魔王少女?冥王の前では無力!!16後編
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ファントム〜

 

『同調確率、基準値以上。現在、56%完了』

 

「いよいよですね、ファントム。」

「ああ、コレが終わればデススターは完成し、全ての世界に秩序と平和を与える事が出来る。」

 

「……………」

 

私達は八神 はやての入ったポットを見て言う。

 

ここまで来るのには本当に苦労した。

 

管理局が封印したデータを盗み出し、デススターを作り上げ、コアを探し出し、漸く真にデススターの誕生するのだ。

 

自身の正義の為に作り上げた力に奴等は滅びるのだ。どれだけ屈辱な事か。

 

管理局の老害、そして脳味噌共の絶望の声が聞こえて来るようだ。

 

私はクククッと静かに笑い、

 

「では私は向かうところがある。メビウス君、ウィンド君、君達も自由にしたまえ。」

 

「では束の間の休息をとるとしましょう。」

 

「……………」

 

メビウスはハット帽を取り頭を下げ、ウィンドと共に出ていった。

 

「…………フン、欲望に忠実なモノ達が。使いやすくて助かるよ。」ファントムは2人が出ていった方を見て言った。

 

「全てが片付いたらあいつ等も処分しなくてはな。ウィンドは兎も角メビウスはダメだ、欲が深すぎる。いずれ私に牙を向けるだろう。」

 

私は再びポットを見た。

 

コレさえ上手く行けば。

 

そして私はその奥のある場所(……)に向かった。

 

「…………もうすぐだ。もうすぐ起こしてあげるからね。リリ。」

 

 

ガァーーーーーン!!!

 

激しい振動が部屋全体が震えた。

 

「何事だ!」

 

そこに通信が繋がる。

 

「ふ、ファントム様!管理局です!!」

 

「何だと!?」

 

馬鹿な!今の管理局にココを知る術は無い筈、データバンクに繋がる端末全てを破壊させたのだぞ?

第一にそれだけの腕を持つ者がいるとは聞いていない。

 

 

「チィッ!!メビウス、ウィンドを呼べ!侵入者を直ちに捕まえろ!!私も直ぐに向かう。」

 

「はっ!」

 

私は直ちに部屋から出て司令室に向かった。

 

ファントム 終〜

 

なのは〜

 

10分前

 

「皆、準備はいいか?」

 

龍王子君は皆を見渡して言う。

 

「これからリンディ提督がアースラごと入港口に突っ込む。そして俺達の乗っている小型船を射出し離脱。そのまま俺達は内部に侵入し洗脳されている人々の開放だ。」

 

「うん、分かってる。真尋が倒れるまで頑張ったんだ、私達も精一杯やらないと。」

 

フェイトちゃんが頷きながら答えた。

 

「私達はその護衛。そしてヴィータと高町は主はやての救出だ。任せたぞ。」

 

「ああ、必ずはやてを連れてくる。」

 

「うん。助けるんだ、皆を。」

 

私とヴィータちゃんはシグナムさんの激励を受け頷いた。

 

 

『皆、もうすぐデススターに到着するわ。少々手荒な運転になるけど、しっかり捕まっていてね。』

 

リンディさんの声で私達は手摺に捕まりセットアップを済ます。

 

『それじゃあ、……突撃!!』

 

リンディさんが指示すると、アースラは加速しデススターの宇宙域に到達、そのままデススターに向かった。

 

途中、迎撃を受けたのか細かな振動が伝わった。

 

音は無い。

 

分かるのはモニターと大小の振動のみ。

次第に振動が大きくなり激しい抵抗を受けている事が分かった。

 

アースラには宇宙戦を想定したプロテクションが搭載されているから無事だとは思うがやはり心配だ。

 

その抵抗を抜けデススターの懐に入るとリンディさんは口早に告げた。

 

『デススター、衝突まで10秒、全員何かに捕まりなさい!!』

 

それを聞いた私達は直ぐに手摺に捕まった。

 

 

 

そして、

 

 

 

ダァァァァァァァァァァァァァァン!!

