真・恋姫†無双〜始まりの外史〜2
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 彼、いや、彼女は普通の高校に通う普通のいや、ちょっと変わった高校生、四季音色こんな厨二病みたいな男か女かわからない名前に男ぽい口調それに加えて見た目は男子だが生物学上は女だ。まぁ、そこまではいいんだけど、実家がヤクザのお陰で何もしてないのにみんなから番長と呼ばれていた。でも、まぁ、番長と呼ばれてるような奴でも学校にいくわけで通学路を普通に歩いて登校してたら雷が彼女に落ちた。

 それは、もう、刹那の如く。

 それと、同時に彼女の意識も闇に落ちた。

 

「ここは・・・?」

 

 起き上がりながら呟く。

 彼女はどうやら荒野のど真ん中で寝ていたようだ。

 うん……?荒野?あれ、ここは、ど、ど、どこだぁあああああああ?!

 とか、マンガで出てきそうなセリフを心のなかで叫んだ所で、マジで何処?

 え、やべぇ、まじ、やっべー

 いや、待て、今ちょっと、慌てすぎた。

 とりあえず、落ち着いて、さっきまでのことを思い出すんだ。

 確か、いつも通り月曜日の学校ってスゴイ面倒くさいなぁとか思いながら通学路を歩いててそしたら急に雷が・・・・あれ?

 冷静に分析したはずなのに随分とおかしな状況だな。

 まぁ、いいや、とりあえず雷にうたれました。

 それで、ここどこ?

 いや、自問自答したところで分かんないけどもね!

 とりあえず、辺りを見渡してみるか

 

「・・・ここ、本当に日本なのか?」

 

 なんか、昔の中国とかに出てきそうな場所なんだが?

 そして何にもない。

 と、思ったらあの遠くの方に見えるのって村ぽいよなぁ

 ……かなり古風な感じだけども。

 今のところ何もわからないし、とりあえずあそこに行ってみるか

 でも、ここが本当に中国だったら言葉通じないような――当たって砕けろだな。

 

「はぁはぁ、以外にも遠かったぜ。というか、遠かった割りには人っ子一人いなくないか?」

 

 何のためにここまで来たんだろうとか思ったら急に背後から誰かに話しかけられた

 

「お前さんここで何をしてるんだ!早く隠れなさい!」

 

「うぇ?」

 

 音色は振り向く暇もなく背後の声の主に引っ張られ家の中に押し込まれた。

 

「お前さん、一体あそこで何をしていたんだ?見る所ではこの村……いや、この国のものではないようだが」

 

「いてて、急に質問されても分かんないよ」

 

 急に早口で質問されて何が何だかわからん。

 というか、日本語通じてるな。

 やっぱ、日本?

 

「むぅ、それもそうだなすまん」

 

 四季は改めて声の主の方に体を向けた。

 なんというか、まぁ、昔の長老みたいな見た目なんだけどさどう見てもこれは日本の長老じゃないだろこれ、どっちかって言うと中国・・・あれ?ここ本当に中国とか言うオチ?

 あれ、でも日本語通じたよな?

 とりあえずどこか聞くか。

 

「あ、あの〜すいません、ここどこですかね?」

 

「ここか?ここは・・・静かに!!」

 

 四季は急に口を手で覆われた。

 一体、何事かと混乱していたら遠くの方から地響き、いや、馬の走る音と男達の声がした。

 何をそんなに焦ってるんだろう……というか、馬の走る音って――今、平成だよな?

 

「くっ、奴ら今度は馬まで連れて来おったか、こうなったら賭けてみるしかないか」

 

 決意を固めた様子でそう呟くと長老みたいなおっさんは四季の口から手を離した。

 

「ぷはっ、さすがに少し息苦しかったな」

 

「それは、すまんかった。だが、今はそんなことよりも一刻を争うときなのだ話を聞いてくれるか?」

 

「おう、なんだ?」

 

 なんかスゴイ焦ってるな、さっきの馬の走る音のせいか?

