真・恋姫†無双 〜孫呉千年の大計〜 序章 第8話
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序 章 一刀降臨編 08話 『 脈動 』

 

 

 

 

以前、序章 2話にてお伝えした歴史のズレによる事は覚えておられるだろうか?

 

一刀は先日、明命が届けてくれた竹簡の追加情報を元に、今後孫呉が取るべき方針と対策を、冥琳と紅を交えて意見交換し合っていた

現、後漢王朝中央勢力は以下のとおり

 

■後漢王朝勢力

 

何進  大将軍

董卓  司空(十常侍派)

 

 

●西園八校尉

 

((蹇碩|けんせき))  上軍校尉(十常侍派)

袁紹   中軍校尉(将軍派)

袁術   下軍校尉(将軍派) ←(孫呉)

曹操   典軍校尉(将軍派)

 

陶謙 : 助軍左校尉(将軍派)

劉焉 : 助軍右校尉(十常侍派)

劉表 : 左校尉(十常侍派)

馬騰 : 右校尉(十常侍派)

 

統帥権は何進が握り、政務に関しては董卓が掌握する二重体制に

 

西園八校尉に関しても、黄巾の乱の張角の天公将軍に対抗してのものであったし、乱で功のあった者を中心として選抜されるはずが

乱が起こっていないにも関わらず、十常侍により何進の持つ統帥権の削ぎ落としに利用されていたのである

 

大将軍派=冀州・?州・豫州・徐州を中心とした軍閥

十常侍派=涼州・荊州・益州を中心とした軍閥

に分類され、互いに牽制しあい裏でしのぎを削りあっていた・・・

 

孫呉は現在袁術の指揮下にいるので、大将軍派に属する訳だが・・・

直接的には関係ない事から気楽なもの・・・ではあるが、中央の情勢の変化によって即動ける様に、明命を使い逐一情報を仕入れている

 

「俺が知ってる情報=歴史とはかなり違ってますね」

と二人へ補足をする一刀

 

紅「そうなの?」

冥琳「ほう・・・」

 

「はい この((蹇碩|けんせき))という人 袁紹と曹操を除いて皆違ったはずです 役職と誰だったか・・・とまでは記憶はありませんが・・・」

と少し考え込むも・・・これ以上は無駄かなと思い諦めてしまう一刀

 

「この他の5人の有力勢力の人達は、”黄巾の乱”の収束後の群雄割拠の時に有力となる勢力だったかな? たしか・・・」

こんなことならちゃんと中国史勉強しておくんだった・・・と売ろ覚えに後悔しつつ

あやふやな記憶を頼りに”たどたどしく”二人へ答える一刀

 

「それだけの情報があるだけでも参考になる」

「確かかどうかは、明命ちゃんに裏をとってもらえばいいだけですし」

「だな」

と一刀の情報提供に冥琳と紅の二人は、素直に感謝してる様子で、一刀はホッと胸を撫で下ろす

 

元々そういう流れの歴史であったのか・・・はたまた、一刀がこの世界に舞い降りたことによって正常に戻りつつあったのか・・・

までは、3人に理解できよう筈もなく定かではない・・・

 

「一刀にはまだ見せていなかったのだが・・・今まで一刀から得られた情報が、間違いでないことの裏付けがここにある」

と冥琳が最後に手渡してくれた竹簡=甘寧からもたらされた情報には

「このところ騒がせている賊について、先日村を襲撃していた賊の中に”黄色い布”を頭や腕に巻いた賊を確認しました」

という報告で締め括られていた・・・

 

「一刀の見解は昨日までに提出してもらった竹簡にもあったように、ほぼ我らと一致しているな

 一刀の言で黄巾の乱であろう確証も得られた よかろう」

という言葉を発し、足を組んで座っていた椅子より立ち上がる 

 

「何ヶ月・・・いや何年かかるか判らないが、孫呉は今雌伏の時」

「ええ そうね いつか羽ばたくその日まで・・・」

と冥琳につられるように、椅子より立ちあがる紅は、普段の通りの優しい笑顔を浮かべているように見えたのだが

その瞳は、今にも獲物に襲いかからんとする肉食獣かのように、眼光が鋭かったのである

 

