【恋姫二次創作】死神の毒 拠点フェイズ 表
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〜未だに北郷side〜

 

あまり現実味のないことではあるが、俺は今『歴史』と向き合っている。

 

中国の歴史を専門にしている学者さんとかなら、いくら払ってでも、俺の境遇を手に入れようとするのではと思う。

 

ここを中国、三国時代と信じるかは微妙としても。

 

「わー♪」

 

「フフッ、待てー。」

 

「ソウ兄ちゃん、すげー。」

 

その辺を見回しても、割とのどかだし。

 

……劉備や関羽、張飛という歴史上の英雄が、あぁも可愛らしい女の子というのも。

 

う〜む、歴史が覆る。

 

「……手、柔らかかったなぁ。」

 

劉備 玄徳……自らそう名乗ったあの子の、柔らかな掌の感触を思い出す。

 

さらにあの見えそうで、見えない短いスカートには、全世界の男子の希望と言っても――

 

「一刀殿もなかなか助平ですねぇ。」

 

「うわぁっ!?」

 

突然後ろから、聞き覚えのある声がする。

 

女性のような顔だが、やや痩せこけていて不健康さが見え隠れしているが、実は凄腕の頼れる我らの軍師。

 

その名は

 

「ソウ!?」

 

「はいそうですよ。ソウだけに。」

 

「ソウ兄ちゃん、つまんない洒落はいいから〜。さっさと鬼ごっこの続きしよーぜー。」

 

更にソウの後ろから、子供たちが十人程やってくる。

 

「一刀殿もどうです?たまには体を動かすのもいいでしょう。」

 

ソウはいつもの空気が縛り付けられているかのような緊張感とは違って、優しいお兄さんといった雰囲気を纏っている。

 

そして周りの子供たちはソウに懐いていて、とても楽しそうにしているのも、今のソウの雰囲気の力か、ソウ自身が子供好きなおかげだろう。

 

まぁ、後者だったらいつもとのギャップのせいで、吹き出してしまうだろう。

 

「じゃあ参加させてもらおうかな。でもいいのか?俺は剣術を少しやってたから、とっても足が速いぞ〜?」

 

俺がそういうと子供たちは無邪気に「キャーキャー」と言ったり、「ソウ兄ちゃんには敵うわけないよ〜」と言う。

 

「では、広場に行きましょう。人にぶつからないように気をつけて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「範囲はこの広場の中のみ、決して他へ行かないこと。鬼は最初は法君。触られたら鬼は交代で、夕刻に鬼だった人には何かやってもらいましょう。」

 

俺たちは今、人がいなく、木箱など置かれている広場に来ていた。

 

ここは街の中では子供の遊び場と認知されていて、大人たちも笑ってそれを許している。

 

最初の鬼は順番制になっていて、今日は俺が最初に鬼をしようとしたんだが子供たちが「お兄ちゃんはダメ〜」と言って鬼は『法』という子になった。

 

「最初の三十秒間は逃げてもいいし、隠れてもいいですからねぇ〜?」

 

「法君、ちゃんと目瞑って数えてよ?」

 

「分かってるよ!絶対に誰かをあっという間に捕まえてやる!じゃあ数えるぞ〜」

 

子供たちは広場の端の方へと走っていく。

 

ソウはいつの間にか居なくなっていて、法君の傍に居るのは俺だけになった。

 

「に〜じゅう〜、に〜じゅうに〜、に〜じゅうご〜」

 

俺も数え終わらないうちに、法君から離れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、ソウ兄ちゃん。」

 

「ん、なんですか?」

 

「あの兄ちゃんは足速いの?」

 

「う〜ん……まぁ、法君に真っ先に捕まるんじゃないでしょうかねぇ?」

 

「へへっ、じゃあまだまだじゃん。」

 

「フフッ、そうですねぇ。」

 

「だって法は俺たち『鬼ごっこ四天王』で最弱の男なんだもん。」

 

「なんなの〜、その鬼ごっこ四天王って。」

 

「決まってんじゃん。一番足の速いソウ兄ちゃんに、二番目の俺、三番目の『未来』に、四番目の法で四天王だよ。」

 

「なんで私もそんなのに入れられてるの〜?」

 

「まあまあ、いいじゃないですか。なんだかかっこいいでしょう?」

 

「まぁ、ソウ兄ちゃんが言うなら…」

 

「ほら、法が数え終わったぞ。」

 

「多少…いや大分、飛ばし飛ばしでしたけどねぇ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃぁ、数え終わった!誰かを捕まえてさっさと鬼を止めよ〜っと。」

 

俺が法君から少し離れ終わったところで、ちょうど法君の方も数え終わる。

 

「あっ、兄ちゃんだ!」

 

法君は俺を見つけて、こちらに全力疾走してくる。

 

「げっ、見つかったか。だけど追いつけるかなってうわぁ!?」

 

俺と法君の間には結構な距離があったはずなのに、法君はもうすぐそこに居た。

 