 それよりも、気になるのはさっきから聞こえる悲鳴と男達の笑う声、それに一度だけ嗅いだことのある血の匂いだ。

 

「この村の者達はもうすぐ全員殺されるだろう」

 

「なっ?!」

 

「それは、もう分かりきっていたことだ。だから、それはいいのだ。だが、お前さんはこの村の者ではない、この村の者ではないものを巻き込ませる訳にはいかない。だから、お前さんにはここから逃げて欲しいのだ、逃げて生き延びてこのことをこの地を治める曹操様に報告してほしい。それがせめてものあいつらに対する復讐だ。どうか、どうか、願いを聞いてくれないだろうか?」

 

 おっさんは四季に必死に懇願をしてきた。

 

「なんで、逃げないんだ、今ならまだ!」

 

「儂はこの村の村長だ。この村、それに村人を置いて逃げるわけにはいかん。」

 

「おっさんさっき言ったよな殺されるってなら、なんでその前に逃げなかったんだ!? 分かってたんだろ、こうなること!」

 

「この地で死ぬことが本望、そう思ったものしかここには残っておらんよ。」

 

「・・・・・ッ!」

 

「すまんな、それで、聞いてくれるか?儂の願い」

 

 そんな風に覚悟をしている人間の頼みを断るなんてできるわけがないじゃないか。

 

「あぁ、引き受ける」

 

「ありがとう、では、我らはこの笛を合図にあやつらに立ち向かう」

 

「その間に逃げればいいんだな?」

 

「いや、ここに隠れて奴らが去るのを待って欲しいのだ。あやつらは今回、馬を連れておる。もし、誰かが逃げたことが分かればすぐに追いかけて殺しに来るだろう」

 

「分かった」

 

「すまんな、名も無き少年よ、最後にお前さんの名を聞かせてくれないか」

 

「四季、四季音色だ」

 

「変わった名前だな、だが、とても良き名前だ。この魂にその名を刻んでおこう」

 

 それを言い終わるとおっさんは家の扉を開け笛を鳴らした。

 そうすると、今まで家に隠れていた人達がぞくぞくと出てきて鍬や鋤をもって男達に襲いかかった。

 そして、おっさんは四季の方を一回向いて笑顔で何かを言い残し、懐にお守りらしきものを入れて鍬を持って出て行った。

 おっさんが出て行く前に閉めた扉は少し開いていた。

 その隙間から見た光景を死んでも忘れない。

 まさしく、地獄という言葉が相応しい程に残虐極まりなかった。

 村の人々は決死の覚悟で向かうも全く歯がたたないのだ。それもそうだ、普段畑を耕している人間が普段人を襲うことをしている人間に叶うはずがなかったのだ。

 しかも、山賊共は人を殺すことを楽しむかのように殺していくのだ、そう笑みを浮かべ下衆な笑い声をあげながら、とても見るに堪えないし、聞くに堪えない。

 だけど、この目でおっさんの覚悟をこの襲撃の結末を見届けることが今の役目だ。

 

 結果がつくのはあっという間だった。

 村の人々は皆殺しにされ、残されたのは村の長であるおっさんだった。

 山賊共は村の中心までおっさんを引きずると山賊の頭のような人物の前に跪かせた。

 

「いい気味だな――じ」

 

「…………」

 

「なんだ?俺とは――――ってか?」

 

「…………」

 

「おい聞いてんのかじじい?!」

 

 ところどころ聞こえない所あったが、どうにも山賊のお頭さんはおっさんの態度が気に食わなかったらしく、おっさんの胸ぐらを掴んで立たせた。

 その行動に対しておっさんがとった行動は相手の顔に唾をかけることだった。

 

 「――――ぺっ」

 

 「……くそがっ!」

 