「手始めにこの乱を利用して、孫呉復活への狼煙とさせていただこう」

と言う冥琳もまた紅に触発されたのか・・・メガネをキラリと光らせズレを直す仕草をする

 

「フフフ 私達の腕の見せどころ・・・というところね♪」

紅は・・・背筋を凍らせる程の艶っぽい冷笑を浮かべる・・・

 

そんな二人の遣り取りの真ん中に一人ポツンと取り残されている一刀は

・・・自身に関係ないにも関わらず、冷や汗が止まらない・・・

 

二人を絶対に怒らせないようにしようと固く誓っていたのだった・・・

 

「あぁ もちろんだ ”紅””一刀” より一層の活躍期待しているぞ」

と交互に二人を見つめる冥琳 その熱き鋭き視線に答え、静かに力強く頷く紅と一刀であった

 

「早速、これらの竹簡と私達の見解をまとめて、蓮華・姉様(張昭)の元へとお送りしておきます」

「あぁ よろしく頼む紅 私は雪蓮と緋蓮様に、我々の見解を伝えてくる」

 

俺は何をしよう・・・とボケた思考をする一刀

 

紅「フフ なぁに? 一刀くん、 か・・・ず・・と・くんは・・・ほら! 机の上の竹簡の処理の続きお願いね!」

と後ろから押して一刀の机まで誘導する

 

「あっ は・はいっ」と思い出したように、自身の椅子に座り仕事に取り掛かる一刀

 

慌てている一刀をみた冥琳と紅の二人は互いに笑みを浮かべた後、それぞれの仕事へと向かっていった・・・

 

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話は少し遡り、一刀が孫呉へ舞い降りた?同時期の冀州にてーーーーー

 

「地和ちゃ〜ん 人和ちゃ〜ん ファンの人と名乗る人からなんかもらっちゃったの〜」

「天和姉さん みせて・・・ どれどれ・・・」

 

「・・・人和ちゃん どうしたの?」

「天和姉さん・地和姉さんこれ 私たち天下を取れちゃうかも・・・」

 

「「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(うっそぉ〜)」」

「嘘のようなホントの話・・・」

「「見せて 見せて〜〜」」と本を覗き込む二人

 

「「「・・・・・・・」」」

3人は覗き込んだ後の記憶が一切なくなってしまう

 

「蒼天已に死す・・・黄天まさに立つべし・・・」

と呟く3人の目に精気はなく虚ろなものだった・・・

「それではお三方 さぁ参りましょうか」

・・・と何処から現れたのか3人を誘導しだす一人の男 この男の名は「段珪」という

 

「我らが”王朝”・”十常侍”の繁栄の為の生贄をささげようぞぉーーーーーーーーーーーーーー

 さぁ 新たなる舞台の幕開けじゃ かっかっかっかっかーーーーー」

 

そう、太平要術の書ならぬ太平”妖術”の書を手に入れた3姉妹

嘘のような本当の話から、この度の黄巾の乱は産声をあげたのだった・・・

 

・・・3姉妹の行方は? 未来は・・・DEAD OR ALIVE?

 

 

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冥琳と紅との意見交換を終え、再び机上の竹簡と格闘する一刀

 

一方その頃の『幽州』ーーーーー

 

 

「管輅ちゃんが言ってた噂の流れ星って、南の方に流れたあれだったのかな?」

「そうかもしれませんね アレ程の流れ星はありませんでしたし」

 

「そんなことどうでもいいのだ!」

 

「どうでもいいとは何だ 鈴々 御使い様がいるのといないのとでは・・・」

「愛紗は小難しく考えすぎなのだ 鈴々と愛紗が、悪者をブッ飛ばせばいいのだ」

「鈴々ちゃん えらぁ〜い なでなで」

「はぁ〜〜〜桃香様 そんな単純な考えでは・・・」

 

「御使い様の事は残念だけど・・・今はひとつひとつ 目の前の人達を救っていこう? ねっ 愛紗ちゃん?」

「判りました 桃香様」

 

