ゆり式3(縁?ゆずこ)
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 彼女達と会うまでは私は人と合わせることができずに、やがてそれは悪化して

気持ちが引きこもりがちになっていた。

 

 やることは勉強ばかり。テストの点がどれだけ良くても満点が積もっても

気持ちが晴れることはなかった。

 

 まるで灰色の世界をただ無機質な物体が動いてるだけの気持ち悪い感覚。

何で生きているのかわからないくらいに思っていた。その時だった。

 

「野々原さんって言うんだ?」

 

 私の前に笑顔の二人組みが声をかけてきた。

 

「え?」

 

 一言二言話しているうちに私の周りから人がいなくなっていたのに今時私の傍に

人が来ることは珍しかった。

 

「お話しよう〜」

 

 目を細めて綺麗な髪の子が座っている私と目線を合わせてそう言ってきた。

最初は私のことをからかってるのかとさえ、ひねた考えが浮かんだくらい。

 

「いいよ」

 

 私はどうせ無駄だろうと半ば諦めていた。変に期待していると後で辛い目に

合うのはわかりきってたから。だけど…。

 

「あはは、ゆずちゃんって面白いね〜」

「あ、こら。縁」

 

 いきなり名前で。しかもあだ名で言うその女の子を隣で叱るように、それでも

楽しそうに優しく笑う二人に私はただ、ただ驚くしかなかった。

 

「え・・・?」

「ねぇ、私たち友達にならない?」

「最初からそのつもりで来たんだけど」

 

 戸惑う私に目を細めて笑う子が言った後、補足するようにクールな子もそう言った。

嘘…と心の中で呟いた後に私はあれだけ嫌だった期待をわずかに持っていたのだ。

 

「うん…」

 

 そして、中学を卒業する頃にはすっかり私の心の壁は二人によって溶かされて

私の中で彼女達はかけがえのない親友になっていた。

 

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「わーん、縁ちゃんだけは私のことわかってくれてると思ってたのにー」

 

 高校に入って新しい人たちとも仲良くできて、いつものように適当に二人を面白がらせ

ようとしていたらそこから自分でも変な方向に持っていってたことに気づいた。

 

 一人だった頃の寂しい気持ちを思い出していたのだ。

 

 それは当時よりもしんどい気持ちになっていた。

何となくみんなの前に姿を出しにくい空気になってしまった時、唯ちゃんの言葉で

私は出てきて。私の気持ちをまるで察するように隣に座っていた縁ちゃんの

言葉で私の気持ちはとても暖かいものに包まれるような気分になっていた。

 

 胸から湧き上がるような名称しがたい気持ちが溢れるように、他のものも

溢れさせてしまいそうなそんな気持ちだった。気を緩めば泣いてしまいそうな

そんな気持ちだった。

 

 ありがとう、みんな…。

 

 ありがとう、縁ちゃん…。

 

 私はここに居て良い人間なんだね。

 

 泣きそうな部分だけ誤魔化すように嬉しいって気持ちだけを溢れさせて、

私は縁ちゃんにそれを伝えた。人からはふざけてるようにしか見えないだろうけど

それは私の本心だった。

 

 私の気持ちが通じたのか、縁ちゃんの天然だったのか。

あれから定期的に私にずっと一緒だよって手を握って自然なタイミングで伝えてくれた。

 

 そうやって何気ない幸せな日常を過ごしてやがて卒業を迎えても私の隣、

もしくは正面には縁ちゃんが笑顔を絶やさずに私を見てくれている。

 

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「どうしたの〜、ぼ〜っとして」

「いや、昔のこと思い出して」

 

 喫茶店で砂糖とミルクを加えたアイスコーヒーをストローでかき混ぜていると

見透かすように縁ちゃんが聞いてくるので素直にそう言うと縁ちゃんはテーブルに肘を

立てて手の平に顎を乗せると嬉しそうに微笑む。

 

「楽しかったよね、今もだけど〜」

「うん」

 

 唯ちゃんと会える時間は減っちゃったけど、私と縁ちゃんは一緒に住めるように

なるまで関係が進んでいた。

 

「ありがとうね」

「どうしたの、急に」

 

 私のいきなりの言葉に驚いた縁ちゃんに私は照れ笑いを浮かべながら「なんとなく」

って。少しはぐらかした。

 

 時々ドン引きさせてフォローしていたこともあったけれど、ありのままの私を好きと

言ってくれた縁ちゃんを大事にしたいと心底思っていた。

 

 言葉はなくても時々、縁ちゃんは察するように笑顔で私の不安を溶かしてくれる。

 

「あはは、ゆずちゃん。変なの〜」

「ふへへ…」

 

「おだんごって響きさぁ、かわいいよね!」

 

 意味不明。意図不明。私はいつものように適当に話題を吹っかけて臨機応変に話を

繋げていって縁ちゃんを笑わせている。

 

 ずっと二人を笑わせていたい。そんな気持ちをずっと抱きながら…。

 

「そろそろ帰ろうか〜」

「そうだね」

 

 店を出て暑い日差しを受けながら二人で暑い〜って唸りながら手を繋いでゆっくりと

歩いていた。どこまでも一緒にいたいって気持ちで…。

 

「一度くっついたおだんごみたいに、離れられなければいいのにね」

「あはは」

 

 二人が笑顔でそんなやりとりをしていたら、縁ちゃんは笑いが収まると

まるで当然のようにいつも私の励みになっている言葉を告げてくれた。

 

「ずっと一緒にいるよ?」

「縁ちゃん」

 

「これね、昔からずっとホントの気持ちだったんだよ、ゆずちゃん気づいてたかな〜?」

「うん。すごい嬉しかった…」

 

 誰もいない道路の脇で二人は視線を合わせて微笑みあうとそっと私は縁ちゃんに

軽く口付けをした。

 

「ぷふっ…!ゆずちゃん、泣いてる〜。変なの〜」

「縁ちゃんだって…」

 

「わけわかんないね〜」

「ほんと、わけわかんないね〜」

 

 周りの迷惑になりそうなくらい笑って、二人は泣き笑いをしていた。

嬉しすぎるのに涙が出てくるのが本当にわけわかんなくて、

笑いがしばらく止まらなかった。

 

「あ、そうだ。ゆずちゃん。次の勉強教えてよ〜」

「いいよ」

 

 大学でとってたノートを見せながら勉強するために、私達は再び手を

握ると小走りで私達が住む家まで向かっていった。

 

 この大切な日々を失わないように私は努力しよう。

その努力はちっとも苦にならないから生きる源になるから。

 

私はこれからもがんばれる。

 

お終い

説明
本編で見せる、時々コミュニケーションが苦手そうな部分を見せるゆずこの姿に彼女たちと出会うまではこういう生活を送っていたんじゃないかなっていうイメージをそのまま書いてみました。眠れなかったから回らない頭で書いてましたが、まぁおおよそ書きたいことは書けたと思います。おおむね満足の出来。ゆずこ的には「縁ちゃんといっぱいイチャイチャしちゃったぜ〜」とでも言うかもしれないですねw
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コメント
ywxhffrom341さん:コメントありがとうございます。良い子ですよねw一人でいるときは意外とゆずこって普通なのでこういう風に思ってることもあるのかなぁとか想像してましたw人は人と向き合うことで色んな方向に育つのかもって思ったので縁だとそこを良い方向にうまく引き出せるんじゃないかなって思ってます♪(初音軍)
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ゆゆ式 野々原ゆずこ 櫟井唯 日向縁 百合 キス 

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