真・恋姫†無双〜始まりの外史〜
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 彼は普通の高校に通う普通の高校生、桐生一樹。

 とある、ゲームの主人公の名前と彼の悪い言葉遣いと武術を習ってたせいで、よくヤンキーに間違えられる程度の一般人だ。

 そんな、普通な高校生な彼はいつも通りこの道を通ってそこの十字の曲がり角を左に曲がってそのまま学校に行くはずなんだったのだけどなぜか彼は角を曲がった所で急に眩い光に彼は包まれていった。

 そして、光が収まるとそこには荒野が広がっていた。

 

「ここはどこなんだよ……」

 

 彼はどこまでも続く蒼い空とだだっぴろい荒野の間に立っていた。

 あの光とか、ここが何処だとか、どうやって来たとかは何一つ分からないが一つだけわかるとしたらここは彼が住んでいた東京ではないことぐらい。

「いやはや、無事に辿りつけたみたいだね」

 とか、思ってたら急に背後から声がした。

 思わず一樹は振り向いて声を荒げて問いかけた。

 

「!?――誰だッ!」

 

  そこには、幼い顔と黄色い浴衣が目立つ青年が居た。

 

「誰だってそんな荒げた声で言わなくても、まぁ、そんなに警戒しないでくれ」

 

「俺は誰だと聞いたんだ、まずは名乗れ」

 

「だから、そんな恐い顔しなくてもってまぁ、いいか。僕は君をこの世界に連れきた神様、名前は((遊神|ユウシン))、よろしくね、一樹君」

「――――ッ!?」

 今なんて言ったんだこいつ?

 神様だと? 馬鹿にされてるのか?

 そもそも、なんでこいつは名前を知ってるんだ!

 くそっ、気味が悪い……

「ふふっ、いいね。その驚いた顔。からかいがいがあるってもんだよ」

 いいように、遊ばれてるのか?

 だとしても、今は現状を把握するほうが大事なことだ。

 どうにかして、話を進めるしかないな。

「お前、いや、遊神様とやらにいくつか質問をしたいんだが?」

 

「様なんて付けなくてもいいのに、いいよ、いくつでも聞いてくれ」

「神様って名乗ったのは遊神様だろ、ちっ、まず、1つ目にここは何処だ?」

「えっと、中国、因みに遥か昔の時代だけどね」

「中国だと? 俺はさっきまで日本にいたんだぞ急に中国に居るはずがないだろ、それに、遥か昔? 俺がタイムスリップでもしたといいたいのか?」

 一樹は遊神を勢いよく責め立てた。

「まぁまぁ、落ち着いて。そんなに勢いよく言わなくてもちゃんと全部答えてあげるから、まず最初に一樹君の答えは半分あっててもう半分は少し違うかな。正確には僕がこの時代のこの場所に連れてきたってこと」

「なんの目的でこんなとこに連れてきたんだよ!」

 彼は思わず大きな声で怒鳴った。

 先程から遊神のしゃべり方は一樹をイライラさせるには十分な言い方だった。

「それは、簡単なことだよ。僕の暇つぶしとこの世界の女の子を救って欲しいのさ」

 理解できたのは前半の言葉だけだ。

 正直言って後半の女の子を救うって言葉はどこか漫画やアニメの言葉のように聞こえて頭のなかではしっかりとしたものにはならなかった。

「…………ッ」

「言葉が出てこないって感じかな? まぁ、当たり前だよね。急にここは遥か昔の中国でこの世界の女の子を救ってほしいなんて言われても現実だと思えないし、現実だとも思いたくないし、ねぇ?」

 くっ、なにかとむかつくこの野郎に反撃してやりたかったが、いまは頭のなかがぐるぐるしてて何も言葉が出てこない。

「いや、ほんとに反応が面白いね、一樹君。でも、ちょっと可哀相だからもう少しわかりやすく説明すると、この世界の時間軸は一樹君も知っている三国志と言われる時代。そして、この世界は一樹君が知っている世界とは違う、所謂、パラレルワールドっていうやつだね」