 

まるで爆発が起きたかのような振動を感じた。

 

 

手筈通りアースラが最大出力で突撃、激しい振動の中、私達を乗せた小型船を射出した。

 

 

 

中に打ち出された私達、龍王子君は機体を止めようと舵をとる。

 

 

「うぐっ、…負けんかよぉ!!」

 

ガァァァァァァァッ!!………

 

引きずるような音が聞こえ

操縦桿を握った龍王子君が必死に舵をとり壁ギリギリで止まった。

 

 

 

「………ふぅ、やっと止まった。」

 

 

 

「安心するのはまだ早いぞ。」

 

 

シグナムさんが窓の方を見て言う。其処には既に数百という人の壁が小型船を囲んでいた。

 

 

更に後ろを確認すると先程侵入してきた所にはシャッターが降りていた。

 

逃がさないという事なのか。

 

 

「天井を撃ち抜く!そこから外に出るぞ!!」

 

私達は龍王子君から少し離れ、

「いくぜ、エクス!スティンガー・ショット!!」

 

『Stinger shot!』

 

船の天井に巨大な穴を作り出した。

 

「皆、気を引き締めて行くぞ!!」シグナムさんが皆に喝を入れ率先して外に出た。

 

私達もそれに続いて外に出た。

 

船の周りにはゾンビのように人が蔓延って、デバイスを展開していた。

 

「全員、空を飛べ!高町、アレの準備を!」

 

私は空に移って真尋君が作った術式を展開する。

 

 

「…………」

 

魔力はそんなに使わない、けど術式を完成させるのに神経を集中させなければならない。

 

(もう、少し。)

 

その間にもファントムに洗脳された者達は私達に攻撃をし続けて来る。

 

「はぁあ!!」

 

「せいっ!!」

 

そんな中、シグナムさんザフィーラは私に直撃する弾幕を防いでくれた。

 

他の皆も率先して前に出て囮になってくれている。

 

「こんのぉぉ!良い加減、目を覚ましやがれぇ!!」

 

(もうちょっと、後もう少し。)

 

 

私は焦る気持ちを抑えて集中し、

 

 

「出来た!!」

術式を完成した事を皆に伝えた。

 

 

「全員なのはに集まれ!!」

 

 

シグナムさんの言葉で囮になっていたフェイトちゃん達が私の元に集まって来る。それを追って人の波が私達に押し寄せて来た。

 

 

「皆、正気に戻って!!」

 

 

私は組み上げた魔法を発動した。

 

『OPENING OF A LIFE』

 

すると緑色の円が地面へと落ちていき、一瞬にして私達を中心にして広がり、

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

うあぁぁぁぁぁぁ!!

 

 

 

眩しい位に魔法が光出した。

 

 

 

 

なのは 終〜

 

リンディ〜

 

 

デススターに衝突しなのはさん達を乗せた小型船を打ち出す事に成功した。

 

 

「私達も離脱するわ!いつ敵からの攻撃を受けるか分からないからね。」

 

 

全く我ながらなんという行き当たりばったりな事をしているのかしら。

 

 

急いで突撃し、出来た穴から船端抜き出し離脱を開始した。

 

 

「艦長!小型船が多数、此方に向かってきます!」

 

やっぱり来たわね。

 

 

「慌てずに対処なさい。プロテクションを張って、同時に逆噴射で方向転換、迎え撃つわよ。」

 

 

「直接戦闘を行うのですか!?」

 

クルーの1人が聞き返す。

 

「ここはなのはさん達の帰り道になるの、それにこれ以上外から入れてはいけないわ。」

 

「左舷、数16!」

 

 

「弾幕を張って!敵に付けられるな!」

 

 

普段は使われないエネルギー砲を惜しみなく使う。

 

 

装備がひ弱だが無いよりマシだろう。

 

 

遠距離用の武器は元々犯罪者の乗る宇宙船を停止させる為に設置されているので威力が低く、それでいて連射が出来ない。縦横無尽に来る小型船には対応していない。

 

小さな振動が暫く続きそれがやがて大きな振動に変わる。

 

その揺れは連続で私達を襲いかかってきた。

 

「っう、被害報告!」

 

 

「プロテクション、ブリッジ部の損傷率83.7%、突破されます!!」

 

「艦長!更に後方より敵援軍です、数30!!」

 

「くっ、此方が出せる船は何機ある!」

 

「魔法砲装備が5機、偵察機が3機です!!」

 

「武装隊の準備は良いわね?直ちに迎撃して貰って!!」

 

「はい!武装隊、発進して下さい。」

 

オペレータの指示に従い戦闘機が5機出撃した。

 

武装隊には戦闘訓練の他飛行操縦、宇宙船操縦の訓練を受けさせている。

 

このような戦闘ではあまり使われる事は無かったが日々鍛えている彼等なら上手くやってくれる筈だ。

 

戦闘開始から15分。

 

敵の撃墜数は19。

 

しかし此方も戦闘機が2、偵察機が全滅した。

 

「敵増援です!数20!!」

 

オペレーターの1人が告げた。

まだ来るのか?