 そう言い捨てるとおっさんの胸ぐらから手を離し腰にさしている剣でおっさんの首をはねた。

 

 四季の心のなかでは初めて殺意というものが芽生えた。

 

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 四季は思わず扉に手をかけていた。行ってもどうにもならいことは分かっていたけど体が勝手に動いていた。

 そして、四季が扉を開けようとした瞬間、さっきのおっさんの言葉が蘇ってきた。

 約束を違えるとこだった。

 生きて逃げ延びて報告してほしい

 そう言われたばかりだった。

 

「俺は・・・ばかだなぁ」

 

 四季は自分の力の無さに泣いた。

 あいつらに気づかれないよう声を潜めてひたすら泣き続けた、もし、もし、俺に力があればとどうにも出来ないことを後悔し続けた。

 山賊共は散々、村を破壊して去っていった。

 ただ、四季が居たこの家だけは破壊せずに、山賊共が去ったことを確認して扉を開けた。

 

 そこで四季が見たのは焼かれた家、人だったもの、子を腕に抱きながら死んだ母親、その死肉を食べに来た烏、今にも雨が降りそうな空、そしておっさんの首だった。

 

「おい、おっさん。結局ここ何処だよ、ていうか人に名前聞いといて自分だけ答えないとかどんだけだよ・・・・くそ、俺に力が、力があれば、あんたを救えたのかよ!答えろよ、おっさん!」

 

 四季は叫ばずにはいられなかった。それが誰からも返ってくることのない問だとしてもだ。

 ふと周りの暗さに気づき上を見ると、空が黒く曇り、雨が降ってきた。

 暫くすると、段々と雨の勢いが強くなってきた。

 そんな、土砂降りの雨にも関わらず烏たちは肉をつついている。

 四季は呆然と人だったものを喰らう烏を見ていた。

 そんな時だった、目の前の烏を雷が直撃したのと同時に視界に雷の眩い光に閃光が飛び込んできて思わず目を閉じた。

 肉の焼ける匂いと共に、目を開けるとそこには死神のような格好をした男が立っていた。

 いきなりの出来事に呆然とその男を見ているとき、男は静かに口を開き一つだけ四季に問いかけた。

 

「力が欲しいか?」

 

 四季はこの男の言った言葉を少し理解が出来なかった。

 いや、言っている意味はわかる。

 だけど、その言葉はあまりにも唐突で現実離れなものすぎた。

 ただ、今の四季にその言葉は十分すぎた。

 

「あぁ、欲しい。圧倒的な力が、全てをねじ伏せる事が出来る力が」

 

「ならば、その覚悟見せてみろ」

 

「――どうやって?」

 

「そうだな、この雨の中一晩中雷を浴び続けるというのはどうだ?」

 

 無理だ、雷ってのは普通に浴びただけでも命の危機なのに一晩中だと?

 ふざけてやがる、けど逆にそれを乗り越えさえすれば力が手に入る全てをねじ伏せて復讐できる力が、だからやらなければいけない約束のためにも、山賊への復讐のためにも、おっさんのために。

 

「分かった、だが、普通に浴びたら死ぬんだが?」

 

「それなら、安心して構わない。お前が浴びる雷は死んだほうがマシだと思うような激痛をともなう特別製の雷だ。言っておくが気絶することは出来ない。ちなみに途中で放棄することは死を意味するからな」

 

 それって、逃げ道がないってことか、まぁ、最初から逃げるなんて選択肢はない、じゃなきゃこんな覚悟なんて決めたりしない。

 

「そんな注意事項なんか要らない、さっさとはじめろ、死神」

 

「死神ではないが、まぁ、お主が耐えられた時には教えてやろう、我が名前」

 

 そう言い終わると、死神らしき奴はどうやら背中にかけてあった大鎌を天にふりかざした。

 そうすると、四季の頭上にまっすぐとのびる雷が落ちてきた。

 

「ぐっ、ぁああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

「耐えろ、耐えてみせろ、力を手に入れたければ」

 

「あああああああああああああああああああああああああ」

 

 痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛みしかない

 正直いって想像以上だ、こんなのがいつまでも続くのか?