 まだ理解しきっていないのを知ってか知らずか、こいつは新たな単語を頭の中に放り投げてくる。

 正直、頭に入れるだけで今は精一杯で理解しきるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。

「少し時間をくれ」

「いくらでも、どうぞ」

 落ち着いてから再びあいつに質問を投げかけた。

「とりあえず、一番最初に思ったことを聞くが、どうして俺の名前を知っている?」

「神様に知らないことはないんだよ?」

「神様ってのは嘘じゃないってことか」

「僕は嘘をつかないよ、なんたって神様だからね」

 神様なのは関係ないだろと心のなかで思いつつも会話を再開する。

「それじゃあ、本題に入るが遊神様とやらがさっき言ったことをまとめると俺は三国志の時代の世界。しかも、パラレルワールドの三国志の世界に飛ばされて、その目的が遊神様の暇つぶしと女の子を救うことってか?」

「まぁ、そういうことだね。まぁ、一樹君がタイムスリップしてこの世界にいるだけでも十分パラレルワールドとして成り立ってるんだけど、補足として入れるとここの三国志の武将達は全員女の子なんだよね」

「女の子? あの、有名な曹操とか劉備とか諸々ふくめて?」

「うん、というか、結構衝撃的なこと言ったのに動揺しないね」

「これだけの短時間に漫画の世界みたいな話を聞かされたら少しは適応もするに決まってるだろ」

 適応なんて言ってるが、衝撃的すぎて受け流しているだけだ。

「まぁ、それもそうかな。もう、薄々感づいているかもしれないけど一樹君に救ってほしい女の子ってのは、その三国志の武将なんだよね」

「その辺にいるような高校生に三国志の武将を救えって言うのか!?」

「大丈夫、僕も何もなしでお願いする程、ケチじゃないよ。もし、うけてくれるならそれこそ漫画の世界のような能力を一樹君にあげるよ」

「漫画の世界のような能力ね、……思ったんだがそれを断ることもできるのか? そもそも、おまえの力でここに連れてきたのなら俺を元の世界に戻してくれないか」

 

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 こんな、危ない話をうけるぐらいならあちらの世界に戻ったほうがマシだ。

 この世界はゲームなんかじゃないんだから、死んだらコンティニューなどできないのだから。

「う〜ん、残念ながらそれはできないかな、もう一樹君はあっちの世界の輪から外れてしまったし、もとに戻すことは簡単なことではないんだよ、それに、これは僕の暇つぶしだ。その、暇つぶしに付き合わないなら君の存在を消すだけだよ」

「随分と横暴な神様だな」

「神様はそうじゃなきゃ務まらないよ」

 こいつ、笑顔で言い切りやがった。

 そういえば、会話し始めたからずっとヘラヘラと笑ってるな、気味が悪い。

「…………」

「浮かない顔だね、まぁ、一樹君が選ぶ道は1つしかないと思うけどね」

「…………」

「うけてくれるよ、ね? 一樹君♪」

「――っき――――くれ」

「ごめん、うまく聞き取れなかったよ。もう一度言ってくれるかな?」

「さっき、遊神様が言った能力を聞かせくれ」

「つまり、それは引きうけてくれるということだね?」

「………………」

 一樹は無言で頷くしかなかった。

 どうせ、死ぬならせめて人助けでもしたほうがいいし、それに、女になったとはいえ偉人にあえると考えたらワクワクしてきた。

 三国志の武将の名前とか出来事は格闘ゲームとかで聞いたことがある程度なぁ、などとぼんやり考えていたところだった。

「それじゃあ、そうだな、うーん、決めた! 一樹君に与える能力は武器を創造する能力と身体能力上昇。なかなかいいと思うんだけど?」

「えーっと、説明を頼みたいんだが」

「武器を創造する能力はまぁ、自分で思い描いた武器を作れるっていうのと身体能力上昇はゲームでいうキャラクターのパラメーターが全て上がるっていうことだよ」

 