 

皆の心の声が聞こえるようであった。

 

「艦長、ユニット1が中破、帰還します!」

 

「ハッチを開けて、整備班、機体を直ぐに修復させなさい!」

 

このままじゃ数でも武器でも劣る私達が危ないわね。

 

その時、一本の暗号通信をキャッチした。

 

「艦長、クラウディアより通信です!『我、エンドラ宇宙域に侵入した、暫し待たれよ。』艦長、コレは!」

 

「ええ、味方の信号で間違いないわ。皆もう少しよ、踏ん張って!!」

 

とは言ったモノのそれまで踏ん張れるか。

 

私は艦の状態を調べ、指示を出した。

 

「本艦はこのまま前進、敵の注意を引きつけながら武装隊の援護を!少しずつ入り口から離して行くわよ。私達がココを守らなくちゃいけないのだから。」

 

ビー!ビー!ビー!

 

 

 

突如サイレンが鳴り響く。

 

 

「艦長!!」

 

「どうしたの!?」

 

「左舷よりL艦級が5隻!砲身が此方に向いています!」

5隻も!?

 

 

私は突然の報告に取り乱してしまった。

 

「クラウディアではないの!?」

 

 

「彼方の旗艦は、アエミリアです!!」

 

 

「アエミリアですって!?」

 

アエミリア、私と同じ管理局の海のL艦級。確かそこの指揮をしていたのは、……………

 

 

「砲撃、来ます!!」

 

 

!?今は考えてる暇はない!

 

「プロテクションを張って!対ショック準備を!!」

 

瞬間激しい揺れが私達を襲う。

 

 

「ぐぁっ!………うぅ、現状報告!」

 

 

「第二プロテクション完全に破壊されました。」

 

 

「第1エンジン大破、第2エンジン中破、第3、第4エンジン小破、またその二つは航行は出来るが全速で飛ぶ事は出来ません!」

 

 

「住居ブロックで火災発生!現在消化活動中です!」

 

 

「艦長、先程の攻撃でプロテクション発生装置に異常が出ました、プロテクションが張れません!!」

 

 

最悪ね、これ以上攻撃されたら簡単に沈んでしまう。

 

 

ピピッピピッ。

 

 

「!?艦長、アエミリアからの通信です!」

 

 

「!?………繋げて。」

 

モニターに映されたのは小柄で、肉付きのある中年男性。

 

 

『これはこれは、先月ぶりですかな?リンディ提督。』

 

 

「……えぇ、そうですね。グラバディ准将。」

 

 

トーマス・グラバディ。

 

 

魔力ランク元S+のエリート局員。30歳までは前線で活躍し現在は准将まで上り詰めた。

 

しかし人間性は悪く昔は大事の問題を起こしていたとか、ソレらを権力と金でもみ消していたらしい。

 

今なお黒い噂の絶えない男だ。

 

 

『まぁ、積もる話は後にして本題に入りましょう。リンディ提督。』

 

 

「前から申していますが、名前で呼ばないで頂きたいのですが。」

 

私はこの人が嫌いだ。

 

初めて会ったのは亡き夫クライドの葬式のとき、安い慰めの言葉と共に私を口説き始めてきた。

 

葬式の場でだ。

 

その場で殴り殺したくなったが、クロノの為、先に真摯に謝罪してくれたグレアム提督にこれ以上迷惑をかけられない。そんな想いで耐えたのだ。

 

其れからもしつこく付きまとわれ、最近では義娘のフェイトに目をつけていた。

 

最も相手にしていたくない男。

 

 

『ははは、こいつは済まないね。だが、そんな事を悠長に言っていられる余裕があるのかな?悪い事は言わない、降伏したまえ。ファントムには私から口添えしよう。』

 

 