・・・己の信念を信じて・・・己の正義を信じて・・・己の力を信じて

3人はひたすら前に突き進む その先にあると信じる”人徳”の世を目指して

 

 

同じ頃の公さん・・・

 

 

公孫賛「ふぅ・・・全然片付かない・・・誰か仕えてくれないかなぁ?」

 

残念さ?は微塵も変わらない・・・ように見える

 

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『并州某所 山中洞窟内』

 

「星はこれからどうするつもり?」と火の番をしている稟が、横になって休んでいる星に語りかけてくる

「ん? 私〜〜〜は路銀が心許なくなってきたのでな ここから北上して近くの公孫賛殿の客将になろうかと考えている」

 風・稟 お主らはこれからどうするのだ?」

と今度は星が問い返す

 

「ん〜〜〜 そうですねぇ〜 後気になるのは・・・天の御使いさんが孫呉に舞い降りたとの噂を・・・すこし”耳”にしましたので

 まぁ〜稟ちゃんが曹操様にお熱ですし南下ですね」

 

「風に色々と言いたいことはありますが・・・」

と風の言葉に渋々メガネを直し頬を赤く染める稟、そんな稟を見てくすくす笑い合う風と星の二人

 

「風・・・起きていたのか それにしてもいつの間にそんな情報を仕入れてたんだ・・・」

と不思議に思った星は風に問い返す

 

「・・・お嬢ちゃん そこは”きぎょうきみつ”だ」

という謎の電波?を受け取った宝ャが話しだす

 

「コホン・・・孫呉か〜 一度客将をやって抜けてきた身分だし〜

 路銀もそこまで持たぬし縁がなかったと思って諦めるとしよう」

と自分に言い聞かせるかのように答える星

 

「・・・ならば二人とは明日 お別れだな」

と話しながら少し今までの二人との旅を思い起こし寂しく感じる星

 

「「・・・そうですね」」 

と答える稟と元?に戻った風の二人も、以後言葉少なく会話は自然と途切れてしまう

 

そして次の日の朝

「二人共世話になった 稟、風達者でな・・・」

 

「私達こそ 星元気で」

「星ちゃん おげんきで〜」

 

お互いに手を振り別れを惜しみつつ別れる3人・・・何度もお互い振り返りつつ手を振り返す

それはお互いが豆粒ぐらいになるまで続くも・・・やがて見えなくなるとそれぞれの道へと歩み始める星・稟・風の3人

 

3人の運命はこの後・・・皮肉にも激しく交差しあい、お互いを認めつつも対峙する事になる

 

 

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『陳留城内』〜中庭〜

 

「だぁーーーーーーーりゃーーーーー」

と大声で叫ぶ春蘭の手から豪快に”七星餓狼”がすっぽ抜け・・・壁面を斬り裂き突き刺さる・・・

「いかん いかん・・・むぅ〜〜〜〜」

と唸り引き抜こうとするも、かなり深く刺さっているので簡単には抜けない

 

「んっっーーーーーどっっせーーーーーーーーいっ」

 

と壁に蹴りを入れ豪快に引き抜く春蘭 

壁もまた豪快に崩壊する・・・刀が抜けた喜びで、崩壊した壁のことはそっちのけの春蘭ある

 

「あ・・・姉者・・・はぁ〜〜〜」

と額に手を当て顔をしかめ溜息をつく秋蘭

 

「んっ? どぉした秋蘭?」

と聞き返す姉に対して・・・壁の事は諦め、呼びに来た”用”の方を優先する

「あぁ 華琳様から指令の竹簡が届いてな それで呼びにきたのだが・・・」

とやっぱり諦めきれないのか・・・視線を再び崩れた壁に向ける秋蘭

 

「秋蘭何をしてる? 早くいくぞ〜」

と自身の仕出かした崩壊劇は、頭からすっかり抜け落ちて館へ帰る春蘭・・・

「・・・あぁ 今いくよ姉者」

と恨めしげに崩壊した壁を見つめ、職人を呼んで修理しとかなくては・・・と考えつつも

未練を断ち切り急いで姉の後を追う苦労の絶えない秋蘭であった

 

二人は華琳へ迫りくる暗雲を払い覇王へと導くことができるのか?

