きを制限する事を重視したフォルム。

攻撃力、防御力は高いがその代わり移動力が全フォルムの中で最遅。さらにISとしては致命的な事に飛行能力が無い。格闘・近距離戦を得意とし、周囲の重力場を操作する固有能力を備え、特定の対象の周囲の重力を操ることで相手の動きを封じることが可能。

 

主武装は両前腕部にガントレット状武器・鉄槌。鉄槌を腕からロケットのように射出する事によって遠距離攻撃も可能。

 

説明

始まるは1つの戦い。
そして、現れた乱入者は何を齎す?

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タグ
IS インフィニット・ストラトス オリキャラ有り 

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