「へへっ、兄ちゃんつっかまえた〜♪ちゃんと三十秒数えてね〜。」

 

「ま…まぁ、油断してたからな……じゃあ今度こそ、頑張るぞ〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「や〜い、兄ちゃんの負け〜。」

 

「ううっ、滅茶苦茶足が速い……」

 

俺は今、顔に墨で絵を描かれていた。

 

「今回は顔に墨で絵を描かれるという罰ですからねぇ。我慢してくださいね。」

 

そう言うとソウは筆で、俺の頬に横線を三本入れる。

 

「きゃはははっ、兄ちゃん変な顔〜。」

 

「ううっ。」

 

「今日はそれを消してはいけませんよ。」

 

多分、みんなに笑われまくるだろうな……

 

「じゃあみんな、そろそろお家に帰りましょう。」

 

「「「「「はーい!」」」」」

 

子供たちは走って家に帰る子もいれば、二人や三人で話しながら帰る子もいた。

 

「ふぅ、今日は疲れたなぁ。」

 

俺は広場で横になる。

 

ソウは俺の横に座り、帰っていく子供たちを眺める。

 

「でも、なかなか良い線いってましたよ。後は経験が足りませんねぇ。」

 

ソウは細目を少し開き、横からは優しい黒い瞳が見える。

 

「経験かぁ、じゃぁ大陸を早く平和にして、毎日鬼ごっことかできるようにしないとな。」

 

「平和に……ですか。」

 

ソウはまた細目になる。

 

ソウの表情は普段から無表情であまり良く分からないが、なんだか悲しそうな顔をしているように思えた。

 

「そういえば、天について教えてくださいませんか?以前から気になっていたんですよねぇ。」

 

ソウは話を変えて、無理矢理作ったような笑顔で訊いてくる。

 

「天ねぇ。此処とは確かに大きく違うけど、別にそんなにも凄い所でも無いよ。」

 

するとソウは何かを思い出したように、手をポンと叩く。

 

「ふむ、ならば一刀殿のご家族について教えて戴けませんか?以前、お爺様に剣術を習ったと言っていたような気がするんですがねぇ。」

 

「あぁ、そうだよ。俺は爺ちゃんに剣術を教えられていて、結構強かったんだぞ?」

 

「ケケッ、一刀殿で強いなら天は物凄く平和なのか、なにか連弩のような物のみで戦をするんですかね?」

 

「むっ、間違ってはいないけど失礼だぞ。」

 

「ケケッ、なら後で手合せでもしますか?」

 

「うっ、やめとくよ。足が既に俺よりも早いから勝てる気がしないし。しかも俺の居たところは平和だったから、そんな無益な争いは嫌なのさ〜。」

 

「ケケッ、では次にご家族とは仲が良ろしいので?」

 

「母さんと父さん、それと妹が居てさ。妹がそりゃあもう俺にベッタリだったんだ。」

 

「ケケッ、きっと立派なお兄さんだったからでしょうねぇ。だから妹さんも一刀殿に甘えたのですよ。」

 

「だったら良いけどなぁ。あんまり良い兄貴とは言えないかも。」

 

「何故です?剣術が結構強くて、カッコいいお兄さんなら良いお兄さんでしょう?」

 

「いや、違うよ。昔な、爺ちゃんが行方不明になったことがあったんだ。」

 

「……」

 

「それで、その頃は妹はお爺ちゃん子で。

 

行方不明になったときは妹は泣いて泣いて、そりゃあもう手が付けれ無かったよ。

 

それでまだ小さかった俺は、爺ちゃんを探すためにいろんなとこに行ったんだ。

 

んで、そこで事故にあってね、大怪我をしてしまった。

 

病院って云う怪我を治すところに暫くの間、入院したんだ。

 

そこでいつの間にか帰ってきた爺ちゃんを含めて、家族みんなに「なんでそんな無茶をしたんだ」って訊かれてね。

 

俺は「妹に泣き止んでほしかったから」って答えたんだよ。

 

まぁ、そこから何故か俺は妹から好かれるようになったんだ。」

 

「……良いお兄さんじゃないですか。」

 

「いや、ただ無茶をしすぎる危ない子供だよ。」

 

「ちなみに……お爺さんのお名前を聞いてよろしいですかねぇ?」

 

「あぁ、爺ちゃんの名前は北郷――」

 

俺はその時に何気なく見た、ソウの悲しそうな顔は一生忘れることは無いだろう。

 

 

説明
今回も本編ではないです。
ゴメンネ〜
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コメント
nakuさん 嫌がらせは任せてください。今回は拠点『表』なので。(ぺぺぺ)
劉邦柾棟さん 子供は今でも体力がありすぎますしね。現代人のだいたいの人は子供に負けるでしょうね。(ぺぺぺ)
この時代の子供は体力が有りまくるから、足は速いだろうな〜。(劉邦柾棟)
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