無気力系女子
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『あなたの一票が、未来を変える』

 ……で? 変えたところで何になるんでしょうかね。そう突っ込まずには居られない。自称、無気力系女子の私としてはどうでもいいから、はやばやとこんなの結果発表をして欲しいものだ。

 自分で思ってからそれは無理だと気づく。私含め、ここに居る人が投票してないからだった。第一、どれを選んだらいいかなんてよく分からないし、どれを選んだところで私が思う面白い結果やら、まさかの展開になりそうにない。

 未来を変える選択? うん。それはまあ確かにそうなんだろう。でも、私からすればどうでもいいわけで。人類の意思とか、存続とか言われましても。

 いやーそれにしてもシェルターの中って思った通り何もないんだなあ。壁をコツコツと触ってみるけど、なんか硬いなあとしか思えない。何で出来ているのかよく分からない。アンノウン。これからのことを考えるよりも、これが何で出来ているか考えるほうが楽しそうだなーと私は思うのでした、まる。

 周りがぞろぞろと動き出したので、わーっと人の波に飲まれてみたいなあとか思ったけれど、私以外の人はたどたどしく移動しているだけで、それは叶いそうにない。

 あらら、残念だ。わたしも流れを乱さないように適当に移動する。それにしてもみんな表情が乏しいなあ。なんでそんな絶望しきった表情をしているんだろうか。

 いつであれ、ポジティブシンキングが人生楽だと思いますよ、ええ。私は絶賛ネガティブなんですがね。今だってどうすればいいんでしょー。全く後先考えてないんですよねー。誰に話しかけているのですか、と問われれば自分ですって答えるぐらいにはひねくれている考え方なんだよなあ。

 投票用紙を受け取ってしまった。どちらかに印を付けて投票すればいいらしい。話を聞いてなくてもそれぐらいは察せますよ。うん、でもどっちに投票しても意味ないと思うんですよね。ちらっと内容確認しましたけど、戦うか、ここから逃げるか、でしたよ。そんなのどっちも嫌ですよ。

 投票箱の前にやってきた。前の人は中に投函して列の後ろのほうに戻っていってしまったし、私が出さないものだから後ろから『はやくしろ』などの罵声が聞こえてくる。罵声ってビクビクするし、ゾクゾクするよなあ。私はそれに動じずに、懐からサッとマッチを取り出して、火をつけて中に入れたのでした。

 どちらも選びたくないなら、選択を無かったことにするのは当然ですよね。ひどい仕打ちが待ってるでしょうけど、そのほうがまだ残り少ない人生を楽しめると思うのでした。

 

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