 

 

『洛陽』にてーーーーー

 

 

「桂花 陳留にいる秋蘭へあの情報を送っておいたかしら?」

「はい 華琳様 すでに早馬にて 至急何進様がお呼びですが?」

「本当に人遣いが荒いわね・・・ あの大将軍・・・さまは・・・」

 

・・・フフ さぁ 私達が飛翔する為の”切欠”が動き始めたわね

私の夢へ漸く・・・踏み出すことができる そう”大陸制覇”への第一歩を

私の前に立ちはだかる時代の徒花達 精々私の栄光への礎となるがいいわ・・・

 

と思考するや外套を翻して颯爽と扉へと向かっていく華琳

 

「桂花 仲達 出かけるわ ついていらっしゃい」

「はっ はい華琳様」

「ハッ お供いたします」

 

3人の後ろ姿が次第に闇に溶けてゆく

 

覇王の後姿は暗雲を切り裂き、”覇業”という名の光を照らし続けることができるのか?

 

 

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「麗羽さまぁ〜 何進様から緊急招集ですよ〜」

と入口より飛び込んでくる斗詩

 

「郭図さん 許攸さん・・・冀州に出始めたという賊の事はアナタ達に一任しておきますわ」

「「はは〜〜〜」」

と麗羽に頭を垂れ下がっていく郭図・許攸二人

 

「あら 中・軍・校・尉の袁本初をお呼びとは一体何の用かしら?

 ・・・いいでしょう 斗詩さん 猪々子さん 参りますわよ おーっほっほっほ♪」

 

「「あらほらっさっさ〜」」

と麗羽の後ろをついていく斗詩と猪々子二人・・・

 

 

・・・袁家は平常運転のようである

 

 

 

扉の前にいる紀霊に目礼して扉を開けると

「美羽様〜 美羽様に招集がかかってるんですけどぉ〜」

 

「すぅ〜 すぅ〜 なぁ〜なぁ〜のぉ はちみつ水をもってまいれぇ〜〜〜すぅ〜すぅ」

と機嫌良く寝所でお休み中の美羽であった

 

「もう〜美羽様ったらぁ〜 寝言でまで蜂蜜水なんですねぇ〜」

と寝顔を見つめて呟く・・・自然と笑みがこぼれる七乃である

「紀霊さん 引き続き美羽様の警護よろしくお願いしますね」

「ハッ」

と軍人らしく素早く七乃に敬礼する紀霊

「ん〜〜〜〜 美羽様の可愛い寝顔見れて癒された事ですし〜 ワタシが代理で行ってくるとしますか〜」

と静かに扉を閉め去っていく

 

 

・・・こちらの袁家も平常運転のようである

 

二つの袁家・・・もまた戦乱という渦に飲まれていく事になる 果たして”オチ”となるのか? ならないのか?

 

 

 

「陶謙様 大将軍より緊急招集です」

と落ち着きを払いつつ政務をしている陶謙の邪魔にならないよう小声で話しかける糜竺

 

「ふむ 緊急とな? 何ようかの? 子仲(糜竺)や何か聞き及んでおるかの?」

と陶謙は糜竺問い返すものの

「いえ 何も」と答える子仲(糜竺)

 

「・・・ふむ 行かねば判るまいか・・・」

と言うや筆を止め出かける準備をする陶謙 ようやく終わったのか椅子より立ち上がり杖を使い歩き出す

「元龍(陳登)、子仲(糜竺)や 参ろうかの」

「「はっ」」

外で準備が整うまで待っていた二人は素早く陶謙の後ろへついて行く

 

 

陶謙が支配する徐州もまた歴史に翻弄される運命にある

歴史通りに進むのか? それとも・・・今その答えは闇の中である

 

 

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『洛陽宮中』にてーーーーー

 

 

天の御使い様が舞い降りた・・・と聞いた でもそれはすぐ失望へと変わった・・・

何故? どうして私の・・・私達の元へ舞い降りて下さらなかったの?

