シュトラール軍ホバータイプ装甲戦闘スーツ "Schnecke" 解説
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〜〜〜 シュネッケ ディベロップメント 〜〜〜

 

 

 

地球独立戦争も終盤においては、傭兵軍、シュトラール軍ともに戦闘スーツ不足が重大な問題となった。

物量に元々乏しい傭兵軍はともかく、本来、本星という後詰があるはずのシュトラール軍においても、実は恒星間航行による補給は紛争開始以降数度しか実施されておらず、基本的に人員、資材は2877年の初回派遣時のものが殆どであり、その後の生産や兵器開発は現地派遣軍が独立しておこなっていた。

度重なる本星への補給要請に対して、到着したのは大量の無人兵器群だけであり、戦闘が苛烈になるに従い稼動スーツ数は減少の一途を辿っていた。

 

シュトラール地球派遣軍兵器局は、スーツ稼動率低下の大きな要因は脚部パーツの慢性的な不足によるものと分析、この対策を急いだ。

ボディや主要構成部品の破損、つまり撃破による損失は20%前後であり、過負荷による脚部シリンダー/ベアリング部の損耗、地雷による破損、なにより脚部を狙う戦法が一般化したことにより、60%以上は腰部から下を損耗することにより稼動不能になっていることが判明した。事実、メンテナンス用としてボディ、腕部は過剰に各部隊に在庫されており、脚部のみが常時生産ラインがフル稼動している状況であった。

実は両軍ともにこの事実に早期から気づいており、戦闘スーツのボディを各種車両や、2足歩行機と組み合わせるタイプの試作機は相当種類生産されていた。しかしながら傭兵軍のグラジエーターのようにリサイクルを目的としていない、専用生産ラインを持った機体以外は歩留まりが非常に悪く、ラボでの一品生産の域を出ておらず大量投入はなされていないのが実体であった。

 

 

そこでシュトラール地球派遣軍兵器局は、2886年2月、工場で生産するのではなく前線現地で脚部パーツの無い戦闘スーツをホバータイプに改修するプランを計画することになる。地球入植初期に本星から輸送され、治安悪化とともに死蔵状態となっていた資材輸送用民生ホバートラック3000両に目を付け、グスタフボディ部と組み合わせる改修キットを開発した。

ホバートラックの内燃機関系エンジン及びホバー機構部を、高速仕様にチューンする程度でほぼそのまま流用。エクサイマーレーザー用にグスタフのジェネレータをそのまま利用し、破損していることが多いグスタフの電子系、制御回路部は使用せず、その為マニピュレータの駆動はホバーの方向舵駆動用の油圧ポンプにより行う仕様とした。(ただしマニピュレータのトルクゲインは70%弱も低下した。)

もうひとつの狙いは、戦傷兵の復帰である。スーツでの戦傷兵は脚部の負傷がやはり大半を占めており、経験をつんだ古参兵でありながら車椅子生活のため軍復帰できないケースが非常に多かった。本星への帰還も当時理由不明ながら殆ど許されておらず、彼らの有効な運用も目的のひとつであった。そのため操作系は足を一切使わずパイロット腰部の体重移動とマニュピレータ内でのレバー操作のみで行えるものとした。

 

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2886年8月、1号機が完成、その性能テストが終了する前にグスタフの脚部パーツを小隊規模以上で要請している部隊を中心に計1000セットが初回ロットとして配布された。

簡単な組立てと溶接作業だけで不稼動機体が一気に実戦投入可能となったことから、当初メルジーネ配備を期待していた兵士による不満も一気に解消、更にはその意外な高性能にわざわざ稼動可能な機体を切り刻んで改修する輩も続出した。

 

空力シミュレーション、風洞実験を一切行わずに開発したにも関わらず、空力性能は良好で仕様の最高時速187Km/hはなんなくクリア、速度計の最高値200km/hを振り切って尚も加速していたという。機体上部の大型ファンと方向舵による運動性も高く、古参パイロットの中には横滑りを活用したクイックな機動を得意とするものも居た。

想定外の性能としてスーツでありながら水上運用が可能であり、敵防御ラインを迂回して河川等から背後に回り奇襲をかける戦法は効果をあげた。

一方で防御性能は全く考慮されておらず、スーツ部以外の装甲は皆無であるため、回避技能に劣る新兵には辛い兵器ではあった。また脚部を失った戦傷兵を意識して設計されているため、健常者は正座姿勢での操縦をせねばならず、長時間の作戦行動に支障をきたす者が少なからず見受けられた。

 

それでも活躍し始めたのが休戦のほんの数ヶ月の期間であるため、地球独立紛争においてはあまり人々の記憶に残らなかったが、その後更にまた意外な形で活躍の場を与えられることになる。

休戦後の機械生命体による地球侵攻において、機械生命体ケルベロスは無線、ネット回線によりAIや高度な火器完成システムをハッキングする能力を有しており、当初多くの人類側兵器が運用不可となった中、本機においてはほぼ全てがアナログ技術により成り立っていることから影響は皆無、対抗策が発案されるまでの間侵攻を止めることに成功した。

 

説明
またマシーネンです。製作記事と妄想設定のコラボです。以下、前回同様、興味ある方、ド糞長いですがよろしく願います。

製作記事リンク →
http://www.tinami.com/view/556732
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