 嫌だ嫌だ、痛い、嫌だ、もう、やめてしまえこんなこと。

 やめる?しぬ?しにたくない、いやだ、いやだ、いやだぁぁああああああああああああ

 

「あぁ、うぅ、ぐううううう」

 

 くっそ、余計なことを考えちゃダメだ。

 集中するんだ耐えることに、それにどうせやめたって待つのは死だけだ。

 

         『覚悟を決めろ』

 

「まっけてたまるかぁあああああああああああああ」

 

 最後の叫びと共に意識はいつの間にか失っていたようだ。

 気がついたら、地面に大の字で倒れていた。

 

「あれだけ、痛い思いしたのに失敗か」

 

 目の前にある蒼い空を見てつぶやいた。

 思ったより、自分であっけらかんとしているなと思っていた。

 しかも、妙にスッキリしている。

 そうすると、空を見ていた俺の視界は何かに遮られ、上からなにか声がした。

 どうやら、頭側の方に誰か立っているようだ。

 

「いいや、お前は力を手入れたのだよ、四季」

 

 その声に慌て、体を起こそうとしたが、全身に電撃のような痛みが走り起き上がれなかった。

 俺しょうがなく、寝たままその声の主に質問した。

 

「あんたは誰だ」

 

「その前に、その体の痛みをとってやろう」

 

 声の主はそう言うとおでこに大鎌の先で触れた。

 内心、ものすごく物騒だと思ったが触れられた瞬間からだを走る痛みは消えていた。

 痛みがとれたので起き上がり、声の主の前にたった。

 やはり、昨日の死神だった。あくまで見た目がだが。

 ただ、昨日は曇りで暗かったので顔はよく見えなかったがどうやら普通の人間のようだ。

 長身で顔も整っている、俗にいうイケメンというやつだ。

 そんな、感じで相手の見た目の観察が終わったので改めて質問した。

 

「あんたは誰だ」

 

「神様だ」

 

「そうか」

 

「驚かないんだな」

 

相手はどうやら俺の態度が気に食わないらしく、少し拗ねたように質問してきた。

 

「そりゃ、雷を自由に操れる時点で普通の人間なわけがないからな」

 

「ふむ、それも、そうか」

 

「質問をいいか?」

 

 とりあえず、今は少しでも多くの事を知らなければ。

 おっさんが言っていた曹操っていうのがどうも気にかかるしな。

 

「なんでも」

 

「一つ、ここは何処か、二つ、あんたの名前、三つ、俺は何処が強くなったのか、の以上だ」

 

「それじゃあ、順番に答えていくとして、一つ目、ここは中国、二つ目に儂は特に名前はないが役職は罪を司る神だから、罪神と名乗っている、三つ目は身体能力上昇、それに能力を授けたことによって儂と契約する事による、断罪、そして、神様の力を借りる力、ぐらいだな」。

 

「ふむ、因みに今は何時代?」

 

 すごい、突っ込みどころ満載だが、とりあえず、中国の何時代かってことだ、おっさんに頼まれた曹操ってやつはだいぶ昔のやつだったはずだし

 それに、現代の中国にこんなに広い荒野なんてあるのだろうか?