こんな・・・こんなハズでは・・・なかったのに・・・皆さんの悲鳴が・・泣き声が・・・私の心を胸を穿ち離れようとしない・・・

 

ココへ来れば変わると思っていたのに・・・

皆を幸せにしたい 優しい世界にしたい たったそれだけの事なのに・・・どうして・・・なんて世界は残酷なの・・・

・・・少女の涙が頬を伝い零れ落ちる

 

「月 ここにいたのね 探したわよ」

「詠ちゃん・・・」 

「月 どうかした? もしかして誰かに何かされた?」

・・・月は詠にこれ以上心配をかけないように急いで、頬から溢れ落ちた涙跡を隠すように拭い

「ううん 何でもないの」

と作り笑いを浮かべる月

 

これで何度目だろう・・・痛々しい月をみるのは、胸が締め付けられ張り裂けそうになる詠 そんな姿をみて決意を新たにする

・・・月を必ず『丞相』へと押し上げ抵抗勢力を排除してみせる そうすればきっと・・・笑顔溢れる月になる 今はそう信じて・・・ 

 

「そう? ご飯だって 恋や霞達が屋敷で待ってるから・・・いきましょ?」

「華雄が下でボク達を待ってるって」

「うん」と二人手を繋ぎ連れ立って去っていく

 

この後、少女達の夢は・・・想いは儚く露と消えゆく過酷な運命に翻弄されることとなる・・・

 

 

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『荊州』にてーーーーー

 

 

?越より報告を静かに玉座にて肘掛にもたれ黙って聞く劉表・・・次第に苛立ちを募らせる・・・ 

「むぅ 孫家め 凋落しおったのに・・・ まだ楯突こうというのか・・・忌々しい」

と怒りをあらわにする

 

「蔡瑁 黄祖に伝えて江夏の防備をしかとな ”以前”のような水軍の失態はないように注意せよ」

 

「ハッ 劉表様 心得ておりますれば・・・どうぞご安心召されい」

と自信満々に答える蔡瑁

 

「私は今から伊籍と共に水鏡塾へ参るのでな ?越 後のことは任せたぞ?」

と?越の返事も待たずに扉から出て行く劉表

 

「はは〜〜〜〜」

と慇懃に劉表へ頭を垂れる?越

 

?越が懐より一枚の竹簡を蔡瑁に手渡す その書簡をみるや二人してほくそ笑む

孫家め此度こそ滅ぼし・・・孫権めを生け捕ってみせる・・・クックックと野望を燃やす蔡瑁

一方、あの女狐(冥琳)をどう料理してやろうか・・・と不敵な笑みを浮かべる?越

 

二人の奸計は、果たして孫呉の息の根を止めることとなるのだろうか?

 

 

水鏡塾をそぉ〜っと仲良く手を繋いで抜け出す二人の少女の影

 

一人は水鏡塾の始まって以来の逸材『臥龍』と称される天才軍師、諸葛亮こと朱里

もう一人は魔女っ娘が被りそうな帽子を落とさないように必死に抑え、朱里の手を離さないように握り締める『鳳雛』?統こと雛里である

 

そう二人は劉表からの再三の仕官要請を断り続けていた 

その理由とは・・・劉表の事を調べてみると、中央政権との政争に明け暮れ

国内に関しての施策をおざなりにしていた事で、当主としての劉表を評価していない

 

劉表自身が関わっている証拠はないものの・・・

孫家に執着しすぎている”きな臭い”暴走家臣達がいることなどが挙げられた

 

また二人は劉表と孫家の関わりを調べている内に、孫家に天の御使いと噂される人物がいることを掴む

 

天の御使いとはどういう人物なのか・・・を調べているうちに、二人が考えも及ばない方法(保険なるもの?)を駆使して

資金を調達していることを突き止めていたが、詳しく知ろうと踏み込むと、肝心な処で孫呉間諜陣の妨害工作が入り

現在一書生の身分である朱里と雛里では、知り得る情報に限界があったのである

 

本来なら姉の藍里を通じて士官するのが最も確実な方法なのである

 

