IS《インフィニット・ストラトス》駆け抜ける光 コラボ小説第二弾 第七話 光を救うこと
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光輝「クレアちゃんのISって騎士みたいだね」

一夏(異)「言われたらそうかもな……あいつのISはガンダムタイプじゃないけど、匹敵するような性能をもってるんだぜ」

 

 箒さんの赤椿とクレアちゃんのIS『ランスロット・コンクエスター』は比べてみると武士と騎士。まさにそんな感じだ。

 

シャル(元)「最近の箒って凄く動きも良くなってるし、紅椿も上手く使いこなしてるからクレアでも強敵じゃないかな?」

シャル(異)「へぇ〜、でもクレア自身も高い身体能力を持った子だからね。私たちでも苦戦する時あるよ」

一夏(元)「まじかよっ! 凄いなぁクレアちゃん……」

 

 確かにクレアちゃんが高い実力を持っているのは感じていた。それがどれ程のものかは正確には分からないけどね。あ、戦闘が始まったみたい……。

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クレア「でやぁぁぁ!」

 

 クレアは滑走しながら両手にMVS――メーザーバイブレーションソード――を持ち箒に接近する。しかし唯、接近するのではなく圧倒的なスピードで正面から横に高速移動しながら攻めてきた。

 

 しかし箒はそれに反応し展開装甲を機動重視に設定し展開装甲のスラスターを全開にして横からの斬撃を空中に移動して回避し、そのまま雨月による刺突によるレーザー、空裂による斬撃のエネルギー刃による遠距離攻撃を行う。

 

 クレアはそれらを回避しMVSで弾きながら箒に取りつく。そしてブレイズルミナスを纏った蹴りを箒に喰らわせる。

 

箒「ぐぅ……蹴りだと!? さっきに移動と言い、なかなか凄い動きをするんだな」

クレア「ランスロットは私の無茶な動きについてこれるようにつくられたISなんです。でも箒さんもいきなりあそこで反応するなんて……」

箒「アムロさんに鍛えられたからな。でもさっきのは危なかった……」

 

 クレアは箒をみて安堵している。クレア達の世界で暴走していた箒と戦っていた際のような憎悪を感じられず、それどころか凛としていて曇りのない真っ直ぐとした瞳。世界は違えどそれは改心した異世界の箒と同じ――覚悟のある証拠でもある。

 

箒「君のISがガンダムタイプでないにせよ、手加減するつもりはないからな。容赦なく戦わせてもらうぞ」

クレア「もちろんです! 思いっきりいかしていただきます!」

 

 箒は空裂、雨月をクレアはMSVを構えてお互いに二刀流による斬撃戦が始まった。剣と剣が合わせる度に高い金属音を鳴らしながら火花が散っていく。

 

 剣と剣のぶつかり合いの中、クレアだけは蹴り等の打撃攻撃を組み合わせている。その攻撃スピードについていくのがやっとな箒は徐々に押され始める。

 

箒「ぐぅ……やるな。これはどうだ!」

 

 斬撃中に箒は脚部の展開装甲からエネルギーソードを出現させ、回し蹴りを行う。クレアは突然のあらぬ方向からの攻撃に反応出来ずに直撃し、シールドエネルギーが消費する。

 

クレア「わわっ! 凄いところから攻撃が来た……でもまだまだぁ!」

 

 クレアは4基のスラッシュハーケンを射出させ、そちらに注意を向かわせる。箒も背部に2基ある展開装甲をビットに変形させて攻撃に加えさ、見事に4基のスラッシュハーケンを弾き、再びクレアに攻撃を与えようとする。

 

クレア「こうなったら……!」

 

 MVSをしまい、ブレイズルミナスを纏わせた打撃攻撃で戦おうとするクレア。箒もクレアの雰囲気が変わったのを感じ、ビットを収納し両手の刀を構える。

 

箒「やはり小細工はなしだ。この刀だけでいくぞ……!」

クレア「そろそろ終わりにします! 絶対に負けません!」

 

 

 