 武器を創りだすっていうのは、まぁ、何となくわかるし、身体能力上昇もゲームのキャラ強化かって考えたら意外とわかりやすかった。

「その、能力にデメリットはないのか?」

「デメリットかぁ、武器の創造は具体的に思い浮かべないとすごい脆いのが出来上がるぐらいかなぁ」

「なんだ、意外だな。そんなもんで済むのか」

「あっ、でも、身体能力上昇については注意してね。この、能力は一樹君の体を元にするわけだから制限がかかるんだ」

 

「制限?」

 

 制限という言葉に今までの気持ちとは逆に不安な気持ちを抱いた。

 もし、命に関わることならばどうしようなどと嫌な想像ばかりが頭に浮かんでいたのがどうにも顔に出ていたようで

 

「そんな不安そうな顔しなくても大丈夫、制限って言っても大したことは無いよ。制限は二つあって、一つ目は永続的に使えないことって言っても体を鍛えれば一日は続くくらいには成れると思うよ。一樹君の努力次第だけどね。二つ目は無理をして使えば自分にダメージが返ってくるぐらいさ。自分に見合った程度に使えば何も起こらないよ」

 

 思わず息を飲んだ。

 それは、自分の力を見誤ったりすれば自分に全て返ってくるということになる。

 本当にそんな力を使いこなせるのだろうか? そう思うと思わず顔がきつくなってしまった。

 

「えーっと、一樹君? そんなに難しく考えなくていいんだよ? なんて言うかな、その能力は確かに自分の意志で使えはするけれど、これ以上使えば危険と本能が感じれば自動的に解除されるんだ。だからそんなに悩まないで、ね?」

 

「……そうなのか。なるほど、分かった。しっかりと覚えておくよ」

 

 あんまり難しく考えるのは苦手だが、体を鍛えて、自分の意志を強くすれば平気ってことだろう、多分、いや、そうだな、うん。

 

「まぁ、能力はこういう感じかな。さて、本題なんだけど一樹君には出会った女の子全員を救って欲しいんだ」

「いや、出会った女の子って無理だろ。それに救うって言ってたけど救うって何だよ?」

 

 そういえば、最初に女の子を救って欲しいとか言ってたけど何から救うって話だよってことに今更気づいた。

 痴漢とか、犯罪かって思ったけどこの時代だし、女の子とはいえ三国志の武将だしなぁ、さぞかしゴツいんだろうな。

「うーん、そうだなぁ。あんまり難しく言うと一樹君は混乱しそうだから簡単に言うと恋してチャチャチャみたいな?」

 

 うん?

 今、こいつ何気に馬鹿にしてきやがったからキレてやろうかと思ったら恋してチャチャチャとか意味が分からないことを言ってるがこれは頭が悪いとか関係ないよなぁ?

「せっかく、簡単に言ったのになんで混乱するかなぁ。まぁ、一樹君が思った通りに動けばいいと思うよ」

「結局、人任せなのかよ!」

「神様は適当なものさ。さて、時間が無いからね。話はまた今度、ゆっくりと夢の中でね」

「おい、勝手に進めんなっ!」

 

 その言葉に文句を怒鳴りながら言うとあいつが何かをやる仕草を見せて咄嗟に手を伸ばしたが、宙をきってしまった。

 それと、同時に視界が真っ暗になり、おそらく床に倒れたであろう衝撃と共に一樹の意識は消えっていった。

 

説明
ある2人の主人公が別々の神様に出会い力を得る。
1人は復讐のため、1人は救うため

※ハーメルンの方にも掲載しています
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タグ
チート主人公 ご都合主義 亀更新 真・恋姫†無双 

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