 そもそも、山賊が人々を皆殺しにできるほど中国は発展してないわけでもないような。

 

「いい質問だな、何時代かと聞かれると少し答えが違うが、ここは三国志の世界だ。しかも乙女だらけの」

 

「お、乙女?」

 

「そう、乙女」

 

「三国志って男じゃないのか?」

 

「それは、正史の話だ」

 

「正史?」

 

「そう、正史。簡単にいえば今までお主がいた世界が正史、そして今いる世界が外史と呼ばれる、パラレルワールドみたいなものだ」

 

「もしも、俺がこの世界に飛ばされたらってことか」

 

「そんなところだな」

 

「そもそも、俺は何故ここに飛ばされたんだ?」

 

「儂の暇つぶしだ」

 

「っ・・そうか」

 

「なんなら、元の世界に戻してやろうか?」

 

「断る、俺にはこの世界でやるべきことがある」

 

「ふっ、そうか。質問はこれだけか?」

 

「能力についてもう少し詳しく頼む」

 

「ふむ、身体能力上昇は体のパラメーターが全て上がったと考えればいい」

 

「なるほど、だが特に耳がよくなったとか、目がよくなったと感じないんだが?」

 

「視力、聴力、嗅覚の3つだけは集中しないと無理なようになっておる。試しに感覚を研ぎ澄まして遠くを見まわしてみればいい」

 

 そう言われたのでとりあえず、深呼吸をして、目に全神経を集中させてみる。

 そうすると、まるで自分の目が望遠鏡になったように遠くが見えるようになった。

 案外、簡単に使えるんだなこれ、まるで元からあった機能みたいだ。

 

「なるほど、これはすごいな」

 

「他にも色々あるが、それは自分で気づいていくだろう」

 

「ふむ、じゃあ、あんたと契約して断罪ってのはなんだ」

 

「そのまんまじゃ、儂と契りを結び、相手を裁く、そのまんまだろう」

 

「神様って契約できるのか?その前に相手を裁くってどういうことだよ」

 

「神様だからな、なんでもできるんだよ。なにそのままさ、相手が罪人なら裁く事ができる。」

 

「罪人てそんな、大雑把な、しかも裁きを下したとこでどうなるんだよ。つーか、もうちょい簡単に説明してくれ」

 

「ふむ、例を挙げるなら、罪人は四季、罪名は殺人、よって、死刑を下すっとこんな感じで人が死ぬ。ちなみに、おしり百叩きの刑とかになると異世界からお仕置人がやってくる」」

 

「……なるほど、確かに絶対的力だな。あと、お仕置人地味に怖いな」

 

「まぁ、儂の気が向いた時だがな」

 

「――まぁ、いい。後もう一つの神の力とやらはなんだ」

 

「この世の中にはいろいろな力を司る神がいる。その神の力を少し借りるだけだ。」

 

「例えば?」

 

「ギリシャ神話にアスクレピオスという神がいる。この神は医療の技術が驚くほどに凄かった。そしてついには死者まで蘇らすことができるほどにな。この神の力を借りれば死者までとはいえないがこの世にある病気や怪我全てを一瞬で治すことができる」

 

「なるほど、だが、強すぎないか?」

 

「神だからな」

 

 能力がチート並みに強すぎていいのかって思うけど死神野郎が与えたんだし別に構わないんだろう。

 まぁ、その分、きっと、地獄行きとかなんだろうな。

 

「後最後にもう一つ、そいつは誰だ」

 

 罪神の後ろに立っている自分そっくりな人間を指さした。

 最初から居たが話を進めるために無視していたがやはり気になる。

 

「こいつは、おまえの分身だ。」

 

「分身?」

 

「そう、お主、雷を浴びる前は憎しみに満ち溢れていたのに、気付いたら少しスッキリしていなかったか?」

 

「言われてみれば」

 

 確かに最初に失敗したのかと思っても特に何も感じはしなかったし、殺意や復讐で頭いっぱいってわけでもなかった。

 

「その、憎しみやら殺人衝動などを全てまとめた奴がこの少女ってことだ」

 

「つまり、分離したってことか?」

 

「簡単にいえばな、だが、普段はお主の中に収納可能だ。ちなみに殺意衝動などに駆られてる時に分離すればお主は落ち着き、こいつが暴れ始める」

 

「便利グッズみたいな言い方だな、あと、なにげに怖いこと言うな」

 