しかし、士官を断り続けられ焦れた劉表は、二人を”ある希少本”で釣り、強引にも城へ連れ出そうと計画していたのである

そんな事情を察知した二人は、希少本に少しグラつくものの・・・このまま押し切られ士官させられてしまうくらいなら・・・

と自分達の意思で、天の御使いや朱里の姉・藍里のいる孫呉へお世話になろうと一念発起し

夜陰に紛れて抜け出したというのが事の真相である

 

「朱里ちゃん 朱里ちゃん 陽が昇るまであの荷馬車に隠れておこうよ」

「雛里ちゃん そうだね・・・」

と抱き合いながら寝てしまう朱里と雛里の二人

 

朱里・雛里達が抱き合いぐっすり夢の中にいる間に・・・

ド●ドナの曲をバックに、荷馬車はゆっくりと『北』へ向かって走り出していたのである・・・

 

彼女らにこれから待ち受ける大冒険とは?・・・二人が辿り着く先とは一体・・・

 

 

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『益州』にてーーーーー

 

 

「張任か・・・何用だ?」

「劉焉様 劉璋様がご帰還されました」

 

「・・・ふむ季玉(劉璋)か よ〜帰ってきた」と機嫌良く迎える劉焉

「はっ 父上 十常侍・張譲様より父上宛てに竹簡を預かっています これをどうぞ」

・・・と玉座に近づき劉焉に直接手渡す劉璋

 

竹簡に視線を走らせる劉焉の竹簡を持つ手が次第に震え、顔色が段々と怒りに満ちて来ていた・・・

「父上 いかがいたしました?」

・・・と恐る恐る聞き返す劉璋

 

「おのれーー張譲 貢物が足りんと催促してきおって・・・ 季玉(劉璋)もう洛陽へは帰らんでよいわ!」

と怒り心頭の劉焉

「ヒッ はっはぃ・・・」

と余りの剣幕に事情も聞けず、生来の気の弱さをここで見せてしまう劉璋

 

「孫堅の追い詰めに協力させおった癖に・・・終われば我らから搾取か・・・ そうは参らぬわ」

と吐き捨てるように喚く劉焉

 

この難局をどう乗り越えていくのか・・・

 

 

『涼州』にてーーーーー

 

「おねぇ〜〜さ〜ま〜〜〜〜〜」

と後方より微かに聞こえてくる聞き覚えのある声に、翠は疾駆させたまま振り返り

「おう たんぽぽ なんだ〜〜?」

と後方より向かってくる砂塵へ向かって問い返す

 

たんぽぽと呼ばれた少女は

「五胡に動きがあるかもっておば様の処に伝令が〜〜〜」

と疾駆しながら大声で翠に要件を伝える

 

「わかった 戻るぞ! たんぽぽ」

「了解 お姉様」

と言うや二人は馬首を返して一路、武威の居城へと急いで引き返す

 

青空の下、”●錦?”馬超は今日も愛馬・黄鵬で荒野を馬岱と共に疾駆する 

彼女達の未来にも徐々に暗雲が立ち込めてくる事になる 

 

・・・果たして十文字槍「銀閃」を煌めかせ払い除ける事ができるのか? はたまた飲み込まれてしまうのか?

 

 

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『洛陽宮中奥』にてーーーーー

 

宮中で人が滅多な事では立ち寄らない薄暗い空き部屋の中で

「御使いが落ちた事で修正力が働いたか・・・余計な事を・・・今はまだ・・・様は”動けない”のであろうが・・・いずれ・・・」

と一人の影が独り言を呟いていた

 

すると天井よりスゥーーーーーと降りてくる人影が、その人物へ静かな声で語りかける

 

「??様 只今戻りました」

「うむ ご苦労 ・・・して”例”の件は?」

 

「ハッ 段珪様による”計画”は順調のようです ??様 例の御使いを今の内に殺しておいた方がよくありませんか?」

「御使いなど 今はどうでもいい それよりも”修正力が働いた事”の方が厄介だ」

 

「御使いが落ちたせいで、時代の流れが変化し、加速する恐れが出てきた ・・・これ以上の失敗は許さんぞ?」

「はっ お任せあれ ”孫堅”めは討ち取り損ねましたが・・・あちらへも”手”は打っておきました」

 

「ならば良い そちらの”計画”も一段階前に進めよ」

「ハッ 承知いたしました ??様」

というや闇に溶けていく

 

僅かな歪み・・・の”正体の一端”がついに水面下で蠢き始めた

その先にあるのは・・・破滅か?・・・絶望か・・・あるいは?