「私は管理局の提督としての、そして、あの子達を護る義務があります。」

 

『ふくく、何を今更。管理局は滅び地に堕ちた。世界は変わり始めている。貴女にも分かるでしょう、リンディ?』

 

「………………」

 

『もう一度言いましょうか。リンディ、降伏しなさい。そうすれば他の乗組員も助けてあげましょう

。飽くまで敵対するのなら私達の所持するアルカンシェルを使い跡形も無く消滅させるだけです。』

 

 

「…………くっ。」

 

どうする。此方には半壊したアースラと乗組員、クロノの到着までどれ位掛かるのか。

 

 

今の提案を飲まなければ皆を巻き込んで殺してしまう。

 

 

『頼みの綱のクロノ君だが、今頃私の部下に捉えられているかも知れんな。何しろ先程二隻程船を回したからな。もしこのままだんまりなら、彼にも消えてもらうしかないな。くくく。』

 

 

「!?クロノに何を!!」

 

『さぁ、私はまだ何も。リンディ。貴女は私の言う通りにしていれば良い。こんな所で愛する息子と義娘、大切な部下を失うわけにはいかないでしょう?』

 

くっ…………!

 

ダメだ、この場を逆転する方法が浮かばない。

 

 

このままだと皆が、でもあいつの言いなりになれば、…………

 

 

 

 

 

 

 

クライドさん、ごめんなさい。

 

 

 

震える手を抑えつつ、私はあの男に降伏の宣言をした。

 

 

 

 

 

 

しようとしたその時、

 

 

「艦長!2時の方向にエネルギー反応、モニターに映します。」

 

私は諦め掛けていた瞳でソレを見た。

 

黒い装甲に手甲と胸の中心部、頭部に付けられた光り輝く球体。

間違いない。

 

アレは、あのロボットは、

 

「HADES。」

 

 

 

リンディ 終〜

 

謎の黒い機体の登場に両者共に動揺していた。

 

だが、数の優位性を思い出したグラバディ准将は命ずる。

 

「あの未確認機械を破壊しなさい。折角の所を邪魔されてはかないません。」

 

 

意思のない兵士達は命令のまま黒い機体に攻撃を開始した。

 

 

小型船自体は機動性が高く数で掛かればどんなモノでも疲弊するだろう。

 

それが自身の理解の範疇を超えていなければ、の話だが。

 

 

小型船が射程距離に入ったとき、黒い機体は片手を上げ、

手甲の球体から眩しい程の光を放ち、小型船を破壊した。

 

 

「な、何!?」

 

グラバディ准将は前回の闘いに参加して居らず知らなかったのだ。

冥府の王の恐ろしさを。

 

「う、撃て、撃て!撃ちまくれ!!アレを沈めろぉぉぉ!!」

激情したグラバディは全艦に命令した。

 

5隻全てが質量のあるミサイルを発射した。味方の小型船ごと攻撃した。

 

その全ては見事に命中した。

 

だが、依然として黒い機体は無傷で存在し、周りには鉄屑が散らばっていた。

 

「あ、アルカンシェルだ!アルカンシェルを発動しろ!!」

 

 

グラバディは恐怖した。

 

アレだけの質量を喰らっても傷一つつかないアレに。

 

周りの船を特攻させアルカンシェルをチャージする。

 

一隻がヤツに到達。

 

片手で止められ、

球体が光り、船は塵となった。

 

 

次の船と幾つか残った小型船が突撃するも、先程と同様に塵となった。

 

 

「チャージ完了です。」

 

 

「消え失せろ、化け物ォォォォォオォ!!!」

 

 

 

 

 

光の塊が砲身から撃ち出される。

そのまま味方の艦を巻き込みながら全てを飲み込んでいった。

 

 

「ふ、ふはは、やった。ふははは、」

 

極度の緊張から解放されたのか笑いがこみ上げる。

 

モニターの先には上半身が消え去った黒い機体があった。

 

 

 

 

 

 

 

だが、

 

 

「…………え?」

 

ソレはまるで逆再生を見ているかのようにグラバディたちの目の前で再生していった。

 

 

そして、

 

「あ?……え?」

 

何時の間にかグラバディの目の前に現れ、

 

 

両手の球体を合わせる形をとっていた。

 

説明
決戦。
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コメント
天の力を思い知るがいい!!(リンドウ)
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