「まぁ、元はおまえだしな。それと、こいつには自我がある」

 

「自我・・・ねぇ」

 

 そんな話をしていたら、罪神の後ろに居た少女が俺の目の前にやってきた。

 にしても、本当にそっくりだ。

 多少の違いはもちろんあるが、髪の色とか身に着けているもの、それに眼の色ぐらいだろう。

 

「よろしくね、四季!」

 

「自分によろしくといわれるのも変な気分だが、まぁ、よろしく」

 

「ねぇ、四季。急なんだけど僕に名前をつけてよ。僕には名前がないんだ。まぁ、当たり前だけどね」

 

「ホント急だな、名前かぁ、そうだな…………和」

 

「和? 僕、人見ると殺したくなるような人間だけどあってるのかな?」

 

「音色にとって大事なものだからな和音は」

 

 やばい、言ったはいいがめちゃくちゃ恥ずかしい

 大事っていうか自分だしな、でも、あの感情の塊だとしたら大事だもんな。

 

「そっか、とっても、嬉しいよ。ありがとう。それじゃ、僕は四季・・・・いや、音色の中に戻るけど用があったら呼んでね、いつでも来るから」

 

 そう言うと、和は腰の日本刀を抜いて・・・・えっ?

 勢いよく四季に対して日本刀を刺した、思わず目を閉じたが特に痛みも感じなかったので目を開けたがそこに和の姿はなかった。

 

「紛らわしい、戻り方だな」

 

「そうだな、さて次は儂の名前を考えてもらおうかのう」

 

「お前もか」

 

「契りを結ぶための契約書みたいなものだ」

 

「ふぅ〜ん」

 

「因みにおまえが儂を呼ぶときは血が必要になるから気をつけい」

 

「まじかよ、まぁいいか。とりあえず名前適当につけちゃうか」

 

「この世界のフルネームで頼む」

 

「えっ、確か、姓と名、更に字か」

 

「はようせい、あと真名もな」

 

 いちいち、ムカつくなこいつ

 

「えっと、姓は死、名は期、字は断罪、真名は・・・・真名?」

 

「真名もしらんのか?」

 

「初めて聞いたわ!」

 

「冗談だ、心を許したものだけに許す本当の名のことだ。おまえの場合は音色になるだろうな」

 

「なるほど、じゃあ、真名は審」

 

「まっ、まぁまぁ、じゃのう」

 

「うるせーよ、さっさと消えちまえ」

 

「因みにどんだけ身体能力があがろうとしっかりと武術を習わなければこの世は生きていけるほど甘くないぞ」

 

 そう言うと、審は消えていった。

 

「力の使い方か、悪いなおっさん、曹操さんとやらに報告するのは後回しだ。まずは、この力を使いこなすことと後はどうやって生活するかだな」

 

 なんだか、この先のことを考えたらめんどくさくなったな。

 そういえば、おっさんが出て行く前に懐に入れたお守りらしきものはなんだったのだろうか。

 俺は首のないおっさんの遺体の前で手をあわせた後に懐からそれを取り出した。

 

「これは、お守りだな」

 

なんのお守りかは血で見えなかった。

そして、俺は何を思ったかそのお守りを自分の制服のポケットに入れた。

 

「悪いな、おっさん。借りる」

 

 なんだか、分からないけどこれをもってなきゃいけない気がした、このことを忘れないために、復讐を忘れないためにも、とか、思ってたら急に眠気が襲ってきた。

 こんな時でも眠くはなるか、とりあえずは寝よう、この死体の中で。

 そして、周りにある死体など気にせずに眠りに落ちた。

 

 

 

説明
ある2人の主人公が別々の神様に出会い力を得る。
1人は復讐のため、1人は救うため

※ハーメルンの方にも掲載しています。
違う主人公目線になります。
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真・恋姫†無双 亀更新 チート主人公 ご都合主義 

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