 

??の浮かべる冷笑が、大陸を恐怖のどん底へと誘うのを予兆させるには十分な程、周囲へ不気味に放っていた・・・

 

 

 

それぞれの想いや思惑が交錯し火花を散らし((鎬|しのぎ))を削る・・・本格的な戦乱へと誘う銅鑼の音が鳴り響いた瞬間であった・・・

 

 

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■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 ○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン) 

 

   春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し

   「江東の虎」の異名で各地の豪族を震撼させた

   優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた

 

 

 ○張紘 子綱 真名は紅(コウ) 

 

  呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程c(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる

  張昭と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  ※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。 

    呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です

 

 ○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)

 

   普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う

   発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する

   このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される

 

   ※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです

 

 ○張昭 子布 真名は王林(オウリン) 

 

  呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる

  張紘と共に『江東の二張』と称される賢人

 

   妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか

 

 ○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)

 

   緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名

   祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする

   部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている

 

   真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・

   

 

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【あとがき】

 

皆様 こんばんは この作品を愛読して下さる皆様 誠に有難うございます

 

皆様のコメント並びにカウンターの数値は、私の続きの作品の制作活力ともなっております

初めてお読みになります 皆様 初めまして 作品をお読みになり少しでも興味を持っていただけたら嬉しく思います 

 

まず最初に・・・前話(7話)のカウンター・・・壊れてるよね? これ・・・ 私のカウンターだけなのでしょうか・・・滝汗

2012-10-31 20:13:08 投稿 / 全4ページ 総閲覧数:0 閲覧ユーザー数:7って・・・

 

総閲覧数”0”っておまっ 最低でも”7”はあるでしょうに・・・(苦笑 ・・・(^ω^;)

 

きっと・・・蓮華さんの『兄様♪』の破壊力のせい♪ということにしておきます・・・ウンウン(^-^*)(・・*)(^-^*)(・・*)

いやーすごいですよね 蓮華たん カウンターを破壊させるとはーー(棒

 

それとも皆様 本当に去っていってしまわれたのでしょうか・・・(ぴゅ〜〜〜〜〜〜〜 ポカ―(o゚Д゚o)―ン状態の雪月なのであった・・・

(サーバーのメンテが入ってから投稿された小説に関しては治ったようですね

 メンテ以前である私の作品もメンテ後からのカウントなのかな? これ・・・

 皆様の貴重なコメントとご感想をすでに戴いちゃってますので、今更投稿し直すなんて事もするつもりもありませんが・・・

 放置しとこ♪)

 

コホンッ え〜話は変わりますが、ようやく本編の序章を終えることができました

皆様のご感想 ご指摘本当に感謝しております 今後ともお気軽にコメント並びにお読み戴けますと嬉しく存じます

 

この度ようやく序章も一段落しましたので、ボツネタばらしをば・・・

この作品の初期プロットでは、真・恋姫のシナリオをメインに踏襲している為、大きく分けて3つのシナリオ構成でした

 

表題『蒼天翔ける御使い』と書いて、あまかけるみつかいと読んでもらおうとしておりました

3部構成ー@孫呉千年の大計  A曹魏夢幻の如く  B蜀漢滅び逝く宿命に抗う魂(漢編は入れておりませんでした ごめんなさい・・・)

 

え〜〜〜絶対途中リタイア決定+書き終えるのに何年かかるんだ?的、無謀かつ壮大な計画でありました・・・

 

3作を同時進行をしながら・・・という、これまたさらに上を”逝く”無謀な意欲も持ってたりもしたのですが・・・

書き始める前に”即”挫折しております ハイ(涙  今考えるとなんて無謀な・・・妄想ってコワイヨネ

ガクブル((((゚Д゚;))))だったりします・・・

 

