実録夢小説外伝―実録白昼夢
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私はガソリンスタンドでバイトをしていた時の話なのですが、私の住んでいるN市とでもしてましょうか、少子高齢化の影響で、バイトのお客さんの過半数はご年配の方です。

 

その日もラッシュの時間帯になりたくさんのご年配の方が来ました。

その中の一組に気になることがあったのです。

老夫婦が薄い銀の軽自動車に乗って来店されたんですよ。

運転席には元気そうなお爺さん、隣の席には奥さんであろう眼鏡をかけた優しそうなお婆さんが乗っていました。

お婆さんは私の方を振り向かずにじっと前方を見ていました。

私はいつも通り「レギュラー、満タン、お支払いの方は現金でよろしいでしょうか?」とマニュアル通りに聞きました。

お爺さんは「はい」と答えて私はすぐに給油を開始しました。

いつもでしたら窓ふきを行うのですが、バイトは私を含めて二人で正社員の人が一人の計三名なのに対して、洗車の車を含めて四台、しかも一台出たらすぐに一台入る様な状態でした。更にローリーが来ていてすし詰め状態。

忙しかったので私は洗車機や他の自動車の間を何度も往復していていました。

そこで軽自動車の給油も終わりさてお会計だということでその軽自動車の扉を開けるとお婆さんの姿はありませんでした。

別段不思議とは思いませんでした。私のバイトしているスタンドでは年配の方々は独自の地域のコミュニティがあり、お客さん同士のおしゃべりで自動車から出ることは良くありました。気になったので周りを軽く見渡しましたが、いなかったのでトイレにでも行ったのか、店の中で飲み物でも買っているのかと思いました。

問題はここからでした。

お爺さんはお会計を済ませた後にお婆さんが戻っていないのに車を走らせてお店を出て行ってしまったのです。

ん!?と思いながらしばらく停止していたから正社員の方に檄を飛ばされて急いで仕事に戻りました。

忙しい場合は大抵常連さんなので空気を読んでスムーズに帰ってくれることが多いです。忙しい日はどうしても話したい場合は車の窓を開けて話します。下手に車の扉を開けると従業員の邪魔になるのも知っています。

あまりないケースですがお客さんが同乗者を置いて行くパターンについて考えました。

そこまで大きなスタンドでもないので軽く見渡せば自動車があっても全体が把握できます。

出口は三か所、お客様が入る表の道、裏道から自動車が入る道、人が出る用の裏口です。

表に出る道ですが、出入りが激しいかったので可能性は低いです。その辺りを担当していたのがおしゃべりなバイト君だったので、迷惑だと思ってラッシュの終わった後に私に言いに来るはずですがそれがありませんでした。

裏の自動車が入る道ですがローリーが頭まで入っていて身体を細めないと通ることができないほど狭いです。燃料用のホース等を繋ぐと道はほぼなくなります。

最後にあるのは従業員用なのですが洗車機の横にあり私がずっと行き来していたので私が目撃しないわけがありません。更に言えば、出た先がブロック塀を積み上げた様な階段になっており足場は結構ぐらつきます。そんな場所を年配者の方がわざわざ通ると主思えませんでした。

 

後日、おしゃべりなバイト君と従業員の方に話を聞きましたがそんなお婆さんが出たのを見ていないそうです。

 

結局のところ私の見たあのお婆さんは何者だったのでしょう・・・?

 

説明
事実は小説は奇なりといいますが、つい最近体験した不思議ない話です。
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小説 実話 ある意味夢小説? 

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