一夏(異)「クレアをここまで追い込むとは……箒も凄いな」

アムロ[箒の紅椿は展開装甲の使い方をこなせば、存分に性能を発揮できると思ってね。それを重点に置いた練習をさせてたんだ]

ロックオン「なるほど……やっぱりアムロさんって教え方が上手なんでしょうね」

アムロ[そうでもないよ。僕は唯、ちょっとしたアドバイスを言っただけにすぎない。それをどうしていくのかは本人次第ってことさ]

鈴「でもあいつ、一気に伸びたわよね。私たちでも勝つの難しいかも……」

 

 紅椿が他の専用機に比べて性能はかなり高い。それを箒は使いこなし始めているのだ。今までは機体に振り回されているだけだったが、それを使いこなし始めたのなら恐ろしいことになる。

 

光輝「クレアちゃんのISも独特だね。ガンダムとは作りも違いそうだし、クレアちゃんの激しい動きについてこられるってけっこう凄い……」

ロックオン「クレアって普段のほんわかした雰囲気からは想像もできないような動きをするからギャップがあるのよね」

光輝「確かに……そろそろ決着がつきそうだね」

 

 

 

 戦闘は終息に向かっていた。二人ともお互いの気力を振り絞って戦っているが、クレアが箒の攻撃を徐々に見切り始め、追い詰められる箒。やはりクレアの潜在能力は底知らぬものがある、ということか。

 

箒)――こいつ! 私の動きを見切っているのか!? 

 

 こちらが攻撃すればこちらの予想を覆すような動きで斬撃を受け流しカウンターを受ける。しかも一つ一つの打撃のダメージが重いのがまた立ちが悪い。

 

 クレアが打撃攻撃を行う際は必ずブレイズルミナスを纏わせる。ブレイズルミナス自体が元はシールドの役割なのだが、そんなものを纏わせて攻撃するのなら尚更だろうか……。

 

クレア「このまま押し込む!」

 

 クレアは流れるような打撃を箒に喰らわせ、シールドエネルギーをどんどん減らしていく。箒も二つの刀と展開装甲で押し返そうとするがクレアがそんな隙を見せてくれるわけもなく防御で手いっぱいだ。

 

 クレアは思いっきり回し蹴りを喰らわせた後、ヴァリスを構えてコンクエスターユニットに相殺されているハドロンブラスターの砲身とを合体させ、極一点集中型のハドロン砲を放つ。

 

箒「このままやられるものかぁぁ!」

 

 紅椿の展開装甲を全て防御に回して強力なシールドを展開させるが、戦闘のダメージで上手く作動しきれてなかった。そのため30%ほどしか抑えることが出来ずに紅椿は解除された――

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箒「完敗だ……。けっこう追い詰めたとは思っていたんだが、そうでもなかったのか」

クレア「そんなことないですよ! 私もけっこういっぱいいっぱいでしたから」

箒「そうなのか? とにかく今日はいい経験になったよ。また強くなって戦いたいな。ありがとう」

クレア「こちらこそありがとうございました! また箒さんと戦いたいです!」

 

 二人は握手を交わし、お互いを認め合った。紅椿とランスロット・コンクエスター――これらはガンダムでなくともそれに近い性能を持つ。いつかこの二つの性能が通常と呼べるぐらいにISは進化していくんだろうか?

 

千冬「さて、最後はお前たちか」

一夏(異)「全力で行かせてもらいますよ。紗英先輩」

紗英「う、うん。よろしくね! まぁ私自身じゃないけどね」

一夏(異)「ISを使ったら人格が変わる、か。上手くいけば――」

 

 ISを使ったら人格が変わると言う紗英に一夏はあれを使えたら使ってみようと考える。

 

ロックオン「クアンタムバーストをするつもり?」

一夏(異)「できたらな。紗英先輩がなぜ人格が変わるのか、何か原因があるはずだ。俺が深くつっこむところじゃないんだろうが……」

アムロ[一夏、クアンタムバーストとは何だ?]