私自身すっごく不器用なこと、飽きやすい性格なので・・・

一作品ならなんとか書き終えることができるかな?と思い書き始めた次第です

 

今のところは、孫呉編(孫呉千年の大計)を書き終えた時に気力・余力が残っておりましたら

曹魏編・蜀漢編を書けたらという妄想を描いております

 

 

まぁ気力尽き果て無理だとは思っておりますが(苦笑  

 

 

今のところは、初期プロットの孫呉編(孫呉千年の大計)に従って完結へとむけて制作しております

(たま?に・・・蓮華の拠点があるというのに、全く出番させないというような”大ポカ”とか致しますががが・・・)

 

今後とも作品を皆様に楽しんで戴けますように、自身が楽しんで描き続けられますように

無事完結出来ますようにと願わずにはいられません

 

序章が長いって変だし・・・下手して第一章より長かったら・・・と思うとガクブル((((゚Д゚;))))なので・・・

最後は思い直し一気に駆け抜けた感じです

 

 

話を広げようと思えばできたんですよ?・・・とまた言い訳をする雪月だったりします

 

 

それでは皆様 次回第一章 蒼天已死 黄天當立にてお会いしましょう 

 

・・・と格好良く言い去りたい処なのですが

拠点5人分(雪蓮・蓮華・冥琳・祭さん・紅さん)を挟んでから本編・第一章 黄巾編へと突入予定です

 

第一章へは、もうしばらくお待ちくださいませ〜

 

それでは今度こそ まったね〜( ´ ▽ ` )ノ

 

 

説明
初めまして 雪月と申します。

この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております

設定としましては『呉ルート』を予定。
主人公は『北郷 一刀』さんです 能力は『チート級』になっております ご注意を
メインヒロインは『雪蓮』と『蓮華』の2人

拠点におけるヒロインストーリー数に関しまして、
メイン固定2名+事前アンケートを取り上位(1位・2位)の2名+下位(ブービー賞?)の1人を加えた『計5人』の予定です
同数票なら、人数分・・・雪月(作者)の書く量が増加するだけです(泣

何分初めての投稿につき、お見苦しい点・ご都合主義な点等多々あるとは思いますが
お気づきの点・至らない点・誤字等は感想等で、遠慮なくご意見を賜りますとありがたく嬉しく存じます
『更新』に関しましても、遅筆にてご迷惑をおかけするとは思いますが、気ぃ長〜〜〜に期待してお待ちいただけますとうれしく存じます

それでは序章 第8話 『 脈動 』開幕となります 作品共々よろしくお願いいたします
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コメント
>・・・どこまで話していいのやら^^; お酒飲んだ頭で答えてはマズそうなので・・・ 話せる部分を整理してから次回に返信いたします ほんとすみません カキコできなくて(雪月)
>簡単にぶっちゃけますと今考えついたとかではなく、後付けする訳でもなく、質問の件は実はこの世界の核心部分だったりします ハッキリ言っちゃいますと今の時点で年齢は”おかしくて”当然なのです(雪月)
>バズズ様 イマ様 レイブン様 Mr.ハリマエ様 ご感想コメントありがとうございます 気づきにくい処をつかれましたね 年齢設定に関しましては、前々から聞かれるかな?と自身が思っていましたので、後で強引だなって思われるのかな?とは思っていたのですが・・・(雪月)
年齢設定が今の時点でおかしい気がしてきた、(黄昏☆ハリマエ)
一刀や雪蓮が十歳なら他の例えば桃香や華琳は何歳の設定なんですか?あと現勢力の紹介ならこれくらい縮めてもOKだと思いますよ。(レイブン)
一気に各勢力が出張ってきましたね。一刀をこの世界へと送った緋蓮さんや貂蝉の目的がなんなのか、各勢力がどのように興亡を繰り広げるのか、wktk でございます。(イマ)
蓮華が「兄様♪」ですからね そりゃカウンターも壊れますよ!スカウターが吹っ飛ぶ感じで 次回も楽しみにしてます。(バズズ)
タグ
真・恋姫†無双 恋姫†無双 三国志 孫呉 曹魏 蜀漢 一刀 冥琳 

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