 

 二人の話に耳を向けていたアムロはそれで何をするのか知ろうとする。

 

一夏(異)「クアンタムバーストはISのコアと対話を行うための力です。俺のIS――ダブルオークアンタにだけある、対話で戦いを止める力――出力さえ落とせば人とも対話が出来るんです」

 

 その言葉にこの世界の人間は全員驚いた。ISのコアと対話が出来ると言うことはコア自体にも何かしらの意志があると言うことだ。Hi-νガンダムもサイコバーストを使ってできるが、コアまで干渉することはできない。

 

アムロ[なるほど、それを使って紗耶の人格と対話を試みると言うのか。それなら光輝と一緒に行えないか?]

ロックオン「光輝のガンダムもそんなことできるんですか?」

アムロ[出来るにはできるんだが……前に紗耶と対話を試みようとした時に発動しても弾き返されたんだ。理由は今も分からないんだが……]

 

 光輝達も紗英が紗耶になる理由を探るべく、サイコバーストを使って試した時があった。しかし、アムロの言った通り弾き返されてしまった。

 

紗英「あたし自身、もう一人のあたし――紗耶ちゃんがどうして出てくるのか、どういう想いなのか知りたいの! お願い一夏ちゃん!」

一夏(異)「もちろんですよ。俺の力で誰かを助けれるなら俺は助けたいから――。光輝、協力してくれるな?」

光輝「うん! 一人がダメでも二人ならきっと!」

紗英「あ、ありがとう二人とも……!」

 

 一夏は快く承諾し、模擬戦を始める前に作戦を決行することとなった。だがHi-νガンダムのダメージが酷くサイコバーストを発動することが出来ないので明日――月曜日だが運よく祝日の為学校自体は休み――ということになった。

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千冬「坂本、明日は大丈夫か?」

 

 アリーナを解散した一同は、明日の作戦を練ったり、続けてアリーナで練習をしたりとそれぞれの行動を取っていた。そんな中、千冬は紗英を部屋に呼んで個人的な話をしていた。

 

紗英「はい。これでやっと紗耶ちゃんが何を想っているのか分かるとなるとある意味ホッとします」

千冬「だが、アムロさん達も言っていたが確実に出来るかどうかは分からない。そこは分かってくれるな?」

紗英「分かってます。たぶん、この前出来なかったのはあたし自身に何か問題があるからだと思います。せっかく光輝ちゃんが頑張ってやってくれたのにあたしは――」

 

 確かに紗英に何かしらの問題があったのかもしれないがそれは本人も分からない。そうやって紗英は自分を追い込んでしまう。

 

千冬「自分を責めるな。お前は一年生の頃から、自分を責めてしまうところがあるな。それが全部悪いこととは言わないが、思い詰め過ぎるな。誰も迷惑だなんて思っていないさ」

紗英「そう……でしょうか?」

千冬「そうだ。本当に迷惑なら誰もお前に近づこうとしないし、光輝も二度とやらないさ。もうちょっと甘えてもいいんだぞ?」

紗英「もう十分甘えてると思っているんですが……」

千冬「そうだな、お前が更識と一緒いる時みたいに甘えても良いと思うぞ」

 

 そう言った瞬間、紗英の顔が一瞬にして真っ赤になった。確かに紗英は盾無と一緒に居る時や二人きりの時はめちゃくちゃ甘えん坊になる。当初、周りは唖然としていたが今となっては受け入れてもらってるし周囲の生徒公認カップルである。

 

紗英「せ、せんせぇ! なな何でそんなこと言うんですかぁ/// 先生方には見せないようにしていたのに……」

千冬「知っているのは私だけだがな。でも本当の事だぞ。お前はもうちょっと甘えてもいい。光輝達を信じてくれ」

 

 

 

光輝SIDE

 

 夕食も食べ終わってもう21時ぐらい。明日の作戦も完全に決まり、後は当日を待つだけ。紗英先輩を安心させるためにも失敗するわけにもいかない。

 

 さっき、食堂で紗英先輩が、明日はお願いします! と言ってきた。そんな先輩を必ず救って見せる。僕自身の意志で先輩を……。

 

アムロ[そんなに気張る必要はないよ。ただ紗英を助けたいと思う気持ちがあれば大丈夫だ]

光輝「はい。今度は一夏くんも協力してくれるし大丈夫ですよね」

アムロ[そうだ。君は一人じゃない。仲間を信じていこう]

 

 そんな会話をしていると、扉をノックする音が聞こえた。返事をして開けるように促すと、入って来たのはロックオンさんだった。

 

ロックオン「あら、今邪魔だったかしら?」

光輝「そんなことないよ。髪、梳かしてただけだから」

ロックオン「私にやらせてくれないかしら? ショートだけどこれでも髪の手入れはちゃんとしているわ」

光輝「じゃあお願いしようかな」

 

 僕は櫛を渡してロックオンさんにお願いする。何というか自分でやるより人にやってもらった方がいいなぁ。なんだか気持ちよくなってきちゃった……。

 

ロックオン「ちゃんと髪の手入れしているのね。ここまで長いと難しそうだけど、ますます男の子に見えないわよ?」

光輝「あ〜やっぱりそうなのかな? でも大切にしたいからね」

ロックオン「ふふっ、可愛いわ。さて、これでいいかしら」

 

 鏡で見ると自分でやるより綺麗に纏まってる気がする。ロックオンさん上手いな〜。僕はお礼を言うと「またいつかやらしてね」とロックオンさんからお願いされた。

 

 いきなり明日の作戦の話になり、気持ちを引き締めることが出来た。

 

ロックオン「……明日、無理しないでね」

光輝「大丈夫。今、一番不安なのは先輩だよ。絶対に成功させてみせるからね」

ロックオン「優しいわね……私も貴方のように強くなりたいわ」

光輝「大丈夫! ロックオンさんならきっと! ……僕も今日はロックオンさんがあの事を言ってくれたおかげで、僕自身の過去をみんなに話す決心がついたから。ありがとう」

ロックオン「ううん。私も不謹慎すぎたけど……もしかして私の過去も見たの?」

 

 幼いころから戦いに明け暮れたロックオンさんはある研究者に出会い、名前を貰い心を開いていく。そして仮面ライダーメテオになり一夏くんとも結ばれ、今に至っている。ロックオンさんも同じように苦しんできたんだ。でも今では過去を振り切って今を精一杯生きている。

 

光輝「うん……でもそれでもセリスさんはセリスさんだよ! 僕はそう思う」

 

 セリス・スカーレット。それがロックオンさんの本当の名前。ロックオンさんは驚いた表情だったが、すぐに微笑んでくれた。

 

セリス「ありがと光輝。光輝もあの時の彼女を想い詰め過ぎないで。もし、もしだけど死んでしまっていたら――」

光輝「大丈夫だよ。僕はそれでも彼女に会って謝りたいんだ。死んでしまっているかもしれないけど僕は、僕を救ってくれたあの子の為に今を精一杯頑張る。すぐには受け入れないかもしれないけど、少しづつ……」

セリス「それでいいと思うわ。ちょっとおまじないをするから目を瞑ってくれないかしら?」

 

 セリスさんのお願いを承諾した僕は素直に目を瞑る。頬に暖かい感触がし、すぐに離れた。ま、まさか……。

 

セリス「完了っと♪ じゃあ明日は頑張りましょうね。おやすみなさい♪」

 

 セリスさんは嬉しそうにそう言うと部屋を出ていった。思わず頬に手を当てる。まだ暖かな感触が残っている。僕は一気に恥ずかしくなりすぐに布団に包まって悶える。

 

光輝「あぅぅ/// 恥ずかしいよぉ……」

 

説明
箒VSクレアでっす! 戦闘シーンがありますが後半がメインっぽくなっちまった……。

コラボ第二弾 
第一話
http://www.tinami.com/view/430713

第二話
http://www.tinami.com/view/441524

第三話
http://www.tinami.com/view/465678

第四話
http://www.tinami.com/view/479903

第五話
http://www.tinami.com/view/482431

第6話
http://www.tinami.com/view/504546

オリキャラ・IS紹介
http://www.tinami.com/view/392141

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